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トオルとサラ

 一旦剥がれたブックマークが戻って来てほっとしている司純だすε-(´∀`;)ホッ


 今回も何時もの如く数字の統一と、少し文章つけたしました。

 気づいて頂けるかしら?w


 ご意見、ご感想お待ちしておりますm(_ _)m

 冒険者ギルド内の解体場、ここに冒険者は通常、討伐した魔物を持ち込む。


 当然の事ながら、宿の厨房に直接持ち込んだりはしない……

 気にせず厨房に持ち込むケンヤや、喜んで受け取るオリバが異常なのだ。


 受付で生け捕りしたバサンを何処に持って行ったら良いか聞いたら、此処に持って来るよう指示された。


 そうして四人は解体場に足を踏み入れる。

 解体場にも入り口付近に受付があり、そこには男性職員が対応していた。


「こんちは〜、バサン持って来たんですが、何処に放したらいいですか?」


 職員に尋ねる。


「バサンですか、あの隅にある柵の中に放して下さい。お〜い、誰か見てやってくれ」


 頭にタオルを巻いた威勢のいい兄ちゃん! って感じの人が「うぃーっす」と手をパンパン叩きながらやって来た。


「お、トオルにサラじゃねえか、またバサン持って来たのか」


 トオルの背中にあるバサンに目を止める兄ちゃん、何度か持って来てるだけあって顔見知りのようだ。


「はい、お願いします


 トオルは首の無いバサンを渡すと、兄ちゃんは何やら紙にさらさらっと書いてトオルに渡した。


(なるほどチェック用紙見たいな物か、あれ持って受付で換金するんたな)


「あんたは捕獲か? ってかバサンどこだ?」


 不思議そうにする兄ちゃん、アイテムボックスから一匹づつバサンを掴み柵の中に放つ。十五匹全部放して振り返ると、皆あんぐり口を開き固まっていた。


「アイテムボックス持ちか!」


 トオルとサラは「すげーーっ!」と目を輝かせ、尊敬の眼差しを向けてくる。


 シルは柵に放したバサンに乗っかりキャッキャしていて……


「こ、こらシルやめなさい!」


 どんだけバサン好きなんだ?


 俺と精霊であるシルとのやり取りに気付いた兄ちゃん、更に目を剥き驚きの声を上げる。


「あんたが精霊を連れた戦士ケンヤか!」


 ……なんか変な二つ名付いてる。


「シルとはたまたまです。普通の戦士なんでそんな畏まらないで下さい」


 居心地悪くなってきた……


 まだ何か言いたそうな兄ちゃんを急かし、バサンをチェックしてもらって解体場から逃げる様に去る。


 解体場を出ると双子が興奮した面持ちで


「ケンヤさん、アイテムボックス持ちだったんですね! 手ぶらだったんで、不思議に思ってたんです」


(ギルド長も言ってたけどこの世界、アイテムボックスはかなり貴重みたいだな)


 面倒くさい事になりそうだ……


「アイテムボックスの事は別に隠してはないけど、あまり言いふらす様な事は慎んでくれな」


 トオルは真剣な表情で頷く。


「そうですよね! 変な奴とか寄って来そうだし!」


 サラも握りこぶしを作り


「ケンヤさんは私が守ります!」


 サラさん……なんで?


 するとシルも調子に乗り


「あたしもケンヤをまもる! ビシっ」


 はいはい……




 そんなこんなで受付に向かう。

 受付をしてくれたのは、依頼を受けた時も対応してくれたサチさんだ。


「サチさん依頼終わりました! さっき解体場にバサン卸して来たんでお願いします」


 サチさんに用紙を渡す。サチさんはサッと目を通し


「依頼達成ですね、おめでとうございます。バサン十五匹で七千五百ゴールドになります」


 微笑んでるサチさんからお金を受け取る。

 お金を渡す際、下からそっと俺の手の甲に指を添えるサチさん。

 チョンっ! サチさんの指が俺の手の甲に微かに触れた!!


(惚れてまうやろ!)


 柔らかな指の感触にドキドキのケンヤ、そんなケンヤの心情を察しているのかいないのか、サチはケンヤの後ろにいる双子に気付き声を掛ける。


「あら! トオル君とサラちゃん、確かあなた達もバサンだったわね」


 トオルとサラもバサンの報酬を貰った所で、俺がついでにとサチさんに事情を話した。


「この子達を鍛える事になっちゃったんで、パーティ登録したいんですが」


 サチはキョトーンとしている。


「き、鍛える? ケンヤさんが? トオル君とサラちゃんを? な、なんて羨ま……い、いえ、なんでそんな事に?」


 二人を鍛える事になった経緯を聞かせた。


「なるほど、確かに見習いの内は、誰かに付いてもらった方が安心ですが……」


 何故か納得しかねているサチさんに、トオルが身を乗り出し訴える。


「ケンヤさんむっちゃくちゃ強いんですよ! 一振でスライム数匹倒しちゃうんですから!」


 ……だってスライムだし。


 サラもトオルの話しに頷きながら


「私あんなに凄い剣技初めて見ました! そんなに歳変わらないのに凄いです」


 中身は四十九……アラフィフです。


 何故かシルまで……


「シュパパパパでズッキューンなんだから!」


 ……意味分からん。


「ケンヤさんがたまたま近くに居たんで、私達怪我なくピサロに帰って来れたんです。ケンヤさんがいなかったらと思うとゾッとします……だから私達もケンヤさんみたいに強くなりたくて、無理にお願いしたんです。ケンヤさんに鍛えてもらうのはダメなんでしょうか……」


