7話 魔族ガウ・コーイ
森の中剣戟の音が鳴り響いている。
魔族の男とハーフリングににた小妖精の戦闘。
やつの攻撃を受けること四十合。その攻撃はどれも強力でうける剣をこえて衝撃が体にひびいた。
「グッ」
「やるなっ、とても下位の種族とは思えない。君は創造神がつくり出したサポート種だろう? だが君の斬撃、身のこなしその強烈な戦闘思考。どれをとってもサポートの枠を超えている」
「君はあきらかに戦闘種だ」
「お褒めに預かり光栄だよ」
地面の土をつかんで敵の視界をふさぐよう投げつけた後、木の頂上へ跳躍し駆けあがる。
「ほう、姿が消えたな……それでどうするんだい?(馬鹿め降りてくる瞬間に合わせられぬ俺ではないぞ)」
がさっと後ろで音がする。
そちらに反応したとき逆方向に降りてくるのがわかった。
「音の方は気配がない。惑わされるものか!!」
そう言い放ち降りてきた方向に剣を振るも……。
「鞘だと?」
「攻の番(三)『剛刀大切断』」
頭上からやつの頭めがけて思い切り振り下ろす。
落下の速度が加わった力の技だ。
決着をつけるつもりがやつの武器破壊のみにとどまった。
「くそっ、敵が武器に魔力を流してなきゃ、武器ごと頭をたたき割ってやったのに」
しかしまずいな、レベルでいえば奴の方が上だ。
負けるつもりはないが、長引きそうだぜ。
「いまのはやばかったな、サポート種とは思えない。かといって魔神様の生み出した小鬼とも違う、君の力は小鬼どものはるか上をいく」
頭を割られそうになった男とは思えないうれしそうな顔。
まるで何かを確認しているようだ。
新たな剣に持ち替えると二人の打ち合いは再開される。
少し違うのは魔族の男の攻撃が徐々にその苛烈さを増していくことぐらいか。
だがこちらも攻撃を受けるだけではない。
攻撃の後にやつが息をつくそのわずかな隙に斬りこんでやる。
だがどれも防がれてしまった。
上下段、中段、突き、袈裟、逆袈裟あらゆるほうこうをためしてみるもやはりふせがれる。
通常攻撃は通じないようだ。
確認はとれたならばやることは一つだけだろう。
「さあ、もっと楽しませてくれよゴブリンさん!」
瞬間。
奴が突いてきた剣を前に踏み込みながらかわし、懐に潜り込む。
剣に魔力をまとっていないことを確認して――
(アベル流)「攻の番(二)『剛刃昇』(ごうじんしょう)」
真下から全身のばねを使った伸び上がりを利用した切り上げを、かわされる。
だが男にしてもぎりぎりの回避だったらしい。
それまであった余裕の表情がその顔からは失せ、代わりに大量の汗をかいていた。
「雷腕衝波! 」
かわしざま、それまで剣だけの攻撃だったのがお返しとばかりに技をはなってきた。それを。
「守の番(二)『闘壁剣』(とうへきけん)」
守りの技の剣に闘氣をこめた状態で雷の波刃をそうさいした。
「はぁはぁはぁ」
「はっはっはぁ、ふぅー」
「わかったもういい。君の強さは確認できた。どうやら私は掘り出し物を見つけられたようだ」
目を閉じ剣を収めて魔族は言う。
「あんたが本気だとわからないじゃないのかい?」
「それはお互い様だろう。君も本気じゃない……いや君の場合は、『本来の動きがあるのにまだ体がついてこない』か。そういう印象を受けた」
まったくよく見てる。
掘り出し物と言っていたな
「俺に何をさせたいんだ?」
かっと目を開いた後、魔族は目を細める。
「君は頭もよさそうだ、なに強いやつを探しているのさ。君が良ければだがね私に力を貸してもらいたい。ああ、それと君が使った技。あれは勇者アベルが伝えたエワード王国の王家流だね。君はエワードで剣を習ったのか?」
「我流だよ」
かくすこともないだろう、目の前の男からは邪悪なものは感じられない。
「……エワードの王家流を我流で興したとなると……そうか、私は掘り出し物どころかとんでもない宝物を目の前にしているようだな。ふっまたあおうゴブリンさん。私はガウ・コーイだ」
「ソンクウ・ゴウジャ。ガウ・コーイあんたの名前は覚えたよ」
しばらくの沈黙の後男は姿を消した。
まったく狩りのつもりがとんでもない実戦になっちまった。
まあ、こうしてウサギも手に入れることができたしメデタシメデタシかな? そうして草原へ戻ってきたとき。
汗だくとなり体力を使い果たしたオウ次郎とヒト三郎を発見した。
そうだ、すぐ戻る予定だったので二人にトレーニングを課したままだったんだ。
ふたりと目が合う
「大兄貴ひどいよ~~ずっと待ってたのに帰ってこないしずるいよ~~」
「オウーーーー」
「あわわ。ご、ごめんね」
この後二人は俺と数時間口をきいてくれなくなり、弟二人に奉仕する白いゴブリンの姿があったそうな。
「まだ怒ってる? お茶ここに置いとくね」
ヒト&オウ(ぶすーーーー)
【レベルが上がり神々からの祝福を授けます ちからまもりすばやさが100上昇 体力魔法力が300上昇しました。特殊転移魔法を取り戻しました】
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