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109話 さすが俺の憧れだ

トウ・ダーラに来るアーガシアとよく似た闘氣、この場合竜氣とでも名付けようか。

 それを辿り中央大陸の上にある浮き地の南へ転移する。


「トーマ氏それからロンメル氏に言っておく。アリスを戦力に入れないで、さっきの転移装置起動で、魔力が枯渇した」


 んべっと舌を出してハッハッと息を整えるアリスはかなり参っている。

 普段なら傷を負ったり魔力を使っても弱音を吐かない彼女だが、どうやら魔力だけで補えない量を体力で補う羽目になったようで、弱音を吐くぐらい弱っているのだ。


 トーマはロンメルにおぶさるアリスの頭をなでながら「よくやった、後は俺たちに任せてアリスは休んでな」そう言い、後ろを向くと建物の扉を蹴破った。

 強襲はせず真正面から宣戦布告をするのだ。

 中は数人のダークエルフと人化した竜が十数匹いる、トーマに気づいており何やら怒鳴っているが最後まで聞く氣はないトーマ。


 圧倒的暴力で、またたく間に彼らを制圧して自らの支配下に置いた。


「アリスさん、さ、ゆっくり休んでください。」そう言ってアリスをソファーに寝かせるロンメル。


「トーマさんアリスさんの為に急ぐのはわかりますが、僕の分も残しておいてくださいよぅ」

「ちーがーう。これからアベルと戦うから準備運動しただけで、アリスの為とかじゃないから」

「「そういう事にしといて(あげます・あげる)」」


 自分たちを支配した赤髪の男と長髪の娘と、それとぐったりしている幼女を呆然とみる竜は自分の行動を悔いる羽目になった。



▽▲



 竜のコドラは昔から王のガニメデに不満があった。


 龍族は地上でも強種で有名だ。人間の鎧を軽々切断する爪に強靭な肉体は、並みの剣などはねかしてしまう。

 イフマイータが魔族至上主義を唱えた【支配の時代】においてもただ一種支配されずに、魔族と戦い続けた誇りある最強種族が竜なのだ。

 だというのにガニメデ王は、王位を下賜かししたアーガシアの意向ばかり気にしている。

 アーガシアは支配を好まない、コドラが昔話で聞いた創造神から世界の守護者を任命された話も怪しいものだ。竜は最強なのだからイフマイータのように他種族など支配してしまえばいいのに、とそう子供の頃からガニメデの叔父上に訴えてきたのに答えはいつも決まっていて


「自ら平和を乱すことはない、コドラもわかる時が来る」


 そんな覇氣のないもので、コドラは子供心にがっかりする。


 大きくなってからも王に訴えたのだが聞き入れてはもらえず、王の妹である自分の母上からも叱られてしまう、しかも納得がいかないのはサポート種ごときが王の国と同盟を組んだ事だ。

 調印式で見た王の上の現人神アーガシアは恋する小娘にしか見えずコドラは行動する事にした。


 天空にあるエルフの国は攻撃しづらい地形のため、ここを手にいれる。

 それから各地の国をコドラの支配下に置いていけば、龍族による【支配の時代】の到来だ。

 母も王である叔父も現在の神のアーガシアも自分を見直すに違いない。


 それどころか「ぬしはわしを越えておるよ、強うなったのじゃ」と神の位をコドラに譲るかもしれない。

 いやそうなる確信がコドラにはある。


 コドラはエルフの国で共存するダークエルフ、その中のわずかな不穏分子を支配下に置く。


 計画は何もかもうまくいっているその矢先に、扉が蹴破られ暴威が姿を現した。





 トーマはアリスとロンメルと話し合う。アベルと戦いはするが、自分たちは創造神の使いでアベルの仲間である。

 だから計画は、どうすればトウ・ダーラの国力をあげられるか、それから七勇者を探しやすくなるかなのだ。

 計画を練っていると【支配の時代】を目論んだ愚か者が「何を話し合われてるので?」と口をはさむ。

 その事がトーマをいらつかせる。

 トーマはソファーに腰をかけたまま、目の前の土下座している竜の頭をベチンと叩く。


「世界征服を企む馬鹿は口をはさまず反省していろ。お前は俺達の駒だから余計な動きはせずに、言われた通りにしてればいいんだよ」


 本来ならこういう馬鹿は殺しておくのだが、ガニメデの身内だから反省で許すトーマ。

 アベルのななつのくに、に自分がヒビを入れるわけにはいかないからだ。


「静かにしてなくちゃ駄目ですよぅ。あなた以外の人は物分かりがいいから土下座から正座になってるのに。世界征服なんて本来なら、殺されてても文句は言えないんですからね」


 ロンメルが注意するのは珍しい、すごい怒ってるようである。



 それから二時間後トーマはバウバッドを竜とダークエルフに攻撃させる。

 戦いの舞台をここにして、アベルに救わせて加盟国にしようと考えたのだ。


 トーマは泣いた赤鬼そのままだが、魔神討伐に向けてトウ・ダーラを強くし仲間を増やすためだ仕方がない、と無理やり自分を納得させる。


「人死には出すなよ」そう命令はして、もし死人が出ても創造神から死者を復活させる魔法はもらっているから、犠牲者は出さないつもりだ。



 仕上げはエルフの国に行き馬鹿竜コドラの背から眼下のアベルへ宣戦布告をする。

 ロンメルとアリスへ他の十英雄と同じ氣を纏え、と事前の注意も怠らない。


「勇者アベルに告ぐ、俺達は十英雄が一人ワン (1)、アル (2)、ドライ (3)だ。これからバウバッドを攻撃する。人間種の大国など魔神の世界にいらないからな。貴様が勇者なら人々を守ってみせろ!!」


 トーマの脳裏に自分の時代の勇者が浮かんだ。


「人間種と敵対もしてないレベルも低い魔王を殺して何が勇者だ。魔族に人間憎しの心が蔓延して見ろ。アベルがつくった平和を乱すだけだと何でわからない!!」

「弱い魔王だから殺すんだろ。それだけで歴史に名が残る勇者になれるんだぜ。馬鹿じゃねえの」


 最低のクズだった。



 とてもアベルと同じ勇者とは思えなくて、考えるだけでカッと血が上りそうになる。

 自分の生きた時代の勇者があれなのだ。

 では人間種ではない、魔物の体を持つ勇者は、どんな考えを持つだろう?


 白いゴブリンはトーマを睨み言い放つ


「関係ない場所を狙うなよ、魔神の脅威が七勇者なら俺だけを襲えばいいだろう? きなよ、お前の相手は俺がしてやるぜ!」


 顔の上半分を仮面で隠したトーマの口が嬉しそうに……赤い三日月をつくる……。


 トーマは誰にも聞こえないように「さすがアベルだ」と呟いた。

転移装置の魔法陣はアリスが起動しましたが、トーマとロンメルも同じように起動できます。ただしアリス同様に戦闘不能状態になってしまいます。

宣戦布告のときにはアリスも全快してますので、アベルは十英雄三人を相手にしないといけないです


  面白かった次も読みたいと思われた読者さま


          下の



      ☆☆☆☆☆を押して


      ★★★★★に変えてください



      彦馬がよろこびます

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