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127話 魔神の対戦者〈空席に座る者〉

〈創造神バルケスティ=サン視点〉


 その功績は大きいが邪悪な心を持つ神イブナス。

 私は気の遠くなる時間がかかっても、魔神を消す準備をしてきた。


 私はバルケスティ、創造神と呼ばれるこのムンドモンドを創りし神である。


 万象の神々の中から、あのような大罪人が出た事は残念で仕方がない。過去、イブナスは神々全てを敵に回し、自分の欲望をかなえようと考えた反逆の神だ。


 経緯は省くが奴は、創造神と十二神以外が触れられない【大権】を持った時から変わってしまった。

 結果は神々と魔神の戦争を起こし、敗北した魔神は封印される事になる。



「貴様のいない神々にどれほどの事ができる? たとえ幽閉されようが、私はムンドモンドを支配してやる。私の分身を使ってなぁ。

 バルケスティ私を消したいか、フンお前が()()に来る前に使った〈転生〉は未来で起きるものだな? 

 やってみるがいい、お前が選んだ『神にも魔族にも神々が生み出した物にも該当しない存在』が、この私を倒せるとは思えんがな」

「イブナス今は勝ち誇るがいい、だが覚えていなさい私が選んだ【白い体と赤い闘氣】を持つ勇者に、はるか未来でお前は確実に敗れ消え去ります。

 この予言を忘れるな」


「覚えておくよバルケスティ、せいぜいあがくといいさ。はるか未来でこの魔神に敗れたくなければだ」


「ハハハハ。ハァーハッハッハッハ」耳障りな勝ち誇る笑い声をあげるイブナスを、私はイライラしながら睨む。


 人が見ればイブナスの負け惜しみか空威張りに見えるだろう。

 奴は闇の底に封印され、私は天人の体とは言え奴を閉じ込めることができたのだから。



 しかし私とイブナスが思う見解は違う。

【神々のこの戦い】で、創造神と魔神の格付けが済まされている、奴が上で私が下なのだ。


 次に戦えば魔神は数の不利を感じない、圧倒的な力で勝利を収めるだろう。

 その事がわかったから十二神の一人【勇氣と冒険の神】ウルゼは、神から人間種になり目的の物を探す旅に出たのだから。


 私も探さなければならない。


 世界の全てを賭けた最後の戦い(カードゲーム)で私を越える、イブナスとやりあえるプレイヤーを。

 それはおそらく私が封印の前に見た、白い魔物に違いないはずだ。


 私はあれを見たから戦いの中で封印の手段をとったのだ。

 この中は時間の流れが感じにくい。

 ()()()は動いてくれているだろうか





「サンはどう思う? おそらくだが、俺の考えで間違いないはずだ」


 ソンクウという白いゴブリン。

 その正体はアベルだが、この人にはいつも驚かされる。


 私が「七勇者の内、残りの所在がわからない4人は魔人の手に落ちている」この情報を、言う前から予測していたのだ。


 私がアベルの予想の通りだと話すと、小神が総出で動いて得た情報をアベルは「やはりそうか」と納得がいったように頷く。


 その頼もしさはイブナスを彷彿させる、もっとも中身の在り様は正反対だが。


「アベルさんはとにかく魔神に対抗する国力(戦力)を上げ続けてくださいっす。

 バルケスティ様からの情報なんですが、【大権】で敵が七勇者を捕獲した場合は殺害できないようにされているんす。保護っす」


 アベルはこの話を聞いた後、七勇者達の精神が壊されないのかとか

 命に別条がなければ、四肢を斬られたりしないのか、などつき詰めて聞いてくるが、それらも含んで保護だと言うと安心していた。


 七勇者の残りの4人は手が出されない、『守り』の中で深い眠りについている。

 目覚めるのは同じ七勇者が、近くに来た時だけだ。


「じゃあやりたい事が山ほどあるからトウ・ダーラをでかくしようっと。サンが今言った頼みと同じだから、俺達は相性がいいかもしれないねハハハ」

