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女神様! 御自分で御与えになられた恩寵なのですから、嘲笑するのをやめては頂けませんか?  作者: 日雇い魔法事務局
第5.5章 大変な変態たちは気がすむまでもふもふしたい!
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第24話 ケモミミっ娘救出大作戦

拉致は立派な犯罪です。

働きもせず、楽をして人の自由を奪い、金を稼ごうと言う考えは、同じ人間として許せないですね。


今回はそんなお話です。

それでは、どうぞ。

<召喚後13日目>


 吉澤ボスのテクニックはすごかった。

 残りの勇者派遣先が2つ。

 西国と荒波の国。


 西国は、礼儀を重んじる国なので、まともな人間を送りたい。

 荒波の国は、生きて辿り着けるとは思えないし、辿り着いても生きていけない。

 できるだけ、捨て駒を送り込みたい。


 そして、今までの送り込まれた勇者たちを見るに一つの法則性がある。

 それは、グループ単位で派遣されていると言うこと。

 つまり、グループと認識されると派遣される確率が上がる。


 これらのことから、吉澤ボスは簡単な作戦を考えた。

 国王には、「ダメンズ」をその名の通り、捨て駒、いらない子たちと認識させたい。

 その上で、「ダメンズ」が一つのパーティーであることも認識させたい。


 そうして、僕たちの地味な広報活動が始まった。

 昼に夜に、僕たちは団体で行動し、城内でのみ評判を落とす活動をした。

 城下町でもやると、冒険者としての活動に支障が出るからね。


 女神様に隔離されていようが関係ない。

 吉澤ボスのテクニックを駆使して、城内のあらゆる場所に入り込む。

 そして、王の周辺でのみ、いかがわしい行動を続けた。


 メイドさんたちには悪いことをした。

 今は反省している。

 結果として、思い通りになったので後悔はしていない。


 今でもその柔らかさは忘れはしない。

 ナイス爆乳。

 ナイス桃尻。


 本当に、吉澤ボスのテクニックはすごかった。



 王に呼び出され、女神様に嘲笑されつつも、願いは叶った。

 念願の「荒波の国」への公式片道切符を手に入れたのだ。


 どの様にすれば、そこまで無事に辿り着けるのか。

 必要なアイテムは何があるのかと考えていたが。

 とりあえず、地図とか必要だった。


 そこで、城内の人間に、「荒波の国」へ行くためのアイテムの供出をお願いした。

 でも、城内では悪さしすぎたので、協力してもらえなかった。

 なんなら、即日城から追い出された。


 それも作戦のうち。

 地図自体は、ずっと前から吉澤ボスがくすねていたからだ。

 地図を求めるということは、持っていないということ。

 無くなった地図は、あいつらが持っているんじゃない。

 そう、印象付けることに成功した。


 旅支度自体は、あらかじめできていた。

 前回知り合った、盗賊団(仮)は、荒波の国の人たちだった。

 そこで、必要なアイテム類は、そのキャンプに預けておいた。

 必要なアイテム類がなんであるのかについてもレクチャーを受けた。


 途中の山中では、凶悪なモンスターが跋扈しているので、一番必要だったのはレベルだった。

 暇を見つけては、レベル上げに勤しみ、少しだけ強くなった。

 もらったお金も含めて装備を整え、戦力の増強を図った。



 盗賊団(仮)は、荒波の国の冒険者パーティーなんだそうだ。

 パーティー名は、「ワンダフォル」。

 登山なんかが必要な依頼を専門に受けるパーティーなんだそうだ。

 この中途半端なネーミングはいただけない。


 それでも実力はかなりのハイレベルだと思う。

 いろいろと話せないことや秘密も多いということだ。

 細かいことは聞かない様に気を配った。



 今回、快く道案内や護衛をタダで引き受けてくれた。

 なんて、いい話。

 ではない。


 ちょっとだけ、彼らのお仕事を手伝うのが条件だ。

 そして、それさえ協力すれば、道案内も護衛も荒波の国についてから、国王に会うまでの面倒も、全部ロハでいいそうだ。

 吉澤ボスは、かなり難色を示したが、背に腹はかえられない。

 しぶしぶと承諾した。




 ワンダフォルの依頼はなんともシンプルでわかりやすい。

 彼らの当初の目的通り、王国城下町に潜む奴隷商人たちを根こそぎやっつけること。

 そして、捕まっているケモミミ族を、取り返すことだった。


 そのためには、僕たちは一度、荒波の国に出発したことにしなければいけなかった。

 なぜなら、容疑をかけられない様にするため。

 後々のことを考えてのことだ。


 そして、すぐにでもやりたがっていたワンダフォルの一行を抑えたのは吉澤ボスだった。


「その作戦。一切世間に知られずに行ってもいいなら、引き受けましょう。そちらとしては、抑止力として、奴隷商を営むと消されると警告したいところでしょうが、私たちは所詮少人数。いっぺんに全てを救うことは叶いません。そして、その作戦を実行するためには入念な下調べが必要になります。それでもよろしいでしょうか?」

