101話 あやかしの最期とアベルの殺意
“あやかし”に命令されてとびかかってくる魔物の子分をコピーした剣を飛ばし仕留めるセーナ。
ヴォルフは大型の魔物を、殴り蹴り吹き飛ばす。
元々高い身体能力が時間差で唱えていたバフ賭け効果で何倍にも強化される。
彼と武器なしの肉弾戦は今の俺でもごめんだよ、だって界〇拳「〇倍だぁー」だぜ、あんなの相手する魔物に同情する。
「はいはいはい」とルーにかかる魔物はルーに触れた瞬間に消滅する。
死んだわけではなくてこの世界と異なる次元に送る『島流し』、別名不帰還流離というルーの得意技だ。
ルーが持つ魔術師の島のトラップ塔は帰還方法をわざと作っている親切設計だがこの技はルーが死なない限り帰ってくることはできない。
くらったが最後真っ白の何もない空間で死ぬまで彷徨うのだ。
魔物はルーと距離をとり様子を探るようになったけど、ルーの思うつぼである。
距離をとれば攻撃魔法でやられるだけ。距離を空けるのは魔法使いからすれば【敵を一方的に攻撃できる好条件】なのである。
攻撃してくる敵を俺は一匹、二匹と斬り伏せてゆき、今斬った大型の魔物でちょうど三十匹目か。わかったことがある。
「レントあんたは武器として優秀だよ。ミコットが打った武器よりあんたの方がわずかに攻撃力が上だぜ。千年魔物と戦ったことだけあるよ、さすがだぜ」
「嬉しくないでござるけど、あ、魔物が後ろから斧で狙ってござるぞ」
俺は後ろを振り向くことなく敵を斬る。
量産してうちの兵士と、希望する冒険者に持たせたいな。
四季のコピーがあれば索敵能力に加えてレントが持つ戦闘の経験を持ち主に付加できるわけだ。
このアイデアはぜひ実現しよう。ようし絶対するぞ!
さてあやかし側は数も少なくなり、逆にこっちはダメージは1も受けていない、チヨは俺の分身がガードしているからあやかしはチヨを人質にできない。
ではどうするか
あやかしは叫ぶ
「うごぐんじゃねえぇ!!!」
奴の掌は大通りにいる国民に向けられている、意味するところは魔法か魔力を飛ばして攻撃するだろうね。
つまりヒノヤマト人を人質にしたぞと言っているのだ、汚いさすが魔物、汚いやつだね。
「ヴォルフさ、自分だけでなく俺たちにもバフちょうだい」
「必要か? とるに足らぬ小物である、貴公なら当然わかっているであろうがな」
その後「弱すぎて吾輩のバフも解くところだぞ」というヴォルフ、たしかに要らないけど無駄なあがきをさせないよう、あやかしの心をボキンと折っておこう。
「力の差を見せつけるのさ。俺と仲間はお前ごときが勝てる存在じゃあないとね」
俺にバフがかかり、今より強力になるこの姿を「うごぐな」、と言いながら見ることしかできないあやかし。
その目はたしかな恐怖が見える、でもねお前が『苦しめてきたヒノヤマト人の苦しみとレントの苦労』はこんなものじゃないぞ!
追い詰められたあやかしの爆発行動だろうね「うぎゃあああ」と叫ぶとあやかしは人質のヒノヤマト人へ掌から魔力弾を放った。
さて直撃したヒノヤマト人だがなんと無傷だ。
あやかしの愚か者め、戦場に一般人がいる時点で俺が対策しないはずないだろ、【永夜の夜明け】メンバーを除いた全てのヒノヤマト人を見えない結界で覆っているんだぜ。
「何が起きているか見せてやるよ」、といいながら俺は両手をたたき合掌する。
するとヒノヤマト人の体を人型に覆う結界が視認可能となった。
もちろん、わざわざ見えるようにしたのはわけがある。【あやかしレンタロウ】はヒノヤマト人を苦しめ、俺の仲間の名誉を千年かけて汚しやがった。
報いを受ける時が来たんだ。
「その結界の中にいる限り、魔物はあんたたちに手が出せない。それと結界は攻撃にも使えるんだ、人質にされたあんた近くの魔物を殴ってみてよ」
ヒノヤマト人は言われたとおりに魔物を殴るとバガァンと衝撃音がして、魔物は大きく転ばされる。
見ようによってはわざと飛んだように見えるね、とはいえ純粋に吹き飛ばされたんだけど。
俺の意図はあやかしとヒノヤマト人の両方へ伝わったね。俺の頭に、北○の拳、64代伝承者の民草に言った「好きにしろ」が浮かぶ。
「敵の攻撃はあんたたちに届かないのは今見た通りだ、千年攻撃されたヒノヤマトの怒りを晴らすといい、ただあやかしは残してくれレントの名誉を汚した奴は俺が殺す」
俺は口に出して明確に殺意をあやかしに見せる。このあやかしは、【あやかしレンタロウ】と呼ばれるまま訂正しなかった。
こいつはレントと間違われたまま暴れて、レントの顔に泥を塗り続けたんだ。
こんなに怒るのはホーンの時以来か、何回殺しても許せそうにない。
魔物達はヒノヤマト人の手で、あっという間にたおされて後はあやかしだけになる。
「ひぃいいいいいいいいいいいい」
涙目になり叫ぶあやかし。一番強いんじゃなかったのか!!
あやかしは身をよじるが足が動かない、俺が逃げられないように、金縛りをかけたからだ。
騒動の中で不利になったあやかしが逃げるのはわかっていたからね、どうしたあやかしのレンタロウ。レンタロウを名乗るんだ俺が習った金縛りの術は、本家のお前なら解呪できるはずだろう。
俺は一歩一歩進むごとにレントのニセモノに殺氣をたたきつける、そのたびにあやかしは発狂する。目の前についた。
「千年の長きに渡り、お前が苦しめたヒノヤマトの苦しみと我が友、タキタ・レンタロウの名誉を汚した罰は受けてもらう。覚悟はいいな」
俺はレントの宿る四季を上段に掲げて「死ね」
怒りのままに、あやかしへ刃を振り下ろす。
はーすっきりだぜ。
奴は真っ二つになったあと、霧散した「終わったのじゃな、ありがとうアベル様」というチヨの声が聞こえる。
そうさ後始末をつけたらこの件は一件落着だ。
……あれれ? 殺気を感じるぜ……。
「アベルその刀というか、レンタロウ貸せよ。ブチ折るから」
「いやぁあああああああああ」
この後セーナはレントを抱えた俺を、追いかけまわすのだが、割愛します。
耳元で叫ぶなレントうるさいよ
アベルは怒ると相手を苦しめる、言い換えれば後悔させるように倒します。
倒すとありますが、アベルの中では、はっきり殺すと決めております。
そこまで怒ることは滅多にないんですけど、あやかしは、アベルの逆鱗に触れたのです
面白かった次も読みたいと思われた読者さま
下の
☆☆☆☆☆を押して
★★★★★に変えてください
彦馬がよろこびます