ルシファーの決断
ブックマークありがとうございます!
評価もして頂き感謝感激雨あられでござりまする!
感謝━━━(≧∀≦人)━━━感謝
ご意見、ご感想もお待ちしております
m(_ _)m
「恐れていた事が現実に……」
ボソリと呟くオノクリス。
アルファの暴走……これを元堕天達は恐れていたが、まさか現実になろうとは……
転移を阻止され、アルファの側近たる熾天使達にもどうにも出来ない……彼らもアルファに切り捨てられたのだ。
皆が上空を見上げ、これからどうなるのか……不安、恐怖、絶望……本当に世界が終わる……その場にへたり込む者の姿も見てとれる。
だがこれだけでは終わらなかった!!
ケンヤ達、熾天使、マモル達を含む1万5千の元堕天達を中心に、ドーム状に巨大な結界が張られ、結界の表面には無数の魔法陣が展開されている! その魔法陣からワラワラ何者かが降りて来た。
紺に近い青い肌、頭には二本の角が生え目は赤い!
ま、まさか邪神!! それもこれまでの邪神とは明らかに違う!
翼を持つ者や、腕を六本持つ者、十メートルを越す巨体の者もいる!
その数……恐らく十万は超えているであろうか!
地上に降り立つ者、その翼で上空に留まる者で結界内が邪神の軍勢で埋めつくされる。
中央に集まるケンヤ達に一体の邪神が近づいて来た!
「創造主の意志を伝える! この世界を終わらせ、新たな世界を一から作る。先ずは貴様達の処分からだ! この結界は転移を阻止する! ルシファー、貴様が開拓した世界に逃れる事は不可能! この結界から出れなければ人族や魔人を逃す事も不可能! 誰一人としてこの世界からは逃さぬ!」
本当にアルファはこの世界を終わらせる気だ!!
それまで半信半疑だった者達にも、本当の絶望が訪れる……その絶望している表情を見てニヤリとする邪神だが……
ボトっ!
ニヤつく表情のまま邪神の首が地面に転がった!
ケンヤ流真空波斬!
ツカツカと転がる首に近付くケンヤ。
グチャ!!
邪神の首を踏み潰し、その身体を細切れになるまで斬魔刀で斬り刻む!
「ふうっ! スッキリした! 皆、何絶望とかしちゃってんの? 数は多くてもコイツら倒せるし、全部倒して結界を破壊すればいいだけっしょ!」
多対一の戦いに慣れているケンヤならではの発想……熾天使達には理解出来ない!
「テスラ!!!」
ズガーーーーン!!
邪神軍団の一部が弾け飛ぶ!
「ですね! とっとと終わらせましょ!」
微笑むミコト。
ヒュンっ!
空気が切り裂かれる!
「伸びろ! ヒヒロイカネの剣!!」
一瞬で十万の邪神軍の前に踊り出たトオル、ヒヒロイカネの剣を伸ばし横一線に剣を振るった!
音も無く数百の邪神が両断され崩れ落ちて行く!
トオルに邪神が群がるが既にその姿は無く、群がる邪神は巨大な氷の槍にその体を貫かれていた!
ケンヤの隣りに戻って来たトオルとサラ、ケンヤを見上げ「グッ!」と親指を立てている。
「くう! 流石【美雷王ミコト】に【光速の神剣トオル】そして【氷結の神槍】サラだな! 僕達も負けてられないぞ!! 熾天使達! 死にたくなかったら僕の指揮下に入れ! 天使達! いくぞ!!」
マモルが号令を掛けると、神獣イフリート、神獣シヴァを先頭に、戸惑いながらも熾天使達と天使の軍勢が邪神軍団に突撃する!
だが……まさか味方と思っていたマモルからの別角度からの攻撃に、ミコトとトオルとサラは悶絶してしまう……
邪神の数がどんどん削られ、余裕を見せていたのだが、結界の魔法陣が再び輝く!
なんと! 先程と同数の邪神がまた召喚され、また全ての邪神に魔法陣から強化魔法が施された!
「マジか! これじゃあ消耗戦だな……俺も本気で……」
ケンヤは斬魔刀と幻魔刀を両手に持ち、邪神に向かい突っ込もうとするが……
「ケンヤ! 君が向かうのはそっちじゃ無い! あっちだ!」
ルシファーに引き止められる。
そのルシファーが指差すのは……アルファによって隠された太陽! つまりルシファーはケンヤにアルファの元へ行けと言っているのだ!!
「い、いやルシファーさん、あっちって言ってもどうやって? 俺飛べねえ~し! それにこの結界破るのも一苦労だぜ?」
だがシルはルシファーの考えが分かった様だ。
「とうちゃん? まさか…………本当に!?」
シルに頷くルシファー。
「二人だけで納得しない! 俺にも説明を! 早くしないと皆の体力と魔力が尽きる!」
「だね! じゃあ急いで説明するよ! 先ず僕とケンヤが融合する! 恐らくそれでアルファの元まで行けるはずだ。ただそれでもあのアルファの防御装置は油断出来ない! だからシル、君の防御結界の力も必要だ! 母親譲りのね!」
し、シルの母ちゃん!?
