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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

王女モドキ物語~わつやしとかさみつね編~

作者: 矢城白也

王女モドキ物語~わつやしとかさみつね編~


挿絵(By みてみん)


紅葉して、赤や黄色の葉がたくさんある森で鳥や虫が鳴いている。地面には、落ち葉がちらほら落ちていて。秋の訪れをわずかに感じる。



ここは、人よらずの森。そんな森で二人の男女が向かい合う。





黒髪に紫と茶色のオッドアイ、白い長い上着に、紫の服そして、黒のズボン。そんな男、王女モドキは、刀を握ってとある女性の前にいた。


名はわつやし・そえな。黒髪に、グラマーな体型をしていて、右腕は、なく隻腕。青い着物を着ている。


さあ、二人は戦う。




理由は、王女モドキの場合、自分自身を生かすため戦う。偶然森を歩いていて敵対者にでくわした以上戦わなければ、逃げることも出きるかもしれない。けれど家が近い場所だ。


うまく()けなければ屋敷の中の人間が危ない。屋敷には、家族が二人、帰りを待っている。


わつやしの場合は、薬草など、必要なもの取りに人よらずの森に入った。そこで運悪く、怪物に出会ったからには、打ち倒し、自分の国に攻めてこないよう。滅ぼすため戦う。


互いの人生に危害を加える存在を倒す単純な話だ。


幸い、人よらずの森という海のように広大な森は、どの国にも属しておらず、法律は、存在しない。思う存分二人は戦うことができる。


まずは、王女モドキが飛び込む、青い刀、ひとめを強く握り馬よりも速い足で一気に距離を詰める。落ち葉が、足を動かす度、盛大に後ろに飛ぶ。


そして刃を当てようとするが、わつやしがもっていた薙刀で受け止められた。



刃同士がぶつかり金属特有の高い音が響く!


落ち葉だらけの森の地面を蹴って一度下がり、また勢いをつけて、突きを放つ、刀は、まっすぐわつやしの腹へ向かう。




しかし、薙刀の柄で、刃は、受け流され、相手の後方の木の幹にぶち当たる。




「なさけないね。あんた。わたしよりも、大方歳上でしょう。なのに弱すぎる」


木にぶつかり、すぐさま振り返ろうとしていた。王女モドキは、背中を薙刀で切り裂かれた。




白い上着が赤くなる。鋭い痛みが背中を走った。


それでも、王女モドキは、振り返り、名刀ひとめを振るおうとする。




けれど、刀を振るう前に、蹴りをくらい、近くの岩に叩きつけられる。




王女モドキは、痛みで声にならない悲鳴をあげる。




そうしていると。薙刀を大きく振りかぶるわつやしが見える。


その時!かつて彼女と対峙した者の人生が書かれた本を読んだことを瞬時に思いだした。




来る!王女モドキは、わつやしがなぎ払いをする瞬間なんとか、高くジャンプした。




赤い二本のしっぽの先が間に合わず破壊され土に変えられた。なんとか、地面に着地すると、木々は根より少し上を残して、破壊され青い土になっていた。






(あの攻撃は、指定した範囲を不可視の力を飛ばし、破壊し青い土に変える、当たっていない場所には、必要以上に影響をもたらさない)


わつやしは、また大きく体をねじり、振りかぶる。


また次の攻撃を放つつもりだ。


王女モドキは、もう一度タイミングを合わせて後ろ斜め上に飛び上がる!


すると、体の表面が青い土に!!意識が遠のく、そんな中、周囲が目に映る。王女モドキがいた当たりの場所だけが青い土にになっている。円柱の形に力が通ったと王女モドキは、推測した。




他の範囲には、新たな傷痕など、影響は、地面にも木にもない。




王女モドキは、地面に激突し、ズタボロの体を地面に寝そべらせた。




王女モドキは、それでも、あきらめず、立とうとあがくがもう体が動くことはない、かろうじて、首を動かすことができるのみ。




わつやしは、ゆっくりと王女モドキに迫り、腰に身に付けていた巾着袋から紫色の尖った石のようなものを出し、王女モドキの額を狙い振り下ろす。




王女モドキは、ていこうし、顔を動かしよけようとする。すると額の変わりに目をやられた!左目を!!