「よろしくてよ。なかなか分かっているじゃないの。偵察と作戦立案は任せるわ。」


 女術師が答えた。

 ワンダフォルを裏で牛耳っているのは、この女だった。

 ちょっときつい感じのいい女だった。

 バウ族だけどね。



<召喚後14日目>


 吉澤ボスが、技能スキルの「ミス」をLv6までしぶしぶ上げた。

 これで、城下町に出入りするのに、門番に止められることなくなった。

 恐ろしいな、この技能スキル

 絶対悪用できるだろこれ。


 冒険者ギルドで、相変わらず依頼を受けお金を稼ぎつつ、情報を収集した。


「おう、そうだ。俺たちのパーティーもよう、荷物持ちとかの異種族の奴隷が欲しいんだよ。どうすれば手に入るんだ? そいつらは?」


 僕は、荒っぽい言葉遣いで、荒くれ者っぽい男4人集に声をかけた。

 犬の亜人、というかおそらくバウ族を2人連れていたからだ。

 明らかに荷物を持たされていて、虐待されていた。

 こちらからすれば、情報をゲットするためのカモだ。


「ただってわけじゃ、ねぇよな?」

「もちろんだ。だがよう、そこらへんで拾った、とかいうならナシだ。どこで、いくらくらいでまで入っているなら、大銀貨1枚までは出そう。」

「よし分かった。合言葉とかもあるからな。ちょっとこっちに来な。」


 そういって、荒くれ者たちは僕をギルドの食堂の個室へと連れて行った。

 ちなみに、荒くれ者相手だ。

 今の僕は、ほんとに大銀貨1枚しかもっていない。

 搾り取られるからね。


「のこのこついてきやがって、いい度胸してるじゃねぇか。」

「どうするつもりだ。」

「身ぐるみ剥ぐに決まってんだろ? 金持ってんだろ? 出しな?」

「そうか、残念だな。そちらは4人か。こちらは一人。降参だな。」


 そう言って、両手を挙げた。


 この段階で、相手の数は3人になっていた。

 一人減っていることに気が付かれていない。


「それで、何が欲しいんだ?」

「金だよ金! 有り金全部出しな! そうすりゃ命だけは助けてやらぁ。」

「お優しいことで。」


 そしてまた一人、退場した。

 残り2人。


「おい、おまえらって、どこ行きやがった?」


 残った2人は、不思議がっていた。


「ああ、言い忘れていた。僕は、君たちの命を助けてやるとは、言っていないよね。」

「なんだと?」

「僕は呪術師でね。僕に危害を加えようとすると、呪われるんだよ。この世界から、ちょっとはみ出してしまう様になるんだ。」

「どういうことだ?」

「こう言うことだよ!」


 そして、その男の見ている前で、濃い霧が発生して、もう一人の男が消え去った。


「さて、どうする? 情報を吐くか。この世界からはみ出すか。僕は優しい。2択だ。」

「言えばいいんだろ。消さねぇでくれよ。まだ死にたくはねぇんだ。」

「なら、言え。」


 そして、その男は、すらすらと奴隷商人の居場所や、入り口の合言葉を教えてくれた。

 本当に、吉澤ボスのテクニックはすごかった。

 僕のセリフに合わせて、男たちが消えていく様は、ほんとにホラーだった。

 夢に出そうだよ。


 こんなことを5回も繰り返したところで、情報が被ってきた。

