ゲート
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さてさて、今回も何時もの数字と少し言い回し変えただけの修正であります。
ご意見、ご感想お待ちしておりますm(_ _)m
トルムント帝国、帝国城の隣に位置する大教会。
以前は邪神信仰の本拠地であり、祭壇には巨大な邪神像が立っていたのだが、現在は撤去され代わりにその場所には……
右手を掲げ何かを指差す六枚の翼を持つ天使の像、その幼さを残す顔は明らかにマモルのものだ……
そのマモル像の隣には、マモル像の肩ににそっと手を置き、慈母の様な表情を浮かべる四枚の翼を持つオノクリス像。
そして後ろからマモルを見守る様な形で二体の天使、ウァプラとコカビエルの像が立つ。
こ、コイツら……こんなのを作られて恥ずかしくないのか!!
唖然とするケンヤ達……
「どう! 凄いだろ! 街の皆がさあ、僕達の知らない間にこんなの作ってたんだ!」
お、おう……喜んでいるのなら何よりだ……
残念な者達を見る様な目でマモル達天使を眺めるケンヤ……
ゴホンと咳払いの後、
「んで、何処にゲートを作るんだ?」
ケンヤが尋ねると祭壇の前の巨大な石碑を指差す。
「前はさあ、これに前の邪神を称える様な文字が刻まれてたんだけど、全部削り取ったんだ!」
目の前にある高さ三メートル、横幅四メートル程の石碑を見上げるケンヤ達。
「ここにゲートを作れば、この国に訪れた人々は先ずこの像を目にするだろ! 我ながらナイスアイデアだと思わない?」
ま、マジか! そんなに自慢したかったんだ……、後々後悔しなければ良いのだが……
「じ、じゃあマリアさんお願いできますか? 繋げる先は……ピサロで!」
ピサロと言われ「へっ?」となるマリア。
「えっと、王都じゃなくてよいのですか?」
「うん! どうせならピサロの街のをもっと発展させてやろうと思ってさ! 色々世話になった街だし」
いまいち納得していないマリアだが、ミコト、マモル、サラもピサロを推す。
皆さんもう王都には行きたくないようだ……
「ではピサロと魔王城にゲートを繋げます。魔王様、すみませんが魔力のサポートをお願いできませんか? 私では魔力が心許ないもので」
ミコトは頷きマリアの肩に手を乗せる。
石碑に手を翳し呪文を唱え始めるマリア。
石碑に魔法陣が浮かび上がる!
その魔法陣が呪文の詠唱と共に少しづつ形を変えて行く。
縦横に広がって行き、石碑とほぼ同じ大きさになると……石碑に二つの両開きの扉が薄ら浮かび上がってきた!
完全に扉が現れる頃、呪文の詠唱が終了する。
「はあはあ、終わりました。けど私がピサロを訪れていて正解でしたね! ゲートは一度訪れていて記憶に残っている場所にしか通せませんから」
ほほう! マリアさんがピサロで記憶に残っている場所……どこだろ? 気になるな〜。
「ピサロの何処に繋がったんですか?」
ケンヤが尋ねるとマリアさんはイタズラっ子の様な笑みを浮かべる。
「今ピサロの中央広場ではとある物を建造中でして、その台座にゲートを繋げました! 恐らく皆さん喜んで頂けるかと」
な、なんか嫌な予感がするぞ……
もう日は暮れている。
ピサロの住民ももう外を出歩いてはいないだろう!
「覗きに行ってくる!」
ケンヤがゲートに入ろうとすると……
「ちょっとまったあ!!」
シルのとうちゃん、ルシファーがケンヤを止める。
「ついでだから石碑の反対側に別のゲートを繋げるからちょっと待っててね!」
ルシファーはマリアがゲートを繋げた石碑の反対側に回り石碑に手をかざす。
一瞬、石碑全体が眩い光に包まれ光が弾けた!
「よし! オッケー! 時期が来るまでこっちのゲートはロック掛けておくね! 解錠は……オノクリス、君の判断にまかせる」
そう言うと、ルシファーの手のひらに光り輝く扉の鍵が現れ、オノクリスに手渡した。
「君が判断するんだ。全てが解決し、あちらへ渡る時を! 今まで人族の為に尽くしてきた君に託したい」
「る、ルシファー様……」
ルシファーに渡された鍵を握り締める。
「ちょっと! とうちゃん! まったく話しが見えないんだけど!! ちゃんとあたし達にも説明してよ! 後、アキラはどうしたのよ! まあ人族のアキラは流石に寿命迎えてると思うけどさあ」
シルの言う通り! 俺達にもちゃんと説明して欲しい。
「そうだな、勇者君達にもちゃんと説明しなきゃだな! ただね、ちゃんと説明しようとするとかなり長くなるんだよ……だからさ、先にそっちの用事済ませた方が良くない? 繋がったピサロの様子を見に行くんだろ?」
あっ! そうだった! ピサロの様子と言うか……何処に繋がったか確認しに行かないと!