泣き叫ぶと、それでも、まだ、わつやしは、やめない。もう一度振り下ろす。今度こそダメかという時、水の塊が勢いよく、わつやしの腕に当たり、攻撃を阻止、畳み掛けるように、さらに水が弾丸のように飛んでくる。


わつやしは、一度飛び退いて、王女モドキから離れて周囲を警戒する。




何もいない。足音一つもしない。するのは、風の音や、木々の葉が落ちる音。


わつやしは、見えないくらい遠くからの攻撃と頭の中で考えたが、背中に何かが木の枝のように硬いものが当てられるのを感じた。




そして気づくと硬い感触を感じた背中に衝撃を受けた。前に、よろめいたあと、振り返るが後ろに何もいない。




わつやしは、困惑する。


王女モドキは、なんとなく、今わつやしを攻撃している存在がわかった。キラメアだ。


王女モドキの従者の彼女は、姿や音、体温まで、隠すことができる。


今必死に戦ってくれているみたいだ。


ここから王女モドキの住みかの屋敷まで、そこまで遠くない。戦闘の音を聞いて様子を見に来て助けてくれている。



「見えない…破壊し、青い土に変える力を縦横…無尽に飛ばす……のが奴の薙刀に秘められた力だ……気をつけろ」


なんとか声をだす。


気をつけたところで、視認できない力の塊をよけれるとは、思えないがそれでも、言わないよりましだ。



王女モドキは、思い返す。かつてあまたらかという人よらずの交戦記録を読んである程度推測できた攻撃だが、今さっきよけれなかったことを。



王女モドキは、悔しがる。


そしてなんとか、動こうとする。


足は、まともに動かない。胴体は、痛みが強すぎて動かせない。唯一今動かせるのは、先を、破壊し土にされて、短くなったしっぽ。


こいつは、体力が続く限りけっこう伸ばせる。


これしかない。



王女モドキは、女性の姿に自らの能力でなり、しっぽを伸ばすそして、近く枯れた草の上に落ちていた名刀ひとめをしっぽで巻き取り拾うと。


姿の見えない何か、おそらくキラメアに気をとられている隙に、刀を背中の下部、くびれあたりに向けて動かす!



だが、わつやしは、薙刀の刃を背中側に回し刀を受け止めた。




(甘い!)



それでは、防げない。名刀ひとめは、女好き。


女性の姿であれば、最大の切れ味を見せる。


薙刀ごと、わつやしは、切り裂かれた。



それなりのダメージを負った外敵は、ちっと舌打ちをすると、戦場を、退いた。



なんとか勝てた。



いや、引き分けか?



人よらずの森は、静かになった。鳥の声が遠くから聞こえるくらいしか目立った音がない。


すると、目の前に灰色のツインテールで、肌は青白く、ピンクの目にピンクのひし形の紋様の入った顔、そして灰色の服に黒のスカートを着た女性、キラメアが現れた。


(やはりか)


王女モドキは、キラメアに背負われゆっくりゆっくり屋敷に連れられた。



家に帰るとオレンジの波打った髪で、緑色の目を持ち、赤い服に緑のスカートを着た女性、香乃が玄関に出てきて、手当てをしてくれた。




人よらずの森にいれば、割りと傷の治りは早い。


けれど、左目を完全に回復させるには、この傷を作った道具を焼かないとならない。



【治癒止めの紫キバ】、あの道具の名、昔、使ったことがあるから知っている。


人よらずの怪物の一体の牙だ。



人よらずの怪物を絶滅させるために、力を欲した女が本沈みの沼に願い手にいれた牙だ。人間の歯が全て紫の牙に生えかわり。力を得た。



その牙で噛みつかれた物は、その部分が完全に回復することなく。力を失っていくというもの。


ただ、炎に戦いで焼かれたとき、牙は、白く変色し、その牙で噛まれたものは、回復した。


そういう牙だ。


それを手にいれるには、やはり、わつやしを倒さないと。


無理。



(キラメアに透明化した状態で盗ませる。いやいや、それは、したくない。キラメアをこれ以上わつやしに関わらせたくない。一撃でもまぐれで衝撃波を食らわせられたらそれで終わり。人間であるキラメアは、死んでしまう。だからダメだ)



