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第7節 時間制限付きダンジョンと異世界転移者との再会

再会って、いいものですね。

でも、昔の人間関係と今の人間関係が交錯すると、往々にして問題が発生しやすいものです。

名刺交換ではないですが、新しい人間関係を作ることができるチャンスは極力逃さないようにしたいものです。

<前回の3行あらすじ> 

 レイン先生によるスキルのチュートリアルのようなものが行われたよ。

 でも、結局スキルは使えなかったよ。二重の意味で。

 あと、レイン先生は、あの女神に復讐を宣言したよ!



 レインとの打ち合わせの結果、恩寵の技能スキルは、今、使えないことがわかった。

 そして鉱山内では、違う意味でも使えないスキルであることがわかった。

 気を取り直して、とりあえずは鉱山脱出を目指す。


「これ以上『マインウルフ』が出て来たら、もう左腕が持ちそうにないのだが。」


 そんな弱音を吐いていた。

 レインが、鉄道鞄から制服と称して、紺色の作業服を出して来たので、とりあえず、服はきれいになった。

 だが、傷が回復した訳ではない。


「でも、その学ランとズボンを使えば、今度は牙がささらないのではないです?」

「! そうだな。そうか、それがあったな。」

「でも、もっといいものがあります。」


 レインは、鉄道鞄から何かを取り出すときにつかう呪文を唱えた。

 腕を守る鉄道用具なんて、あったかな、と脳内検索していた。

 いや、ないよ。そんなの。あっても腕章くらいだろ。


「これです!」


 レインは、どす黒い毛皮を持っていた。


「マインウルフの毛皮です。防御力高めです。」

「いや、どこから出したし?」

「マインウルフを鉄道鞄に収納しました。空間魔法が適応されて、マインウルフの死骸は、それぞれ素材として、分離されて収納されました。」

「お、おう。便利だな。」

「マインウルフは、首根っこに噛み付いて、他の仲間を運ぶことがあります。皮膚が牙を貫通させてはそんなことはできません。これ、使ってください。」


 レイン、ドヤ顔である。


「ありがとう。これで、何とかなりそうだ。」

「何よりです。そして、またきました!」


 左腕に、そのマインウルフの毛皮を巻く。

 切り裂いて紐状にしたYシャツで縛って固定する。

 マインウルフが容赦無く飛びかかってくる。

 左腕を出して、噛み付かせる。


 ガブっ!


「うぎゃーつ!」


 痛い、めっちゃ痛いよ!

 そして、貫通していないけど、おそらく内側で傷が開いているよ。


 でも、何とか仕留めた。

 めっちゃ痛かったけど。

 そして、レインが収納した。

 おそらく、鞄の中では、先ほど言った通り、分別収納されているんだろうな。


 そして僕は、マインウルフの毛皮を外した。


「え、やっぱりダメでしたか?」


 レインが、しれっと聞いて来た。


「確かに貫通はしなかった。でも痛い。ダメージ入っている。」


 そして、腕の包帯にしている元Yシャツの布を巻き直すと、その上に、学ランのズボンを巻いた。それから、その上に毛皮を巻いて固定する。


「毛皮だけじゃ、防げなかったよ。これで、よしっ、と。」

「2匹目、来ましたよ?」


 そうして、その後、3匹のマインウルフを倒したところで、水が腰近くまできた。

 4匹目は、攻撃前に溺れかけていたが。


「おめでとうございます。マスターのレベルが3になりました。スキルは獲得していません。スキルポイントは手に入りました。」


 お、これだけ倒すと、レベルが上がるものなのか。

 ま、低レベルだから、すぐにレベルアップするものだな。


 ん? スキルポイント?


 新しい単語が出て来たぞ?


「レイン? 『スキルポイント』って何だ?」

「『スキルポイント』は、スキルのレベルアップに使うポイントです。」

「ちょっと待て。スキルのレベルアップっていうことは、スキルにもレベルが?」

「あります。ちなみに『設定』も『制作』もレベル0です。ポイントを振らないと、そもそもダメです。最初からは有効になっていませんでした。」


 スキルは、ポイント制なのか。

 戦闘で、自動的にレベルアップする訳じゃないのか。


「じゃあ、どうやってポイント振ったらいんだ?」

「レインが振ります。」

「レインは何でもできるんだな。」

「他の人は、自分で振るみたいですが、マスターの場合はレインのアドバイスのもとレインが振ります。」

「ちょっと待て。僕が自由に振れないような言い方だが。」

「大丈夫です。自由に振れます。レインは言われた通りにちゃんと振りますから。」


 なんか、釈然としない。

 まあ、そういうものなのだろうと、考え直すこととした。


「じゃあ、それぞれポイントを振って、レベル1になるようにしてくれ。」

「はい。できました。」

「いや、早すぎるだろ。」

「こんなこともあろうかと、あらかじめ、振っておきました。」

「! ダメだろ、そんなの。」

「でも、レベル1にしたいですよね。 スキル、使いたいですよね?」

「そうだが、しかし。」

「大丈夫です。マスターのことは、マスターよりレインのが詳しいですから。」


 なんか、釈然としない。


 すると、前方から水音が聞こえて来た。


「水音だ。これで1階層上がれるぞ。」

「ま、マスター。これ、違います。なんか来ます。」


 前方をよく見ると、灯りがついている。

 かなり遠くだが、揺らめく光は、炎か何かだろう。

 この水がたくさんある鉱山の中、どうやって。


 いや、鉱山の中で炎って!

