~ビッチはお呼びじゃないので早々にご退場ください~
素敵な作品をたくさん読んで、思いついたのを書き連ねました。
最後ひどい目にあったりする悪役令嬢が助かるようにとかって話もすごい好きなんですけど、助かるための道筋がルート通りに進んでヒロインのいいように進んでると見せかけて成立しないように全部仕組まれてる感じとか面白そうだなぁって思って。
でも思うより思う通りの文章が作れなくてキィーーーーーってなりながら書いてます。
完結させてからアップしたかったんですけど公開したい病になってしまったのでここまでですがあげちゃいます。
少しでも楽しんでいただける方がいたらいいなぁって思います。
よろしくお願いします。
ここは学園の卒業を祝う式典後のパーティー会場。
この国では学園を卒業することで国内の成人貴族としての地位が保証されるのだ。
その為、集まった生徒たちは卒業して成人として認められることの嬉しさや達成感、卒業後には友人といえども公的な場では身分がかかわってくることの不安を持ちつつ、友人と気軽に会える最後の日として一緒に来たパートナーともに談笑してパーティーが開始されるのを待っていた。
そのような場で賑わいのあるはずの会場は、現在中心部にいる人物たちの動きによりしんと静まりホール中が固唾を飲んで事の成り行きを見守っていた。
中心にいるのはこの国の王子、その婚約者と最近何かと話題の男爵令嬢である。
最初に口を開いたのは第一王子であるエディールである。
彼は周囲に集まった者たちに聞こえるように大きく声を張って言う。
「私、サイシャン王国第一王子、エディール・サイシャンはスピウター侯爵令嬢、リリアーヌとの婚約を破棄し、ここにいるジェーン男爵令嬢キョーコ嬢と新たに婚約を結ぶとする!」
ここまでを聞いて、宣言した王子の近くに立つ大人しそうな様相の令嬢、キョーコはここまでうまく運んだと思い、周囲にばれないようこっそり勝ち誇ったような笑みを浮かべて対面にいる令嬢、リリアーヌを盗み見た。
対するリリアーヌはそれまでと表情を変えずに凛とした立ち姿でたたずんでいる。
婚約破棄という宣言に表情を歪めることなくすまし顔でいる様子のリリアーヌに気分を害したキョーコは、自分の言いなりになるであろう王子にどうにかしてもらおうと思い、王子の腕にすがりつくために一歩を踏み出そうとした。
だが、王子はキョーコと距離を離そうとするかのように動き、リリアーヌの方へ動きながら続きの言葉を放った。
「……なんて言うわけないだろう!そのはしたない腕を私に絡めようとするな!汚らわしい身体で近寄るな!私の伴侶はお前みたいなアバズレではなく幼少期より王妃教育を堅実に学んできたリリィだ!!」
キョーコに触れられたくない、不愉快だというのを前面に出してリリアーヌの方へ行き、王子はキョーコと隣り合った姿勢から対面するように変えた。
自分の言いなりになると思っていた王子が自分に対して言いなりどころか避ける態度に暴言まで吐いた。
キョーコは死んでしまった自分が生前ハマっていた乙女ゲームゲームの世界に転生したヒロインだと思い、ルート通りにイベントを熟し、第一王子との親愛度を上げてきてきたつもりだ。なのでここは悪役令嬢キャラと婚約破棄をして私が新しい婚約者になるはずの場所じゃないかと内心憤っている。
ゲーム通りにならないことに混乱しつつも自身がヒロインであると思っているキョーコはストーリーを修正するためにどうしてゲームと違うことになっているのかを確認することにした。
「ディー様、どうしたんですか?私が何かしちゃいました?昨日まではリリアーヌ様とは婚約破棄してくれるって、私を愛してるって言ってくださっていたじゃないですかっ」
キョーコは可憐で弱々しい女性の如く身を震わせ、王子の裏切りにひどく傷つきながらも泣くのを耐えるように目を潤ませながらエディール王子に訴えかける。
昨日までならこれでデレデレになって何でも言うことを聞いてくれていたのだが、今の王子は不愉快気に表情を歪めるだけだ。
「昨日までは迂闊なことができなかったから引き離したいのを我慢して黙って耐えていただけで、誰とでも関係を持つような尻軽女など誰が愛するというのだ。」
ひどい言われように反論しようとしたが、続く言葉に本当のことであるがために何も言えなくなる。
「何かをなそうとすることは資金が必要なことではあるが、貴様は家の金が使えないから私から奪おうとしたものの、うまくいかなかったから自身の体を与えていただろう。乙女たれとは言わないが子が生まれたとて誰の子かわからないような女が国母となりえるわけがないだろう。」
そして対面したキョーコの表情を見てその醜悪な表情はやめた方が良いだろうといった。
