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97話 あやかしレンタロウ

 トウ・ダーラから遠く、東へ向かうと港があるヤマトコウという小国につく。

 そこからしか行けない国が今回の俺の目的地だ。

 ついたころは正午だったので昼食は海の幸をたっぷり食べた、港町だけあって魚介類がうまい、何とかうちの国にも輸入できないかな。


 ヤマトコウから定期便に乗る。

 目的の国の王族は魔鋼の船を持つとレンタロウから聞いたが、俺たちが乗る船は木造船だ腐らないように異世界でいう、タールのようなものを船体に塗り付けている。

 そのため黒船まではいかないけれど船体が焦げ茶色をしている。

 なかなか大きいじゃないかこれなら外洋に出れるし、魔物も襲ってこないだろう。

 まぁ目的地の国が常時護衛団をつけているから、船には俺たちのような冒険者だけでなく、商人たちも多い。

 ただ護衛団はトウ・ダーラの兵士より弱いのが気になるんだけどさ。


 船は大海原を越えて目的地へ着いた。ヒノヤマト国に四人は足を踏み入れる。


 アベル・ヴォルフ・ルー・セーナの四人が今回のレンタロウ……レントを迎えにきたパーティーである。

 ここに来るのは全員二回目で、その時から今日まで一度も来ることはなかった。


「レンタロウを見つけたらさっさとトウ・ダーラに帰ろうぜ。こんな国には一秒でも長居したくねーよ、レンタロウを殺した国にはな」

「セルバス正しくは処刑ですよ。ですがあなたの意見には同意です、呼びかけにも応じないから探しに来ましたが、レンタロウを見つけたら転移で帰りましょうね」


 セーナとルーが苦虫をかんだような顔ではき捨てる。

 そう俺たちは魔王を倒したあと一度、レントを訪ねて行ったがその時にレントが処刑されたことを知った。

 罪状はなんとも馬鹿らしいもので【国を抜けたから】という、俺からすると、はあ? と首をかしげたくなるものだった。


 ヒノヤマト国に生まれた者は国が第一である、という昔のニホンコクであったお家が大事の誤った拡大版のような思想があるらしく、国を出たレントは国を軽く扱い汚した大罪人であるらしい“国を出た”は昔のニホンコクの脱藩が、大きくそして間違えたようなものか。

 正直なところ腹が立って仕方ないよ、そんな自由と遠い掟で、俺の仲間を殺したのか。


 俺はレントの仇を討つと動こうとしたところでなんとか理性が働き堪えたのだ。

 その時の俺は、もうエワード王国の王位継承者になっていたからだった。

 今ならあんなエワードなんてと思うけど当時は、巻き込むわけにはいかない。

 そう思ったんだよね。はぁ



 四人の念話でレントに呼びかけているが応答はない、ルーは「レンタロウに転生術は分かれる前に伝えてますから、転生はしてます」と言い「天界にも冥界にもレンタロウの魂は来ておらぬ、現世に留まっておるな」とヴォルフが補足する。

 とりあえず移動するか、この国のどこかにいるのは間違いないんだから動きながら呼びかけていれば、いつか見つかるだろう。





「アベルよ、二つの闘氣が戦っておる氣づいておるか? 一つは魔物でもう一つは人間種の集団である。しかし微弱な闘氣が伏せて動かぬ、どうやら集団がほぼやられたようだ」

「うん。俺も同じものを感じたさ。たしかめてみようぜ」


 俺を先頭に四人は走る。

 山を越え川を越えは言いすぎだけど、感じた方角に200メートル移動して茂みをかき分けるといたね。


「おのれぇええええ! この命をたやすく取らせるほどわらわは弱くないぞぅ」

「ああ言ってるけどやられるぜ。相手の魔物の方が強いぜ」セーナの見立ては正しい。

 俺の目で見るレベルも魔物が上なのだ。


 俺たちの目に入ったのは鉢巻きを締め刀をかまえた姫武者で、髪はうるしのように黒くつやつやと光沢があり、柔らかそうだ。

 怪我をしてるけれど目は少しも光を失っておらず、胸と腰はそれなりに出てはいるが大きいというわけでもない、中肉中背の様相だ。

 怪我を差し引いても勝ち目はないな、彼女が全快してても、やられるだろうぜ。目の前で死なれても気分が悪いから助けるとしよう、そうしよう。


 俺は魔物が手で姫武者を攻撃する瞬間に「(すぅー)はっ!!!!!」とでかい声、というより気合を出して魔物の注意を引き付ける。

 奴は俺に氣づくとゆっくりと俺へ向きを変えた。

 そうだぜ、それでいいお前の相手は俺だから……

「どこの者か知らぬが妾の勝負じゃ。そなたの助けなど借りぬ」


 おやおやそんなこと言いますか。じゃあ見捨てますけどあなた死にますよ。


 レントは昔ヒノヤマト人を助けるときはこう言えと言っていたね。

 相手の意地をなくす魔法のような言葉だそうだが。

 当時は「うそだーw」と笑ったけどまさか使う時が来るとはさぁ、人生はなにがあるかわからないよね。


「我ら異国の者なれど【義により助太刀いたす】」

「かたじけなぁーーい。お願い申す」

「ええ!? 本当に効果があるんですね。私、今の今まで半信半疑でしたのよ」


 ルーそういうな、俺も同じ気持ちだけど声には出さなかったぞ。


 相手の魔物は3メートルで腕と足は太く全身が短いが硬そうな毛でおおわれている。

 体はゴリラのようだが足は鳥のようで、でかい鉤爪つきだ。その顔は人間と熊と猿をまぜたなんとも形容しづらい顔をしていた。

 一瞬十英雄かと思ったが、奴ら独特のヌルッとした重い魔力を感じないので違うようだ。

 魔神も十英雄を鍛えてるから、十英雄が出てこないのはわかるんだけどね。


 一撃奴の頭に攻撃をすると、奴は早々に逃げ出した。

 状況を見て不利と判断したんだ、見た目と違い頭はいいようだ。

「危ないところだったね」と声をかけて去る俺たちを姫武者は呼び止める。


 レント探さないといけないんだけど。


「危ないところを助けていただき感謝いたす。そなたたちの実力を見込んで妾に力をかしていただきたい」

「さっきの魔物やつかい?」

「ええ、我がヒノヤマトを千年もの間苦しめる魔物〈あやかしレンタロウ〉を退治していただきたく存ずる」


 ()()()()()()()()()ね……。興味をひくワードが出るじゃないか。


 俺たちは、顔を見合せると姫武者の願いに頷いた。

アベル達はレンタロウを処刑したヒノヤマトを嫌っていますが、現在のヒノヤマト人は嫌っていません。

千年前にいなくて、レンタロウの処刑のに関わりがないからです

アベルは千年前と現在を混同していないので、姫武者に手を貸すことにしたんです


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      彦馬がよろこびます

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