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114話 バウバッド夜の戦い④逆転の策

「お喋りはこれくらいにしてそろそろ戦うとするか、さすがだ、とっくに戦闘態勢じゃないか」


 闘気はお互いに出してはいるが、トーマは気構えができていない。

 彼は知り合いの俺が相手と言う事もあって油断しているのだ。

 もちろん相手が俺ではなく、ただの敵なら気構えもできているのだろうが、トーマを含む三人共、本質は優しい人間なのだ。



 どうやらこの戦場において十英雄の三人がトーマ、ロンメル、アリスなのに気付いているのは俺だけらしく、あえて仲間達に言うつもりもない俺。


 なぜならトウ・ダーラで鍛練する時は、命がかからない身内の試合のため、今回戦闘で、【全員がレベルを下げられた状態で、どれだけ動けるのか】を見る良い機会だからである。


 それからどうでもいいことだけど、認識疎外をしていても、本人特有の動きや無意識に出る癖を消さないのなら、正体を隠したとは言えない。


 見えるものだけが全てではなく、かのサイヤ人の合体お父さんも「重要なのは相手の動きを読むことだ」、と断言しているからね。


▽▲


 間違いなく【七勇者】のアベルだと目の前のソンクウを見て、トーマは思った。

 バルケスティが教えてくれた七勇者の証は実は三つあり


1 体の色 (一部でも)が通常と異なり、白・赤・青・緑・桃・黒・金の七色のどれかに該当する魔物


2 ムンドモンドの三大闘氣〈魔族の金〉〈天界関係種族の銀〉〈地上種族の白〉に該当しない、虹の七色〈赤橙黄緑青藍紫〉の闘氣を持つ魔物


3 2つ目の条件を覚えている魔物


 が、その魔物を【七勇者】と証明する条件だ。


 大権を使いバルケスティは三番目の条件を、神々と己の使い(トーマ、ロンメル、アリス)そして七勇者にしか覚えていられない様にする。


 そうすることで、魔神を倒せる七勇者のなりすましをできなくさせたのだ。


 なにしろ魔神を殺せるのは、その【七勇者】言い換えるなら、世界で七人しかいないのだからバルケスティが秘密をつくるのも納得だ。



 さて、と目の前のゴブリンの闘気を見る。

 トーマはアベルが持つ二つの色を確認した。体の白い色と、炎を見る者に想起させる赤い闘氣の色。

 異世界ニホンコクにおいては縁起の良い色とされるため、創造神はゲンでも担いだのかもしれない、もっとも別の意味としては赤は赤んぼ (生)を白は白装束 (死)を現すという見方もあるのだが。


 それにしても、アベルは規格外だと思い知らされる。闘氣の勢いから圧を感じるトーマが、(レベルが英雄級まで下がっているとは思えん)そう気圧されて思うのも、無理ない事だった。





「アーガシアが魔法を使う役だ。作戦通りに頼む、ニャハル! 俺の言う事は理解できているな」

「にゃー。もちろんにゃぞ、ニャアはババアに……その後は自由に動く別動隊にゃん」


「アベル殿要らぬ世話じゃがバルケスティは七勇者の括りをつけておる。

 しかし魔神を滅ぼす本命はぬし様じゃ。どうかご自愛を!!」


 後ろに聞こえるニャハルの返事とアーガシアの忠告を聞きながら、ニンバスの背から大ジャンプすると、俺はワンへ剣を振り下ろす。


 さすがにレベル差が大きいため剣を持つ片手で受けられてしまい「目で確認はしてるんだろうが、レベル差は5000だぜ。

 気合でどうにかなる数字じゃない」などと軽口をきかれてしまう。

 ここで状況を確認しておくけど、俺がワンの下である。


 まぁ結界を攻略する方法は、二つ思いついているけどね。

 ここからつかず離れずの間合いで、ワンと切り結ぶ。ワンは俺の攻撃を受けたりよけながらすぐに反撃するが、アベル(俺)の策がどうしても氣になるようだ。


 そうでなければナメック星で闘った、宇宙の帝王様とサイヤ人ぐらいのレベル差があるのに、一瞬で終りにしない状況がおかしいと言えるだろう。


 さて時間稼ぎしながら後ろのアーガシアを見ると、彼女は強気の表情でコクンと頷いた『何時でもいける』、そう合図したのだ。

 周りを見るとレベルの受け渡しをするニャハルをサポートするようにフルベルトとミコット、それからジョフレが手をパータッチで繋いで、自分達のレベルをアーガシアへ渡していた。

