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平凡な戦士職が実は最強だったりします!  作者: 司純


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出立

 ブックマークありがとうございます!

 感謝━━━(≧∀≦人)━━━感謝


 さてさて、作品とは全く関係ないのだすが、現在全く違うバカバカしい内容のお話しを書いておりまして……

 この修正と並行して掲載するか思案中であります……


 普通に先に修正終わらせてからの方がよいですかねえ……、この修正の為に休止している作品もあるし……


 

 静まり返るピサロの街。


 魔道具のおかげで夜でも明るいピサロだが、流石にこの時間になると建物の明かりは落ち、街全体が暗くなる。

 所々に街灯は立っているが、昼間ほど明るくはない。

 その暗闇に沿うように進む一行があった。


 ケンヤ達である。


 ケンヤは孤児院でトオル、サラと合流。

 冒険者ギルドの扉にしばらく街を離れる旨の手紙を挟み、南門に向かう。


「トオル、サラ、ちゃんと院長は納得してくれたか?」


 声のトーンを落としトオルとサラに尋ねる。トオルもサラも声を抑え、


「はい! 流石にあの状況じゃあしばらく街を離れた方が良いって、院長先生も言ってました」


「院長先生はケンヤさんとなら心配ないから安心して任せます! って言ってました!」


 シルはクスっと笑う。


「院長も心配性よね〜、二人とも人族最強なのに!」


 シルの言葉に俺も頷く。


「だな! こと戦闘に関しては二人に適う奴なんて居ないだろう、ただまだ二人共色々経験不足だ! なまじ強いだけに騙されたり、利用しようとする奴も今後間違いなく出てくる! 気を付けるんだぞ」


 トオルとサラは真剣に頷く。

 それを聞いたアバロンは鼻息を荒くし、


「もしサラ様やトオル殿に近づこうなど考える輩が現れたなら、このアバロンが蹴散らして見せるでござる!!」


 ちょ、ちょい! アバロン! 声大きいって!


 その声に何かが反応した! 建物の間にスっと影が消えたのだ。


 それを見逃すケンヤではない。


「お前達、ここで少し待っていろ」


 そう言い残し、ケンヤは影が消えた建物の間に走り去る。


 他の皆は一瞬で消え去ったケンヤに驚く。


「何があったのか分かんないけど……、目の前からケンヤさんが消えた……なんてスピード! 俺、軽戦士としてもっとがんばろ……」


「お兄ちゃん、ケンヤさんと比べたらダメだよ!」


「トオル殿、あの方は魔人であるこのアバロンを、デコピンで沈める方でごさる……、共にその高みまで頑張りましょうぞ!!」


「トオルは頑張ってるよ! このシル姉さんが保証するからもっと自信もって! ビシっ」 


 皆がトオルを慰めてる間、ケンヤはその建物の間の路地で何者かと対峙していた。


 最初誰かに見つかり付けられていた? と思っていたケンヤだが、どうやらそうでは無さそうだ。


 黒いフードを被り、全身黒ずくめの男。

 ケンヤに見つかった事に動揺もせず口を開く。


「まさか人間如きに我の動きを察知されるとは、貴様、只者ではないな。まあいい! 死んでおけ!」


 黒ずくめの男は剣を抜く。

 その剣の刀身に黒いモヤの様な物がまとわり付き、それまで銀色だった剣が漆黒に変わる。


 ニヤリと笑う黒ずくめの男、サッと斜めに移動し、次にケンヤに向かい剣を振り下ろす。

 黒ずくめの男にしてみれば、斜めの超スピードで視覚から消え去り、相手は何も出来ずに首が落ちるはずであった。


 しかし! その漆黒の剣は空を切る。


 そして意識が途絶えた。




 ケンヤがなにをしたかというと、ただ避けて後ろに周り手刀で首筋を痛打! 意識を刈り取ったのだ。


 こいつイキナリ斬りかかって来やがった! 何者だ? しかも今の黒い剣、暗黒剣だよな? 暗黒騎士か!!


 暗黒騎士


 ソードマジックファンタジーの職業の一種。

 暗黒剣の使い手でその剣に様々な暗黒魔法を付与できる、ソフィアの聖騎士とは真逆の性質を持つ騎士だ。


 足元に転がる黒ずくめの男を眺めていると、皆が集まってきた。


「ケンヤさん、どうしたんですか?」


 トオルが尋ねてくる。ケンヤは黒ずくめの男を指差した。


「コイツが突然襲ってきたんだ。なんが人族如きとか言ってたから人じゃないのかな?」


 アバロンはしゃがみ込みその男のフードを剥がす。


「こ、コイツは! 邪神の使徒……」


 邪神の使徒?