キョーコは本人は隠しているつもりではあるが、だれが見ても表情を歪めるような憎悪に満ちた醜悪な表情をしていた。
先ほどの勝ち誇った笑顔から一転して不利な状況になりそうな雰囲気をリリアーヌのせいだと思い、そのような表情になっていた。
今の自分が美少女であり皆がちやほやしてくれることと、乙女ゲームのヒロインである自分なら最終的にはヒーローと結ばれてハッピーエンドになるのだから何しても大丈夫と考え、思い描いている夢と現実では違うのだということを深く考えずに遊びまわっていたからである。当然肉体関係を結ぶ行為もしていたがヒロイン補正で王子は気づかないしなかったことにできると信じていた。すべては自業自得である。
でもここで認めてしまえば王子様と結ばれてハッピーエンドがなくなるしほぼ王子ルート一本で進んできたので他の攻略者たちは軽くしか好感度を上げていない。
そもそもこの世界を模したゲームは攻略対象者一人のルートに絞れば比較的簡単だけれどハーレムルートは最高難易度だったからだ。途中までみんないい感じに進んでいても少しでもミスをすればその時一番好感度の高いキャラクターに他のキャラクターを見ないようにと拉致監禁された上で色々、そう、色々されてヤンデレ殺害バッドエンド一直線になる。
なのでキョーコはゲームだと思っている世界ではあっても簡単に死にたくないので最高難易度のハーレムではなく簡単な単一ルート且つ推しだった王子ルートのみを進んできたのだ。
「そんな、なんてこというんですか!?わ、私はディー様が好きで、ディー様も私のこと好きだって言ってくれたし、だから、だから学園内で平民あがりだからって言われてひどいことされても一生懸命生きてきたのにっ、それなのに、私が不埒なことに耽っていただなんて!そんなことありません!あんまりです!」
わっと泣き崩れるように顔を覆ったキョーコに、大多数の生徒が何の反応もせず静観を決め込む。
一部心配げな表情の男子学生は可憐な容姿のキョーコにあてられてはいるが、王族と対峙している様に加勢する程の情はないため手を差し伸べる者はいない。
「私は王子として、後に立太子してゆくゆくは王になるものとして教育されてきている。そんな私がいくら平等な立場となる同じ学園の学生となるといっても自身に近づいてくる人物またはその背後関係を調べないわけがないだろう。まあ調べてみて貴様の親であるジェーン男爵は謹厳実直な人柄であり貴様の企みとは何らかかわりがないことが分かって得られたものもあったがな。」
「調べた?プ、プライバシーの侵害です!それに、その調べた人が嘘を言っているかもしれないじゃないですか!調べてくれたなら私をいじめていたリリアーヌ様の態度にも気づいていますよねっ?私本当にひどいこと言われてたんです!」
どうにかこの場を有耶無耶にして体制を立て直したいキョーコだが、自分が一番だと思っている性格からか、王子の行動を否定してしまっている。この場で不敬罪だと護衛騎士に切り捨てられてもおかしくない態度であるがまだ卒業のパーティーが終わっていないため、平等な立場の学生として目こぼしされている。
貴族社会のことを学ぶつもりがなく、そんな事にも気づかないキョーコは自身の無謀な行動ゆえに淑女しての注意をしていたリリアーヌのことを自分をいじめる女として訴える。
自身の不道徳を認めないどころか好きだといったエディールに対して非難するような言動に加え、愛しいリリアーヌを自分の都合によって悪く言うキョーコにエディールは内心の怒りが増していく。
更にはまだエディールのことを諦めていないのか、いじめられているから助けてくれると思っているのか期待した眼差しを向けてくる。
ひたむきに自身がエディールと結ばれることを信じて折れることのない心に恐怖を感じたエディールはこの茶番を早々に終わらせるためにキョーコが己と結ばれたがっていても無理であることを知らしめる決定的な言葉を紡ぐ。
「そもそも私とリリィはすでに婚姻の誓いを済ませた伴侶だ。この国は王であろうとも一夫一妻であるので貴様の入る余地などない。」
自分の持つ知識が正しく、間違いがないものと思っているキョーコには信じられないことだった。
それにより、さらに自身の至らなさを多数の貴族の集まるこの場で披露するキョーコ。
「嘘よ!この国では学園を卒業して成人しなければ結婚できないはずじゃない!!私が国のことに疎いからってこれには騙されたりしないわ!卒業が完了するこのパーティーが終わってないのですもの、だからもう結婚してるなんて嘘。まだ婚姻ができるはずがないわ。この国の常識でしょう?無理やりそういえって言われているのですか?そんなこと言う人といたらディー様によくありません!今私が助けます!」