 だからこそ準備が早く整ったのか。


現在のレベル

アーガシア (32000)

ニャハル (5000)              

ミコット、ジョフレ、フルベルト (全員1000)

アベル、オウ次郎、ミラルカ、ヒト三郎 (全員8000)

トーマ達 (全員13000)


 今はこの状態だな。

 剣を振る。

 ガキンと音がしてワンは大きく距離をとる。


「いやー、まいったまいった。かないそうにないから俺は逃走させていただくよ」


 俺は言うと同時にコドラから飛び降りる。

 もちろん本当に逃げるつもりはないが、大きなレベル差があるワン相手に正面から戦う氣もない。こちらには逆転の策があり、その八割が完成しているのだ。


 見ればワンはレンタロウの分身の術を部下の竜とダークエルフに掛けている、数を増やして逃げた(と見せかけた)。俺を捜索させるつもりなんだろうがそうはいかないぜ。


 地面に着地すると近くの建物に身を隠して分身をつくる俺。

 こうする事で相手をかく乱させる。

 俺の分身が囮をしている間にオリジナルは策の残り二割を片づけ術を完成させる。


 などと言う間にダークエルフ達に氣づかれ囲まれた俺は腕をクロスさせて窓から外へと脱出した。

 ガラスを割るバシャアンの効果音が欲しいところだ。


 追ってくるダークエルフの攻撃と時には竜のブレスを大袈裟に避ける動きをしてかわす俺。

 まあ実際はカムフラージュで独特のステップを刻みながら踊っているのだが。

 それと補足すると囮の分身を追う敵も多いため、避けることに苦労はしない。


 とはいえ半径百メートルだが、ぐるりと円を描き策が成就した。

 【聖なる踊り】を終えた俺は念話で、合図を送り呪文を唱える。


 魔力の消費を担う役はアーガシアが担当した。いくぜ天から下りたレベルの、大デバフを逆転させてやる!


「マー・ニ・メン・ドゥーパ」

「「オォオオーーーーン!!」」


 俺の唱える呪文の最後は、俺を含むアーガシア・ニャハル・ミラルカ・オウ・ヒト・ミコット・ジョフレ・フルベルトが支えた。


 皆が手を合わせて最後の魔韻まいんを合唱する。

 踊りで描いた魔法陣が光り、バウバッドを包む謎の結界を上書きする。


 つまり【俺たちはレベルを取り戻し、しかもバフがかかり全員レベルが14000 (神越えは除く)】になり【ワン達はデバフがかかり十英雄はレベルが3000に部下は1000】まで下降した。



 なにしろ結界を維持する以上。術の解析がし放題だから利用しない手はないよね、そのおかげで使える魔法をひとつゲットしたよ。

 あと天界の神には悪いが、術の魔力循環の構築が甘いよ、強化させてもらったぜ。


「神越えはラーニングできるから今回は俺がしただけ、なんだけどさ」


 俺を迎えに来たアーガシアは少し困った顔で

「無理じゃな、見た後なら真似ることができるが、わしを含めてニャハルもミラルカもアベル殿と同じ発想は持っておらなんだ。

 さすがはわしの惚れたお方よ、わしらが戦ってもアベル殿には決して勝つことはできまいなのじゃ」


 そういいながら俺の胸に顔を埋める。

 アーガシア見て。

 動けない俺達をワンが攻撃しようとしてるよ

 今回アベルは、結界を攻略する2つの策の一つを披露しました。でもこの策で十英雄を倒すつもりはありません。

 アベルの狙いはあくまで自分よりレベルが高い相手を仕留めることなのです。

 やり方は次の策でわかります



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      彦馬がよろこびます

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