マモル
本日二度目の投稿となります。
いつも通りの修正ですが、元の作品を読んでいない方々は、普段の作風とは違い、少し暗いお話しなので、戸惑うかもしれません……
やっぱりおバカな内容の方が、書いていて楽しいですねw
ご意見、ご感想お待ちしております。
某高級住宅街、その街の一角に建つ住宅の一室。
薄暗い八畳の部屋でゲームにのめり込む一人の少年。
加藤マモル 十二歳
彼がのめり込むのは【ソードマジックファンタジー】、超王道オンラインRPGだ。
そのゲームにて、マモルはとある事に夢中になっていた。
"プレイヤーキル"
プレイヤーを見つけては攻撃を仕掛けていたのだ!
何故そんな事を?
別にプレイヤー同士の戦闘は、運営も認めていて何も問題がある訳ではない。
ただ……
彼のプレイスタイルは異常だった。
ゲーム攻略はほぼ無視、自分よりレベルの低いプレイヤーを見つけてはキルして行った。
当然、他のプレイヤーからは非難されるが、マモルは無視。
自分より高レベルのプレイヤーに囲まれ、逆にキルされる事も度々あったが、その都度、しばらく見かけなくなったと思えば、更にレベルを上げたマモルが仕返しとばかりに、囲んだプレイヤーを見つけては一人づつキルを行うのだ!
マモルは心に深い闇を抱えている。
小学校三年生から現在の六年生までの約三年間、酷い虐めを受けていたのだ!
よく見れば端正な顔立ちをしているのだが、回りより小さい身体、人見知りな性格、虐めの対象になりやすかったのかもしれないし、その端正な顔立ちも、同級生からすれば鼻についたのかもしれない。
しかし……それは虐めと呼ぶにはあまりにも酷すぎた……
最初はそれほどでも無かったが、徐々にエスカレートして行く。
あまりに酷くなった虐めに耐えきれず、学校の先生に相談した事もあったが……
…………次の日から更に酷くなった。
六年生になると人の尊厳を踏み躙る様な事だけで無く、命の危険も感じる様になる。
人に殺されるぐらいなら……
マモルは自殺を計る。
自身の部屋で首を吊ろうとしたのだ。
寸断の所で両親に発見され一命を取り留めたのだが、既に彼の心は壊れかけていた……
彼の両親は病院に連れて行き、カウンセリングを行うもあまり効果は見られない。
学校を休校させ、現在、学校と虐めを行った生徒の親達に対し訴訟中である。
そんなマモルが両親に唯一ねだったのがこの【ソードマジックファンタジー】だった。
種族に選んだのはまさかのゴブリン。
そう! このゲーム、ほぼネタ要素だが魔物も選べるのだ。
種類はスライム、ゴブリンの二種類だげだが……
スライムは女性に人気でアバターに使っているプレイヤーはかなりの数が存在するが、ゴブリンを選ぶプレイヤーは少ない。
マモルは自分にぴったりだと思った。
小さな身体に醜い容姿……レベルが上がり易いのも気に入った。
職業に選んだのは召喚士だ!
色々な魔物を召喚出来る職業で、レベルや熟練度を上げると、召喚出来る魔物の種類も増え、高レベルの魔人をも召喚出来る様になる。
魔法も一通り覚える事も出来、パワーの無いゴブリンには合っていると思えた。
始めた当初は只ひたすらレベル上げに励んだ。
必要なアイテムを手に入れる為、クエストをこなす事もあったが……
幸い休校中の為、時間だけはたっぷりある。寝る前も惜しんでただただレベルを上げて行く。
そうしてレベル60を超えた時、アバターにとある変化が起きた。
二回り程身体が大きくなり、ステータス画面の種族の欄にゴブリンロードの文字が! レベルも1になってはいるが、各ステータスはゴブリンレベル60の時のまま!
他の職業にはこんな仕様はない、恐らく職業ゴブリンだけの仕様なのであろう。
もしかしたらまだ先があるのでは?
マモルはまたひたすらレベル上げに励む。
ゴブリンロードレベル50になると……、マモルはプレイヤーキルを始めた!
ただのレベル50ではない! ゴブリンレベル60を踏まえてのレベル50だ!
生半可なプレイヤーでは適うはずもなく、何百人ものプレイヤーがキルされていく。
マモルは楽しんでいた、ただその表情は純粋にゲームを楽しむ子供の表情でない……醜く歪み、まるでゲームのゴブリンが乗り移ったかの様だ。
そんなマモルだが、何度トライしてもキル出来ないプレイヤーが二人存在していた。
一人はケンヤという戦士職のプレイヤーと、ミコトという魔族と魔導師、変わった組み合わせのプレイヤーだ。
ミコトの方は分かる、魔族のステータスに上級職のコンボ! レベルは上がり辛いが、上がれば強力な組み合わせだ!
しかし、ケンヤの方は意味が分からない……、ただの戦士職なのだ。恐らくかなりレベルは高いのであろう、だが自分もレベルでは負けてはいないと思う。
もしかしたら、戦士職には何か特典でもあるのだろうか?
理由は分からないが、あの二人のプレイヤーをキルする為、またレベル上げに励む。
ゴブリンロードレベル70に達し、キルしたプレイヤーの数が千を超えた頃、また変化が訪れた。
アバターの目が赤くなり、肌は深い紺色に、しかし体格は通常のゴブリン程に戻るが、ステータスは圧倒的に上がっている!
種族名がテューポーンゴブリンとなった!
テュポーン……巨人、神、怪物と言う意味であり、邪神と訳す人もいる。
…………邪神。
この邪神と言う名前にマモルは狂喜する。
更にレベルを上げ、プレイヤーキルを続けた!
レベル90に到達するとケンヤとミコトを探す様になる。
もう狩れる!!
しかしいくら探しても二人は見つからない……、確かに数万いるプレイヤーの中から、たった二人を見つけるのは困難だ。
ただ狂気の執着を見せるマモルは、二人の行動パターンを把握していた。
今まではそのパターンに沿って探し出し、挑んでいたのだ!
だが……
「もしかしたら、もうゲームに飽きてインしてないのかも?」
マモルに絶望感が走る……そう、何時からかマモルは二人に依存していたのだ!
他のプレイヤーは自分を見つけるなり、一目散に逃げる! 決して逃がしはしないが……ただこの二人だけは逃げずに対応してくれたのだ!!
………………その二人がもう居ない。
マモルはヤケになる。
ゲームを始めた初心者ばかりを狙うようになった。
流石にこれには古参のプレイヤーが腹を立て、マモル包囲網を構築するが、もう既にマモルに対抗出来るプレイヤーは居なかった。
新規プレイヤーがどんどん離れる様になると、運営が動きだす。
マモルに対し、これ以上新規プレイヤー狩りを行うなら、アカウントを取り消すと連絡が来たのだ!
確かにマモルはやり過ぎた! だが……
「ここでも僕の居場所はないのか……」
一人呟くマモル。
「あは、あは、あははは! 分かったよ、どうせアカウント無くなるんだ! 皆んな殺してやる!」
プレイヤーを見つけるなり、手当り次第キルを行うマモル……
すると突然強烈な目眩に襲われる。
「な、何これ? まだ殺し足りない! もっと……もっと……殺さなきゃ……殺す? 何で殺すんだろ? あ……、た、助け……て」
そうして意識が途絶えた。
デュポーン……