王女モドキは、1人で戦うことを決意する。


包帯を顔に巻かれたあと、王女モドキは、キラメアと香乃に、肩を借り、ベッドにたどり着いた。


そして、少し眠る。せめて走れる状態にしなければ勝ち目はない。



その日の夜、そう、0時に目が覚めた。少し肌寒い夜、周りを見回すと紫の壁と白い天井が目に入った。


ゆっくり体を起こすと、目以外は、傷が治っていた。目は出血だけは、止まっていて、まあ、それは、良い。



さあ、行こう。そっと、皆が眠る間、赤いじゅうたんの敷かれた床を歩き、外に出た。人よらずの森の中央付近にある住み家から歩いて、森をさまよう。もちろん名刀ひとめは、持って来ている。


だが、どこにいるのだろう。わつやしの居場所を探ろうにも、片目に宿った能力見た者の現在までを記した本を作る力は使えない。


目をやられているから。


そんな時、赤い目に黒髪、緑色の服とズボンを着た女性を変わりに見つけた。



わつやしも、黒髪だが、赤目の彼女は、短めだ。ショートヘアというのだろうか。



そして、前髪には、緑が少し横にラインを引くように入っている。


手には、両刃の斧。それを持って木の根に座っていた。



少し離れながらも横を通り過ぎると、赤目の女性は、話しかけて来た。


「人よらずは、孤独よね。広い森でつるまず生きている者ばかり、アタシも孤独、良かったら人間みたいにおしゃべりしない?」


「今は、そんな気分ではない。遠慮する」





王女モドキは、それだけ言うと無視して前に、進む。


「アタシは、かさみつね・きみ、気が向いたら話してね」


王女モドキは、振り返らず手だけ上げて聞いていることだけは、示し歩き続けた。


とりあえず向かったのは、わつやしと今日戦った住みかの屋敷から少し離れた森。


木の上部のない、根だらけになってしまった場所。



近くには、砂利と川もある。



わつやしは、なんと、そこに戻って来ていた。



背中の下の方、くびれの辺りを斬られたのに、タフな女だ。王女モドキは、そう思う。



包帯を巻いていて、血は止まっているらしい。


こちらだって、片目を包帯を巻いて体力全快じゃないが、それを治すために来たんだ。



さあ、やってやる。




王女モドキは、まず男性の姿の機動力を使って戦うつもりだ。



すでに体は、男性形態。足を前に、出そうとする。



「!?」



先に攻撃を仕掛けたのは、わつやしだった。



一気に距離を詰め、薙刀を振るう、ひとめで斬った薙刀と取り替えて来たらしい、シンプルだが、綺麗な薙刀だ。



名刀ひとめで受ける。



左手は、とある事情があり、元々力が入らないため王女モドキは、右手の力を主軸に耐えた。



受けとめ、つばぜり合い、少しずつ刃をずらし薙刀の木の部分に当てて押し合う。その後、女性形態になって名刀ひとめの力を最大限使い薙刀ごと、斬りにいく。


しかし、何度もうまくはいかない。


女性になるための、紫のオーラが出て来るのを見ると、蹴りを入れて、王女モドキを突き飛ばす。



突き飛ばされたあと、女性形態に完全に変化した時、畳み掛けるように、薙刀を投げる。



名刀ひとめの腹でなんとか弾いて軌道をずらし対応!


