魔族達の結束
本日二度目の投稿となります。
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「この様な種族、見た事が無い……」
魔族領アイザッフィル。
ベリトの居城地下にある牢に、魔力を縛る拘束具を付けられたマイルの姿があった。
人の姿をしていたマイルは、その拘束具のせいか変幻の魔法が解け、本来の姿を現している。
頭に角が生え、肌の色は紺、瞳は赤い。
その赤い目でベリトとマリアを睨む!
「貴様ら魔族などにこの気高い姿を晒すなど屈辱だ! 何故転移の魔法が発動しなかった! 答えろ!」
拘束されていてもマイルは強い姿勢で二人と対峙する。
余程自分の強さに自信があるのだろう。
そのマイルをマリアは鼻で笑う。
「そんな事、貴方が知る必要はごさいません! 貴方はただ私達に情報の提供をすれば良いのです」
「ふん! 私が口を割るとでも?」
マイルの答えにクスっと吹き出すマリア。
「あら、貴方かなり口は軽い方かと? 魔王様の前で魔族の魔力を削る云々言っていたではありませんか」
マイルは下を向く……
自分の事を見破った魔王とマリアに、なんとか一泡吹かせようと思わず口が滑ってしまったのだ!
己の失言を悔やむマイル。だが!
「だからどうした! 既に魔族の魔力は落ちている! 今更どうする事も出来まい」
その言葉にはデイルが応える。
「お前さん気が付いてないのか? 魔王様がご降臨されてから徐々にではあるが、魔族領の魔力が満たされていっている事に」
マイルは目を見開く!
「ば、馬鹿な!」
「私も理由は分からんがな」
ベリトは魔力増加の原因を掴んでいるが、わざわざマイルに教える必要は無い。
ベリトはマリアを見やる。
「マリアよ、そろそろではないか?」
その直後、マイルを拘束している拘束具に付いていた宝玉が赤から青に変わりゴトリと外れた。マリアはその宝玉を拾う。
「念には念をいれてもう一つ宝玉を使いましょう」
真新しい赤い宝玉を取り出し、拘束具に取り付ける。
マイルには何をしているのか理解できない。
「な、なにをしている!」
マリアはそれには応えず、じっとマイルの様子を観察している。
すると……
ガクっ!!
突然全身の力が抜けた!
「ぐっ! ち、力は入らん……何をした!!」
マリアはその様子に驚く。
「宝玉二個必要とは……凄い魔力量ですね、一体どう言う種族なのでしょう? まあそれもこれから分かる事ですが」
宝玉が完全に青くなる頃には、ぐったりとした様子で口にも力が入らないのであろう、ヨダレを垂らし、力無くマリアを見つめている。
「じゃあ説明しますね。貴方の魔力をこの拘束具で絞り取らせて頂きました。私の魔力より上の貴方には私の魅了は効きません、そして魅了されている者にも」
その言葉にマイルは戦慄を覚える!
ま、魔力を絞り取るだと! まさかその上で洗脳する気か! くっ、ある程度の情報は漏れるやもしれん……
しかし、この様な時の為に我々斥候部隊はあの方から魅了されている! その魅了を解かない限り、重要な情報が漏れる事は絶対無い!
まだ目に力が残っているマイルをマリアは慈しむ様に見下ろす。
「期待している所ゴメンなさい……その拘束具と宝玉、かかっている魔法やスキルも吸いだせるのよ? 凄いでしょう」
マイルはその言葉に絶望する。
なんとか抗おうとするが、全く力は入らず魔力も空の状態ではどうする事もできない。
「では、始めましょうか」
マリアはかがみ込みメガネを外すとマイルと目を合わせる。
マリアの金色の目が怪しく光り、魅了眼が発動された。
マイルはベリトとマリアの質問に一つ一つ丁寧に応える。
マイルから発せられる陰謀の数々に戦慄し、全て聞き終えた頃、ベリトは剣を抜きその首を跳ねた。
ベリトの城の謁見の間。
そこにこの魔族領の有力者全員が集められていた。
当然ミコトの姿もある。
ミコトは玉座に座り、その横にベリトが控え、その後ろにはマリアの姿も!
マリアは緊張するから近くに居て! とミコトに懇願されこの位置だ。
ミコトの前にはベリト以外の三人の領主、オズマ、ドリス、ラダが臣下の礼を取り、その後ろにはそれぞれの領の有力者の姿がある。
ミコトはその者達に声をかける。
「か、顔を上げて下さい!」
未だにこういう場は緊張するミコト。
皆が顔を上げ、一斉に視線をミコトに向ける。
ひっ!
声にならない声をあげてしまう……
ただ今回はそんな事は言ってはいられない! 魔族達にとっての一大事だ! 頑張らないと!!
