シルの母ちゃん
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この修正版も大詰めが近付いてまいりした!
最後まで楽しんで頂ける様、頑張りまする( ̄^ ̄ゞ
アルファの元に亜光速で向かうケンヤ達。
皆の体力と魔力が尽きる前に!
焦るケンヤだが、太陽までの距離はルシファーと融合した今のケンヤのスピードを持ってしても、十分近くは掛かってしまう……その焦りを落ち着かせようと、ケンヤはシルに話し掛ける。
「なあシル、さっき母ちゃん云々言ってだろ? あれ……どう言う事だ? シルの中に母ちゃんがいるとか、防御能力は母親譲りとか」
シルは人差し指を顎に当て首を傾げている……
……シルのこのポーズは……まさか!
「わっかんな〜い! ビシっ」
やっぱり……
「ってか、あたしが生まれた時には母ちゃん居なかったしぃ〜! あたしの中に母ちゃんの思いが入ってるってのは分かるけど?」
ふむ……意味がわからん……
俺達の話しを聞いていたルシファー。
「僕達天使はね、人族の様に母親がお腹を痛めて子を産む訳じゃないんだ。そもそも寿命の無い我々が子孫を残すなんて真似はしない」
「じゃあどう言う事だ?」
益々訳が分からん……
「ん〜、先ずは彼女の話をしなくちゃいけないね! シルの母と言える、とある天使の話を……今から……そうだな、およそ一千年と少し前の事だ。魔人の英雄、その英雄の手助けをしていた天使、それがシルの母シルフィードだ。初めてアルファに反旗を翻し、そして……罰を受け存在を消された天使でもある」
シルの母ちゃんが魔人の英雄に付いていた精霊! しかもアルファに消された!?
「彼女が手を貸していた魔人の英雄、彼が後にアルファの実験台にされた事は話したよね……想像出来るだろ? 彼女の気持ちを! 魔人の英雄と常に共にあり、一緒に泣き笑い絆を深めた相手をアルファの実験台にされたんだ! 彼女の怒りと悲しみ……想像を絶する……」
……確かに、それは……俺なら怒り狂う!
「当時、熾天使筆頭であった僕はなんとか説得を試みる。けど彼女の絶望は僕の言葉では止められなかった……今なら彼女の気持ちは痛いほど分かる。もしアキラやラキリスが同じ目にあっていたら……想像するだけで心がねじ切れそうになる! だけど当時の僕はそこまで理解は出来ていなかった……僕の言葉はそれは軽く彼女には聞こえただろね……」
シルフィード……シルの母ちゃんの思いを想像すると……ケンヤも何も言えなくなる。もしトオルやサラがと考えただけで……
「彼女に味方する天使は誰もいなかった……唯一説得を試みた僕に、いずれシルになる小さな生まれたばかりの思考体を預け、彼女はアルファに挑み、そして……消えていった……」
思考体? 初めて聞く言葉だな?
「ああ、生まれたばかりの思考生命を、僕達は思考体と呼んでいる。アルファもそこから成長して今の力を手にし、僕達天使も元はこの思考体だった」
思考生命の赤ちゃんって事か……
「この事件をきっかけに、僕はこんな悲劇をもう繰り返さないと心に決めたんだ! 次に現れる英雄は僕が守るとね。そしてその思考体だけど、シルフィードの力の殆どを宿していたんだ! 恐らく彼女の意志を継ぐ者を残したかったんだと思う。英雄が現れた際に守れる存在を! 僕はその小さな思考体に、僕の力の一部を与え精霊を作った。それがシルだ! シルフィードの名の一部シルを取りシルウェストレと名付けた。万が一僕に何かあった際、僕の代わりに英雄……勇者を守れる様に!」
そんな事が……なら……
「なら、シルは俺を守る為に北の森で接触してきたのか?」
俺の質問に首を傾げるシル。
「全然! あたしそんな話、初めて聞いたし! あたしはケンヤが気に入ったから今も一緒にいるだけだよ?」
んん!? ちょいちょいちょい! なら俺とシルの出会いは本当にただの偶然なのか?
「ああ、僕は別にシルにそんな使命を与えてはいなかったからね! 恐らくだけど……シルの中に残っていた僅かなシルフィードの思いが二人を出会わせたんじゃないかな?」
そ、そんな事あるの?
シルと目を合わせ首を傾げ合う……
「この話はここまで! 近づいて来たよ!」
ケンヤ達の目の前に太陽を遮る、巨大な丸い何かが迫って来た。
天体にも見えるそれ……、間近でそれを見たケンヤは嫌悪感で吐きそうになる。
天体に見えていたのは……
無数の邪神の集合体! 身体がねじ曲がり無理やり押し潰されている! 中にはまだ生きている者もいた!
「え、えげつねぇ! 邪神だってアルファが生み出した生命体じゃないのか! いくら何でもこれは……」
アルファのやりように怒りが込み上げて来る。
「確かにこれは……アルファ……君は……」
ケンヤは斬魔刀と幻魔刀を抜き放つ!
「ルシファー、シル、先ずコレを壊す!! 突っ込むぞ!!」
怒りに任せ、邪神で作られた天体に突撃するケンヤであった。
じ、邪神で天体を!? Σ(゜д゜;)