83話 かるちゃーしょっく
俺の転移で隠されたチキュウに転移するパーティー。
今回の内訳はソンクウ・ミラルカ・ヒト三郎・ルーヴァン・セルバスだ。
何故こうしたかと言うとミラルカはヒトを精霊にしたいのでチキュウを探していた発案者だし、ヒトも当事者だ。
ルーはチキュウとトウ・ダーラをつなぐゲートをつくるのにチキュウの正確な座標と土地のマナを見ておく必要がある。
セーナは何となくだ。
踏み込んで言うと俺のかつての仲間たちは全員知り合いだがハジメはセーナとレントだけ面識がないので今回顔を合わせるのにつれてきたというわけさ。
隠れ都市……俺が生きた千年前は古代都市チキュウという名称だった。
俺の頭にハジメ・ニオ・フルベルトの三人で旅をした思い出がよぎる、なつかしい雰囲気だぜ。
うん悲しいことに雰囲気だけだね。
都市の中に入ると千年前と違って建物から乗物から俺が知ってるチキュウとちがうもの。
それに都市というよりもはや王国といった規模になっている。
「迷い込んだのかい? 残念だがこのチキュウは王であるテイイチくんが隠れ里にしているんだ。殺しはしないが、記憶を消して転移させてもらうよ」
都市にいた人たちは忽然と姿が消えてカフェテラスからゆっくりと若い男が俺たちに歩いてくる。
俺の仲間は全員剣を抜き杖を構えて戦闘態勢に入っている。
この切り替えの早さは見事といえる。
セーナは「今着いたばかりなんだ。茶くらい飲ませろよ。はいそうですかとしたがう気はないし、邪魔するんなら容赦しないぜ」と気が強いのか口も早いね、そういった。
向こうもその気になったらしい「では力づくでいこうじゃないか」というが少し間が空くと「おやおやおやぁ~~~」と弾む声を出す。
「白いゴブリン! アベルで間違いないね。失礼したこの格好だからかな? いやそうか霧で隠しているからアベルの目でも気づかなかったんだろう。」
「そら」と言うと男の周りの霧が晴れておぼろげだった男が姿を現す。
「早めに気がついてよかった。私ではアベルに返り討ちにされるだろうから」
俺はこの人を知っている。
なにしろこの男がハジメをムンドモンドに呼んだのだから。
「ハイエアじゃないか。」
「アベル二度目の人生は楽しんでるかい? 案内しようじゃないかついてきたまえ。このチキュウを統治するテイイチくんはアベルを侵入者とは絶対に思わないし、三人ともアベルに会いたいと寂しがっているよ」
▽
「大きいしかも見たことない形の城だよぅ」
ハイエアの案内でハジメの居城の前でミラルカがふと零す。
俺もたしかにと思う。
ムンドモンドにはない建築物だ、城というよりは四角い塔のように見える。
「おどろいただろう? 何しろ神の私も知らない建物だからね。この塔は異世界ニホンコクで『びるでぃんぐ』というそうだよ」
みんなが感心する中で俺は自分の好奇心が刺激されるのを感じる。
なんというかわくわくが止まらない。
俺たちは中に入って四角いマスの中に入る。
マスの横にある装置ニハイエアが触れると転移が発動する。
ハイエアと俺のパーティーは執務室の様な扉の前にいた。
ハイエアが「転移えれべーたーはこの建物の中のどこにでも飛べるんだよ。さぁ中に入りたまえチキュウの王が待っている」という。
俺はその言葉に誘われるままに部屋の扉を開ける。
アベルが亡くなった後、三人の落ち込みを見てハイエアはチキュウの守護神になりました。
天人の体に入り人間として生活するようになります。
テイイチに寿命の問題解決を聞かれた時、精霊の成り方を教えて試練を課したのもハイエアです。
ハイエアはチキュウの旅に同行したことで、彼らを仲間と思うようになったんですね。