ミコトはベリトとデイルから事前に帝国の陰謀を聞かされていた。
驚いたミコトだが、自分に何が出来るのか分からない。
今回皆に集まって貰ったのも全てベリトの指示によるものだ。
ベリトにチラり視線を向けるミコト、ベリトは頷いて口を開く。
「皆、ご苦労! 今回この魔族領、いや! 魔王様に重大な危機が訪れようとしている」
ま、魔王様に重大な危機!?
領主達含め、集まった全員が驚き、そして憤る!
「先日、帝国からの使者マイルの不敬、皆話は聞いているな!」
皆頷く。
その話しを聞き、ベリトに直接マイルの始末を願いでた者も一人や二人ではない。
「そのマイルが口を割った! 帝国の五百年に渡るとんでもない計画だ!」
五百年と言う数字に皆押し黙る。
「では話しをしよう。先ず五百年前、我々と人族との戦争の歴史、それは帝国による情報操作により歪められた嘘の歴史だ! 事実は当時の魔王様と人族の勇者が共闘し、邪神なる者を倒したそうなのだ!」
じゃ、邪神! それに人族と共闘? 驚愕に包まれた。
ベリトは語る。
魔人は邪神に操られていたたげで、魔族や人族と敵対したかった訳では無い事。
魔人の王が当時の魔王に救いを求めて来た事。
「そしてここからが重要だ! これらの事実は先程も申した通り、五百年に渡り帝国が事実を歪め、我々と人族との接触を避ける為、即ち魔王様と人族の勇者との共闘をさせない為だ! 何故そんな事を? 不思議に思うであろう、邪神なる者は既に倒された! しかし、帝国の者達は知っておったのだ……、五百年の後、邪神は復活すると!!」
当時の魔王と人族の勇者、その二人が共闘しないと倒せない相手の復活……
「マイルによると、既に邪神復活の兆候は現れているそうだ! そして恐らくだが、復活した邪神は先ず魔王様を狙ってくるだろう!」
魔王様を狙うだと!!
ザワりと皆の魔力が膨らむ。
「奴らは長い年月をかけ、我々の魔力を削っていったようだ。我々魔族の魔力が以前程の物でないのはそのせいだ!」
魔力を削る……! 一体どうやって!!
皆ベリトの次の言葉を待つ。
「奴らは魔都に六芒星の形に魔道具を埋め、魔力を吸い取っていたそうだ! そして魔道具に魔力が溜まる頃、使者として魔族領に訪れ魔道具を回収、新たな魔道具を埋める。そんな事をこの五百年繰り返して来たらしい……、なんと言う執念か! 余程我々魔族の力を恐れていたのかもしれんな」
ベリトは皆を見回す。
「だが魔王様ご降臨の際、あの虹色に輝く光の柱、皆見たであろう? 恐らくだがあの光により、その魔道具は全て破壊された! 実際六つの破壊された魔道具の確認は出来ている。そして皆、実感しているのではないか? その身の魔力の高まりを!」
確かに! 以前に比べ魔力が高まってるのを感じる。
「そうなのだ! 徐々にではあるが、我々魔族の魔力がかつてのものに戻ってきている。例え邪神なる者が復活しようとも、何としても魔王様をお守りしようではないか!!」
「「「うおー!!!」」」
邪神、帝国の陰謀、突然の事で混乱はしているが、魔王を守る! この一点だけで魔族達は一つに纏まる!
「では先ず、帝国との国交を断絶する! エルフ族達ともな! 族長は洗脳されてはいなかったが、他の者達は分からん。それと東の砦を復活させる! 魔王様、魔王城改修の人員、砦改修に回します。魔王城の改修、遅れてしまいますが、ご了承下さいますか?」
ミコトは黙って頷く。
「細かな事は追って通達する。本日はここまでだ! 魔王様、ではご退場を」
ミコトはマリアに手を取られ退出して行った。
残された三人の領主と有力者達。
皆、まだ混乱している中、領主の一人であるドリスが口を開く。
「驚いた! まさか人族との戦争が帝国によりねじ曲げられた嘘の歴史だったとは……」
その言葉にラダも
「だな! それに五百年もかけて我々の魔力を奪っていたなど……後、邪神か……」
そんな中オズマだけは呆けた顔で佇んでいる。
「お、オズマ殿、大丈夫か? 余程ショックだったようだな」
ドリスが声をかけるとオズマは……
「ああ〜! 魔王様……神々しくお美しいお姿、このオズマ、オズマ! あああ〜!!」
ドリスとラダは目を合わせ同じ感情を抱く。
オズマ……、マリアに家督譲った方が……
他領の心配をする二人の領主なのであった……
真面目な話しだったので、無理やりオチを付けた回だすなw




