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110話 バウバッド夜の戦い①光魔法を放つ勇者

 俺に宣戦布告する十英雄達、ワンとアルとドライは竜を操ってバウバッドへ降下する。俺にアーガシアが申し訳ないような顔と、怒りを無理やり抑える顔の両方まぜた表情で謝る。

 その内容は俺がしかたないよ、そう思う感じだった。


「アベル殿すまぬ、今の竜はうちの国の者達じゃ、特に青い大竜はガニメデの甥でのう。昔から物騒なことを言うのでガニメデと妹のフェルミーナに諫めさせておったのじゃが、今度はイタズラではすまぬレベルじゃからの。念話で二人に下知げちをしたが、コドラは、処分するほかあるまいなのじゃ」

「俺はその子がどんな竜なのか知らないから、今の状況だと判断ができないな。脅されて従っているパターンも考えられるし、殺すのはなしで、戦いが終わってから処分を決めようぜ。それでいいだろみんな、アーガシアもいいね」


 全員頷くのを確認した俺が微笑む、とアーガシアは小さく「すまぬアベル殿」と頭を下げる。

 さすがに仲間の身内を、処分なんてしたくないよ。



 それからみんなへ俺につかまらせて、俺は転移で俺達が使った魔法陣のある木へ戻る。

 木の魔法陣の横に、転移のポータルを置いて少ない魔力で転移できるようにしておいたのだ。

 大きな魔力を感じる方へ振り替えると、バウバッドのある方角が夜なのに昼と思うぐらい明るい。


 始めたようだね、俺は召喚したフライング・ニンバスに、みんなは龍に戻ったアーガシアの背に乗ってバウバッドへめがけて全速前進する。


「アベル殿に言われて仕方なくじゃが、背に乗せるのは今回だけの特別じゃぞぅ」 

「わかってるにゃー」

「僕でもばあちゃんの背に乗るの久しぶりだもん。他の人は一生の自慢になるよ」

「そんなことより急がないと、遅れた分だけ被害は増えましてよ」


アーガシアの注意にニャハル、ミラルカが答える。

 被害が増えるか、ジョフレのいう通りだぜ。


 俺が呼んだニンバスは三人までしか乗れないので、アーガシアに頼んだのだ、「も、もちろんじゃ。わしに任せい」と言ってるもどうやら無理させたみたいだ。

 顔が赤いのが、戦闘前で興奮していたからかな?


 胸の火がボウと勢いを増すのがわかった、必ず十英雄を止めてやる。



▽▲



 夜、私のバウバッドが大火に包まれている。

 やったのが十英雄前に退けた相手だ。

 奴らは魔神の尖兵を名乗り攻撃をかけてきた。

 一度戦った時が本気を出していなかったようで、十英雄の操る竜の息は町を包み、おまけに闘氣をまぜてあるらしく…。バウバッドの魔法兵団の水魔法が負けていて消化が難しくなっている……。


 十英雄のダークエルフ達はレンジャーの集団で音もなく、王の親衛隊を陰から仕留めていく。

 現在死者が出ていないようだが、かろうじて生かされている瀕死といえるさまで、大型の獣が弱い獲物をいたぶって遊ぶ姿を王に思い起こさせる。



 王宮から遠眼鏡 (双眼鏡のようなもの)で忌々し気に十英雄の様子を見るアシババは、ギリっと整った口元をゆがませる。


「私の国をあのような、人類の裏切り者に好きにさせてたまるか」


 アシババの言う国は王と貴族だけではない、この国(小世界)に内包されるすべての民を示すのだ。

 奴らは侵略者でアシババは国の舵を切るトップである、彼は自分が守る、すべての者を守り幸せにする義務がある。


 父である先王から教わるこのバウバッド王の在り方と誇りを守らねばならない。それと人命を守り民を守る二つの思いを、アシババは再確認して十英雄を睨むと、変化に氣付いた。


 龍の上にいた三人が二人に減っている。みれば長髪の娘が龍から飛び降りていた、高所からの着地を何でもないように済ませると、長髪の娘アルは共もつけずにアシババのいる王宮へ向けて歩を進める。