「アバロン、お前コイツが何者か分かるのか? それに邪神の使徒ってなんだ?」


「はい! この姿、邪神の使徒で間違いないかと! 邪神の血肉を取り込みこの様に変化した、恐らく元は人族でござるよ」


 げっ! これが元人族? 鬼とかにしか見えない!


「邪神の使徒だとすると……、ケンヤ殿、拙者のする事、少しだけ黙って見ていて欲しいでござる」  


 アバロンはそう言い、気絶している使徒をうつ伏せにし、使徒の延髄辺りに指を突っ込んだ!!


 あ、アバロンさん……、何してらっしゃるの!?


 皆、アバロンの行為に目を見張る。


 そしてグニュっと何かを摘み出した!

 アバロンの指にはウネウネと蠢く肉の塊の様な物が!!


 トオルとサラは「ゴクリ」生唾を飲む。


「これが邪神の細胞の一部でござる。まさかと思ってたでござるが、拙者も実物を見たのは初めてでござるよ! これは危険なので消滅させるでごさる」


 アバロンは魔法を発動させ肉の塊を焼却。


「昔、魔人達にも同じ様に邪神の細胞を植え付けられた者達が居たでござるよ。頭に角が生え、目は赤く充血し、肌は紺、聞いた通りの見た目でござるな! 取り込んだ血肉が延髄辺りに集まり、その者をまるでゴブリンの様な見た目にし、邪神の力の一部を使える様になるでござる」


 ゴブリン? 言われてみれば確かに色の違うゴブリンに見える。


「邪神の力の一部って?」


「拙者も全て把握してる訳ではござらんが、代表的なのは自己修復能力、転移魔法、透明化、後肉体強化等でござるな!」


 なかなか厄介な能力だ。


「んーー、ハッ! こ、ここは!?」


 邪神の使徒が目を覚ましたようだ、皆警戒体勢に入るが、アバロンが手を広げそれを制した。


「多分、もう大丈夫でごさるよ。邪神の細胞は取り除いたでござるから、邪神の縛りからは解放されているでござる。ただ変化した外見は治せないでござるが……」


 ケンヤは邪神の使徒の前にしゃがみ込む。


「お前、何者だ? ここはピサロの街だ、 分かるか?」


 使徒は何が起きているのか把握出来ず混乱している。

 回りをキョロキョロ見渡した後、しばらく考え込み、ぽつらぽつら話し出した。


「お、俺は……帝国のAランク冒険者だった……、名前は……タスク」


 ……Aランク冒険者タスク。


 タスクは自分の記憶を探る様に話す。


「Aランクに上がった時、皇帝から呼び出され、何やら赤い飲み物を飲まされた」


 タスクはハッと顔を上げ、


「…………………あ、あの時からだ!! 全てが操られているような感覚、自分が自分で無いような……」


 アバロンは「やはり」と頷く。


「そなた、操られていた時の記憶はあるのでござるな?」


 アバロンの問にタスクは頷いた。

 ケンヤは、帝国で何が起こっているのかを聞く。



 タスクによれば、帝国は民を能力や才能によって選別しているそうだ。


 希少な職業の者には積極的にダンジョンに潜らせレベルを上げさせる。

 そうで無いものはただただサポート役で、その帝国内での地位は低い。


 そしてレベルや熟練値の上がった者は皇帝直々に呼ばれ報奨を貰える。

 帝国内の冒険者にとってそれは名誉な事であり、ダンジョンでレベル上げを許された者達は、皆必死にそこを目指す。


 タスクもその一人であった。


 …………ただそれは違っていた!


 優秀な者を育て、強力な邪神の使徒を作り出す為の儀式だったのだ!!


 タスク自身、儀式を終えてから知ったのだが、帝国の上層部は全て使徒だった。


 地方の領主も含め、貴族と呼ばれている者達は全て使徒で、そして使徒達はまるでアリや蜂の様に一つの意思として、邪神復活の為だけに動いている。


 皆、唖然とし、その話を聞く。

 そんな中、アバロンがタスクに質問をする。


「しかしそんな数の邪神の細胞……、どうやって……? 邪神は五百年前に一度滅んでいるでござる! そんなに血肉を手に入れる手段ないでござるよ?」


 確かにそうだ! ケンヤ達も不思議に思う。


「その五百前の邪神と勇者、魔王との戦いの後、いち早く調査に赴いたのは我々帝国なのだ! 何せ邪神のいたダンジョンは帝国領内だったからな!」


 ケンヤはゲーム内での地図を思い返す。


 確かに南北に長い帝国領、その極寒の地に確かダンジョンあったな!