 結果、この城下町には奴隷商が3店舗あることがわかった。


 貴族街にある、高級向け奴隷商が1店舗。

 警備は厳しめ。

 ここは、合言葉じゃなくて、許可証のメダルがないと入れない仕組みだ。

 何より、貴族街。

 門から中に入るだけでも一苦労だ。


 次が商店街の奥にある、大衆向け奴隷商が1店舗。

 警備は厳しめ。

 ここは合言葉が必要。

 ただし、地下なので揉め事を起こすと閉じ込められる仕組みだ。


 最後がスラム街にある、低廉な奴隷商が1店舗。

 警備は緩め。

 合言葉が必要だが、いかついヤクザ者が入り口の周りをうろついている。

 ボコられたくなければ、そもそも近くべきじゃない。


 裏をとるために、町の兵士に金を握らせて情報を買ったが、この情報で間違いはなかった。

 国が認めているので、後ろ暗い商売ではあっても、取り締まることはできないそうだ。

 ただ、トラブルがあると、もちろん介入する場合もあるそうだ。


 つまり、うっかり襲撃をかけると、国の兵士たちが集まってくるという状況を作りかねない。

 短期決戦か。

 全員を捕縛するか。

 もしくは皆殺しか。 


 かなりのテクニックが必要だ。

 吉澤ボスの力だけでは、おそらく足りないだろう。

 何か、もう一つ、技が必要だった。




<召喚後15日目>


 下調べの結果を、ワンダフォルの全員に報告した。


「3店舗だけなのか。全部助けられそうか?」

「逆に聞くが、全部助けたとして、どう処理するんだ? ここまで連れてくることはできても、その後、どうするんだ? まさか、ここで捨てる訳じゃないだろうな?」

「そんなことするか! 国に連れ帰る。全員拉致されたんだぞ? 連れて帰らずに、どうするというのだ?」

「そうか。だが、100人、200人でも対応できるのか?」


 不思議そうな顔をしてきた。


「そんなにはいないはずだ。3店舗合わせても、40人いたら多い方だ。合法だとしても、生き物だ。維持管理には金がかかる。異種族なら、なおさらだ。死なれても困るからな。」

「そういうものか?」

「われわれの調査では、そうなっている。足りなくなってきたら、また、拉致される。その繰り返しだ。」


 なるほど。

 一応、情報は揃っているのか。



<召喚後16日目>


 そして、その未明、僕たちは作戦を実行に移した。


 まず、貴族街の奴隷商を制圧した。

 綺麗にされている異種族の女の子を8人確保できた。

 奴隷商人たちは、裸にして、ロープで縛っておいた。

 そして、そこから、馬車を奪った。


 すべては、吉澤ボスのテクニックだった。

 平気で馬車を動かしているのは、ほんとになぞだ。


 次にスラム街の奴隷商を制圧した。

 やはり、吉澤ボスのあれで制圧し、全員全裸にして拘束した。

 きれいにされていない、異種族の女の子を16人、確保した。


 最後に、商店街の裏路地にある奴隷商には、襲撃をかけなかった。

 隣の使っていない荒屋に忍び込んで、隣の地下室から、異種族の男の子を6人、確保した。

 少ない。

 もう少しいると思ったのだが。


 方針を変えて、奴隷の部屋から逆にたどって、奴隷商をさがしたが、もぬけの殻だった。

 逃げられた!

