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118話 神越えの大魔法

 トウ・ダーラ国の異界へ渡る街灯が並ぶ道をアンダルシアが歩いている。

 ゲンサ率いる大工チームによって整理された石畳。


 と言うより、滑らかなコンクリートに見える道の節を見ながら主の帰りを待っていた。


(ソンクウ様は、今日は夏の世界で修行されているはず。

 出てこられたら、私では決められない案件を解決していただかねばなりません)


 街灯とは別に、大袈裟な封印の錠が掛けられている家は四つあり、中は異なる世界を形成している。


 その四つとは春夏秋冬で、まずルーヴァンが空間を作る。

 その後でアベル達が神越えの力を使って、四季の世界へ変えたのだ。


 もちろん世界を巡るマナの循環や、死亡した場合、魂を天界冥界へ渡さないように留めておくシステムの構築も行う。


 それぞれ四人の神越えは冬をアベルが、夏をミラルカが、春をアーガシアが、秋をニャハルが構築した。

 完全な異世界であるため、現世であるムンドモンドには影響を与えない。


 だからアベルは神越えの力を戦闘で使い実験練習する時は、春夏秋冬の家のどれかでと心に決めている。


 そうでないとムンドモンドは、四人の神越えが暴れた事が原因で、吹き飛んでしまうだろうから。


「我が君はお腹が空いているかもしれません」


 軽くつまめる塩ゆでしたエビに、オリーブオイルと塩コショウをまぶした料理、そしてジンジャーエールを用意してアンダルシアは、主が修行を終えるのを待つのだった。





 ギラギラ肌を焼く日差しと、まぶしい太陽が輝く海の世界【夏の間】で、海を巻き上げる竜巻を巻き起す激しい戦闘が繰り広げられている。


 2on2で組み分けた、水着姿の神越え達が戦っているからだ。


 砂浜と僅かな緑を持つ大きな島の上をフリンジ・ビキニの俺は走る。

 空中に右手をかざした後、拳を握り下へブンと振り下ろす。


 次の瞬間に空中に浮かぶ、透明化の解けたボーイ・レッグ水着のニャハルが海面へたたきつけられる

「にゅいいいいいいぃん」


 そう叫びながらニャハルは海中へ沈んでいく。



 貝殻水着のミラルカは、時間を止めて魔力弾の弾幕を張る、だが俺とアーガシアのコンビはミラルカ同様時間の止まった世界へ入る。


 これで時間停止は意味のないものになる。

 なにせ、俺達も止まった時の中を動いているからね。


 俺の背後に瞬間移動したミラルカは、魔力のこもる手刀で俺の首を断とうとしたのだが、未遂に終わる。

 何故ならば、さらにミラルカの背後に瞬間移動していたアーガシアに、飯綱落としを喰らったからで。

 ちなみにアーガシアの格好はスクール水着だ。


「読んでおったのじゃ、くらえぃペガ……ドラゴンローリングクラッシュ!!」


 思わずセント〇イヤーと叫びたくなる必殺技が決まる。


 海から上がったニャハルと、ムクリと起き上がるミラルカは、なにやらブツブツと呪文をつぶやき始める。

 一語ごとに二人の周囲にマナが積み重なると、膨大な破壊の魔法式が構築されていく。


【獣帝】と【魔帝】を源にする二人の魔法の奥の手、つまり大魔法を放つつもりだ。


「我が名ニャハルの名において、源たる獣帝(ヴァルハラハル)より下りて顕現せよ。

 獣よ牙よ、我が前に立ちふさぐ小さき敵は汝が踏みつぶす塵であり、芥なり。

 汝の眼光の鋭さと、爪と牙の恐怖を汝の獲物の臓腑に刻み込むべし!」

「我が名ミラルカの名において、源たる魔帝(ミラルカ)より下りて顕現せよ。

 世界の覇者よ、かつてこの地に君臨せし覇者の器よ。

 我が血に宿れ、我が肉に組み込ませよ。

 我が前に立つ敵は、己が罪を知らぬ愚物なり。汝の力で支配下に置くべし!」



 俺とアーガシアはそうはさせるか、と大魔法の詠唱をする。

 ちなみにニホンコクの知識を持つ俺から見ると、かなり中二病と言えるかもしれない詠唱だが、仕方ない面もある。


1 大魔法は魔法の源になる存在がいる。

 大概は神だけど、俺達のように神を超えた者は、自分を大魔法の源にすることができる


