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ピサロ一時帰還⑤

 ブックマークありがとうございます!

 ☆*.。・:+(゜∀゜*感謝・感激・雨嵐;;;゜д゜)i||i


 なんか色々言い回し難しい回でした……


 ご意見、ご感想お待ちしておりますm(_ _)m

 ズキンズキンズキン


 頭が痛くて起き上がれん……けど、後頭部は何やら柔らかく心地よい……


 うっすら目を開ける。


 マジかよ……


 そこには小さく寝息を立てるミコトの顔が! 

 

 って事は……ぐおーっ! ひ、膝枕!! ひ、人前でコレはイカン!!

 

 急ぎ上半身を起こす。



 ズキン!


 くっ! 二日酔いが酷い……


 周りは……皆食事処で雑魚寝状態……


 テーブルに顔を埋めている者、床で折り重なる様に眠る者、ビックリしたのはルークスの膝にマリンさんが……


 み、見なかった事にしよう……


 ミコトは壁にもたれ掛けて寝ている。

 魔王にこんな事させちゃ不味いかも……


 ミコトは俺の気配に気が付いたのか目を開く。


「ケンヤさん、おはようございます」


 寝起きのミコト……可愛いじゃねえか!


 おっと、イカンイカン……


「おはよ、ミコトは二日酔い大丈夫か?」


 ミコトも顔をしかめている。


「キュア!」


 呪文を唱えるミコト、身体がうっすら緑色の光に包まれる。


「ふーっ! スッキリしました!」


 ず、ズルい!!


「ミコトさん……いや、様! 俺にもそれお願いします!」


 土下座の勢いでお願いする。

 クスっと笑った後、解毒魔法をかけてくれました!


 んーっ! 超スッキリ!!



 シルを探す……いた!


 オリバさんの腹の上で大の字になって寝ている。

 相変わらずの鼻ちょうちんだ。

 指で鼻ちょうちんを「パンっ」と割る。


「むにゃむにゃ……ケンヤ……おはよう」


 目を擦りながら起き上がるシル。


「皆を起こすと悪いから、そっと宿を出るぞ」


 宿のカウンターでお礼の手紙を書き外に出た。




 明け方近くまで呑んでいたが、まだ空は白んじていて空気が冷たい。

 思っていたより余り長くは寝ていなかった様だ。


「この時間なら人も居ないだろう、孤児院までのんびり歩いて行こうか」


 早朝の人の居ないピサロの街をのんびり歩いて行く。

 ミコトは珍しいのかキョロキョロと辺りを見渡している。


「ゲームでは何度も訪れていたピサロですが、こうして現実の街を歩くとなんか新鮮ですね!」


「ああ、確かにな。俺も最初は戸惑ったよ。微妙に違う所があったりな……ミコト、お前はどう思う? この差がゲームとは時代背景の違いなのか、実は似ているだけで全くの別の世界なのか……」


 ミコトも思う所があるのであろう……暫し考えた後、


「私は似ているけど全くの別世界だと思います。邪神なんてゲームにはいなかったし、神龍や精霊だって……」


「ああ……ミコトは知らないか、邪神はゲームの種族としてあるんだ。確かデュポーンゴブリンだったかな? ゴブリンってネタ種族あっただろ? それを究極にまで鍛えたらロードに進化して、ロードを究極まで鍛えたらデュポーンになるんだ! デュポーン……邪神だな」


「そ、そんなシステムが……知りませんでした……」


「ゲーム発売当初は運営のサイトに乗ってたんだが、ゴブリンを種族に選ぶ人が少なかったのと、ネタ種族だからロードまで育てる人が居なかっみたいで、いつの間にか説明欄から消されたみたいだな。俺の様に最初期からのプレイヤーしか知らない情報だよ」


 ハッとするミコト。


「私、ゴブリンを種族に選んでた子、知ってます! しかもロードにまで育ててました! まさか……」


「ミコトも知っていたのか! ひたすらプレイヤーキルに執念を燃やしていた子供……」


「「マモル!!」」


 ケンヤは溜息を吐く。


「有り得ない話じゃない……俺達が転移? 転生? したんだ、マモルももしかして……」


「ですね、確かマモル君は召喚士でした! 悪魔を召喚したって言うのも……」


「俺は今の邪神は十中八九マモルだと思っている。シルが直ぐに邪神は動かないって言ってたろ? シルは悪魔の行動原理を理解して言ったんだろうけど、俺は今の邪神がマモルだと思ってたから直ぐに動かないと思ったんだ」