 タスクは続ける。


「その調査の際に我々の祖先は見つけてしまったのだ! 邪神の左手と思われる物を!!」


 じ、邪神の左手…………


「当時の調査隊がどの様な思惑で、その左手を持ち帰ったのか分からない。ただそこから帝国は変わり始めた! 先ず持ち帰る途中、調査隊に異変が起きる。そしてその左手を研究すると称して、細胞の培養を始めたのだ! 当初皇帝もその研究を止めようとしたらしいが、いつの間にか率先し研究を進める様になる。それからは……大体予想はできるだろう?」


 それまで固唾を飲んで話しを聞いていたトオルが口を開く。


「あ、あの……、その邪神は何が目的……?」


 その質問にタスクはトオルの目を見つめ


「私が操られていた時に邪神から送られて来た思念は……世界の破壊! ただ破壊だ! そして復活した際に先ず狙われるのは魔族達であろう。 人族はそれ程驚異には思っていない。ただ精霊と人族の英雄が出会い、勇者となる事は恐れていた。私が此処に来たのは、その英雄が精霊と出会う前に処分する事だ。そこにいる魔人も含めてな。しかし……既に出会っていたのだな……」


 タスクはケンヤとシルに視線を送る。


「貴方達にこんな事を頼むのは筋違いかもしれない、だが敢えて頼む! 帝国を救ってくれ! 人族の勇者よ!!」


 ケンヤ達に土下座するタスク。


 お、俺が一国を救う? マジ? 出来る訳ないっしょ!!


 トオルとサラは物凄く悲しそうな、そして期待もこもった目を俺に向けてくる!


 お、お前達……


 アバロンは土下座をするタスクの肩に手を置き、チラチラ俺を覗き見る……


 アバロンさん……、デコピンして欲しいのかな?


 シルまでタスクの頭を撫でニヤっと笑いやがった!!


 ああああああ!!!


 髪の毛を両手でグチャグチャにかくケンヤ……


「帝国を助けれるかどうかは分からん!! けど魔族領を目指し魔王に会う! 帝国云々はそれから!! 結局魔王に合わないと邪神と戦えないんだろ?」


 タスクはパッと顔を上げ、


「ありがとう! ありがとう!」


 涙を流す。


 はぁ〜、勇者認定に適うかどうかも分からん邪神とかと戦うの? ただレベル高いだけの戦士職なんですが……


 ケンヤが絶望感に浸っているとアバロンが「あっ!」と声を上た。


「ケンヤ殿! 不味いでござる! もうすぐ夜明けでござる!!」


 あっ! やっべ!!


「タスクさあ、夜が空けたら冒険者ギルドに言って、今の帝国の事をギルド長に伝えてくれ! ケンヤからって言えば……俺からっていう証拠が必要か……なら」


 ケンヤはアイテムボックスから真新しいミスリルソードを取り出す。


「それを見せれば俺からって事の証拠になるから! 頼んだぞ!」


 タスクは渡された美しい剣に目を丸くする!!


「な、なんと美しい剣だ! こ、これはフルミスリル!! 帝国にもこんな剣作る技術はない! 一体どうやって……」


 しきりに関心するタスクに釘を刺す。


「それはいいから、ちゃんと伝えてくれ! 分かった?」


 頷くタスク。


「よし! 皆んな急ぐぞ!!」




 そうして街を出るケンヤ達。


「ケンヤさん、魔族領ってどうやって行くんですか?」


「魔族領に行くには帝国を抜けないと……」


 不安気なトオルとサラ、そんな二人にケンヤはとびっきりの笑顔を向ける。


「それは任せておけ! ちょっと過酷だけど抜け道があるんだ! 付いて来れば分かるよ、今のお前達なら問題無く通れると思う」


 か、過酷……あんな笑顔で……


 ケンヤさんが過酷と言うのだ……、普通の人間は絶対に無理な所通るんだろうな……

 しかもあの笑顔……ただ通り抜けるだけでは済まなさそう……



 皆の足取りが少し重くなるのであった……

 アバロンさん……素手で変なもの触っちゃあダメ! (`・д・)σ メッ

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