倶利伽羅の剣
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さてさて、今回を含め残り三話! よろしくお願い致しますm(_ _)m
天体の様に集められた邪神の元へ、斬魔刀と幻魔刀を構え突撃するケンヤだが、近づけば近づく程その巨大さに圧倒されてしまう。
「これ……何億……いや、何百億の邪神で出来てんだ?」
剣だけでこの天体の様な邪神群を破壊するのは……
「それにちょっと思ったんだが、これ反対側はどうなってんだろ? 太陽の熱をそのままダイレクトに受けているんだよな……恐らく……」
目を背けたくなる程の状態になっているに違いない……
「…………」
ルシファーもこの裏側がどうなっているのか想像し、絶句してしまっている。
時間の事を考えれば、とりあえずこの天体の様な邪神群を無視し、迂回してアルファの元に向かうのが正解なのだ!
だが、ケンヤもルシファーも目の前の無惨に折れ曲がり、重なり合う邪神達を放っておけないでいる。
「ケンヤさあ、なんかすっごい武器とか持って無いの? 一瞬でスパーンとか切れるやつ!」
シルさん、そんな武器あるわけ…………あっ!!
「一応、戦士職最強と謳われている武器は持っているけど、レベルが足りないから装備出来ないんだ……ゲームでは次元や空間を切り裂く剣と言われていたから、装備さえ出来れば何とかなると思うんだけど……今更レベルを上げる時間なんてねえし……」
「レベル? それなら僕と融合した時点でかなり上がっていると思うよ? ってか、今のケンヤはもう人族じゃないから、下手したらレベルって概念もなくなってるかも?」
へっ? 人族じゃない?
「うん、アキラがヒューマンからハイヒューマンに進化したようにね!」
久々にコンソールを開くケンヤ……そこには!!
ケンヤ レベル∞
種族:亜神
職業:戦士
ちょいちょいちょい!? レベル無限大って何? 種族が亜神!?
「レベル無限大……恐らく本来の意味の無限大って事じゃ無く、レベルの概念が無くなったって事か? それに亜神って……俺、神になったの?」
ステータスの表示もない……
「神みたいだね〜、ステータスの表示が消えたのも、表示出来ない程上がったからかな?」
マジかよ……ってかルシファーさんが軽いよう……
「ケンヤさあ、早くしないと不味いんじゃない?」
シルに指摘され、そうだったと改めて邪神群と向き合う。
アイテムボックスに手を入れ、ひと振りの剣を取り出した。
倶利伽羅の剣
その刀身には黒い炎を纏った黒龍が巻きついており、この黒龍を倶利伽羅龍王と呼ぶ! かの不動明王の化身とも言われる龍であり、この剣の名の由来となっている。
初めて鞘から抜け出た倶利伽羅龍王は歓喜の咆哮を上げ、纏っている黒炎がいっそう激しく燃えがった!
龍王はチラリとケンヤを見やる。
言葉は無くとも、この龍王がケンヤに恭順の意を示している事が感じ取れた。
この剣なら!!
ケンヤは倶利伽羅の剣を両手で握り、真っ直ぐ真上に構え目を瞑る。
瞬間! 龍王の口から黒炎が吐かれ、その炎は一直線に伸びて行く!
かっ!!
目を見開き、ゆっくりと剣を振り下ろした!
シルはあれ? と言う表情をしている。
その刀身は天体に届いてないのだ!
「ケンヤ……切れてないよ?」
ケンヤはチラリ横目でシルに視線を向ける。
「それよりシル、このままだと太陽光をそのまま浴びる事になる! 急いで結界を張ってくれ!」
首を傾げながらも、言われた通りにシルが結界を張ると……邪神で出来た天体が徐々にふたつに割れて行く!
割れた箇所から次々に太陽の引力に引かれ落ちて行く邪神達……そして太陽に焼かれ燃え滓になって行った。
その様子を眺めるケンヤ……今にも涙が零れそうな表情になっている。
「彼らは天体にされた時点でもう……ケンヤ、君が悲しむ事はない。君が彼らを救ったんだ」
慰めの言葉をケンヤに掛けるルシファー、シルも心配そうにケンヤを見つめる。
「ルシファー、シル……こんな所で悲しんでる余裕は無かったな! 皆も必死で戦っているんだ! このままアルファの元に突っ込むぞ!!」
ケンヤは顔を上げ、太陽に向かい物凄いスピードで突入して行った!
落下する邪神達を追い抜き、もうすぐ太陽の表面に到達するという所で、アルファの防御装置! 巨大なコロナがケンヤ達を襲う!
寸前の所でかわすも、あまりに巨大なコロナが何度も襲いかかり、前に進む事が出来ない。
一度後退するケンヤ。
「コイツはヤバイな! マトモに喰らえばシルの結界の中でも消し炭になってしまう……一体何万度あるんだ……」
すると倶利伽羅龍王から意思が伝わってきた!
ワレヲツカエ
ケンヤは手に持つ倶利伽羅の剣を見つめ、
「出来るんだな!」
剣に語りかけ、シルに指示をだす。
「シル! あのコロナを斬る! 今の結界じゃ剣を振るえない。あの薄い空気の層にしてくれ!」
そのケンヤの指示に驚くシル。
「ちょ、ケンヤ! アレじゃあちょと掠っただけで消し炭になっちゃうよ!」
「大丈夫! この倶利伽羅の剣ならコロナを斬れる! 斬りながら太陽に突っ込むから、そのタイミングで結界を張ってくれ! 太陽の表面温度ならシルの結界で耐えられる。だけど太陽の中はどうなっているのか見当がつかない。状況に応じて結界の重ね掛けをして欲しい!」
そう言って飛び出すケンヤ。
「もう! 仕方ないわね! 付き合うわよ!」
なんだかんだケンヤの頼みを聞いてくれるシルである。
ケンヤはクスっと笑い、襲ってくるコロナに向かい倶利伽羅の剣を振るう!
切ったコロナはその切り口の先から消滅していた!
「コレなら行ける!!」
次々に襲いかかるコロナを剣で消滅させながら太陽の表面に近付いて行く。
何十回剣を奮ったろうか……、ようやく防御装置を掻い潜り、太陽表面に到達! 一気に太陽の中に突入を試みる!!
「シル! 結界を!!」
「アイアイサー!!」
だから何処でそんな言葉覚えてくるんだ?
こんな状況でもシルはシルであった……
結界を張り、太陽の中を突き進むケンヤ達。
シルの結界のお陰で熱によるダメージは無い、だが当のシルは何度も結界を重ね掛けを行いかなり疲労が激しい。
「シル、大丈夫か?」
「うん! 結構しんどいけど……あたし頑張る! ビシっ」
強がってはいるが……急がないと! とにかくフルスピードで太陽の中を進む。
そして……突然、真っ白な空間が現れた!
「シル、ここではもう結界は必要ないよ! お疲れ様、よく頑張ったね」
ルシファーがシルに労いの言葉を掛ける。
じゃあ此処が……
「そう……ここがアルファのいる場所」
とうとうここまで……上も下も分からない真っ白な世界……
「ここからは僕が案内するよ、ケンヤ、少しの間身体を貸してくれるかい?」
ケンヤは頷き身体の主導権をルシファーに譲る。
「じゃあ向かうよ! アルファの元へ!」
真っ白な世界の中心に向かうケンヤ達。
アルファとの邂逅……とうとうその時が訪れるのであった。
く、倶利伽羅竜王Σ(゜д゜;)