命運
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さてさて残り数話で完結予定の修正版、最後までお付き合いお願い致しまする。
帝都から遥か北のダンジョン。
五百年前に勇者アキラ達が邪神を倒した場所である。
勇者と邪神の戦いでなのか、他の要因なのかは分からないが、ダンジョンは崩れ去り、最奥にまで陽の光が指している。
そのダンジョン最奥で一体の天使が驚愕の表情を浮かべていた!
熾天使が一体ラファエルである。
その視線の先には……オノクリス、ウァプラ、コカビエルが!
「き、貴様ら! どうやって堕天を……!?」
天使の姿に戻っているオノクリス達に驚くラファエルだが、すぐに不敵な笑みを浮かべる。
「どうやって堕天を解いたのか解らんが、貴様ら如きがこの私になんのようだ? お前達が邪神を倒してあの魔導具を奪ったのだろうが、天使に戻ろうと、たかが上級天使が熾天使の私を倒せるとでも?」
オノクリス達は何も言わず、ただ黙ってラファエルを見つめている。
「貴様ら私を舐めているのか! ならその力の差、改めて思い知らせてくれる!!」
ラファエルの右手に魔力が集まり巨大な魔力弾が形成され、オノクリス達に向かって放たれた!
だが……
突如、三対六枚の翼を持つ天使が現れ、ラファエルの魔力弾を左手の手のひらで受け止めている!!
「マモル様!!」
オノクリス達がその天使に跪く。
マモルだと!? そんな熾天使……私は知らぬ! 私が知らない熾天使が他にも居たのか!!
そのマモルと呼ばれた熾天使は左手で受け止めている魔力弾を握り潰す。
パーーン!!
甲高い爆ぜる音と共に魔力弾は消滅してしまった。
「アイツの言ってた通りだな……お前さあ、天使である事にあぐらをかいて全然鍛えてないだろ? こんな魔力弾じゃあ僕が庇わなくてもオノクリス達を倒せないよ?」
なっ!!
こ、この初めて見る熾天使は何を言っているんだ? この私がたかが上級天使に劣るだと!!
「試してみる? ウァプラ、コカビエル」
マモルに呼ばれ前に出る二人の天使。
「マモル様、本当に俺達でやっていいの? 修行の成果を試す絶好の相手だけど……」
「熾天使ラファエル! 腕が鳴るな。 マモル様のご期待に応えなくては!」
そんなウァプラとコカビエルに満面の笑みを向けるマモル。
「こんな生意気なヤツ、ケチョンケチョンにやっていいよ! あっ、けど殺すの無しね!」
「舐めるなあ!!!」
ラファエルの身体が魔力のオーラに包まれる!
ウァプラとコカビエルはお互い頷くと、ウァプラの周りに十個の魔力弾が形成され、ラファエルに向かい放たれた!
「くっ!」
手を交差し魔力弾を受け止めるラファエル。
一発一発はそれ程重くは無いが、数が多く防御体制を解けない……十発全て受けきり防御を解いたその時、左頬に強烈な痛みが走る!!
ラファエルが防御を解いた隙にコカビエルに顔面を殴られたのだ! 勢いのまま吹き飛ばされダンジョンの壁に激突、壁に大きな穴が空きその威力の凄まじさを物語っていた。
ボロボロになり這い出で来るラファエル……
まさか……熾天使である私の戦闘力をたかが上級天使が上回るだと!
納得出来ん!!
「私は四大熾天使が一体ラファエル! 貴様ら如きが私に適うはずがない!!」
ラファエルが両手を真上にかざす! 先程マモルに放った魔力弾より遥かに強力な魔力弾が形成されて行った!
ニヤリ不敵に口元を歪めるラファエル。
「貴様らはこれで終わりだ!」
勝利を確信するラファエルだが……
「隙だらけだな!」
ドスンっ!!
声と共にみぞおちにコカビエルの拳がめり込んだ!!
「グハっ!!!」
魔力弾は霧散し、その場で崩れ落ちるラファエル。
全て吐き出してしまう様な苦しみだが、熾天使の意地! 膝を付きながらも顔を上げると……先程ラファエルが放とうとしていた魔力弾の数倍はあろうか……、巨大な魔力弾がラファエルの目の前に浮かんでいた。
「そこまで!!」
戦闘を止める声がする。
マモルという熾天使のものではない。
ラファエルの前の魔力弾が消え、ウァプラとコカビエルもマモルの元に戻って行く。
今度は何が……警戒し辺りを見渡すと……
ダンジョンの割れた上空、日が差し込んでいる辺りから何者かが降りて来た。
その様子を目を見開き凝視するラファエル。
「まさか……まさか!!」
降りて来たのは……
六対十二枚の真っ白な翼を持つ天使。
元熾天使筆頭、天使達に"明けの明星"と謳われていたルシファーであった!
