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124話 コンノ・ココナの生涯②

 村ができて20年目の春。

 ココナに懐かしいお客さんが訪ねてきた。


「ミコット大きくなったのじゃ。どうしたのじゃ?

 この村にゴーレム職人になりに来たのかのぅ」

「んやぁ。ココナを見に来たのさ。

 イフマが倒されて一見平和だけど、

 どの種族もありえないくらいに殺氣立っているから

 あんたのゴーレムも買い占められているって聞いて、……ココナが変わったんじゃないかってミコは心配になったんだ」


 私が変わる? 変な事を言う子じゃ。

 私は変わっていない、ゴーレムをさらに強くしていくだけじゃし。


 まぁミコットが言うなら氣にとめておくかじゃ。なんじゃい、そんな目で見ないでおくれよミコット。


 私は彼女と親愛のハグをしてミコットを見送る。


「エワードに魔王を倒した勇者がいるって話さ。ミコはそいつを見てから冒険者になるんだぜ、戦争に巻き込まれないように冒険者になって旅をするんだ」


 ミコットの言うようにこの世界は私がいた元の世界と同じ大戦争が起きるかもしれない。


「ならば私が戦争を終わらせるような、超ゴーレムを造ってやるのじゃ」





 世界の種族を二つに分けた【覇権戦争】が開始してから私は大忙しじゃ。

 ある国からゴーレムの発注が大量に来たかと思うと、別の国から護身銃の追加注文を受ける。


 だがこれで良いのじゃ

 私の兵器が、この馬鹿げた戦争を終わらせる。



 その時じゃった、襟首をつかまれて強引に後ろに放られる。

 背中をうった私を黄金の少女が、睨みながら見下ろしている。


 顔が近いしこんなきれいな顔は見た事がない。つまり、ラビレム村のものではないのじゃ。


「いきなり何するんじゃ!」と言おうとした時じゃ


「ぬし。悪魔の化身か? あんな大量殺戮兵器を作って、ムンドモンドを破壊する氣なのか! 氣が立つわしは長々と待つつもりはないぞ、疾く答えやぃ」

「は?」


 私の口から出るのは、そんな氣の抜けた声。


 この時まだ竜王の〈神越えにはなっており、王位をガニメデに譲っていないので、竜王と竜帝の好きなほうを名乗っていた〉アーガシアが言う内容によると、

 私が造った護身銃とゴーレムのセーフティーが外されて、購入した国は量産したその二つを使い大量に死人を出している、との事だった。



 私は【人間のアイデアは、兵器転用される危険性がある】この事実を忘れていた。


 ダイナマイトを生み出したアルフレッド・ノーベルがそうだ。

 彼はトンネル工事を早く進めるために、ダイナマイトをつくるがそのダイナマイトは戦場では優秀な兵器であり、ノーベルの考えとは裏腹に殺戮兵器の顔を持ってしまった。



 セーフティーを外した国が悪いと言いたいが、結局のところ(ココナ)が生み出した物がカノンと禁忌ゴーレムに名を変えて、人々を殺戮している。


 申し訳ないと思い、そして悔しかった。死んで詫びるのは簡単だが問題を残しては死ねない。

 だからケジメは私がとるのじゃ!


「アーガシア頼みがあるのじゃ」

「むぅ?」





 私は覇権戦争の戦場のど真ん中をアーガシアに乗って飛んでいる。

 それは私がつけるケジメの為

 これから(コンノ・ココナ)が生み出した全ての兵器を破壊するのじゃ。



 下では魔族の侵攻が始まっており、魔王ゲールプグナと勇者の死闘が開始している。


「どうしたココナ? 魔王は勇者に任せておけ。

 あのお方もおるし、負ける事はないのじゃ」

「ううん、少し氣になっただけじゃ。

 上空から見る地面は暗いから、【その中に炎のような光】が見えた氣がするのじゃ」


 とは言え、戦闘では魔法を使うからその魔法の光なのだろうとココナは思う。

 そんな事よりアーガシアの声が緊張したように上ずっているのが氣になった。

 氣になる人間が下にいるかもしれない。


 いいねこの竜王を夢中にさせる人間ならば、いつか見てみたい。そう思うココナ。


 さて氣を取り直してこの戦場の全兵器を破壊する。




〈境界なき照陽視点〉


「アベルよ、敵を見ていなければやられるぞ。まぁ貴公は見ずとも避けておるが、なんだ何か見えたか?」

「黄金竜とその上に、人間種がいた氣がしてさ。氣のせいかな。

 まぁいいさミコット達を援護するぞ、行くぜヴォルフ」


「うむ! ついアベルと言ったがわがはい達はオーリンジのパーティーではアップルとダンベルマンであったな」


~~~~~~~




 ケジメをつけた私はアーガシアに許されて村で隠遁する事になる。

 異世界人は年を取らないが、寿命があるため〈まるで人魚の森の神無木登和じゃな〉、没する時が来るまでゴーレムを造っていよう。


 実は私を罰する案は、神々が出したものである事を後でアーガシアから聞いた。

 彼女は「ココナはムンドモンドを危機に陥れた事は確かじゃが、悪意は感じんし面白そうな人間じゃ」と言い


「わしがココナを見極める。神々は手出し無用」とかばってくれたらしい。


 アーガシアは私の恩人で間違いないが、彼女は「友人の間違いじゃろ」と恥ずかしそうに照れている。



 たまに村に遊びに来るアーガシアの戦闘力を元に、私の生涯で最高傑作の【金剛四聖】を生み出すが私はもっと、すごいゴーレムを造りたいと願ってしまう。





 体も動かなくなる頃。


 私とアーガシアは一計を考える。


「ぬしの魂を『ココナを処刑しろ』と騒いだ小神の近くに置いておけるものか、良いかココナよ」


 私は魂を隔離して保管する事で、天界にも冥界からも魂の行方をわからなくさせる。

 後はアーガシアの判断で生き返らせてもらうだけじゃが、本当のことを言うと怖い。


 生き返る事が怖いのではなく、私はまた選択を間違えて恐ろしい兵器を生み出すのではないかと思ってしまう。


 だから私はアーガシアに私が生き返る条件は【私が人生を預けられるような、そして私の間違いを正してくれるまっすぐな人間】を希望したのだ。


 こんな世界で、私が言う条件の人間が見つかるだろうか。


「ココナよ。ちと時間はかかるが、期待して待っておるのじゃ」


 最期の時が来た

 私の魂は親友の顔を撫でた後に、体を離れてコフィンに入る。


 お休みなさいアーガシア

残り二人の仲間編は終了です。次話からトウ・ダーラはこんな国ですの紹介と内政・日常の話になります。


  面白かった次も読みたいと思われた読者さま


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      彦馬がよろこびます

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