「分かりました、後でちゃんと説明して下さいね! よし、皆ゲートに入ろう! ってか初ゲートだな、なんかドキドキする」
二つの扉の内、ピサロに繋がる方の扉を開く。
扉の中は虹色の光で溢れていて、中央に向かいその光が流れている様に見える。
ケンヤ達は不安からか皆で手を繋ぎ、恐る恐るゲートの中に入って行った。
一瞬上下が逆転したかの様な錯覚に陥るが次の瞬間! 目の前には日が暮れ薄暗くなったピサロの街並みが並んでいた。
「おお! すっげー! 一瞬で帝国からピサロに着いたよ!」
「凄い……ゲートってこんな感じなんだ……けどなんかクラクラしてる……」
はしゃぐトオルに少しゲート酔い? しているサラ。
ミコトとアバロンがサラの背中をさすっている……
サラは三半規管が弱いのか……レベルが上がってもソコは強化されないのね。
「けどこの台座かなり立派な作りだな。上になにが乗っかってんだ?」
台座が大きく立派過ぎて、近くからではこの台座に何が乗っているのか分からない。
少し離れた場所まで移動すると……
「まじ…………か!!」
台座の上には恐らくあれは……フロストドラゴンか?
少し違うが、明らかにフロストドラゴンをモデルにした様な翼を広げたドラゴン像が見える。
そのドラゴン像の背には……黄金の鎧を身にまとった青年の像が!
左手はドラゴンに繋がれた手綱を掴み、右手には……恐らくミスリルソードであろう剣を掲げている……
その青年像の顔は……
ーーーーケンヤだったーーーー
ご丁寧に肩にはシルであろう精霊まで……
回復したのかサラは目を丸くし、
「こ、これ……ケンヤさん? あの……その……凄いですね……」
サラさん……何が凄いの? 顔引きつってるよ……
トオルはケンヤからそっと視線を外し……
「か、カッコイイと思います……」
こら! トオル! 目を合わせろ!!
アバロンは腕を組んでケンヤ像を見つめ
「ケンヤ殿……ドンマイ……でござる……」
くっ! なんかそれ傷つく……
何故かミコトは満面の笑顔を貼り付けている……
リアクションに困ってんのね……
するとシルが何かを見つけた様だ。
「ねえねえケンヤ、この裏になんか書いてあるよ!」
裏?
台座の裏に回るとそこには……
勇者像
勇者【精霊を連れし戦士ケンヤ】
このピサロより出立し、数多くの功績を残す。
勇者にして世界初のSSランク冒険者。
その肩には何時も大精霊の姿があると言う。
ケンヤはアイテムボックスから禍々しい巨大なハンマーを取り出した。
「破壊する! 完膚なきまでに粉砕する! そしてこれを作る様指示したヤツを磔にしてやる!!」
ハンマーを振り上げるケンヤ!
「け、ケンヤさん! それはダメ!! やめましょう!」
トオルが叫びながらケンヤに飛びつき止めようとするが、ケンヤのステータスに適う訳もなく、振りほどかれそうになる!
「ケンヤさん! 折角ピサロの人達が頑張って作ったのに……可哀想です!!」
サラもケンヤに飛びつく!
トオルはともかく、女の子のサラを振りほどく訳にもいかない……
「ふうふう……」
荒い息を抑えなんとか落ち着こうとするケンヤ。そのケンヤの背にミコトは優しく手を添える。
「ケンヤさんはこの街の人達に愛されているんですね。この立派な像を見ればそれが分かります。ケンヤさん自らこの像を壊すなんてしたら……皆さん悲しみますよ?」
ミコトはそう言うが……ギルド長辺りの嫌がらせにしか思えん!
納得しかねるが……トオルとサラに止められ、ミコトに説得されれば強行して壊す訳にもいかない……
渋々だが破壊は一旦諦める事にする……けど絶対皆の目を盗んで破壊してやる!!
ケンヤの心の声が漏れているのか苦笑いのメンバー達。
「とりあえず帝国に戻ろう……この像を見てると気分が悪くなる……」
そう言ってとっととゲートに入ろうとするケンヤ。
後に続くトオルとサラは、ケンヤ像が壊されずホッとする思いとそれとは別に……ピサロに来る度に、ケンヤがこの像を見て悶絶する姿が目に浮かび「クスっ」と笑い合う。
だが……トオルとサラは知らない……
ピサロの北門には【光速の神剣トオル】の像が立ち、南門には【氷結の神槍サラ】の像が立っている事を!!
後日、コレらを見つけた二人が、鬼の形相で破壊しようとするのをニタニタするケンヤに止められるのであった……
え〜、次回から後の作品に繋がるお話になります。
この修正の為、休載となっておりますが、修正が終わり次第、ちゃんと書き始めますので、もし読んで下さっている方々がいれば見捨てないでくだされ〜