熾天使の自分より倍の翼を持つルシファーの降臨……ラファエルは思わず見とれてしまう。
絶えずアルファ様の隣にあり、天使達に優しげな微笑みを与えていたルシファー、当然ラファエルも彼に憧れていた一人だ。
だからこそ……だからこそアルファ様を裏切ったことが許せない!!
「貴様あ!! 何をしに戻ってきたあ!!」
血を吐く様にルシファーに向かい叫ぶラファエル。
そのラファエルにルシファーは優しく語り掛ける。
「やあ、ラファエル。久しぶりだね、色々と準備が整ったから帰ってきたんだ! もう邪神を使って人族や魔人を間引く必要は無いんだよ。それにアルファの身体の事も解決出来る!」
なにっ!!
ルシファーの言葉が理解出来ない……
間引く必要はない? アルファ様悲願の身体も? もし、もしそれが本当なら! だが……そんな話信用出来るのか? 相手は裏切り者のサタンだぞ!?
「何を言うかと思えばそんな事を……アルファ様や我々がどれだけ……どれだけ! 貴様もそれは知っているだろ!! たかが五百年程で全て解決出来るわけがない!!」
嘘に決まっている! 私を動揺させて何を企んでいるんだ?
ルシファーは溜息吐く。
「全て本当の事なんだ……ラファエル、お願いだから僕の話を最後まで聞いて欲しい」
ラファエルに向かい、これまでの事を伝えるルシファー。
別世界の開拓、そこに移民を迎えると言うのだ。
ご、五百年! 彼はこの五百年の間にそんな事をしていたのか! しかもこの世界より十倍の敷地面積があるだと!?
確かにそれなら人口の問題は解決される……
しかし……
「貴様、何か勘違いをしていないか? 増えた人口を邪神で間引くのは、その戦いから人族の進化を促す為のもの。言わばアルファ様が身体を手にいれる為だ! その人族達を他の地に移民させるなど本末転倒ではないか!!」
ラファエルの言葉にルシファーは残念そうに首を振る。
「確かに、この世界はアルファが自身の身体を手に入れる為に作られた世界……けど、だからと言って人族や魔人を簡単に間引くのは間違っているよ。ラファエル、君もかつてはあんなに人族と魔人を愛していたじゃないか! 一体何時から君はそんなに変わってしまったんだ?」
何も言わずラファエルはルシファーを睨みつける。
「それにね、人族はそんな邪神など使わなくてもちゃんと進化しているじゃないか。職業システムとレベルと言う概念、更には熟練度、彼らが魔物との戦いの末、手に入れた力だ! 違うかい?」
「しかし、しかしアルファ様は!!」
「ああ……今のアルファが何を思いこんな結論に至ったのかは僕には理解出来ない……だけど、アルファの悲願で……」
「だ、黙れ!!」
ルシファーの話しを途中で遮るラファエル。
「き、貴様が……貴様が……アルファ様の思いを理解出来ないだと! あれ程アルファ様に愛されておきながら……アルファ様が変わられたのは貴様のせいだ!!」
ラファエルの叫びに目を丸くするルシファー。
「その顔……全く理解していないようだな! 邪神システム、確かにやり過ぎだと当時の私も思っていたさ……だがそうでもしないと、増えすぎた人口はどうにも出来ない所まで来ていたんだ! 貴様も知っているだろ! かつて人口が増えに増え、この世界の資源を枯渇させてしまった事を! たまたま魔石という新たなエネルギーを発見出来て今日に至っているが、このまま人口が増え続け魔物に対抗出来る人族が増えれば、今度はその魔石……いや、魔物まで人族は絶滅させてしまうんだぞ!」
ルシファーだけでなくオノクリス達もその話に俯いてしまう……
「アルファ様は悩まれておられた……愛しているが故に貴様には相談されなかったのだ! 悲しむ姿を見たく無かったのであろう、そして何時も傍にいた貴様なら分かって貰えると……今は無理でも何時かはと……だが貴様はアルファ様を裏切った!! そのアルファ様の絶望が貴様に分かるか!! もう一度言う! アルファ様が変わられたのはルシファー、貴様のせいだ!!」
衝撃を受けるルシファー!
自分のせい?
僕はアルファを裏切ったという認識は無い。
だけど僕のアルファの為を思っての行動がアルファを追い詰めていたのか?
ルシファーが項垂れている……と……!
