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130話 魔王の政策~綺麗事じゃない! 魔王はつらいよ~

 俺はトウ・ダーラ国の首都と各町村を舗装道路 (外見は石畳だが、走りやすさはコンクリートのココナ製)で繋ぎ、人の往来をしやすくする。


 この事業は俺がコボルト村に行く時から考えていたものだ。

 冒険者なら魔物を倒して進む事ができるが、村人は難しいだろう。

 そんな思いからいつか実現させよう、と考えていたのである。


 道を進んでいけば地図無しで町に行ける。

 村人の往来の時は、ギルドの冒険者と城の兵士を使って警護するのだ。

 その為にガード・キャラバンを設立する。



 往来は国に活氣を呼び、流通が生まれる。

 流通が生まれればそれまで村で一生を終えるはずの人間が外へ出るようになり、眠っていた利益を生む。

 ほら村娘が魔王を倒すような力を眠らせていた事例もあるし。



 流通は大事だ。

 俺は同盟国を抱える共存国家群を創る時に、流通に力を入れると決めていた。


 ニホンコクのある異世界では胡椒が、金や銀と等量で取引される時代があった。

 そして、またある時のインドでは胡椒が『黒色の金』と呼ばれて、通貨として使用される事があったという。


 そんな胡椒も流通が容易となる現代では200円前後の値段で買えるのだ。

 流通が進み希少性がなくなる、つまりみんなが持てるようになったからだ。


 人が動けば大きな力が生まれる。

 俺の計画はトウ・ダーラの流通整備を行い、それからトウ・ダーラの主要同盟国を整備する。

 最終的には加盟国を整備して国同士を繋げる。

 そうする事で【ななつのくに】は大きく賑わうだろう



 道の整備の他に移動門ゲートの小型化と起動に使う消費魔力の消費を少なくする試みをしている。

 ルーとハジメとアーガシア (ガニメデと妹さんまで)が頑張ってくれている。


 俺も何もしないのは嫌なので炊き出しで料理を作るが、なんとみんな喜んでくれた。

 子供の時に家事全部やらされていた記憶が蘇って、いい気はしないんだけどね。

 だが喜ぶ仲間の顔は、そんな嫌な記憶を消してくれる。


 

 利益を生んでいけばこの前のゴドーリンを助けた時の様にトウ・ダーラに戦争を仕掛けて財を奪おうとする国も現れるだろう。

 だがそれで構わない。

 返り討ちにして俺の国に取り込む予定だ。

 世界は弱肉強食であり、強くなくては蹂躙されるわけだし。


 俺の国を攻撃しながら「私へ攻撃しないで」が通るはずもない。





「あのさ今のトウ・ダーラの加盟国ってどれくらいなの?」


 俺は直接現場に行ったり、部下から敵を倒して支配下に置いたと言う報告を聞いたりで、数を把握していない。

 アンダルシアに正確な数を聞く事にする。


「【ななつのくに】は現在グォウライ~ラビレム村の主要加盟国を除いて他11国をその支配下に置いております。

 これらの国は目立った特産品はなく、これと言った人材もいないため税を徴収するだけの国になってます」


 ふ~んと相槌を打つとアンダルシアは肩をすくめて再度報告する。


「タイセイ様訂正させて頂きます。派遣していた悪党窟の者が、敵国を降伏させました。

 念話でタイセイ様の意見が欲しいと言っております。

 付け加えるなら、敵国はトウ・ダーラの財に目がくらみ宣戦布告をしてきた愚か者です。我が君の裁決をどうぞ」

「マスターは悪戯に命を奪うわけじゃないからにゃ。

 とは言え、度を過ぎればその慈悲も与えるお人好しでもないけどにゃん」


 俺の膝の上でくつろぐ猫状態のニャハルは、頭を撫でられている事もあって、うっとりしながら言う。


 俺と繋がるだけありよくわかっているね。

 今回も同じ判断をしてアンダルシアに下知する俺。


「支配下にした後はトウ・ダーラの技術を少しだけ横流しして、飼い殺しにする。

 ミコットとジョフレの下級武器と防具なんかは、奴らには一生かかっても手に入らない代物だから喜ぶだろう。

 国を肥えさせてトウ・ダーラに依存させ、反乱する氣も起きさせなくしてくれ」


 これでいい。

 ゴドーリンのように甘い汁を吸わせてやればどんな馬鹿でも、『甘い汁を吸えていい生活ができるのはトウ・ダーラのおかげ』と思うようになる。

 実際そうだし。


 人は不満がたまるとすぐに口に出る生き物だ。

 不満を聞いた周りの人間の中に「確かにそうだ」、と賛同する者がいる。


 その流れが大きく集まれば一大反乱軍の出来上がりと言うわけだ。



 だから俺はその逆をする。

 いい思いをさせて感謝を植え付け不平が溜まる事の無いようにするのだ。

 不平が蓄積させなければ不満が募る事はなく、

 不満が出なくなれば反乱の芽も出ない。


 戦力にならない支配国にすぎないのだから、奴らが戦場に出る事はない。

 その代わりに支配国の全国民から魔力を徴収させてもらっている。


 徴収した魔力はココナ・ジョフレ・ミラルカが共同開発した魔力炉に保存して、戦争で魔力が尽きた兵士の魔力を自動で補充させられる。


 また飼い殺しに氣づいて「ふざけるな」と乗り込んでくる者もいるがそういう者こそ、俺の欲しい人材なのだ。


 敵の策に氣付く頭とここまでくる行動力と、勇氣はぜひ仲間に欲しい。


 何人かいたから倒した後でしっかり鍛えて、その後で部隊に配属した。

 もちろんトウ・ダーラに残留するのか本人の希望を聞いてからだけどね。

 やる氣のない人間を入れても意味がないからさ。


 まぁ10人もいなかったが、それでも大きな収穫だろう。


 なにせ魔力炉のエネルギーくらいにしか使えないと思う支配国から、10人も魔神と戦う仲間が生まれたのだから。

 多いと思うか少ないと思うかは俺の考え方次第だ。



【ななつのくに】

加盟国〈実は支配国〉―12国

魔力を徴収する以外に使い道がないため国名も無記名とする


〈魔王タイセイのトウ・ダーラ政策〉

・同盟国と加盟国の各町村をつなぐ、舗装路の建設 (同時に村人を警護する兵士と冒険者の、ガード・キャラバンの設立)

・魔力炉へ支配国から魔力の徴収、なおこの策に氣付く者は本人の意向を聞いてトウ・ダーラ国に帰属させる

アベルは魔神と戦う戦力に嫌という人は数えません、士気がない者は全体のやる氣を削ぐのを知っているからです。

やれる人間だけでやろう状態です、あとガード・キャラバンへのお金はトウ・ダーラが特別手当で負担しています。

村人は無料でガード・キャラバンを利用できます


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      彦馬がよろこびます

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