婚姻の誓いとはそのものずばり結婚をすることで、この国の民は平民は18歳になったその日から、貴族なら学園を卒業して成人を認められてから可能となる。
そのようなことから嘘はよくないという態度でキョーコは主張するが王子への、むしろ好きだといった相手への態度ではないが本人は正しいことを言っているだけと思っているので気にもしていない。
煩わしいと思いつつもこの場ですべて終わらせたいエディールはきちんと説明をすることにした。
「王族は王位継承権5位までに限り年齢に囚われることなく婚姻を結べることに王国法にて定められているので私とリリィは正式に婚姻を結んでいる!それに、婚姻を結んだ王族が離婚するとなると双方どちらかに明らかな異常があると傍目からわかるか国の運営に関わるもの数名の署名のある離婚のための書類が必要であるしそれに私たちは永遠の契りを交わしているしリリィだけを愛している。そもそもリリィは既に私の子を身篭っている。よって貴様が私とリリィの間に入ることなどできない」
「う、うそよ!そんな王国法知らないわ!」
「公に吹聴するようなことでないため大々的に発表はしていないが、三代前の女王が制定された事項で王国法典には記載してある。それに国の主だった血族には口頭にて知らされている事だ。真面目に勉学に励んでいれば貴様にも知る機会はあったはずだ。王国法典はすべての図書館に閲覧自由図書として所蔵されているのだから。」
そこまで聞いてやっとどうしようもないことだと悟ったキョーコはガクリと膝を折った。
だれかどうにかこの場で助けてくれないかと期待を込めて攻略対象者たちを見つめるが全員王子と同じように嫌悪の表情で見つめてくる。こうなったらモブでもいいと思って周りの学生たちを見つめるが遠巻きに眺めるだけで誰も助けてくれる人はいなかった。
その内に詳しく話を聞かねばならないがそれよりも無事にパーティーを終える方が重要だと判断した王子の指示によりキョーコは騎士により別室へ連れていかれた。
キョーコが会場を出るのを見届けると王子はそれまでの厳しい表情から一転して愛情あふれる表情で傍らにいるリリアーヌに気遣いの言葉をかける。
「王家の方針とはいえ、大事な時期のリリィにつらい場面に立ち会わせてしまってごめんね。大丈夫かい?気分が悪かったりはしない?」
「エディ、わたくしは大丈夫ですわ。それに、母になるのですもの、こんなことで弱ってられませんわ。」
にこりと微笑んだリリアーヌは、さ、いつまでもこのままにしているわけにもいきませんしそろそろパーティーを開始出来るよう控室で待ってくださっているお義父様方をお呼びしましょうと声をかける。
それに頷きながら王子は会場の者たちに騒がせてしまってすまなかった、この後のパーティーを存分に楽しもうと言い、リリアーヌをエスコートして会場を後にした。
今回の話は、三代前の女王の治世まで話は遡る。
女王は亡くなる前、自分の知っていることが未来で起きてほしくないし、あのようなことが繰り返されることがないようにと出来事のすべてを病床で語った。
三代前の女王、つまりは私のひいお祖母様がある日信託を受けて言ったことが始まりだった。
ここまでお読みくださりありがとうございます。
続き、というかここから回想になってひいおばあさまの時代の話になる予定なんですけど全然話が進みません。
なのでこのままここで止まってしまうかもしれません。
もし待ってくださる方がいらっしゃる場合もどうぞ気長にお待ちいただけると幸いです。
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日本生まれ、日本育ちのキョーコは日本で死に、プレイしていた18禁乙女ゲーム『階段をのぼる刻~2人目の賢女も幸せに~』に転生していて、しかもヒロインポジションになっていることに気が付いた。
これならルート通りに進めば前世の推しと結婚できちゃうし、ぱっとしない女だった私がみんなに傅かれる王妃様になれるんだもの!ハッピーエンドを目指して頑張ろっと!
って、ハッピーエンドルート目指して突き進んできたはずなのになんでこんなことになってるの?!
なんで?ルート通りに進んだし選択肢も間違ってないはずなのになんでよ!
どうしてこんなことになっちゃったの?
もしかして、これって悪役令嬢が主人公の話になってる、とか?
でもでも、普通悪役令嬢が主人公になる話って大体が原作変えようとしたりして原作と違う話になったりしちゃうじゃない。
全然そんなことなかったでしょ?だから違うはずじゃない!
何でこんなことになってるの?
なんで?
なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんで――――