2 詠唱は自分で決めるのではなく、大魔法を創る時に、その魔法に必要な言葉が魔韻となって頭に浮かぶ え? ジェ〇イナイトのライ〇セイバーだって? 別にいいじゃん。


 詠唱なしでも放てるけど、失敗する確率が上がるし、威力が65パーセントでしか放てないというメリットがある。


 俺が持つ飛行船は大魔法砲という切り札があるけど、あれだって100%では放てないのだ、威力はせいぜい90%と言うところか。

 十分と言うツッコミが聞こえてきそうだが、今は大魔法の詠唱だ。


「我が名アーガシアの名において、源たる竜帝(アーガシア)より下りて顕現せよ。

 翼持つ王よ高き天空を泳ぐ、自由を謳歌する鱗の長よ。

 ゆりかごの中の世界を乱す、悪しき敵に守護者たる汝の裁決を下ろすがよい。

 いと高き天上より、その審判を下すべし!」

「我が名アベルの名において、源たるアベルより下りて顕現せよ。

 大いなる権利の落とし子よ、人の歴史において最強の名を持つ、月と太陽と、星の光を喝采に変える七帝の長よ。

 汝が持つ千里千年を見渡すその目で敵の命尽きる()を見よ。

 その時は今この瞬間なり、汝の炎によりて焼き尽くすべし!」


 くそ。詠唱を変えれる機会があったら、絶対に簡単なのに変えてやる。

 たとえばシ〇ザ~ムとかさ。



 四人の神越えは残る魔力を全て込めながら大魔法を放つ。


「インスティンクト・タイラント・デジール」【ニャハル】

「サタン・クロニコン・エフィアルティス」【ミラルカ】

「ドラゴン・オーヴァル・ウーアシュプルング」【アーガシア】

「ミス・フィナール・ヴァールハイト」」【アベル】



 同時に放った四人の大魔法は、海を蒸発させ、島を消し飛ばすと【夏の間】という小世界を何もない虚無の空間に。つまりルーが拡張した最初の空間に逆戻りさせる。


「まいったにゃ~~」

「も~ずるいよ~。ばあちゃんとソンクーが組むと、大体僕達が負けちゃうんだもん」


 俺達に負けを認める二人は、傷を自動回復しながらそんな風にぼやく。


 しかし俺もそうなのだが全員魔法の衝撃で、着ていた水着が吹き飛び全裸になっていた。

 ミラルカのでかい胸やニャハルの大きなお尻。

 俺とアーガシアの、つるんとした幼児体形が露になり日の光で輝いている。


 女同士だから何も問題はない。

 ニャハルとアーガシアは俺をじっと見てるが、何か付いているだろうか?


 念話で外にいるアンダルシアに着替えを用意するように頼むと、『我が君かしこまりました』といい返事をもらえた。


「ソンクー次は僕と組んでよ。僕負け越しているのやだからね。」

「わかってるよ、大体さ今回アーガシアと組んだのだってサンに『何も言わずにアーガシアと組んで下さいっす』って頼まれたからだぜ」


 何度か行っている、この神越えの力を使った戦闘の修業は実験的な意味がある。

 この力で何ができるかを探っているのだ。

 神超えの力を正確に把握しておきたいからね。


 だが、今回に限り唐突にサンからアーガシアと組んで、とお願いされたのだ。


 アーガシアは俺と組むとうつむきながら顔を赤くして、動きが鈍くなるので練習としていいか、と思いそうする。


 まぁ「ソンクー聞いてるのー?」と言いながら、全裸で俺の体をゆするミラルカは、なかなか負けず嫌いかもしれない。

 などと、目の前の揺れるスイカを見ながら思う俺。でかい


 この後、神越えの力で【夏の間】を元に戻してから、俺達は異界より現実世界へ帰還した。

トウ・ダーラにある街灯は全てルーの拡張空間に繋がっています。

そしてアーガシアがペガサスの技の知識を持っていたのはハジメとアベルが教えたからです

サンはバウバッド事件の後でアーガシアに詰められますが、アベルと組む手助けをする、という条件で許してもらいました


  面白かった次も読みたいと思われた読者さま


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      彦馬がよろこびます

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