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128話 【人間種】アーファル・ジンジャーアップル

 大闘技場は大きな歓声に包まれている。

 今出場している男が連戦連勝を続けており、公式に行われる賭けの本命選手として大人氣なのだ。


 名前は『アーファル』姓はない。今のところはね。


 男と言ったが見た目は少年で赤髪を流したつり目、少し日焼けしたような濃いペールオレンジの肌をしており、細い体もあって美少年と言って差し支えない外見をしている。


 見る人によっては女の子にも、見えるかもしれない。


 それと言うのもアーファルの親は二人とも女性だったので、外見が女の子になるのは仕方がないと言えるだろう。


 氣の強そうな外見と違い性格は温厚で、人当たりが良く礼儀正しい、そのため闘技場に現れて数回しか戦っていないにもかかわらず一番人氣の選手になった。


「またアーファルの一人勝ちだぜ。

 一体どこから流れて来たんだろうな、素性は一切不明で魔王様自ら『アーファルの素性を探るのを禁ずる』、なんてお触れを出すんだから、謎が深まるばかりだぜ」

「それなんだけどよタイセイ様の最初のお仲間がいるだろう。

 その【永夜の夜明け】のメンバーが『髪の色はバレンシア譲りであるな』とか『性格もそうだよな、けどよ戦闘思考と戦い方はアベルそっくりだぜ』って言ってるのを、聞いた奴がいるんだってよ」


「それじゃ今のトウ・ダーラ王家の血筋かよ。タイセイ様の子孫か隠し子かもしれんな。

 あの強さは、そのくらいでなきゃ説明ができないぜ」


 超能力者のような察しの良さだね。

 観客達はそれぞれアーファルの素性の予想を話しているようだ、それも娯楽になっているんだろう。


「真実に氣付いた者がいるようです『消しますか』」、と【転移の指輪】を使い俺のそばに報告に来るシャッテン。


 俺は「消さなくていい、どうせ真実には辿りつけないんだからさ。

 ちょうどいいからシャッテンと森四郎も休んでいきなよ。俺とアーファルの応援をしようぜ」

「「はっ!!」」


 背筋を正して返事をする二人は後で、無表情のままハイタッチしている。


 俺の言葉に嬉しくなる要素があったかなぁ。


 話を戻すがアーファルがオウなのはバレない。

 その理由があれだ、ヒトの横でオウが応援している。


「兄貴頑張れー」

『アーファルくんがんばれー』(ガーピー)


 実はあのオウはゴーレムの影武者なのだ、ハジメから聞いた〇-ミネーターの話を聞いてココナとポウレンが造った。


「どうじゃアベル王、テイイチ提供のアイデアをすぐに実用する私の技術力は」


 ジャハーと笑いながらポウレン助手を連れて姿を現すマッド博士(ココナ)


「いいね。ドッペルと違い量産できる強みがあるのがいいよ。各国の王へ提供した【影武者ゴーレム】も不具合の報告は出ていないから、この調子で研究してくれ。

 ポウレン殿はこっちで用意した住居の生活はどうだい? 至らない所があればすぐに言ってくれ、ゲンサ達【居住発展部門】に直させる」

「いえいえアベル様には良くして頂いて頭が下がるばかりです。

 我がリリパラディスは私のドッペルとゴーレムを置いていただき

 私もこうして好きな(研究)ができるのですから【ななつのくに】に入れて頂いて本当にありがとうございます」


 そうなんだ、好きな研究ね。

 まぁ俺の右手に寄生○物がいれば「その言い方は正しくないな、私の為でもある」と言いそうだが。



 試合も終わりヒトに肩車されたアーファル(オウ次郎)が帰ってきた。


「すごいよ兄貴の〈変身魔法(ウイダーマン)〉は、何の違和感も感じない。

 まるで僕が始めから『人間種』だったみたいだよ。

 あ、ヒト降ろしていいよ」

「うっす兄貴どうぞ」


 クルンと宙返りして降りたオウは、着地のバランスを崩す。

 俺はすぐにフォローして抱きとめる。

(6つで亡くなったから抱いた感じは12~14歳くらいか)「大きくなったなアーファル……」


「僕はもう平気だよ。兄貴ありがとう」

「うん」


 俺は前世の記憶がない我が子の頭を、クシャッと撫でる。





 午後からゲートを使い加盟国のゴドーリンへ転移する。


 ゲートの先は兵士が規則正しく並び、ゴドーリン王カンポンが叫ぶ

「【ななつのくに】の盟主、魔王タイセイ様! 我が国へようこそいらっしゃいました~~!!」

「「ようこそいらっしゃいました~!!」」


 やめさせろ。と言いたい言葉をぐっと飲みこんで

「はは。手厚い歓迎をどうもありがとう」などと、思いと逆の返事をする。


 カンポンは上手くいったと思う様子だ。

 外交能力のない男だな。



 普段は視察に来て問題が起こってないかを見るのだが、今回は戦争の用意をしてきた。


 ゴドーリンは目下戦争中なのである。

 要約すると

 ゴドーリンが栄えている→潰して金目の物を頂いちまおう→【ななつのくに】の加盟国?→だからどうした、こっちも連合組んで攻撃じゃー〈今ここ〉



 俺は【ななつのくに】全国家の領土を『不可視の結界』で覆っているため、敵が侵入すれば感知できる。

 今回も〈えらいこっちゃ戦争じゃ〉、と感知したので戦力を連れてきたというわけだ。


 俺に後で『知りませんでした』は通用しない。俺は〈魔王タイセイの庇護する国を攻撃する敵には、彼らを守る魔王として対処する〉それだけの話なのだ。





「来ます、だ、大軍勢ですよご先祖様ぁ」

「あぁ見えているよ(あの程度か、6人もいらなかったな)」


 それとお前の先祖は、バレンシアの従兄弟のタロッコで俺の血は一滴も流れていないだろ。


 俺はアーファルに変身したオウの肩をたたく。


「アーファルお前がやるんだ。できるね? トウ・ダーラ国の強さを奴らに刻み込んであげなさい。ヒト、ケシ太郎、森四郎、ドラ五郎は待機だ、ただしアーファルの状況によって各自で判断して援護しろ。まぁアーファル一人で足りるけどさ」

「「魔王様、了解致しました!!」」


 この後アーファルの姿のまま圧倒的な強さで敵を殲滅したアーファルは〈変身〉を解いてオークの姿に戻る。


 俺はトウ・ダーラの加盟国に手を出した愚かな三国を傘下に治めるのだった。





「ところで大兄貴は【神越えの力】で〈変身〉を創ったのは何でなんすか?」

「実験でさ、魔物の姿を保持したまま人間種に戻れないかなと思って創ったんだよね。

 もっともこの魔物の姿は魔神の【大権】が作用していて、サンに『使ったら魔物に戻れなくなるかもしれないから駄目です』って言われて俺は使えないんだけどさ」


 ヒトの質問に答えた後、はぁ~~と落ち込む俺をケシ太郎と森四郎は「おかわいそうなタイセイ様」、と抱きしめてくれた。

 って、ケシ太郎お前の手が俺の胸を撫でまわしてるんだけど。


 ケシ太郎の頬をギュ~とつねるが「あ、ありがとうございます」、と喜ぶケシ太郎を見て少し引く俺なのだ

アベルに変化が出ています。ケシ太郎に以前尻を揉まれた時は氣をつけなさいと注意だけでした。アベルも偶然手が触れたんだろうと考えていましたし。

しかし、今回の胸を触られた時はアベルは怒っております。思春期が来る日も近い。


かもしれません


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      彦馬がよろこびます

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