「な、何言ってるっすかもう!」


 いかんいかん私ともあろうものが、体が熱くなるのがわかる。

 今の私はきっと顔が赤くなっている。





 勇者アベルは不思議な人だ。

 永遠に現れないと思っていたイブナスの分身の魔王(イフマイータ)を倒した勇者。



 現在は魔神の大権の願いに該当しない、【魔物の体を持つ人間種】の姿になっている。


 本来なら【神越えの力】を使い人間種の体に戻れるのだが、そうすると魔神を倒せなくなってしまうため我慢してくれている。



 私以外の十二神を含む神々からすると【魔神を倒せる七人】の内の一人にすぎないため、いっそアベルを人間に戻して、とどめだけ他の六人にやらせればどうかと言う神から意見が出た。


 ただしすぐに魔神が【大権】で私が指定した竜種〈他に強力な魔物達〉以外の魔物に転生させる、いわゆるジャミングの件が発覚した事で意見は取り下げられる。

 正直ほっとした。


 アベルは【魔神を倒せる七人】ではない【魔神を倒せる唯一の存在】だからだ。


 魔神イブナスとまともに戦えるのはアベルしかいないのだ、それが【神々の戦い】でイブナスと戦った私の意見である。


 神々はアベルが倒れてもオウ次郎が代りになる。

 そう考えているようだが、認識が甘いと言わざるを得ない。


 オウ次郎がアベルと同じ発想ができるか? 

 アベルがしてきた事をオウ次郎ができるのか? 

 いやオウ次郎だけではなく、アベル以外にアベルと同じ事ができる人間種がいるのか。

 つまりはそういう事なのだ。



 私がヴォルデウスに語った『創造神が世界の命運を託した強い人』、というアベルの評価に嘘はない。


 アベルは不思議な人だ。たとえ誰が相手だろうと何が起きようと何とかしてくれるそんな気分にさせられる。


 本当に、不甲斐無い造物主で済まない。


 私が貴女の転生して夢をかなえる願いに漬け込み、魔物の体を与えて魔神と戦う運命に引きずり込んでしまった。

 私があなたのように強ければと何度思っただろう。


本当にごめんなさい

……

………「ン、ねぇ」


「サーン、ねぇ惚けてないで聞きなよ」


 あ、

 あぁアベルが私の体をゆすっている。


「天界へ行ったり来たりで疲れているだろう? 【夏の間】を拡張してリゾート地を作ったんだ。

 サンもおいでよ、みんなで遊ぼうぜ」

「何に悩んでいるか知らないけれど、サンさんは僕達『ゴブリンと愉快な仲間達』のメンバーだからね。

 僕で良ければ相談にのるから」


 アベルは麦わら帽子に上下水着の上からシャツを着て、浮袋を両手で抑えている。

 その横のオウ次郎はキングサイズの海パン姿だ。


「サンちゃんが水着持ってなければ向こうで用意されているからさ。神越えの誰かが、力で出すヤツね」


 ヒト三郎は見当違いの心配をしているが、その心遣いが嬉しい。


「ふっふっふ心配ご無用っす。今日の日の事はアーガシアに聞いてたっすからね、服の中に着替えてあります」


「おぉー」と拍手する三人を前に、張った胸をドンと叩く私。


 気分転換をしながらこんな事をしていて、いいのかと思う自分がいる。


 そんな私の顔を見たアベルが言う

「目的地までの道中も、楽しみたいじゃない」


 そんな言葉が何故か耳に残った

神々の戦いでイブナスはそれまでムンドモンドにいなかった【魔族】と【魔物】を生み出しました。

【大権】を使った魔神の願いから生まれた2種族は神々を苦しめます。

この時にバルケスティは自分に大権があっても、イブナスには勝てないと痛感しています


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      彦馬がよろこびます

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