だが、薙刀を弾くため刀を振り払ったためできた少しの隙を狙い、飛び込んで来て、わつやしが拳をぶつける。腹に一撃。



痛みで悶絶し、うずくまる。



女性形態は、打たれ弱い。筋力も落ちるし、足も速くなくなる。守りに入るととことん弱い。



男性形態に急いで戻り距離を取ろうとするが、間に合わず。




豪腕で殴られ地面ごと砕かれて。王女モドキは、ついに息絶えた。




時は経ち次の日、王女モドキは、本沈みの沼から現れた。



人よらずの森の中なら、沼が一度人よらずを液状にして、回収して再生してくれる。服もオマケ付きで綺麗に治されている。目の包帯も綺麗にまた、巻かれ再現されている。



ただ、左目は、回復していない。紫キバを焼かぬ限りダメか。



王女モドキが、沼から這い出し、歩きだす。沼は、王女モドキを吐き出すとき、綺麗な池に姿を変え出やすいようにしてくる。



本が山ほど浮いたり沈んだり、めちゃくちゃ美しいとは、言えないが。



「さて、どうするか」



そう、独り言を言うと、沼の前でコマのように刀がくるくる回っているのに気づく。


名刀ひとめだった。赤い二本のしっぽを使って刀を回転して暇を潰し待っていたのだ。


名刀ひとめは、わつやしにやられて息絶えたわけじゃないから液状になって、回収された訳じゃない。


しっぽで本沈みの沼まで歩いて来たのだろう。  



刀を握ると。





家に一度帰るとする。そうすると道中また、赤目のショートヘアの女性に会った。




(かさみつね・きみと言ったか、穴を掘って何かを埋めている。なんだ?)




かさみつねは、こちらに気づくと話しかけて来た。



「また、会ったね。今は忙しいから雑談は、後。貴方も知っているだろうけど、本沈みの沼や森の資源を手にいれに人が立ち入ることがある。だけど、だいたい人よらずの怪物に倒されてしまう。それをせめて埋めて土に帰してあげている」




