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ルシファーの涙

 何とか日にち置かずに投稿する事が出来ました(*^^*)


 ご意見、ご感想お待ちしておりますm(_ _)m

「それから僕達はバグを駆逐しながら土地の開拓を始めたんだ。僅かに残った人族と共にね!」


 ルシファーの話を食い入る様に聞いているトオルとサラ。

 マモル達も軽くは聞いてはいたが、こんなに詳しくは聞いていない、マモルは前のめりになっているし、オノクリス達も唖然としている。


「創造主が見捨てた世界に……バグ、精霊と融合してハイヒューマンか……」


 呟くケンヤ。


 恐らく日本人であろう少女に訪れた苦難。

 その少女が自身の運命を受け入れ、前を向く話にケンヤの胸も熱くなる。


「その後、アキラとラキリスは結ばれてね、沢山の子を作った。その子供達が現地の人族と結ばれて徐々に人も増え、アキラとラキリス亡き後もバグの駆逐と開拓に力を注いでようやく、ようやくだ! バグの駆逐に成功したんだ!」


 そっか、やはりアキラはもう居ないか……、当たり前の事なのだが一度でいい、会ってみたかったな……


「ハイヒューマンになった事でアキラの寿命は伸びてね、およそ二百年彼女は生きた。子を産みその子達が成人すると、彼女はひたすらバグ駆逐にその人生を費やした。そこでね、不思議な事に気付く。アキラの見た目は二百年……その寿命を迎えても少女の姿そのままだったんだ!」


 ろ、老化もせず少女の見た目のまま!?


 驚くケンヤ達。


「だからさあ、僕達は気が付かなかった……彼女が突然倒れるまでね。確か……アバターだと言っていたね、この姿は本当の自分の姿ではなくアバターだって」


 ケンヤ、ミコト、マモル、転生者三人は自身の身体がゲームのアバターだった事に改めて気付く!


 そうだ! この自分の姿は確かに元の自分のものではない!

 なら自分達も……寿命を迎えるまでこの姿のままなのか!?


 そんなケンヤ達を心配そうに見つめるトオル達とオノクリス達。

 特にトオルとサラはこれ程動揺するケンヤを初めて見る……


 だがサタンの話にはまだ続きがあった。


「そのアキラはアバターだけを残し、その魂は彼女の元居た世界に戻って行ったと思う。僕はアキラに加護を与えていた。加護を与えるとね……分かるんだよ、その魂が何処で生まれ変わったのか! この世界にも開拓した世界にもアキラの魂は見つからなかったから恐らく……」


 そっか……アキラの魂は日本に戻ったのか……


 何故かホッとするケンヤ。


 俺は別に日本に未練は無いが、アキラは恐らく帰りたかったんだろな……


「アキラのアバターは今も僕が大切に保管しているよ。アキラが亡くなってからおよそ三百年、全く変わらない姿のままでね。たまに覗きに行くんだけど……、今だに後悔してしまうんだ……僕なんかと関わってしまった為に彼女に……少女の身には背負いきれない程の重荷を背負わせてしまった……怨まれても仕方ない……」 


「ルシファー様……」


 寂しげに語るルシファーに、オノクリス達は掛ける言葉が見つからない……


「考え過ぎじゃね?」


 気の抜けたケンヤの声が室内に響く。


「そりゃあ色々大変だったとは思うけど、この世界に転生して来たって事はアキラはゲーマーって事だろ? そんなヤツがさあ、ハイヒューマンなんて種族になって未知の敵と戦ったり、新しく土地を開拓したりしてさあ、楽しくないわけないじゃん! 俺なら精一杯楽しむね! 今もなんだかんだ言って楽しんでるしっ! なあ!」


 そう言ってミコトとマモルに声を掛けるケンヤ。


「はい! ケンヤさんの言う通り、私はこの世界を楽しんでますよ。魔族の人達は皆、私に優しくしてくれますし、ケンヤさん達と出会ってからは笑いが絶えません! 色々と問題を抱えている世界ではあるけれど……どこの世界も大なり小なり問題を抱えているはずです! アキラさんはその世界の問題を解決出来る力を手にいれた。多分だけど楽しんで攻略していたと思いますよ!」


「僕は……前の世界が嫌いだった……正直壊れてしまえとさえ思ってたんだ……けど、この世界に来てからは毎日が楽しい! 上手く言えないけど……アキラも楽しかったと思う!」


 転生者三人の言葉を噛み締めるルシファー。


「ありがとう……けどアキラの魂はこのアルファの世界にも、開拓した世界にも留まらなかった……やはり……」


 そんなサタンにケンヤは溜息を吐く。


「満足したんじゃねえの?」


 えっ? 目を見開きケンヤを見つめるサタン。


「恐らくだけど、そのバグ? もアキラが亡くなる前にはかなり駆逐する目処はたってたんじゃね? それに開拓も進んでたんだろ? 話によると沢山子供も居たみたいだし、後の事はサタンや皆に任せれば大丈夫って思ったんじゃないか? 二百年一緒にいたんだろ? 俺はアンタからアキラって人物の話を聞いただけだからな! 想像でしか話せないけど、アキラの人となりを思い出してみろよ! アンタを怨む様なヤツだったのか?」


 違う! アキラはそんなヤツでは無い!!


「まあ先に死なれて悲しいのは理解出来るけどさ……二百年も一緒に居たヤツに怨まれるとか思われてるって……アキラの方が可哀想だ!!」


 ハッとするルシファー!


 確かにそうだ……僕のこの思いはアキラを侮辱している!!


 アキラは精一杯生きた!


 僕はそれを常に側で見てきたじゃないか!!


「もう大丈夫そうだな。アキラの魂は日本に帰ったかもしれない。けど、アキラの思いは何時までもアンタと一緒だと思うぞ! アンタが忘れてしまわなければなっ!」 


 そうだ! そうだ! 僕は決してアキラを忘れたりしない! 一緒に笑い合い、泣き、ふざけ合ったあの日々、僕の中で宝物の様に輝いている!



「勇者君……いや……ケンヤ! ありがとう……彼女の思いはずっと僕の中で生き続ける」



 真っ直ぐケンヤを見つめるその瞳から大粒の涙が零れだす。



 元熾天使筆頭ルシファー



 彼が初めて流した涙であった。


 ルシファーさん(T_T)

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