11話 決着はお祭りでつけようぜ
中央都市リペルで、魔族の親子から金を巻き上げた悪党。
俺は魔王将を叩きのめすべく、事前に引っ付けておいた自身の魔力をたどり目標めがけて突っ走る。
目に入ったのは。
「ならぬ我が道を遮るとは言語道断金をはらえい!」
理不尽な言いがかりをつけてまったく同じことを繰り返す小悪党だった。
憲兵たちは全く動くことができないヒト三郎の言ったとおりだ。
曰くご立派な制度を設けようと結局実行するのは人間である。
人間である以上権力には弱く。
機能しないことなどざらにあるのだと野盗集団の頭を務めていた弟は見解したのだ。
「でもやっちゃうんだよね」
「とうぜんやる」
オウ次郎の疑問に即答すると白いゴブリンは悪党へ向けてその小さな体に似合わぬ大きな声で魔王将を呼び止めた。
「おい小悪党!」
俺の呼びかけに魔王将と被害にあっていた男がこっちを向く。
被害にあう男はガッカリ感が強く魔王将の方はちり芥でも見るような目つきだ。
さもありなん。
小妖精それも戦闘とは無縁のサポート種が魔王将の自分を止めようとしているのだ。
「なんだうぬは、見ての通りだ我は忙しい。見逃してやるからとっとと失せろ」
呆れた表情で見下した発言が飛んでくる。
俺も無理はないと思うが。
「権力を悪用する小悪党がたいそうな上目線じゃねーか。その人だけじゃない魔族の親子……いやお前が人々から巻き上げた金があるだろう? 返せ!」
「ほお~~優しくしてやればサポートしかできないカス種族が吠えよるわ、むろん死ぬ覚悟はできているんだろうな!」
案の定想定したせりふを吐くやつだ。
やつの身のこなしと魔力をみる。
負ける気はみじんもしない。
「御託はいいからさ。『きなよ』」
それが戦いの合図となった。
「賭けますか? 俺は大兄貴に一万ディオン」
「賭けはしないよ、両方とも兄貴に賭けるんじゃ成立しないもん」
そんな声を後ろに聞きながら、何十と斬撃を打ち込んでやる。
相手からの攻撃は俺にはかすりもしない。
最初やつの顔にあった見下しは早々に失せて、次第に絶望へと変わっていった。
「や、やるではないか。サポート種族と思っていたが、魔王ジクリコウの魔王将筆頭たる。このゲシィとここまでやりあえるとはな。うぬの名を聞かせてもらおう」
「東のゴブリン村はカカ・マウントの子ソンクウ・ゴウジャ。おしいね、あんたは腕がたつのにその心は反比例してる。正道を歩めば腕はさらに上がるのに、あんたの邪悪な生き方が足を引っ張ってるよ」
嘘偽りのない称賛の言葉だった。
俺に及ばないとはいえこの男は間違いなく強い。
魔王将筆頭という立場は伊達ではないということか。
「褒めてやれば図に乗りおってしねい『ケイオス・ブレイク』」
奴が渾身の力で技を繰り出した。
おせえよ。
振り下ろされた腕めがけ巻き付き、繰り上がる感覚で体を動かし切りつける。
アベル流攻の番(四)『蛇巻斬』
手加減しなければ対象の腕の付け根から腕が切断される技だ。
敵は悲鳴をあげて、斬られた腕をおさえている。
「手加減はしておいたその腕も回復を使えば治せるだろう。これ以上やるってんならジクリコウのあんたへの評価と、あんたの命もまとめて落とすことになるぜ」
「いいや俺に負けはない。たかがゴブリンに負けるはずがないのだ! ソンクウといったな、この場は見逃してやる。ただし決着はつけるぞ。魔王さまの城で開かれる武闘大会で貴様を待つ、にげるなよ!」
顔面を紅潮させてわめく姿には、魔王将の威厳などみじんも感じられない。
「うけた! 小悪党は見逃せないからな。心を改めないのなら大会できっちり引導を渡してやる」
「ほざけ」
そう捨て台詞を吐くと足早にこの場を離れていくゲシィ。
君、何か忘れてやいませんかっと。
「みんなから巻き上げた金があるだろう、かえせよな」
「フン」
「オウ、ヒトわるいおまたせ」
奴がほおった金袋をうけとると待たせた弟二人にそういったんだけど。
「どうだおらぁ! うちの大兄貴はつえーだろうが」
「やったよ兄貴。見てよほら」
弟たちは群衆たちと賭けをしていたらしく。
向こう一年遊んで暮らせるだけの額を勝ち取っていたのだった。
俺はなんてたくましいんだろうと思ったり、思わなかったり。
その後ゲシィが巻き上げていた金をとられた人たちへと返却した後。
【東のゴブリン村のソンクウ傭兵業】の宣伝をしておれ達は村へと帰ったのだった。
【レベルが上がり神々からの祝福を授けます ちからまもりすばやさが200上昇 体力魔法力が900上昇しました。戦闘技術がが一定に達しました術を除くアベルが編み出した技をすべてうてるようになります
どうなるか予想のつくゲシィくん。パーティーを組むと戦闘に参加しなかったメンバーにも経験値は入ります。よかったねオウとヒト
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