 ミコトは何故? という表情だ。


「マモルは恐らく虐められていたんだ……その鬱憤をゲームで晴らしてたんだと思う。俺に向かって来る時の言動で何となくだが理解出来た。世界を怨んでいる様だったからな」


「なら……この世界で力を手にしたら、その怨み、晴らしたくなるんじゃないですか?」


「誰に怨み晴らすんだ? もうマモルを虐めてた奴は居ないよ? それにな……幾ら転生して強力な力を手に入れたからって、ついこの間まで日本で小学生していた奴に、大量虐殺なんて出来ると思うか?」


 ミコトは確かに……と頷く。


「召喚した悪魔に唆されてって線も考えてみたんだが……シルの話しでは悪魔って俺達が思っている様な悪魔とは違う……だろ? シル」


 …………


 シルは困った顔をするが何も言わない……


「なんにせよ会ってみないとな……後、この世界だが、俺もゲームの世界とは似ているけど違う世界だと思う。ゲームの世界、全て把握してる訳じゃないけど、シルの様な精霊や神龍なんて居なかったしな。ただ俺が知らないだけで、裏ボス的な立ち位置で存在していたのかもしれないが……」


 すると雷龍が声を上げる。


「あの……ゲームってよく分かんないんだけど、私達神龍ってこの世界の誕生から存在していたのよ。 もしこの世界でケンヤさん達の様なプレイヤー? って人達が沢山いるのなら、私やシルちゃんが知らないのはおかしいのよ! ケンヤさんやミコトちゃんの様な力を持った人、沢山居たんでしょ? この世界が誕生してからそんな人居ないよ? 唯一五百年前の勇者アキラぐらいね!」


「だとすると……物凄くよく似た別世界ですね……不思議ですけど……」


 ふむ……


「時代背景じゃないとすると……パラレルワールド? 別次元の並行世界? ダメだ……分からん! 創造主? 神様? みたいな人にでも聞いてみないとな!」


 おどけてそう言うと……


 ゴクリっ!


 雷龍の生唾を飲み込む様な音が……シルも何故か絶句している……

 恐らく神龍もシルも創造主の様な存在を知っているのだろう。


 まあ神龍に大精霊だからな!

 シルの事だ、いずれ話してくれるっしょ!




 そんな話しをしながら歩いているうちに孤児院に到着する。

 まだ早朝にも関わらず、若いシスターが小さな子供達と掃き掃除をしていた。


「おはようございます!」


「ゆ、勇者さ……ま? それに……ま、魔王様? え、ええ!!」


 そんなに驚かなくても……


 すると子供達が!


「「「勇者様だあ!!」」」


 飛びかかって来た……


「み、みんな止めなさい!!」


 シスターはオロオロし、子供達を止めようとするが、テンションマックスの子供を止めるのは不可能だ……

 俺の頭にまでよじ登ってくる子……、背中と前にもぶら下がっている……、両手両足も塞がってしまった……


 俺、こんなに子供に懐かれる様な奴だったっけ?


 困惑し、なすがままになっている……その姿にクスクス笑うミコト。


「ケンヤさん、子供達に大人気ですね!」


「いや……あまり子供とは接して来なかったんだが……何故だ?」


 シルも子供達に捕まりそうだったのだが、上空に避難、カタカタ震えている……


 そんな俺達の様子に、オロオロしっぱなしのシスター。


「ほ、ホントに申し訳ございません! コラ、皆、勇者様から離れなさい! やだ……どうしましょう……」


 シスターの言葉にも耳を貸さない子供達……


「昨晩のトオルとサラのせいだわ……勇者様の事をそれはそれは自慢げに皆の前で話してましたから……」


 なるへそ! アイツらのせいか!


「後、アバロン様が……ケンヤ様は勇者だけど、優しいから何時でも遊んでくれるなんて言っておいででしたから……」


 なに!? よし! アバロンはデコピン決定!!


 なんて騒がしくしていたら、孤児院の扉が開き、トオルとサラが出て来た。


「あ、ケンヤさん! おはようございます」


「騒がしいから何かと思ったら、ケンヤさん、おはようございます」


 そりゃこんなにワイワイしていたらね〜


「悪い、まだ寝てたか?」


「いえ、起きてましたよ! 孤児院の朝は早いんです。小さい子の面倒みなくちゃだし、朝の食事の準備とか色々やる事が多いから」


「旅の間はずっと院長先生やシスターさん達にお任せしてたんで、帰って来た時ぐらいは一生懸命お手伝いしようって!」


 うっ! なんて良い子達なんだ……オジサン感動! 自分は浴びるようにエール呑んでたなんて……とても言えない……


「それよりもさあ……この子達、どうにかしてくれない?」


 トオルとサラに助けを求める。


「こら! お前達! ケンヤさんから離れなさい!」


「「「はーーい!」」」


 素直に離れて行く。


 トオルスゲー!!