「防御は任せて! けど……ケンヤと融合しちゃったら……とうちゃんは……」
「ああ、僕という存在はケンヤに吸収されて、恐らく二十四時間後には僕は人格を失う……」
ちょっ! ちょっと待て!!
「ルシファーさん! あんた何言ってんの!? 俺に吸収されて人格が無くなる? それはこの世からルシファーさんが居なくなる……死って事か?」
ルシファーはケンヤに微笑み掛ける。
「ん〜、死とは違うかな! 人格は失うけどエネルギーはケンヤの中で留まる、ケンヤが寿命を迎えるまでね! そしてケンヤの死後は……僕は名もない精霊として解き放たれる。今の記憶は失ってしまってると思うけど……」
「そんなの死と同じじゃん!!」
ケンヤは叫ぶが……
「これはね……僕の責任なんだ! だから僕がやらないと! それにね、僕はアルファを愛している。アルファが僕を愛してくれていた様に……今は誤解からこんな状況になってしまってるけど、僕はアルファを救いたいんだ! この身を犠牲にしてもね!」
シルはケンヤの肩にとまる。
「ねえ、ケンヤ。とうちゃんの願いを叶えてあげて! このままじゃこの邪神を全部倒せたとしても、あのアルファをどうにかしないと皆死んじゃうよ? ピサロの皆やトオルにサラ、ミコトにアバロン。せっかく友達になったマモルやオノクリス達、みんなみんな死んじゃうんだよ? そりゃとうちゃんが居なくなるのは寂しいけど……本当に居なくなる訳じゃ無い! ケンヤの中に居るなら、あたしがケンヤと一緒に居たら何時もとうちゃんを感じられる! あたしの中にいる母ちゃんと同じ様に……」
シル……
少し寂しそうな……けど力強いシルの瞳……
すると……いつの間にやらケンヤとルシファーの周りにトオル、サラ、ミコト、アバロン、勇者パーティが集まっていた。
「お、お前達……」
トオルが代表して口を開く。
「あの〜、マモル君が、ケンヤさんがなんか悩んでる見たいだから尻を叩いて来いって! 邪神の軍勢はしばらくマモル君達で抑えて置くからって……」
ハッと周りを見ると、天使の軍勢がケンヤ達を守る様に周囲を固めている!
遠くからマモルの声がケンヤの耳に届く。
「ケンヤあ! 長くは持たないからサッサっと決断してトオル達を前線へ戻せ!! この結界のせいで僕の神獣は事前に出してたコイツらしか居ないんだからな!!」
マモル……
トオル達はルシファーに向き合い、無言で頭を下げていた。
その目には皆、涙を浮かべている。
その一人一人の肩をポンポンと叩いて行くルシファー。
「僕の事は気にしなくて大丈夫だよ! それより無事に帰って来たらシルの事宜しく頼む! 僕の大事な娘だからね!」
ルシファーはケンヤと向き合う。
「どう? 決心ついたかな?」
じっとルシファーを見つめるケンヤ、その姿の細部まで記憶に留めておけるように!
そして……首を縦に振った。
そのケンヤにルシファーは微笑み、ケンヤの肩に手を乗せる。
ルシファーの身体が徐々に光の粒子と化し、ケンヤの中に入って行く。
光の粒子が全てケンヤの中に入ると……
ドンッ!!!
ケンヤの身体中から魔力? イヤ……魔力とケンヤの闘気が合わさったモノ! 魔闘気が竜巻のように溢れ出す!!
竜巻の様な魔闘気が徐々に収まって行き一瞬の静寂が訪れた。
「トオル、サラ、マモル、アバロン、ここはお前達に任せた! アルファをどうにかするまで何とか耐えてくれ!」
そう言ってケンヤは上空を見上げる。
ケンヤが両手を広げると……その背から六対十二枚の純白の翼が現れた!!
「じゃあ行って来る!」
一瞬で結界の端まで到達するケンヤ、結界の一点に向け斬魔刀と幻魔刀を高速で振るう! 以前トオルが編み出しケンヤが二刀流にアレンジした技だ!
剣の性能に併せ、ルシファーとの融合により更に飛躍的にアップしたステータス、その圧倒的な力が結界の一点に集中される!
ミシッ!
本来の結界からは有り得ない様な軋む音が聞こえる!
パリンっ!!
結界が裂け、人一人分が通れる穴が開いた!!
「ケンヤ、今のうちに! 直ぐ修復されるから早く!」
急かすルシファーだが、ケンヤは地上を見下ろし、邪神に向かい真空波斬を放つ! ほんの数秒ほどの剣撃、その真空波斬で邪神軍の一角が総崩れになる!
その崩れた箇所にマモル達、天使の軍勢がなだれ込む!!
「ケンヤ! 急がないと本当に結界が閉まる!」
ルシファーの声に従い急ぎ結界の外に出ると間一髪! パシッ! と音をたて結界が修復された。
ケンヤは隠された太陽を見上げ、
「シル、ルシファー行くぞ!!」
ケンヤとシル、ルシファーはアルファの元に向かうのであった。
融合!( 'o' )!!!