 やはり、3軒目。

 感づかれたか。


 子供ばかり30人も乗っているが、貴族街から調達した馬車は、なんとか動かすことができた。


「吉澤ボス。すまない。逃げられた。」

「いいえ。問題ありません。それよりも、ここで救助した男の子を。」


 そう言うので、御者台の方に6人を向かわせた。


「6人の中で、一番鼻のいい者は?」

「ぼく、です。」


 バウ族のやや大きめな男の子が手を挙げた。


「あの奴隷商では、あと、何人、異種族の子がいたのです?」

「女の子が6人。」

「匂いで、追えますか?」

「できる。」

「なら、方向を教えてください。全員助けますよ!」


 この妖怪。

 今までの中で一番真剣な顔をしている。

 正直コワイ。

 異種族の子たちも怯えていた。


 でも、彼らを助けたのは紛れもなくこの妖怪だった。

 残りの6人も助けると言う言葉に、子供たちが沸いた。


「静かに。まだ、夜明け前ですから。」


 そして、馬車は、馬車を追いかけていた。

 なかなか追いつけない。

 僕らの能力では、解決できない。


「あの馬車を襲えばいいの?」


 男の子たち6人が、吉澤ボスに問いかけた。


「そうですね。そうすれば、みんな助けられます。」

「なら、やってくる。」


 吉澤ボスから、ナイフを一丁借り受けると、一番小柄な男の子が、馬車から飛び降りた。

 尻尾の具合といい、耳の具合といい、おそらくはフォックス族。

 馬よりも早く、四つ足で走り抜けると、前の馬車の馬の足のアキレス腱を切断した。

 馬は暴れて倒れ、馬車は横転した。


 吉澤ボスは、追突しない様に、慌てて馬車を止めると、横転した馬車に乗り込んだ。

 そして、守道もちと一緒に人間を全員拘束した。

 パンチがよく効いていた。


 僕と白峯しらみねは、女の子を確保した。

 すぐに自分たちの馬車に載せ替えた。


 そして、直ちに城の西門に馬車を走らせた。

 日の出が近い。

 間に合わないかもしれない。



 西門は、比較的小さな門だが、出入りが多いので、高さがある。

 金を握らせて、朝早くだが、馬車で通過したい旨を伝えてあった。

 急ぎなのだと。


 そして、西門が日の出を前に閉扉される寸前。

 僕たちはその門を走り抜けた。

 金はすでに渡してある。

 そのまま通過することは伝えてある。


 問題はなかったはずだが、どうだろうか。



 その足で、すぐにワンダフォルのキャンプに到着した。

 その時にはちょうど朝日が顔を出していた。


「無事か?」

「36人、確保した。確認してくれ。」


 ワンダフォルの5人は、馬車の中に顔を入れた。

 

「にいちゃん! こわかったよ! 殺されるかと思ったよ!」


 匂いで吉澤ボスを誘導した男の子が、リーダー格の男に抱きついていた。

 家族かよ。

 通りで、諦められないはずだ。


 いい話で終わらせたいところだったが、そうはいかなかった。

 子どもはいつもそうだ。

 大人に都合の悪いことを、直接指摘してしまう。


「王女様だ! ねえ、王女様が助けに来てくれたよ!」

「ほんとだ! 王女様だ!」


 女術師の裏ボスにむかって、少女たちは「王女」と連呼していた。

 女術師は、しまった、と言う顔。

 そうだよな。

 そういうことか。


「王女様、なのか?」

「そうですが、何か?」

「いや、何も。じゃあ、荒波の国に帰るか。」

「よくってよ。衛兵たちは、馬の周りで護衛を。」

「わかりました、王女殿下。」


 すっかり態度が変わってしまった。

 ああ、演技だったのね。

 衛兵って、王国の騎士か兵士か何かなのね。

 わかります。



 こうして僕たちは、思いのほか頑丈な2頭立ての馬車で、荒波の国を目指すのだった。


「荒波の国は通称でしてよ? 本来の名前は……」

ブックマークありがとうございました。

読んでくださる方がいることがわかるのが、何よりのやる気につながります。

頑張っちゃいますよ?


さて、本文の話です。

風呂敷を広げるつもりはなかったのですが、王国の現場を憂いて、何かしたがる感じのキャラクターたちですから、こう言う話になるんじゃないかと危惧していました。

え? 危惧するようなことないじゃないかって言うのですか?

危惧しているのは次の話です。

どう、収拾をつけるのか。

ああ、どうしてくれるんだって感じです。

そうなんですよ。

次の話で、この章の話を決着つけなくちゃいけないのですよ?

ほんとにどうしましょう。


それでは、作者急病につき、とかアナウンスされなければ、明日の12時すぎに。

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