王女モドキは、その光景をしばらく見ていた。


かさみつねは、人間じゃない。赤い二本のしっぽがあって、王女モドキと同じ人よらずの怪物だ。



私達は、いったい何なのだろうか?森は、本沈みの沼は、人よらずの怪物という赤い二本のしっぽがあるものを、優遇し助ける。


森の守り手にでもするつもりか? 王女モドキは、ボーッと考えた。


「じゃあ行くよ」


王女モドキは、しばらく経って、その場を離れようとする。そうすると、肩を掴み、近くの切り株に座らせた。そして、足踏みをすると、周りの草が伸びて腕と足を縛る。


「何を!?」



「うごかないの」



王女モドキの前髪を斧で切り、スッとなんの力も感じないくらい、すんなり、短く斬った。


「片目しか使えない状態なのに、前髪で隠れていたら危ないでしょ」



王女モドキは、礼を言い。1人また、森をさまよう。


かと、思ったが、かさみつねは、ついて来た。



森をさまよいながら2人は話す。


「話のわかりそうな人よらずは、少なくて人間離れ、あまりしてない姿の貴方なら話して面白そう。ついていくわ」



「私は、これから戦うことになる。適当なタイミングでいなくなった方がいい」


「人よらずに戦いは日常茶飯事、当たり前。気にしないわ」



それから、わつやしを探して、二人は歩き回った。夜の森をうろうろと、結局日が昇る頃、わつやしの出身国の刀土国(とうどこく)近くの人よらずの森の中で待つことにした。




いわゆる待ち伏せだ。



それから、わつやしは、なかなか、姿を見せなかった。



来る日も来る日も敵は現れない。


その間、かさみつねと王女モドキは、語らった。


自分の能力、だいたいの年齢。どこから来たのか。


いろいろ聞いた。



かさみつねは、刀土国出身で年齢は、20ちょうど。能力は、植物を操ること。


こんな情報、見た生物の現在までの人生を記した本を作る能力があれば、聞かずともわかる。


まあ、左目が使えない今は無理だが。


3日ほど話をしていると、かさみつねは、楽しそうだった。すごく。


そうして二人は待っているとついにわつやしは、現れた。


わつやしは、森に入るとカゴを持って薬草を取っている。


もちろん、薙刀は、背負っていた。名刀ひとめで斬って刃の短くなった薙刀だ。だが、修復され元の状態に戻っている。



こちらにある程度近づくと、王女モドキに気づいたらりしく。


薙刀を振りかぶる。



そして、振るうと薙刀から見えない力が飛ぶ。蛇のように、ぐねぐね木を土に変えながら、あらゆる方向から飛んでくる。


逃げながら岩も楯にするが岩も例外なく土に変えてしまう。



かさみつねは、そんな中周囲の木に命令を出し、わつやしの方に枝を動かし。殴打しようとする。



それに気をとられ、わつやしの見えない力が止まる。


今だ!  王女モドキは、男性の姿で突っ込むと腰に身に付けている巾着袋を強引に取る。




巾着袋には、治癒止めの紫キバがある。わつやしは、周りの木々を薙刀で切り裂く。



王女モドキは、距離を急いでバックステップで取る。



「かさみつね、逃げよう!」


王女モドキは、叫ぶ!



目的の物は手にいれたし、何より王女モドキは、わつやしに対して弱気になっていた。


一度彼女に倒されているからだ。



「王女モドキ、先に逃げなさい。簡単には、逃がしてくれないだろうから、アタシが時間稼ぎをする」




王女モドキは、言われた通り逃げることにする。




今の彼はひどく臆病だ。



でも一度倒されたトラウマ、あの痛み、つらさは、味わいたくないのだ。



急いで走った。後ろでは、薙刀と斧がかち合う音が響く。





それでも走る。途中、いきなり左足の感触がなくなり派手に転ぶ。土に変えられたらしい。



見えない力が追ってきている。



わつやしは、かさみつねと戦いつつ、こちらに力を飛ばして来ているのだ。


王女モドキは、泣きながらも、すぐに立ち上がりしっぽを使って左足の代わりにして、走る。



森の中をぐんぐん枝をかき分け、草をかき分け、走り抜けた。信じられないくらい、逃げるための力があふれる。



休みなく、2日ほどかけて、ついに住みかの屋敷に帰れた。これは、いわゆる火事場のなんとやらだ。そうして屋敷にたどり着くと、息を切らしながらも、キラメアを呼ぶ。


 

すぐにこちらに気付きキラメアが玄関に現れる。



「これを燃やしてくれ」



キラメアは、暖炉にキバを投げ込み火をつける。


パチパチと音を立てて燃えるが、薪をいくつ消費してもなかなか、キバは変化しなかった。



丸一日かかっただろうか、暖炉の前で足の再生を待ちながら王女モドキとキラメア、香乃は、待った。


キバは24時間火にさらされてようやく、白い、よくある動物のキバのようになった。



そうすると、左目が明かりを取り戻し。王女モドキの左目が完全な再生が起き、力を取り戻す。


包帯を、急いで取ると、復活した能力で本を出す。


出すのは、わつやしの記録の本。



彼女の現在までを記した本を読む。かさみつねのことが気がかりだった。




見るのが怖いが最近のページを読むと、あれから丸一日たったのに、まだ、戦いを続けていた。



斧と、植物を使って、複数方向からの同時攻撃で戦う、かさみつね、見えない力を離れたら飛ばし、敵や枝が近ければ、豪腕を用いた薙刀をぶつけ、周りを弾く。



二人はどちらもゆずらなかった。



どちらも背中を見せて逃げようものなら決定打をくらいかねない。逃げるなら囮が必要だった。



王女モドキは、迷っていた。このまま屋敷に隠れていれば安全かもしれない。戦場は、離れている。


距離は、それなりに遠く馬でまっすぐ走っても2日は、かかる。



さて、どうする?


今、決めなければ、ならない。


怖い。



関係ない!



行かなければ、行かなければ!



ガクガク震えて、体が動かない。


そうしているとキラメアが、どうしたのですか?と聞いてきた。



「一緒に目を治すため協力してくれた人を置いてきてしまった。助けたいが、怖くてうごくない」



「なら、私が変わりに行ってきます。大丈夫です。私は、透明になれますから、負けたりしません。協力した人の場所を教えてください」



キラメアは、やさしくそう言う。



王女モドキは、刀土国の近くの場所を言った。


恥ずかしながら情けない気持ちになりながら、


頼ってしまった。



キラメアがいなくなってから、一時間ほど、たっても体育座りで、震えていた。暖炉の前なのに。


香乃は、やさしく、その姿を見ていた。何も言わずに。




そうしている間にもわつやしの本は、更新され、戦いの壮絶さを記す。


キラメアは、まだ到着は、しないだろう。足も再生がついに終わったし、走れば追い付ける。



自分の身のかわいさで、キラメアを失ってもいいのか?かさみつねという親切な人を苦しめていいのか?


