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105話 ガブリンとゴブリン~貴女は好意を素直に言えない人~

エルフの空中国家エルドラウフは、各地の上空に浮遊する浮き地があり。その上に様々な都市を持つ国家群で、中央都市ドラーフェル (俺たちが転移したここ)に主権がある。

 島から島へグリフォンとロック鳥を使い旅をしたり、ニホンコクで言うバスのようなもちろんグリフォンを使った代物なのだが、定期便で空の各都市と連絡をとったりしている。


 このグリフォンは浮き地の一つが専用の飼育場になっていて代々、グリープスという一族が養殖しているらしい。

 貴族となれば養殖ではなく、野生のグリフォンを生け捕って自分の騎乗グリフォンにするのが、エルフ貴族のステイタスなんだとか。


 正直に言うと俺には理解できない栄光かな、グリフォンは養殖しようが野生だろうがグリフォンだと思うし。

 野生のを捕まえて自分の勇氣を示すことが偉いと思っているようだけど、その捕獲も人にやらせていると聞いたので、こんな感想が出てしまう。

 勇氣でも何でもないだろと。



 他の移動手段として魔法陣を使った転移があげられる。

 これは俺達が地上から空中のエルフ国家に来る時に使った手段で、各都市に備え付けられているらしい。

 そんな魔法陣も緊急用のため、めったに使われないんだとか。


 理由はおそらく、膨大な魔力を使用するからだね。

 地上の魔法陣を起動したとき【神越え】の俺の魔力をかなり使う羽目になった、エルフだと単体では起動できないはずだ。

 となると大人数で起動する、緊急避難用の移動手段であるのだろう。

 ジョフレから聞いた『備え付けられている』、の語彙があってるしね。


「くあ~~~。マスターまだにゃん?」

「遅いのぅ。わしの生涯で、こんなに待たされるのは初めてなのじゃ」


 入国管理所で入国の手続きが手間取るため、中で待機しているのだが、神越えの二人はぶちぶちと文句を言い出す。


「僕はキル君と出会ってから成長し続けてるから平気だよ」、というミラルカを見ならないたまえ。


 俺がいるから爆発はしないだろうけど、確かに遅い。

 フルベルトが言う「前の時は2分で終わったのだ。原因はミコットなのだ。うーー!」その情報が氣になる。


 普通に考えるとミコットとジョフレは仲が悪いから、入国をわざと長引かせてイジワルしているってことか?


 そのとき、どかどかという足音がしてようやく待っていた人物があらわれた。

 白と紫のドレスは緑の装飾をあしらって煌びやかだ。

 長い金糸の髪は細く、つややかで先が軽いウェーブをしている。

 それらの高額で豪華な装備も、彼女が持つ美貌の前では力不足と言わざるを得ない。

 頭を飾るカチューシャだけ安物と見えるが、守備力はこのエルフが身に着けている物では一番高く、ジョフレのレベルに釣り合っているだろう。

 あれは【境界なき照陽】結成の時に、ミコットがあげたカチューシャじゃないか? 

 あの時はまだ仲は普通だったっけ。



 ジョフレは支度で時間をとってたんじゃないかと思う俺。

 例えば憧れの人に会うのにこれでもない、あれでもない、とドレスを変えるお嬢様といった具合にさ。


 俺の最期の仲間ジョフレは、耳心地の良い綺麗な声で言う。


「地上からこのエルドラウフへようこそいらして下さいました。私は王の名代みょうだいのジョフレと申します。皆様の入国を歓迎いたしますわ、それからアベルですわね。転生して種族が違っても、私の目はごまかせませんわよ」


 ごまかすなんてとんでもない、望んでないのに小妖精にされたのだ。


「あなたほどの強者つわものがガブリンに転生するなんて……ひょっとしてヤケですの?」

「なんだいガブリンって? 俺が転生したこの種族は、小妖精ゴブリンだろう」

「地上の種族は忘れてしまったようですわね」


 そう言ってジョフレが教えてくれた内容。


 それによると大昔は、小鬼はゴブリンと呼び小妖精の方はガブリンの呼び方で、区別されていたらしい。

 長い時間の中で呼び方が混同されたのだ。


 ニホンコクでもこの現象はある。

 いわゆる旧語と新語というやつで、世代によって言い方が変わる現象である。

 写真機とカメラ、ズボンとスラックス、パンツといったように、物は同じなのだが呼び方が違うという具合で、小妖精と小鬼はこの逆パターンだ。

 ガブリンも言いやすいゴブリンに統一されたのだろうね。


 教えてもらったこの情報は使わないかなぁー、俺の中では小妖精はゴブリンなのだから、無理して変える必要もない。

 ただ何かの役に立つかもしれないから頭には入れておこう、うむ!



 ジョフレは次にミコットを見つける。

 口の端をにや~と上げると、ずかずかと無遠慮にミコットのそばまで来た。


 嫌な予感しかしない。


「ミコットではありませんの。800年ぶりかしら~。いつも『んや、んや』言う幼い癖は治りましたかしらぁ~~」

「ふんっ!」


 上から覗き込むように見下ろしながらクスクスと笑うジョフレ、ミコットはその挑発に乗るものか、と口をとがらせてそっぽを向く。

 顔が紅潮しているので我慢してるみたいだが限界が近いのがわかる。


 なぜジョフレのやつはミコットに絡むんだろう、思い返すといつもジョフレから近づいてミコットをからかう。

 ミコットも最初は我慢するけど、最後の方は堪忍袋の緒が切れて大喧嘩になるのだ。

 この繰り返しだから、いい加減学べそうなものだけれどさ。


「ミコット~私の服装を見て氣づきませんの? ドワーフは観察眼が足りない種族なのですわね」


 いいながらジョフレは頭をミコットに近づける、その姿は『私の頭を見ろ』そう言わんばかりだ。


「あ、これってそうなのかな」

「オウの考えで正解、いつもこうなのだ。でも悪手でしかない、それじゃ純朴なドワーフには伝わらないのだ」


 突然聞こえる呟きへ目を向けると、オウとフルベルトが、ジョフレの行動の意味に気づいた発言をする。なんだい?

 俺には喧嘩を売るような挑発にしか見えないぜ。

 ミコットはそんなやり取りを何度かした後に、感情が爆発した。


「ん゛~~やぁ! こうなるって知ってたから、本当は来たくなかったんだ。アップルの頼みじゃなきゃ、こんな所へ来るもんか! ミコが嫌いなら近づかなきゃいいだろ、お前なんか大嫌いだ!!」


 涙目になってジョフレを睨むミコットと、目をつぶり顔を上に向けるジョフレ。

 不意にやっちまったですわ~と聞こえた氣がした。

 でも、他の人間は氣づいてないようだから俺の氣のせいだね。



 この後一言も言わずジョフレは部屋から出ていき、俺達はエルドラウフに入国した。

 しかしパーティー内にはなんとも気まずい空気が流れている。


 その夜、エルドラウフ中に


「どうしてこうなるんですのぉ~~!!!」


 と謎の女性の声が響くのだが、俺たちは関係ないと思う

ジョフレはミコットが好きで、頭を近づけたのもミコットにもらったカチューシャを見せています。ミコットはアベル並に恋愛に疎いから氣づきません。

エワードで出会ったときからミコットに惹かれていたジョフレの恋の明日はどこに行くのか


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      彦馬がよろこびます

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