 そんな二人の様子に、サチさん何故か思いっきり動揺している……目の上に何本も縦線が見えるのは俺の気の所為かしら……


「べ、別にダメではないですよ! ええっ、パーティ登録ですね。了解です! すぐにしましょう!(これは早速定例会に……)」


 サチさんどうした……なんかブツブツ言ってるし……


 サチさんにパーティ登録してもらい、トオルとサラ二人と晴れてパーティになりました。

 ゲーム時代含め初パーティだ! 俺、上手くやれるかしら……



 パーティ登録の後はスライムの魔石買い取りだ。

 ギルド長の所に行くがなんか元気がない。


「ギルド長なんかあったんですか?」


「…………ケンヤか……何故かあれからギルドの女性職員が儂に冷たいんじゃ……儂そんなに悪い事したかのう」


 ふ、負のオーラがすごい……


「儂はギルドの為と思って……ブツブツブツブツ……」


 シルが頭を撫でている。

 トオルとサラは完全に引いている……


「と、とりあえずスライムの魔石換金して貰えません?」


 ギルド長は、はっ! っと我に返り


「ま、魔石じゃな! またお前さん沢山持ってきたのう」


 ホッ、少し回復したみたいだ。


「今回はこの二人の分もあるんで」


 二人の分? ギルド長はトオルとサラに気づく。


「ん? 二人共見習いのようじゃが?」


「さっきパーティ登録してきたんですよ」


 それを聞いたギルド長は目を丸くし


「ほほ〜! お前さんがこの子達を鍛えるか! それは成長が楽しみじゃな!」


 あんまり期待されても困るんですが……


 双子を鍛えるという言葉に、さっきまで頭を撫でてたシルが反応する。


「ケンヤがこの二人を世界最強にするの〜! ビシ」


 いや、しないし……


「「ケンヤさん世界最強めざします!!」」


 二人共すっかりシル色に染まったねえ〜


「目指さなくて良いからね! ってか俺のプレッシャー半端なくない?」


 そんな茶番を繰り広げながら、ギルド長に魔石を換金して貰う。


「この金は皆で分け合うぞ」


 俺の提案にトオルとサラは驚き、首を思いっきり横に振る。


「ケンヤさんダメですよ! これ殆どケンヤさんが稼いだお金じゃないですか!」


 そりゃ遠慮するか、けどパーティってそんな感じだったはず! 多分……


「俺達はパーティだからな、パーティで稼いだ金は皆で分け合う。確かにこの金はパーティ組む前に倒したスライムの物だけど、換金に来た時はもうパーティ組んでただろ? だから分け合うの!」


 するとシルが突然トオルとサラの前に飛び出した! 説得してくれるのかと思いきや


「さてケンヤは今、何回パーティって言ったでしょうか!」


 シルさん……期待した俺がバカだった……


「「三回!」」


 二人共答えなくてよろしい!


「ブッブーー! 四回でした!!」


 ……


「と、とりあえず、これからは皆で分け合うぞ!いいな」


 トオルもサラもお互いの顔を見合せ、まだ納得言ってない様子。


「このパーティのリーダーは誰だ?」


 そりゃあケンヤさんと答る。


「そのリーダーの俺が決めたルールだ! だめか?」


 暫し考え込むトオルとサラ、俺が折れないと察したのか


「分かりました! けど俺達も頑張って、強くなって稼げる様になります!」


 その様子をシルはニコニコしながら眺めていた。




 ギルドを出ると辺りは暗くなり始めている。


「じゃあ今日はこれで解散だな、明日朝ギルド集合でいいか?」


 トオルとサラは元気に「はい!」と応え帰って行った。


「さて俺たちも帰るか、腹減ったしな」


 何故かシルがニヤニヤしながら俺を見てる。


 なんだ? 


「いや〜、オリブちゃん親子といる時もそうだけど、あの二人と出会ってからケンヤ、すっごい楽しそうにしてるからさっ」



 えっ?



 固まってる俺をシルはいつもと違う優しい表情で微笑んでいた。




 ケンヤと別れた双子の兄妹トオルとサラ。

 二人は帰る道すがら、今日あった出来事を興奮気味に話していた。


「まさかまさか精霊を連れた戦士! ケンヤさんに指導して貰えるなんて! くう〜っ! 今日はオレ興奮して眠れないかも!」


「だよね! 噂じゃあのオーガも一刀両断したらしいよ!」


「それ俺も聞いた! 最初聞いた時まっさかあって思ってたけど、今日のあれ見たら納得したわ!」


「ケンヤさんって、見た目も凄くカッコイイけど、中身はもっと素敵であんな人いるんだね」


「だな! 俺もあんな風になりたいなあ」


「今日は魔石のお金も貰えて、いっぱい食料買えたから皆喜ぶね!」


「うん! 今日は皆で腹いっぱい食お!」


「だね! あ、話しに夢中になってたらもう着いちゃった」


「ただいま! 今日はかなり稼いだからいっぱい買ってきたぞ」


 トオルとサラは孤児院の扉を開き、入って行くのであった。



 サチさんの対応、現在のコ〇ナ禍では有り得ないですな……

 けどあの対応、男子なら皆ドキドキした経験あるはず!!


 

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