 無造作に進む姿は敵などいない、と誇示する王者のようでアシババの目には、アルは美しくしかし不気味に映る。


 目が合えばアルはアシババへ宣言する。


「いまから王宮へ行きます、警備を固めるのもよし。僕を途中で親衛隊と魔法兵団に攻撃させるもよしです。僕たちは降伏は聞きませんから、自殺したくなったら勝手にしてくださいね」


 できるはずないだろうがチクショウ、そう叫んで思い切り遠眼鏡を地面にたたきつけるアシババ。

 レベルの差ははっきりしており王の自分はおろか、このバウバッドでは誰も十英雄の相手ができないだろう。


 では他国ならどうだろうか? 奴隷都市に連絡を取って、強力な戦力を送ってもらうことも考えたが、時間がなさすぎる。

 脅威が目の前に迫っている状況で応援を読んでも間に合わないだろう。

 なにより、奴隷都市に大きな借りができてしまう。


 アシババは奴隷都市へは借りを作りたくないと考える、あの手の輩は一度借りをつくれば際限なく、増長するのが目に見えているからだ。


「誰か何とかしてくれ」アシババという強い王が見せる弱氣な姿に、側女達が涙を落とした。


▽▲


 無造作に歩くロンメルは道中で襲ってくる敵を腕で打ち据える、ただし通常の腕と違いロンメルは見えない速度で遠間にいる敵を戦闘不能にしているのだ。


 トーマの指示を受けたダークエルフのレンジャーは戦闘不能の者を背負うと、火や煙の二次被害で死なないように、安全な場所へ避難させる。

 その後で離れながらロンメルについていく。

 この繰り返しを続けると王宮の入り口まですぐに来た。入口を兵士と親衛隊が守っているが、真ん中を大きくあけていて通ってくださいと言わんばかりだ。罠か?


 それとも観念したのか。

 力の差はここにたどり着くまで見せてやった、兵士たちの心が折れていても不思議ではないと思うロンメル。


「いい心がけですよぅ、邪魔をしなければあなたたちは見逃してあげます。僕からワンさんに口添えをしてあげますからね」


 ロンメルは数歩、歩くと、大きく横へ飛びのいた。


 自分のいた場所にライトーラが放たれている。殺気を感じるのが遅れていたらやられていたかもしれない、と思うロンメルだ。


(光魔法? もう到着していたのですか)

「勇者アベルか!?」


 後ろのダークエルフが叫ぶと入り口の奥からライトーラの使い手は姿を現すのだが「……えっと、誰だ?」



 今回の襲撃の前にトーマが魔力で、配下のダークエルフと竜に、アベルと彼女が今回選んだパーティーの顔を記憶させているのだが、現れた男はどれも当てはまらないのだ。

 では一体何者か?


「大兄貴の念話で事情を聞いたのさ、昔大兄貴が旅した時つけたポータルをルーさんの強制転移魔法を使って先回りしたのよ」


 助っ人がここに来た経緯を細かく説明した後に、男は魔剣を抜くとロンメルに鋭く言い放つ。


「ソンクウ・ゴウジャを長兄に持つ三男坊。ヒト三郎がお前らの相手をするぜ」

「ミラルカが選んだ精霊の元人間種。【天魔の勇者】が相手ですか。いいですね、相手にとって不足なしです」


 ロンメルの表情から緩みが消える、ヒト相手に本氣で闘わないとやられると思ったからだ。


 二人は魔力と闘氣を解放すると戦闘に入る。

アベル対十英雄三人+ワンの対決です。

三人だけでは厳しいので、ある神様が三人を助けます。

彼女曰く「アベルさんが強くなるためっす、心苦しいっす」

アーガシアが思い切りアベルを意識するのですけど、とはいえこのゴブは他人の恋はわかるが自分はわかってない、恋愛初心者なので報われない竜帝なのでした


  面白かった次も読みたいと思われた読者さま


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      彦馬がよろこびます

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