 シスターの言う事は全く聞かなかったのに……

 シスターが絶望している……頑張れシスター!


 おっと、そんな事より


「トオル、サラ、ちょっと早いけど街を出ようと思ってな。直ぐに準備出来るか?」


 トオルとサラは顔を見合わせる。


「「はい! 大丈夫です。多分、朝早く出発するかなって、準備はしてましたから!」」


 おお! ウチの子達は優秀です! ウンウン


「急で悪いな! 早く出発しないと、領主やギルド長あたりが『とんでもないお見送り計画』をしてそうだし……」


 トオルとサラは『とんでもないお見送り』を想像し、顔を青くする……


「「す、直ぐ準備してきます!!」」


 孤児院に消えていくトオルとサラ。

 子供達も次々と孤児院に戻って行く。

 子供達が去って安心したのか、シルが俺の肩に戻って来た。


「ふーっ! 何故か生命の危険感じちゃった……」


「ああ、確かに子供って残酷な所あるからな! 昆虫の羽むしり取ったり……」


「あたしは昆虫じゃない!!」


 あの子達からすれば昆虫も精霊も大した違いないかと……これは言ったらキレそうだからお口チャックしましょ!


 そんなこんなで数分後、トオルとサラ、アバロン、それに孤児院長さんに数名のシスター、さっきの子供達に他の子供達も出てきた。


 トオルとサラのお見送りだ!


 院長さんが代表して俺とミコトに話しかける。


「勇者様……いえ、敢えてケンヤさんと呼ばせて頂きますね。ケンヤさん、二人から色々話しは聞きました。まさかトオルとサラが伝説のSランク冒険者になったなんて……正直、戸惑ってます……しかも神龍……ケンヤさん……やり過ぎな様な……」


 おっと……院長さんからジト目が……お説教されちゃう?


 なんて思ってたら、ふっと笑顔になる。


「多分ですがお礼を言った方が良いのでしょうね、二人をこんなに強くして頂いて……」


 院長はミコトに視線を移す。


「貴方が魔王様ですね、二人から話しは聞いています。貴方なら暴走するケンヤさんを諭す事が出来るのでしょう? よろしくお願いしますね」


 ニコリ笑顔を院長に向けるミコト。


「はい! ケンヤさんの手網、しっかり握ります!」


 た、手網……なんか酷くね? トオル、サラ、お前達院長に何言ったんだ!?


「あのう……神龍云々は俺、関係ないかと……」


 言い訳する俺を皆がジト目で見てくる……何故




「そろそろ出発しないと不味いのではごさらぬか?」


 アバロンに指摘される。


 おっと! そうだった!


「流石に今回もロイドさんに迷惑掛ける訳には行かないからな……ここから出発するか! 幸い神龍が具現化しても大丈夫な広さはあるし」


「「え! ここでですか!?」」


 俺はトオルとサラに耳打ちをする。


(院長を驚かせよう!)


 二人は目を剥くが……


(他の子達にトオルとサラのカッコイイ所、見せたくないか?)


 それには二人共乗り気になる。


「じゃあどっちに乗っていく?」


「ん〜、私達は乗せて貰うんだし、神龍さん達に決めてもらいましょ!」


「フッ!」


 トオルの身体から光の粒子が舞い、巨大で幻想的な白金に輝く光龍が姿を現した!


 院長初め、シスターも子供達も目を奪われている。


「はーっ、光龍ちゃん……皆の前でカッコ付けたかった様ね……」


「本当キザ野郎だね……」


「見て、あのドヤ顔……なんかイラつくわ!」


 神龍さん達……


 俺のカッコイイ所って話しに光龍が反応しちゃったか……




「前にも言いましたが、トオルとサラの事は任せて下さい! ってか二人共、もう一人前ですが」


 院長に頭を下げるケンヤ。

 トオルとサラも皆に手を振っている。


「「院長先生、皆行ってきます!」」


 ミコトとアバロンも頭を下げ、それぞれ光龍の背に乗った。

 光龍がその翼を「バサッ」と広げると白金の羽が舞う。


「私のその羽は人族には貴重なアイテムになるだろう」


 光龍は一言残し、空高く舞い上がる。

 光龍の言葉に目を丸くする院長!


「フッ!」


 ケンヤ達はピサロの街を後にするのであった。




「な、何あれ! カッコつけにも程があるわ!!」


「なあ〜にが『貴重なアイテムになるだろう』よ!」


「ホントカッコつける時だけ口を開くんだから!!」



 上空で神龍達の愚痴がこだまする……

 子供に大人気のケンヤ……(*´艸`*)

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