 鉱山は原則、火気厳禁だろ。

 最悪、爆発するぞ!


「レイン、ヤバイな。」

「ムゥ、あ、ちょっと行って来ます。」

「お、おい。ダメだろ、やられるぞ!」


 レインは、その炎に向かって飛んで行った。

 腰まで水に浸かっているので、こちらは素早く動けない。

 空中を移動するレインは、あっという間に光のあるところにたどり着いていた。


 すると、前方から、炎が消えた。

 レインが、説得したのか、無理やり消したのかはわからない。

 でも、とりあえずこれで、粉塵爆発の危機は去った。


 レインのいるところまでたどり着くと、そこには女の子が一人立っていた。

 というよりも一緒に廃鉱山へ転移させられた伊藤さんだった。

 ずぶ濡れの上、ボロボロである。


「よ、よう。伊藤さん。無事だったのか?」

「いえ、今し方、この小さなモンスターにボコられました。」


 おい。

 レインは何をかましているのだろうか。

 いや、そうだったな。

 レインからすると、ほぼ敵認定されているんだよな、伊藤さんも。


「それは、すまないことをした。こいつは、」

「こーへーのパートナーの、レインです。こーへーに何かしたら許しません!」


 いや、違うだろ。

 僕の紹介を遮って、レインは微妙な自己紹介をする。

 伊藤さんも怪訝そうな顔でこちらを見る。


「パートナーって、あなた、何なの? それにだいぶサイズが?」


 最もである。

 パートナーというには、というより人間と言い張るには、サイズ感が違いすぎる。

 というよりも空飛んでるし。

 どう、説明しよう?

 ヤヤコシイコトニナリソウダヨ。


「レインは、大魔王に呪いをかけられて、小さくなってしまいました。しかも、こんな辺境の廃鉱山に転送されて死にそうなところを、こーへーに助けてもらいました。」


 あ、そういう設定で行こうということ。

 よく咄嗟に思いついたな。

 アドリブ、効く方なんだな。


「いや、あんた、野中の鉄道鞄にくっついていた人形でしょ? 騙されないから。」


 ワンワードで見抜かれてるよ。

 伊藤さんも、よく見てるよね。

 ああ、もう。

 二人して、目でバチバチいってるよ。

 仲悪そう、というかこれ、ダメなやつだ。


 レインがこちらに飛んでくると、僕の右肩に座った。

 頭にしがみつく。


「マスター。やっちまいましょうよ。」

 

 レインが悪い顔を作って、そう耳元で囁いて来た。


「いや、何いってるの。ダメだよ? とりあえず一緒に地上を目指さないと。」

「仲間にするんですか? マスター?」


 伊藤さんは、仲間になりたそうに、こちらを見ている。


「いや、一時的に一緒に行動するだけだ。風紀委員だからな。仲間にするとおそらく、面倒なことになる。」


 普段の関係から、深く関わり合いになりたくなかった。

 普通のラノベとかなら、危険地帯での美少女同級生との再会だ、ヒロインとなるだろう。

 でもな〜。

 風紀委員って、いつも敵対してるし。

 時刻表、取り上げられているし。(まだ、根に持っている。)


「で、話し合いは済んだかしら?」

「ああ。とりあえず、この鉱山から脱出するまでは、一緒に行動しよう。」

「脱出するまでね。それでいいわ。」


 そう言って、すぐに歩き出す伊藤さん。

 そう、確かに、伊藤さんの歩いて行く方から、水の流れる音が聞こえる。

 つまり、登り斜坑があるはずだ。

 でも、彼女、そっちから来たよね。

 何でだろ?


「とりあえず、こっちに行けば、1階層だけは登れるわ。1階層だけね。」


 何か、とても含むもののある言い方をする。

 これまでも、1階層ずつしか上がっていない。

 それで十分ではないだろうか。


 そうして、少し歩いて、足がつかなくなって、少し泳ぐことになって、登りの斜坑に到着した。

 しかし、登る前から、何だか絶望感満載な感じであった。


「そう。あれ。あれ、何とかしないと、帰れないから。」


 正直、僕はこの時、今度こそ詰んだと絶望した。

投稿しようとして確認していたところ、いつの間にかブックマークをつけてくださった方が3人に増えていました。

宣伝をしている訳でもないのに、よくぞ、この小説にたどり着いてくださいました。

実際に探そうとすると、自分でもなかなかたどり着くことができませんでした。

もちろん、管理ページからはすぐです。

読者様が増えて、だいぶやる気になったので、ちょっと頑張ろうと思います。

つきましては、明日の投稿は3連投したいと思います。

3人に増えましたので。

夕ご飯くらいの時間からやってみようと思います。

投稿にも、ちょっとした工夫やテクニックが必要なのですね。

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