プロローグ
『平凡な戦士職の成り上がり』の修正版になります。
今回は新たに追加したプロローグになります。
どう足掻いても人が辿り着けぬであろうとある空間、そこに四体の人では無い何かがいた。
一体は頭を抱え、もう一体は腕を組み思案げな様子を見せる。それら二体とは対照的に顔を赤くし怒りに打ち震えている一体、またその三体を眺め唯一女性形の一体が溜息を吐く。
四体ともその背には純白の美しい翼があり、彼らが動く度白い羽が舞い、幻想的な風景を作り出していた。
その内の一体、腕を組み思案げだった者が徐に口を開く。
「また干渉を受けているな」
「ええ、数百年ぶりね」
「恐らく今回もまた別次元から『勇者』が現れる……か……」
「また『あのお方』が悲しまれる……何故この世界からではなく、別次元の存在なのかと……」
「突然数百年単位で起こる別世界からの干渉……、これで何度目か……なんとかならぬのか?」
「どうしようも無いようね……『あのお方』曰く、かなりの高次元らしく、此方からは……」
「くっ、歯痒いなっ! 前回現れた勇者、あの者を捕獲出来ていればある程度彼処の世界の事、理解出来たかも知れぬというのに!」
「……そう言うな、前回はあの方が邪魔をしてきたからな……」
「っ! あの反逆者に敬称など使うな!!」
「ラファエル……そうだったわね、ルシ……いや、あのサタンのせいで異世界の勇者を逃してしまったのだから……」
「全く忌々しい堕天使がっ!!」
「まあ前回の事は仕方ない、今回も恐らく現れるであろう異世界の勇者、今度こそ必ず捕え『あのお方』に差し出さねばならぬ! この干渉の解明もそうだが『あのお方』の悲願の為に!!」
「そうだな……『あのお方』の悲願、何としても叶えて差し上げたい!」
「もう邪魔なサタンは居ないのだ! 唯一気がかりなのはあの者共、必ず干渉してくるぞ?」
「ふんっ、あんな地上に堕ちた奴らなど!! ミカエル、いや、大天使長ミカエルよ、今回の件私に任せてくれないか、必ず捕えてみせる!!」
「ラファエル……分かったわ、貴方に任せます。ガブリエルとウリエルはラファエルのサポートをお願いします」
「有難い! では早速!!」
女性形のミカエルだけをその場に残し、三体は何処かに消えてしまった。
残されたミカエルは、写し出されている丸く青い天体を見つめ
「ルシファー様……」
ポツリと呟くのであった。
ご意見ご感想お待ちしておりますm(_ _)m