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104話 砂漠を越えて開けゴマ

トウ・ダーラを出発してから二時間、高速飛行船で西へ向けて飛び続ける。

 ちなみに今回俺専用のミコット号ではなく、七勇者が乗艦する予定の一つであるオージの専用艦『アーク号』で出発なのだ。

 トウ・ダーラを出るまでに完成が間に合ったから、ついでに問題がないか処女飛行しよう、と俺の判断で使うことにした。


 装備はミコット号と同じだから襲ってくる空の魔物は、退治されて勝手に落ちていく。

 その姿は俺に蚊取り線香で死んで落ちる蚊を連想させる。


「問題なく運用できるね」


 誰に向けたわけではない、独り言だが整備士のドワーフと小人は


魔王タイセイ様が乗る船に、不備なんて起させません!」といいながら、ビシと姿勢を正していた。


 視線は真っ直ぐしかし俺と目を合わせようとはせず、まるで上司に叱られている何かみたいだ。

 恐がらせてはないと思うんだが……今度ななつのくに同盟国の王たちに相談してみよう、敵に対しては恐怖させるが味方に恐れられる魔王は、アベルの目指すところではないのである。


「ご苦労様 (にこ)」


 そう言って宇宙の帝王 (〇リーザ様)を、イメージした笑顔でフォローしておく。

 旅のメンバー達も自由に過ごしているようだぜ。





「たしかこっちだったかな」



 西大陸の大国バウバッドは、大きな砂漠を一代で開拓したアルジンが興した王国である。

 砂漠の中を広大な緑が広がる大オアシスは、アルジンと部下の魔導衆五人の魔法で創られたらしい。

 ちなみにアベルは、このオアシス創りに手を貸している。


 もちろん俺ではない。

【開拓者】アベル・ヨシュアが魔導衆の一人なのだ。

 彼はアルジン王に協力して、その魔法の実力を存分にふるったと、記録に残っている。

 俺がいうのもなんだけど、大昔の大人物だね、強かったんだろうなぁ。


 バウバッドでは奴隷産業も禁止されておらず、五大奴隷都市の一つと懇意にしてる噂があるが、そこまで氣をつける必要もない。

 バウバッド王は奴隷産業のことをビジネスとしか見ていないので、奴隷都市のように襲われて奴隷にされる心配がないのだ。

 トラブルを避けるよう旅人の安全は国に配備されている王の親衛隊が守る。


 一度奴隷都市の住人がバウバッドで人攫いをした時の事だ。現在の王アシババはこいつを一時間で見つけ出した後、犯人の首を奴隷都市に送り付け「ビジネスを続けるか、私と戦争するのか選べ」、と文で啖呵を切ったらしい。

 奴隷都市の長は慌てて謝罪と、自分の監督不行き届きを、アシババの使者に謝ったそうだ。


 強い王の下で、旅人と国民は安心して暮らせるいいエピソードだね。



 長々と語ったが本題に戻ろう。

 このバウバッドからオアシスを抜けて広大な砂漠を行くキャラバンがある。

 ギルドで予約することでキャラバンに参加することができ、ギルドのクエストでB級以上の、冒険者が護衛しているから比較的安全だ。


「アベルは旅でいろんなものが見れてうれしいみたいだけど、遅いのだ。これならアーク号で行けばよかったのだ」

「にゃーマスターは、判断を間違うお人じゃないにゃん。きっときっとふか~~い理由があるのにゃ」


 フルベルトのやつハジメを帰す旅の時も砂漠で文句言ってたね。


 彼女は全身毛で、おおわれているから仕方ないといえる、人化すればいいじゃんと言えば済む問題だが。ころころ変わる表情が可愛くて、つい見てしまうんだよね。


 俺はこの後神越えの力を使い、フルベルトだけ暑くないよう周りの空気を調整した。

 二十二世紀のタヌキに間違われるロボが出す「エアコンボ~ル」か「テキオー灯」と思ってね。


 砂漠を抜ける境目まで来るとキャラバンは町で数日間滞在する。

 商人がここで商売をするので、帰りの護衛の時まで自由時間になるからである。


 とはいえ俺の目的地はこの町ではなくジョフレのいるエルフの集落だ。

 集落の呼び名だがその規模は人間種の国家を軽く超えるものがあり、ニホンコクがもつエルフの住居とイメージはかけ離れているといえる。

 俺もハジメの知識を読んだ時びっくりしたものだ、全然違うじゃん、が俺の素直な感想なのだ。



 さて一度しか来てないから記憶もおぼろげだったのだが、だんだん思い出してきたぞ。

 ここだ砂漠を抜けた【魔法陣の痕跡を隠す一本の木】が、エルフの都市の入り口だ。


 本来は完全に隠されいるのだが、()()()()()()()()()()()()()()にだけ視認できる魔法がかけられている。

 ジョフレは昔【永夜の夜明け】と【境界なき照陽】に、魔法の入り口の秘密を話してくれた。

 エルフは気位が高いとされているが、ジョフレは俺達を信頼できる仲間と認めていたようだ。


「ここへ来るのも久しぶりなのだ」


 ん? なんと!? 訂正します。【ふるさと】のメンバーも秘密を知ってる事がフルベルトの一言でわかった。


 俺がいなくなった後も、仲間たちの結びつきは、なくならなかったみたいだね。



 木に触れて、魔法陣を起動させてから「オーアン・ベロ・ティターニ・ルフェ」

 そう古エルフ語でつぶやく俺。

 ジョフレから聞いた意味は【天空都市へ体をいざなえ・古き扉よ開け】である、魔法陣跡となっていた文様は光を取り戻すと、輝く光で俺達を包み込む。

 長距離転移のはじまりである。

 ルーのゲートよりは劣るか。





 地上から七千メートル上空にあるエルフの都市は、中央に浮遊する世界樹を中心に展開する、超巨大な都市国家である。

 ここに地上から来たエルフとは違う、七人の種族が立っている。


 俺、ニャハル、オウ次郎、アーガシア、ミラルカ、フルベルト、ミコットこの七人がジョフレを迎えに来た、そして俺が今回悩みぬいて選んだパーティーだ。

アベルは魔神との決戦用に七勇者の足場として高速飛行船を建造します。

アベル以外の飛行船の名は箱舟の意味を持つ名前がつけられています。

「俺達タイセイ様に声をかけてもらったぜ」

「いいなぁーー」「明日ならあたしが当番だったのに」

ラーマオブゴブリンの酒場で盛り上がる小人とドワーフ達でした


  面白かった次も読みたいと思われた読者さま


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      彦馬がよろこびます

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