94話 アベルのギルド
ギルドマスターはグランドマスターの間違いです。自分でも設定で書いていたの忘れてました。
俺の目的を聞いたアニーは不敵に笑う。
「きみの要求はさ~前代未聞だよ~。一度も前例がないのはわかってて言ってるんだよねぇ~~」と、座った状態から前傾姿勢になり食い入るように俺の目を覗き込む。
それは俺のよく知るアニーではなく全ギルドを統括する、グランドマスターの顔を見せているのだ。
当然だろうね、ギルドの開設はグランドマスターの一存でOKできるが本来ならいろいろ規定があり、資格を取得しなければいけない。
そこまでやってギルドはようやく開設できる。
だからこそ今まで大きな問題を起こすことなく、各地のギルドは冒険者たちから支持されてきたんだ。
「アニーの言いたいことはわかるさ、異世界人に例えるなら『私、並行世界に行けるようにする』というような『無理でしょ』の感じだろうしね。……でもさ俺は行動すれば何かが変わることを知っているし、できそうなことなら誰かに言われてやめようなんて思わない……。それは俺の仲間だったアニーなら知っているだろう?」
そこまで言うと肩に大きな手が置かれる。
ヴォルデウスの手のぬくもりが俺の肩に伝わる。
「我らのじゃじゃ馬は、できると思えば意見を曲げぬ。千年前に魔王をたおしたあの時のようにな。アンサリーよ聞くだけ聞いてやれぃ、アベルが悪さをせぬのは貴公もよく知っておろう」
「オージのパーティーで集まったときにギルドで何回も聞いたね~。あの時もアベルは前例のない行動をしたんだっけ~」
……
▽
千年前力をつけた俺たちパーティーに魔族の上層部が下した決断は、俺たちを戦争の最前線に向かわせて死なせることだった。
俺たちの旅はこれからというときの魔族の命令に、四人の仲間がうなだれる中俺は、みんなを勇氣づけるために言ったのだ。
自分を奮い立たせる意味もあったんだけれどさ。
「魔王を倒すぜ。俺は世界中を旅していないんだから中途半端なところで殺されてたまるかよ。みんなだってそうだろう? 俺たちの夢の障害が、イフマイータの支配の時代ならそいつをぶっ壊すんだ! イフマイータを倒すぜ」
四人は目をぱちくりさせてたけれどすぐに大笑いした。
恐怖も不安も吹き飛ばして俺たちは動き始めたんだ。
なつかしいね
▽
俺はオージとミコットが「アベルはかんがえてるんだな~」とつぶやく中、トウ・ダーラに創るギルドの内容を話す。
まぁ考えるだけなんだけれどさ、できそうな案件なら俺が言ってアンダルシアが実行してくれるんだ。
「なるほど~アベルはいろいろ思いつくんだね~魔物を登録できるギルドか~。結構すごいと思うけど問題がいくつかあるよ~~」
「にゃ~~。マスターの考えに問題点にゃん? ニャアだと思いつかないけれど、にゃんだろにゃ」
アニーはニャハルを見てほほ笑んだ後に、俺を向いて指を三本立てる。
「いいかい~よぉ~く聞いてよ~」
・規則でアベルはB級だからA級にならないとギルドの開設ができない
・魔物使いが連れている魔物は特例で認められているが、魔物は敵というのが人類の認識である
・魔物のギルドをグランドマスターが認めれば、各地のギルドから中央への不信がたまるだろう。
最悪暴動も考えられる。
……というものだった。
アニーの言うことはよくわかる。
いま挙げた不安要素があるからギルドの長い歴史で、魔物を登録するギルドは現れなかったのだ。
俺とオウ次郎は登録しているが、あれはヒトが魔物使いだと申告してヒトの使役する魔物という形でなのだ。
もっとも、ギルドの受付嬢には嘘なのがばれている。
「魔物の登録は【暗黙の了解】で、できるけどさ~。さすがに公に堂々とは出来ないんだよね~」
つまりはそういうことである。
「なら俺がグランドマスターになって人類とは別のギルドをつくってやるさ。ミラルカやアーガシアを冒険者登録したら人類が、いけなかった未踏区域も踏破できるだろうからもったいないんだよ」
そうともさ人類と魔族の心に違いはないんだ。
リザードマンや城の工事をしてくれた、あいつらだってそうさ。
……ただし小鬼てめーはだめだ!
そのときニャハルが俺に寄りかかり俺の腕に自分の腕を絡ませた。
「マスターそのときはニャアも入れてにゃ。マスターとニャア、それからミラルカとばばあでチーム組むにゃ」
「いいぜ。まかしときなよ」
あわててアニーが会話を遮る。
両手をわたわたと振ってアニーには珍しい慌てようだぜ。
「ちょっと慌てないでって。私は問題点を挙げただけで反対はしてないんだから~。」
なんだい、この感じ? いけそうだぞ。
アベルのパーティーは魔王と戦ううちに人類から認知されて応援を受けるようになります。
その中にエワード王国がいました。
エワード王は魔王を倒した後のことを考えており、誰よりも早くアベルのパトロンになっています。
狡猾に強かで心は下衆、それがエワード王です。
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