88話 力の差
現在の十英雄は七勇者と戦えますが七勇者の中にいる、神越えの怪物にはどうあがいても勝てません。今回はそんな内容です
俺めがけてでかいエンデ・ジエンドが向かってくる。
見た感じで何十本の剣をまとめたものだろうね俺はそういう印象を受ける。
「アップル受けるのはまずい」
ミコットが俺に叫ぶが俺がよけると、後ろにいるハーフリング軍が全滅してしまう。
俺は迫るエンデ・ジエンドを手で触れた瞬間に転移で位相を変えて敵めがけて撃ち返した。
エンデ・ジエンドは俺の狙いどうりに十英雄の一人に命中する。
しかしダメージはまるで受けていないようだ。
「受けとめられないなら撃ち返すか、その戦闘センス見事である。魔神様が神々よりも警戒するはずだ、アベルがこれほどとはな」
転移ではなく一瞬で移動して俺の後ろに回る十英雄にブーニカとミコットは武器を突きつける。
常人には瞬間移動したように見えていても俺たちレベルなら、目で追うことができる速さなので驚きはしない。
「俺は十英雄のひとりオウバジーン・ベケット。俺たちの障害となるアベル貴様の命もらい受ける」
俺は背後のオウバの、のど元に向けた剣を下ろしてオウバに向きなおる。
オウバが移動するときしっかり目で追っていたので、後ろにつくと同時に剣をオウバに向けていたのだ。
攻撃されたら危ないからね。
「七勇者のひとりアベルだ、神越え三人と英雄級二人のパーティー相手に強気の発言じゃないか。まさかとは思うが知らないわけじゃないんだろ」
俺の発言を聞いたオウバは邪悪な笑みを見せながら俺とブーニカに同時に手を伸ばした。
俺は直感でまずいと思いオウバの手を切り落とすがブーニカは。
「このままで勝てないことなど、百も承知だ勝てるよう貴様らの強さをいただくぞ」
ブーニカを吸収したオウバはヘンリーのように変化をおこない、二本の角をもち牛のような姿のベヒーモスに変わってしまった。
「にゃあ、ベヒーモスがにゃんでブーニカを吸収出来るにゃ? ベヒーモスにそんな能力はないにゃ」
「簡単だぜ猫ちゃんミコたちがやっつけたヘンリーは、ギルドロムの他に竜を合成していただろ」
「見た目はベヒーモスじゃが、他にもいろんな魔物が合成されておるのじゃ。ブーニカを合成したところから見て、オウバはおそらく……」
「キメラによるものだろうね、元が合成の魔物なんだ。魔神にキメラを改良した能力を持たされていると見てまちがいないだろうさ」
このあと俺にアーガシアが「うむわしも同じように見えておる、儂より見抜くのが早いのはさすがアベル殿じゃ」とほめてくれるがブーニカが吸収されてしまうのはまずい。
ブーニカの強さがオウバにプラスされて強くなっている。
それからブーニカが死んだりすると、セーナとまだ仲間にしていないけれどレントが怒るだろう。
ブーニカは七勇者の仲間で俺とオージと同じ境遇の……本当の意味で気持ちを分かち合える存在だ。
俺は仲間を奪われて自分でも怒っているのがわかった。
「オウバ、ブーニカを返さないとどうなってもしらないぜ」
仲間たちは俺の怒りを見て遠くへ距離をとり始める。
しかしオウバはブーニカを吸収して強さを増したこと。
それからブーニカを人質にしていることから俺に安い挑発をしてくる。
「笑わせるな仲間を攻撃できぬ性格なのは知っているんだぞ。おう、返さないとどうするんだ」
「こうするのさ」
俺は剣に手をかけて――
「おっと人質を忘れるなよ。貴様らは動くんじゃないぞ。特に勇者アベルは指一本も動かすな」
オウバの言葉で手を下ろす。
オウバは手をたたきながらドズンドズンと小躍りを始める。
「魔神様アベルを倒した功績はオウバです」とか「神越えを三人も始末するんだ。これで俺も神越えになれるに違いない」と小物のセリフを吐くが気付いていないらしい。
「もう勝負はついたぜ。アップルが一瞬でエンデ・ジエンドをお前に打ち込んだのに気づいていないのか」
ミコットがあきれながらいう。
アーガシアとニャハルは馬鹿が小躍りしている隙に、ゴドーリンを降伏させて武装解除させている。
もうこの戦争はトウ・ダーラを頼るリリパラディスの勝利で終わっていたのだ。
口で言われても信じないオウバは、俺に右腕を振り下ろすが俺は居合で切り落とす。
オウバの「はへ?」という間抜けな声は見えていない証拠だろう。
オウバが動いたことでエンデ・ジエンドの衝撃はオウバの全身を駆け巡りオウバは爆発して四散した。
空から落ちてくるブーニカに傷はなく俺は彼女をやさしく受け止める。
「ブーニカけがはないかい」
「平氣アベルがすぐ助けてくれたから」
ヘルムを脱いだゴーストのブーニカの顔は俺への信頼で満ちている。
十英雄が七勇者と闘えるというのは嘘ではありません、ブーニカは不意打ちとはいえ吸収されて敗北してます。
アベルは七勇者の一人ですが同時に神越えという規格外の怪物になります。
負けて当たり前なんですね、あとオウバは生きてます。アベルが見逃してあげました
面白かった次も読みたいと思われた読者さま
下の
☆☆☆☆☆を押して
★★★★★に変えてください
彦馬がよろこびます