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100話 レンタロウ あやかしと靈刀の誕生

 俺は大通りの奥のあやかしを見る。

 ヒノヤマト国の魔物が何百と集まりまるで、大きな化け物のように見えて、ゴゾゴゾと蠢いている。


 気持ち悪いなぁ~。見た限り魔物は、俺の国では見たこともないやつらばかりだ、とはいえ全員C級の上、いってもB級くらいの強さだろう。俺はみなに目線を向ける。


 俺の仲間は修行の甲斐もあり、レベルが全員英雄級を越えているのだ、チヨは俺が分身で守るとするか。

 つまりこの戦いはどう転んでも、俺達の勝利は揺るがないのである。


「戦う前に聞かせてくれよ、お前はチヨたち王家の人間に恨みはないんだろう? どうして狙うんだい、千年もの時間は、はっきり言ってまともじゃないぜ」


 俺の睨みを受け流すと、あやかしは、げっげっげと薄気味悪く笑う。

 赤い口を大きく見せて耳障りな声で答えた。


「おでたち魔物は強いやつが偉い。千年前のあの時からおでは、この国で一番になった。魔物で一番だからつ・次は……おばえら支配する。」


 一人称は拙者ではなくおでか。俺の考えで当たりだね。


「チヨは人間で一番偉い、だがらチヨを殺しておでが人間でも一番になる支配する。その刀は許さない、千年おでの邪魔をしたクソ刀、チヨを殺した後がならず破壊する!」


 ()()()()()()()()()だって? やれるものならやってみなよ。


「ヴォルフ、ルー戦闘開始だ。あいつはレントじゃないから手加減は抜きだぜ思い切りくらわしてやれ! セーナは預けた【四季】、もといレントを俺に渡してくれ」

「「了解 (です・だ)アベル……ええ!?」」

「アベルいくぞ! レンタロウを受け取れ。って、ええ!? こいつがレンタロウかよ」


 セーナの投げたレントを受け取ると、俺は一氣に鞘から四季を引き抜いたその刀身は、ぽたぽた水滴が落ち濡れている。


「お懐かしい。アベル殿が拙者の名を呼んでくれるとはもうないと思っていた、会えて嬉しいでござるぞ」


 俺もだよ、ちがうな俺達みんなが“会えて嬉しい”そう思ってるんだ、こんな時なのに思い出がよみがえるよ。


「自由のない世界で、世界中を自由に旅して見るですか。あなたは面白いですね」

ヴォルフ。

「魔王討伐を途中でやめたら許しませんからね」

ルー。

「あたしは仲間になるんじゃない、てめえについていって、てめえの弱点を探すんだ」

セーナ。

ともがらを異国で朽ちたままにはできぬ、拙者の身と祖国へ一緒に帰るでござる。そのために拙者の力を、アベル殿に貸すでござるよ」

レント。


「大口叩いた責任はとるよ大丈夫、俺を信じてくれ」

 俺は仲間の言葉に、そんな風に口にしたっけ。


【永夜の夜明け】アベルの最初のパーティーが揃った。

 誰にも負ける氣がしない、魔王でも魔神でもかかってこいの気分だぜ。


「レントあいつを倒したら一緒にトウ・ダーラに帰ろう、あんた以外の仲間はほぼ集めてあるからさ。楽しく暮らそうぜ」

「楽しみでござる、その前にセルバス殿の柔肌に抱かれていたでござろう? 彼女から拙者を守ってほしいでござるなー」


 むり。約束はできないなー。


 あやかしは、俺たちへ子分に命令して突撃させる。戦いが始まった。





 刑執行前にレンタロウは呪文を詠唱する。

 ルーヴァンは「転生法は完全ではありませんからね。転生はできますがレベル、技術が次生に持ち越せない弊害が考えられます。気を付けてくださいねレンタロウ」と言う。


 それでも処刑が止まらない以上使うほかはないだろう。

 ほとばしる魔力は、処刑上にいる人々の憎悪を増幅して雨雲を生み、やがて土砂降りの雷雨になった。



 レンタロウの体は灰にされて埋められたが、掘り起こし灰をむさぼる妖魔がいた。

 ヒノヤマトで()()()()()()()()()と呼ばれることになる妖魔は、高レベルのレンタロウの一部を体内に入れて、戦闘力の増強を図ったのである。

 その目論見が成功したのは後の歴史が証明している。


 妖魔がレンタロウの力を体になじませる時は一年かかり、この国一番の魔物となった妖魔は城へ忍び込むと、チヨの先祖マツダイラ一族を襲撃する。

 殿と姫は我が命運もここまでと覚悟した瞬間だった。


 不完全な転生法のせいでヒノヤマトに留まる、男の魂はアベル殿ならこうしたはず、と次の転生を諦めると、姫の持っていた刀へ宿り『させぬわ失せよ妖魔めが』妖魔を斬りつけ撃退する。



 この事件から妖魔は、レンタロウの恨みが生んだ怪物と誤解を受けて【あやかしレンタロウ】と呼び、本物のレンタロウが宿った王家を守った刀は【靈刀四季】と呼ばれるようになったのだ。

 以来レンタロウは人知れず、ヒノヤマト王家を守っていくのだが。


『拙者と姫の力だけではこ奴を殺すことはできぬ。レベルさえ下がっていなければ別なのだが。かくなる上は仲間が、このヤマトに来るのを待つしかないか。拙者と仲間の力があれば妖魔を、完全にたおすことができるはずでござる』


 時間がどのくらいかかるかはわからない、しかし決意すれば、かかる時間など些細なものとレンタロウは考える。


『ヴォルデウス殿、ルーヴァン殿、セルバス殿、そしてアベル殿拙者の念話が届いておられるか? 誰でもいい。いつかこのヤマトにきて下されこのレンタロウに力を貸してくだされぃ……』。


 レンタロウは自分を処刑した王家を助ける。

 恨みはないとレンタロウは思う。

 子供の頃起こった飢饉の時にマツダイラ王家は、村に食料を送り救われた恩がある。

 処刑もすれ違いの誤解によるものだ、恨みの連鎖はここで止めねばならぬ。


 レンタロウは待つ、いつの日か仲間達がこの地に来るその時まで

アベルは魔物を見たときから、レンタロウではないとわかっています。同時にチヨの刀を見て(なんでレントの魂が、あそこにあるんだ)と思います。

作中で魔物に喋らせたのは、万が一、レントかもしれないとカマかけたけど、違うとわかりました。なので殺すと決めています。

アベルがここまで怒るのは、お母ちゃんの仇のホーン以来ですよ


  面白かった次も読みたいと思われた読者さま


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      彦馬がよろこびます

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