「なにそれ、ルシファーが自分じゃなく、アキラの味方したから嫉妬して人族を殺すって事? 創造主って……そんな残念なヤツだったんだ……なんかがっかり……」
突然のまた違う声に驚き、声のする方に視線を向けるラファエル。
そこには……恐らく噂に聞く勇者パーティであろう、魔王の姿も見て取れた。
「なあルシファー、何こんなヤツの話で落ち込んでんの? アンタはアンタで真剣にその創造主と人族の為にこの五百年、死ぬ思いで頑張って来たんだろ? もっと胸を張れよ! それに、ここでアンタの心が折れたらアキラの思いはどうなる? 五百年後、皆で笑い合える世界を作るんじゃなかったのか?」
ハッとするルシファー!
そうだ……そうだった! アキラとラキリスと誓ったんだ!
皆で笑い合える世界!!
「ケンヤ、ありがとう。もう少しで自分を見失う所だった」
ケンヤに微笑み掛ける。
「たかが人族の勇者風情がアルファ様を侮辱するだと!!」
顔を真っ赤にし怒りに震えるラファエル。
先程のウァプラとコカビエルからのダメージはまだ残っているが、怒りに任せケンヤに殴りかかる!
バシっ!!
殴り掛かった拳をケンヤに掴まれてしまった!
なっ、何!?
たかが人族の勇者が、熾天使である私の攻撃を受け止めた!?
しかも振りほどこうにもビクともしない!
理解が追いつかないラファエル。
ルシファーにしてもまさかケンヤがこれ程の力があるとは思っても見なかった。
「け、ケンヤ……君……凄いね……、亡くなる前のアキラと同等……いや、それ以上かも……君本当に人族?」
「いや……普通に人族だし! ってかさあ、コイツムカつくから殴っていい?」
熾天使の攻撃を軽く受け止め、更にこの不遜な態度にパーティメンバーからは……
「あの……ケンヤさん、その人天使の中ですっごく偉い人なんですよね? さっきから酷くないですか? なんか光龍さんが同情してるんですが……」
呆れ顔のトオルが発言すればサラも……
「お兄ちゃん……だよね……ちょっと可哀想になってきました……フロちゃんも呆れてますよ?」
ミコトも溜息を吐く。
「ケンヤさんTPOって知ってます? もう少し言い方考えた方が……まあケンヤさんらしいとは思いますが…………クスッ」
皆酷い……ミコトさん……最後のクスッは何? 雷龍と何話してたのかな?
「………………」
アバロンと闇龍は顔を背けている……
こら! アバロン! 言いたい事があるなら言いなさい!
ケンヤの登場と共に流れるゆる〜い空気……
「いや〜、一気に空気が緩んじゃった! さっすがケンヤね! ケラケラ」
シルの笑い声が壊れたダンジョンに響き渡る。
「ふざけるな!! この手を離せ!」
あっ! 忘れてた……
手を離すとケンヤ、ファエルは手を擦りながら睨みつける。
「貴様らふざけやがって! もういい! 貴様らはここで滅ぼす!」
ラファエルは右腕を掲げ、人差し指を立てるとその人差し指から一本の光の柱が上空に走る。
コイツ何してるんだ?
不審に思うケンヤだが、ルシファーはラファエルの行動に目を見開く!
「ら、ラファエル! 君……まさか! 本気か!?」
そんなルシファーにラファエルは不敵な笑みを浮かべる。
「本気さ! 貴様らは今日ここで滅びるんだ! アルファ様を裏切ったルシファー、そしてアルファ様を侮辱した勇者ども! 覚悟しろ!!」
するとダンジョンに三つの光が降りて来る。
何かが転移してくるのだ! 転移して来たのは……
熾天使筆頭ミカエル、同じく熾天使のウリエルとガブリエル。
ラファエルを加え、ここに四大熾天使が揃ったのだ!
ミカエルは一歩前に出る。
「ルシファー様……お戻りになられたのですね。けど……残念です、まさかこんな事になるなんて……ラファエル、本当にルシファー様を始め、ここに居るもの達全て滅ぼす事がアルファ様の為、この世界の為になるのですね?」
ミカエルの問に無言で頷くラファエル。
「ミカエル……僕は君達と戦うつもりなんて……」
まだ説得を試みようとするルシファーをオノクリス達が止める。
「ルシファー様、こうなってしまってはもう無理です! 上をご覧下さい」
ルシファーが顔を上げると、そこには万を越える天使の軍勢が!!
項垂れるルシファー……
こうなる事はなんとしても避けたかっのだが……
そんなルシファーを後目に、戦闘準備に入るケンヤ達勇者パーティとマモル達。
「まあ僕達も最悪の自体に備えて準備はしてたからね! オノクリス、ウァプラ、コカビエル、僕達は天使の軍団を率いて上空の敵を相手にするよ!」
マモルは背の翼を広げ飛び立つ! その後に続くオノクリス達。
そして地上では、熾天使四人とルシファー、ケンヤ達が身構える!
ここに天使達との世界の命運を掛けた戦いが始まろうとしていた。
ケンヤさん……空気読も……w