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111話 バウバッド夜の戦い②ミニアベル

 一回、二回、三回連続でロンメルは腕を振る。

 空氣をビュンと切り裂く音がするとヒトのいた地面にぼっこり穴が開く。

 ヒト三郎は「なんつー速さと重さだよ」除けながら軽口をたたくが敵であるアル(ロンメル)の分析は忘れない、相手をよく見る事、相手に何ができるのかを知る事。


 この二つが師である大兄貴から教わった戦いを有利に進める攻略法だから。

 大兄貴は【相手のカード】と言っていたっけ、ヒトの持つ【カード】つまり自分が持つ技と身体能力、転じて強さ(レベル)が劣っていても嘆く必要はないのだ。


 カードはこれからヒトの努力でいくらでも増やせるし、自分は戦闘不向きというサポート種のハンデを、ものともしないで闘い勝ち抜いてきた大兄貴を知っているのだから。

 その思いがある限り先々の戦いで誰もヒト三郎の心を折れはしないだろう。


 さてアルが動かず攻撃しているが近づくのは簡単ではない。

 奴の腕は長さと速さが普通ではなく、攻撃の跡を見てわかるように重さもある。


 前に相手をしたヘンリーは体を改造されて魔物の力をもっていた、十英雄と名乗るからにはアルもそうなのだろう。

 改造魔物人間ってところか、ヘンリーと同じ魔物の力でヒトを攻撃しているのをヒトは理解する。さて


「ぼちぼち反撃するか」


 ヒトが襲う腕をよけながら闘氣を込めた斬撃をアルに飛ばすとアルは《見えない腕》を使いはじいてしまう。

 ヒトの思い通りだった。次の瞬間アルが見た物は空中でアベル流奥義(エンデ・ジ・エンド)を放つヒト。


「魔剣アベルクレスのデバフ効果付きだぜ!」


 直撃すると大きな爆発と一緒に煙が上がる。

 ヒトは大兄貴ならあと二発くらい技で追撃するんだろうが、俺は体力を温存しないといけないからな、なんて思うのだ。


「や、やった……やったー!!」

「ありがとうございますお客人、えと……ヒト三郎殿。おかげで敵を一人やっつけました」


 剣を構えたままヒトが「まだっす、兵士達は下がってた方がいいっすよ」と注意する。


 アルのいた場所から「グルルルル」と獣の唸り声が聞こえた、この事は戦闘が続いていて十英雄は生きている事実をその場にいる者にわからせるのだ。



 煙が晴れればヒトの計算で倒せたはずのアルが無事な理由がよくわかった。


「オォオオオウォオーーーーーーーン」


 腕をクロスさせて我が身をアルの盾にしたドライ (アリス)がアルの前に立っている。

 戦闘の高ぶりから吠えるドライは狼の獣人を思わせる姿だ。

 もちろん十英雄である以上見た目で判断できるような簡単な物ではないのだが。


「アル平氣? どこも痛くない?」

「ありがとうございます。ドライさんが僕を守ってくれたおかげで、怪我一つしていませんよ」


 とはいえドライがいなければやられていたと素直に思うアル。

 アベルの弟分と聞いていたけどここまで強いとは思わなかった。


 トウ・ダーラで稽古するときも戦う事はなかったが、魔神があそこまでアベルを警戒する理由がよくわかった。


 アベルは鼠を獅子に変えるのだ、育成能力が高く、ヒトなんか元々野盗の頭レベルだったのが、今では魔帝の婚約者で半神の精霊なのだから驚きである。


 アベルがやっかいなのは本人の強さそして高すぎる育成能力と人材の目利き、敵からすればやってられないと投げ出す難易度だろう。

 どこかの趣味でヒーローをしている〇ゲ〇ントは「クックソゲー、クソゲーだね」と言いそうである。


 アルが感じるヒトのレベルはふつうソンクウ(12000)くらいかこれは大神と同じレベルで、アベルから稽古を受けたアルとドライそしてトーマも同じレベルなのだ。

 だからこそ言い訳が入る余地がなく【自分の持つカード】を使いこなした者が。

 言い換えるならば戦闘センスに秀でた者が勝つ勝負と言える。


 少なくともアルとドライはそう感じているのだった。



「危ないな、アルのやつドライが助けに行かなければやられていたぞ」


 コドラの背から戦いの様子を見ながらアリスを放り投げたトーマが安堵する。


 ヒト三郎の戦闘力があそこまで高いとは思わなかった。

 どうやらアベルの稽古を受けるとはじまりの勇者に近い戦闘思考と実力を持った【ミニアベル】ができるようで、アルも自分と同じ感想をしているだろうと思うトーマ。

 稽古の時にアベルがいう情報によればオウのほうが今のヒト三郎より強いというのだから驚きだ。


 創造神からの依頼はトーマが思うより骨が折れる仕事になりそうだ、トーマが念話で前もって()()()をはじめるのをコドラを含めて戦場の誰も気づかなかった。



「わん」


 かわいい鳴き声と裏腹にその攻撃は重く鋭い。

 なにしろヒトの頭に魔剣から『キルレイン様何度も攻撃を受けたくないです』などと泣き言が入るのだ。

 ヒトから見るドライは獣頭の狼獣人にしか見えない、しかし普通ではない事がヒトもわかっている。

 大兄貴ならどの種族が合成されているのかわかるんだろうけどと自分の知識のなさを嘆くヒトだった。


 さらにアルの正体が植物の魔物を合成された改造魔物人間らしくドライの攻撃でよけたところをしなる茨と硬化した木の蔓を鞭にして攻撃してくる。

 そのためヒトは二人の攻撃を大きく避けるため攻撃ができないでいるのだ。

 アベルクレスのデバフを使うが()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 それはずるいだろと思うヒト。


「だったら光魔法ライトーラのつるべ打ちだ。」

「読んでまーーす」

「アベルの仲間まず一人目やっつけた」


 ヒトの足へ植物の枝が巻き付き一氣にヒトの体を空中へ持ち上げる。


「僕は植物なら何でも操れるんです、戦ってる最中にこっそり根を離してヒト三郎さんを捕らえさせました、その後どうすると思いますぅ?」

「優しく地面に下ろしてくれるとか……」

「ぶー。ハ・ズ・レ・でぇす!」


 足をつかむ根はヒトを勢い良く地面にたたきつける、いやしようとした。だが


「兄貴、ミラルカも」

「ヒトおまたせ二人相手に頑張ったね」

「今日の僕はちょっと機嫌が悪いぞー」


 根が切断されてヒトはオウと自分をお姫様抱っこするミラルカへお礼を言う。


そのころ上空では



「俺は関係ない場所を巻き込むなと言ったよね、あんた覚悟しなよ」


 ガニメデの甥の竜の背に乗った男、そいつが俺の言葉を聞くとゆっくり後ろを振り向いた。


「勇者アベル早かったな」


 俺とワン二人の体からゴウっと闘氣が立ち昇る。

ヒトは弱くないです、ちゃんと戦略というほどでもないですが立てて、ロンメルを倒してますから

上手く行かなかったのは、アリスが助けに入ったからで、それがなければヒトが勝ってます。

「ヒト残念だね、でもよくやったぜ」(by大兄貴)


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      彦馬がよろこびます

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