マモルの戦い
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上空を埋め尽くす数万の天使の軍勢、その軍勢の前にマモルの姿があった。
天使達はその姿に戸惑いを隠せないでいる。
三对六枚の翼の天使……熾天使である!
自分達の知らない熾天使が今、敵として目の前に現れたのだ!
その熾天使の後ろには、見覚えのあるオノクリス達が控え、しかも堕天が解けている!!
天使の軍勢のリーダ格であろう天使が前に出、マモル達に向かい叫んだ。
「私は第四位の主天使ドミニオン、其方の熾天使よ! 何故我々の邪魔をする! それに後ろに控えるは堕天した元上級天使だな。貴方が堕天を解いたのか?」
主天使の叫びにマモルは肩を竦める。
「本当、なんでこんな事してんだろ? まあ、あの面白いルシファーの頼みだしね! あっ、オノクリス達の呪いを解いたのは僕で間違いないよ」
おどけたマモルの態度にルシファーの名! この熾天使が間違いなくアルファ様の敵だと判断する。
「熾天使で有りながらルシファーの味方をする者よ! 幾ら貴方が熾天使と言っても、この天使の軍勢三万に適う訳が無い! 素直に投降して頂けないか!」
マモルに投降を促す主天使……だがマモルは首を横に振る。
「多分僕一人でも君達に負ける事はないよ? けどやり過ぎてしまうかもだから……ルシファーにね、頼まれているんだ。出来るだけ天使達を殺さないようにって! 本当無茶いうよね……だからこうする!」
右手をかざすマモル! 天使の軍勢の後方に万を越す魔法陣が現れる!
ま、万の魔法陣だと!!
驚愕する主天使!
その万の魔法陣から次々と天使が現れたのだ!!
「どう? 君達よりは数は少ないけど、総勢一万五千の天使の軍勢だ!」
突然の天使の軍勢の登場に驚く主天使。
「こ、これ程の天使軍勢をどこで……ハッ! まさか悪魔達か!? 一万五千、アルファ様が堕天させ悪魔とした者達……その全てを解呪しただと!?」
どうだ凄いだろ! と、ふんぞり返るマモル。
「けどまだこれだけじゃないよ!」
マモルは両手を広げると、三万の軍勢の左右に巨大な魔法陣が展開し、見たことの無い生物が召喚された!
主天使初め三万の天使達に衝撃が走る!
右側に現れしは真っ赤な巨人! その身体からは炎が吹き荒れ、頭には二本の角がコメカミの辺りから生えている。
炎の神獣イフリート。
左側に現れしはコチラも人型、その身体は竜巻に守られ四本の腕を持つ。
暴風の神獣シヴァ。
後ろには一万五千の天使の軍勢、左右には得体の知れない化け物の様な魔獣、そして前には熾天使と三体の上級天使……
三万の天使達はジリジリと中央に集まって行く。
主天使は冷や汗を流しながら指示を出す!
「ま、先ずは左右の魔物を倒すんだ! 見た目はごつくても所詮魔物だ! 我々天使が倒せない筈が無い!!」
主天使の声に呼応し、イフリートとシヴァに向かい数千の天使が突撃を開始する。
「あらら……魔物じゃ無くて神獣なんだよね〜、それもめっちゃ強力な! 対ケンヤ用に捕まえたヤツだから、君達じゃあ死んじゃうかも?」
魔物じゃなく神獣? 対ケンヤ?
よく分からない事を呟く熾天使のマモルを無視し、神獣に迫る天使達。
その天使達の鼻先に黒々とした炎の壁が立ち塞がった!
イフリートが放つ煉獄の炎!!
先頭にいた天使は盾を翳し、炎に突っ込もうとするが、盾が炎に触れた瞬間融解を始める!
「い、いかん! 止まれ!!」
あのレベルの盾が融解する!? このまま突っ込めば天使と言えども……
ジリジリと炎の壁から後退する天使達。
一方シヴァに向かった天使達は……シヴァが放った暴風に巻き上げられ中央の本陣の天使達に激突して行った!!
二体のあの魔物の強さは下級天使の戦闘力を凌駕する!?
マモルとかいう熾天使は神獣と呼んでいたな! なんてモノを召喚したのだ!!
左右に神獣と呼ばれる強力な魔物、後ろには元堕天使の軍勢、前方には熾天使マモルと三体の上級天使……
その四方向からジリジリ距離を詰められ、天使達もどんどん中央に固まって行く!
「そろそろかな!」
マモルは何やら手袋の様なものを取り出し装備、その手にはキラキラ輝く砂の様なものを握りしめていた。
「じゃあ行くよ! シヴァ、任せたよ!」
その砂を空に向かいばら撒く。
シヴァから発せられた風に乗り、三万の軍勢にその砂が降り注いで行く!
「ん? 砂……こんな物で何を? グハッ!!」
三万の軍勢の天使の翼、その翼の羽が抜け落ち、代わりに蝙蝠の様な羽が形成されて行き、その肌も褐色のものに変わって行った!
神獣の砂!
以前、オノクリス達の堕天を解いたアイテムである。
マモル配下の一万五千の天使の軍勢、この元堕天使達もこの神獣の砂によって堕天を解かれたのだ! だが、この神獣の砂は呪いを解くだけのアイテムでは無い! 呪われている者には解呪を、そして……呪われていない者には強力な呪いを発生させる!
マモルが手袋をしていたのはその為であった。
マモルの手袋はボロボロと崩れて行く……そのボロボロになった手袋を魔法で焼くマモル。
「あ〜あ、結構レアなガントレットだったんだけどな……また見つけなきゃ! 対ケンヤ装備! 充実させるぞ!!」
マモルの頭の中はケンヤとの再戦でいっぱいの様だ……そんなマモルを我が子を見るように微笑むオノクリス達……
ほのぼのとした空気が流れるが……
堕天した天使達は次々に地上に落下し始める! あの蝙蝠の羽では空を飛べないのだ!
