アキラとサタンとラキリス②
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さて、今回もアキラ達のお話しになります。
ご意見、ご感想お待ちしておりますm(_ _)m
目の前に広がるジャングル……
今までアキラが見た事の無い草木が生い茂り、また陽の光も木々に遮られ薄暗い。
アキラ達がゲートを抜けた先の光景である。
360度何処を見てもジャングル……
「…………サタンさあ……ここどこよ! なんでこんな場所選んだ訳? もう少し開けた場所を選ぼうよ……」
「いやあ、ゴメンゴメン! 僕も焦っちゃってさあ、適当にゲート繋いだらこんな場所に……テヘペロ」
テヘペロじゃ無い!!
両手の人差し指でサタンのコメカミをグリグリするアキラ……二人の恒例行事である……
「これでは……何処に向かえばよいか分からんな……MPが回復すれば飛行魔法で移動出来るんだが……」
ラキリスの言う通り、確かにこのジャングルを徒歩で移動するのは……
折角天使達から逃れて来たのに……一難去ってまた一難だ……
アキラとラキリスが途方に暮れていると、突然! 茂みの奥からピンク色の触手がアキラ達に伸びて来た!
突然の事に驚くが、アキラとて勇者と呼ばれる存在! 咄嗟に大剣でその触手を叩き斬る!
「な、何!?」
叩き斬った触手がズルズルと茂みの中に戻って行く。安堵するのも束の間、今度は五本の触手がアキラ達に襲いかかって来た!!
ラキリスは魔力不足、恐らくサタンもゲートの魔法で魔力が心許ないであろう。
アキラは自分を奮い立たせ、大剣で触手を斬り捨てて行く!
幸いな事にそれ程スピードは無い。
これなら何とかなる!
だが……斬っても斬っても次々と触手は茂みの中から伸びてくる!
「キリがない! これの本体がいるはず! 突っ込むわよ!!」
アキラは叫び、茂みに向かい駆け出して行く。
その後を歯ぎしりをしながら後を追うラキリス。
MPが無ければ魔導師はただのお荷物だ……
何とか精神を集中させMPを少しでも回復させないと!
触手を大剣で払いながら進むアキラについて行く。
茂みを抜けたその先には……
「な、なにコレ……」
およそ直径二メートル程の肉塊……ピンクの肉の塊だ! 表面には赤と青の血管の様な物が浮いていて、ドクンドクン脈打っている。
「き、気持ち悪い……サタン! アンタこんなのがこの世界に居るって知っていたの?」
思わずサタンに向かい叫ぶが、サタンが応えるより早くその肉塊から触手が伸びて来た!
慌てて触手を斬るアキラだが数が多過ぎる! アイテムボックスから大盾を取り出し、受けながら大剣で触手を斬ってゆく!
この背丈程の大盾を左手で構え、右手で大剣を振るう! これが勇者アキラの本来の戦い方だ!
ただの戦士職、大して取り柄の無い職業ではあるが、重戦士の次にパワーと耐久力はある! 小柄な見た目とは相反し、パワーファイターであり楯役でもあるのだ。
大盾でラキリスと自身を守りながら触手を斬り捨て、徐々に肉塊に近づいて行く。
ようやく剣の間合いに肉塊本体が入ると、触手の攻撃が一段と激しくなって来た!
大盾で防ぐのが精一杯で剣を振るう余裕がない。
「ラキリス、サタン、どちらでもいいから、ヤツの気を引いて! これじゃあ剣を振るえない!」
アキラの叫びにラキリスは応える。
残り少ない魔力を手のひらに集め、小さな炎の玉を作りだした!
「アキラすまん! この炎の玉が今の俺の精一杯だ! これで隙が作れなければ絶対絶命だな……」
少し自嘲気味のラキリスだが、そのラキリスの肩にサタンが乗り手を翳す! 炎の玉に魔力が流れ込み、炎の玉の色が赤から黄色に変わり、大きさもふた周り程大きく膨らむ。
「僕の魔力も少し注いだ! ラキリス放て!!」
サタンの叫びと共に、ラキリスは火の玉を肉塊に放つ!
ドンッ!!
肉塊の一部が弾け触手の攻撃が弱まった!
「アキラ、今だ!!」
ラキリスの叫びより早く、アキラは動き出していた!
戦士職とは思えないスピードで肉塊に迫る。
サタンの加護のお陰で、アキラは戦士職では有り得ない程のスピードを手にしていたのだ!
その速度のまま真っ直ぐ肉塊の中央に剣を突き立てる。
根元まで剣を突き刺し、そのまま真上に振り上げた!
肉塊から真っ赤な鮮血が噴き出す!
後方にジャンプし噴き出す血から逃れるアキラ。
全ての血が流れ出たのであろうか? 肉塊は枯れていく様に萎んでいった。
剣先でつついてもう動かない事を確認すると、アキラはその場にドスンと腰を下ろす。
「コイツは一体なんなの! 気持ち悪すぎなんだけど!! サタンちゃんと応えなさい!」
「……その前に!」
サタンは最後の魔力を使い、周りに結界を張る。
「あ……魔力尽きた……ダルい、超ダルい……説明は後! 魔力回復するまで休憩……」
そのまま眠ってしまった……
「もう! まあ仕方ないか……ラキリス、私達も少し休みましょう」
「そうだな……俺も休んで魔力を回復させないと……これじゃあ唯の足でまといだ……」
アキラとラキリスはお互いに背を合わせ目を瞑る。
邪神討伐から天使の来襲……
そして……別世界での見た事の無い敵との戦い……
アキラとラキリスもクタクタであった……
何をするにしても体力と魔力を回復させないと!
今後の不安を頭の隅に追いやり眠りにつくのであった。
きもい……