本当にそれでいいのか?


いやいや、二人が負けるのは、確定じゃないから大丈夫。


大丈夫、だいじょうぶ。


大丈ぶ。







王女モドキは、カタカタ、手を震わせながら、名刀ひとめを握る。


「あぁあああ!」


叫んで、痛みの記憶達に負けないよう鼓舞する。



王女モドキは、名刀ひとめを強く握り直すと。



屋敷から出て、走った。香乃には、万が一を考え地下室に隠れるよう言ってから。



キラメアは、透明化の魔法を使うだから探すのは、通常無理だが、王女モドキは、キラメアを当然ながら左目に映したことがある。


それで能力の本を作り読めばだいたいの居場所は、わかる。時折立ち止まっては、キラメアの位置を確認し、捕まえた。


森のイチョウの枯れ葉がたくさん落ちた場所。


葉が誰もいないのに、風もなく動いていた。


「キラメア待ってくれ、私がわつやしの所に行く」



「王女モドキ様、やっぱり来たのですね。そう言ってくれると信じていました。それから、いいえ、一緒に行きましょう2人で行けば逃げるくらいできます」




王女モドキは、キラメアをしっぽで掴み持ち上げ走る。



途中、途中休憩や食事、睡眠をとりつつ、わつやしの元へ急ぐ。



王女モドキは、人では、ないため最悪寝なくても、食事を取らなくてもなんとかなる。



だが、キラメアは、人間だ、休ませないと、身動きが取れなくなる。



二人は2日かけ、かさみつね達の場所についた。



わつやしと、かさみつねは、合計約5日戦い続けた。



その結果がこれだ。



木の形をした青い土の塊がたくさんあちこちにあり、抦が折れた薙刀と砕けた斧が落ちていた。




どちらも武器にするには、必要な、強度は、もうなかった。



そこから少し離れたところで、殴ったり蹴ったりを繰り返す二人がいた。



お互いの武器は、ないため、腕力が、強いわつやしが有利かに思えたが、一撃、一撃、避けたり、受け流したりして、耐えていた。




王女モドキは、様子を確認し終わると、高速で動きわつやしの背後に回る。



そして、青き刀、名刀ひとめで一閃する。



甘い。



かわされてしまう。



もう一回。刀を振るおうとすると。振り返ることなくだされたわつやしの蹴りを受けて。吹っ飛ばされる。




そこで、キラメアは、魔法でまず、光の塊を飛ばし、わつやしの前で破裂させる。


キラメアは、破裂のタイミングで目を閉じる!


光でわつやし、王女モドキ、かさみつねは、一瞬目がくらむ!!


その間に、魔法でロープを作り出し、発射、王女モドキとかさみつねに巻き付けた。そしてすぐに煙幕を作り、辺り一帯を黒く濁らせた。




それから、空気の塊で作った足を煙幕内のいたるところに飛ばし、歩かせ足音を偽装、そして本命の二人をロープで手繰り寄せ。



その場を離れる。後ろでは、わつやしの雄叫びが聞こえた。




5分ほど、くらんだ目でロープを頼りに、走って、三人は、ようやく、倒れた木の横で休む。


やっと逃げきれた。後は簡単だ。視力が戻りしだい。


キラメアをしっぽで持ち上げ屋敷へ向かう。



かさみつねは、自力で王女モドキの馬より速い足について来た。



そうして、3日ほどかけて、3人は屋敷に帰って来た。




王女モドキは、屋敷に無事帰れたことを感謝したあと、かさみつねの戦いの技量、わつやし相手にあそこまで互角に戦えることを尊敬して弟子入りを懇願する。



かさみつねは、ニコッと笑うと。




「アタシのおしゃべりの相手に時々なって、くれたらいいよ」



そう言って。二人は師弟になった。



【END】



 

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