地上に激突する天使達。
全ての天使が地上に落ちるのを確認すると、マモルは神獣と天使の軍勢と共に地上に降りる。
遥か上空から地上に落ちた天使達は、落下の衝撃で殆どの者が立ち上がれない程のダメージを負い、その場で蹲っていた。
その堕天した天使達を、神獣と天使の軍勢が中央に集める。
かなり離れた場所に落下した者もいた為、全員を集めるのに時間が掛かってしまった。
右腕を押さえ蹲る堕天した主天使の元にマモルは立つ。
「どう? 堕天させられた気分は? オノクリス達の気持ち……分かった?」
マモルをカタカタと震えながら見上げる主天使。
「こ、この数を堕天させられるなど……熾天使でも無理だ! 貴方は一体何者なのだ!?」
まるで恐怖の大王を見る様な目でマモルを見る主天使。
「そんな恐がらなくても……僕は邪神だよ? 天使の姿をしているけど、ステータス上での種族もデュポーンのままだしね!」
じ、邪神、邪神だと!!
「たかが邪神がそれ程の戦闘力を持っている訳が無い! 実際に手合わせはしていないが私には分かるぞ! その内に秘めし力を! 何故気が付かなかったのだ……そうすれはもう少しやりようがあったと言うのに……、いや……無理か……それ程迄に力の差を感じる。何故邪神などと嘘を付く!!」
マモルを恐れながらも非難の目を向ける主天使。
「いや……本当に邪神だよ? ねえ?」
マモルは振り返り、オノクリス達達に同意を求める。
「主天使よ、マモル様は本当に邪神ですよ。ただ……アルファのシステムから生まれた邪神では無く、異世界から来た邪神ね!」
い、異世界だと!!
「あの五百年前に現れた勇者アキラと同じだと言うのか! だ、だとしてもその力は異常だ! 勇者アキラはそれ程の力は持っていなかった。まだ嘘を付くのか? これ程の力の差があり、堕天までさせられた我々に嘘を付く必要が何処にある!」
そんな主天使にマモルは更に深い溜息を吐く。
「本当の事なんだけど……あのさあ、君達ってさあ、強くなる為になんか努力した?」
努力? なんの為に?
「ああ、やっぱり……さっきの熾天使、ラファエルだったっけ? にも言ったんだけどさあ、天使って事に胡座をかいて、何もしなかったらそりゃ強くなれないよ? 僕はさあ、まあ僕だけじゃなくケンヤもミコトもそうだけど、この世界に来る前からそりゃ寝る間も惜しんでレベルを上げてたんだよ?」
ゲームの中でだけどね!
心の中でペロリ舌を出すマモル。
「こっちに来てからも、オノクリス達とダンジョンに潜って経験値を稼いでたんだ。その過程で見つけたのがこの神獣達さっ! どうだ! コイツらカッコイイだろ!」
神獣を自慢しだすマモルにオノクリスは……
「マモル様、少しお話しが逸れてますよ?」
ハッとしゴホンと咳払いをして誤魔化す!
「そ、その努力の成果かな。さっきウァプラとコカビエルは熾天使のラファエルに勝ったよ」
な、なんだと!? 上級天使が熾天使で在られるラファエル様に!?
「努力って大事だよね〜。まあ君達もコレから頑張んなよ。色々片付いたらその堕天も解いてあげるからさっ!」
項垂れる天使達……
堕天させられ、また上空から落下のダメージ、そして自分達の努力不足を指摘され、完全に三万の天使達は心を折られてしまった……
その三万の天使達の前にオノクリス達が立つ。
「あなた方には私達が作った別空間に入って頂きます。もう何かして来るとは思えませんが念の為です。全てが終わればちゃんと出してあげますよ」
オノクリスがそう言うと天使達の下に巨大な魔法陣が形成される。
魔法陣が一瞬フラッシュの様に輝き、次々と天使達が吸い込まれて行った。
以前、ケンヤとマモルが一騎討ちをする為、オノクリス達が闇龍と協力し作った空間、そこへ送る様、事前に準備していたのだ!
吸い込まれて行く天使達を見つめるマモル。
「これを使う事になるかあ……まさかラファエルって熾天使がこんなバカだったなんて思わなかったよ……」
そのマモルの言葉に溜息を吐くオノクリス。
「恐らくですが彼の"意地"なのでしょうね……彼は誰よりもルシファー様を慕っていましたから……裏切られたという思いが強すぎて、実はアルファの為と言われても理解が追いつかない……後で冷静になれば理解出来るのでしょうが……」
「けどよう、あのラファエルがこんだけ意固地になってるなら、あれだけルシファー様を愛していたアルファは……」
…………ウァプラの不安にコカビエルは何も答えられない……
今後、アルファがどの様に動くのか不安は拭えないが、天使の軍勢三万対マモル達の戦いはマモル達の圧勝で幕を閉じるのであった…………が!
「あの……マモル様……」
ウァプラがマモルに話しかける。
ん? と振り替えるマモル。
「俺達の堕天を解いた時、手袋なんかして無かっただろ? 多分だけどさあ、耐性? みたいなのマモル様は身につけてんじゃない? 何故今回は手袋なんかしてたんだ?」
ハッとするマモル……
急ぎアイテムボックスから神獣の砂を摘みだす……
「な、何もおきない…………」
その場で崩れ去るマモル……
神獣の砂を握り締め、
「僕のガントレット!!!!!!」
マモルの叫び声が晴れ渡る空に響き渡るのであった……
い、痛そうカタ:(ˊ◦ω◦ˋ):カタ