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女神様! 御自分で御与えになられた恩寵なのですから、嘲笑するのをやめては頂けませんか?  作者: 日雇い魔法事務局
第3.5章 エロい猿渡パーティー発生条件となった過去の日々
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第13話 困った隣人に適切に対応しようマニュアルが欲しい件

友達付き合いは楽しくもありますが疲れることでもあります。

一人の時間も大切です。

人と人とのつながりは、とても心温まるものですよね。

このコロナ禍の最中、なかなか人と人とが繋がらない焦ったさを感じます。

今回はそんなお話です。

では、どうぞ。

 あたまがいたい。


 目が覚めたときにはじめに気がついたのはそんなこと。

 そして、みなれない天井。

 おそらく病院なのか。


 そして、覗き込んでくる江藤。

 なぜ?



 江藤が、どうして今、自分が病院で寝ているのかについて、ゆっくりとではあるが、わかりやすく説明してくれた。

 江藤の説明には時間がかかるけれども、丁寧でわかりやすい。

 そして、その説明に出てきたこの病院の院長の一人娘が向かい側のベッドにいた。


 線の細い彼女は、私からすると羨ましい限りだ。

 剣道をしていて陰口を叩かれている。


「すばやいデブ」


 それが自分の二つ名だった。

 失礼な。デブではない。ちょっと肉付きはいいけど、まだデブじゃない。

 剣道では勝てないので悪口で攻める。

 よくある負け犬の光景だ。



 しかしまいったな。

 江藤を助けるどころか、自分がやられてしまうとは。

 その後、自分と同じように江藤を助けようとした桜井までやられてしまった。

 今回はちょっとヤバイな。


 なぜなら、おそらく。

 本当の事、世間には知らされないように工夫されているはずだ。

 自分の事件が、「自殺」にされていた。

 桜井の事件は、「加害者」にされていた。


 事件を起こしてすぐにそんな都合のいいことを思いつくのは、小説の上だけだ。

 普通に考えるなら、その嘘の物語は、あらかじめ用意されていたと考えるべきだ。

 ちょっとエネルギーの足りていない感のある頭で考える。

 どうすればいいかと。


 まず、真実を公表したい。

 今、病室で流れているテレビでさえ、センセーショナルに報じている嘘。

 これを塗り替えるのは簡単じゃない。

 ちょっと前の時代なら、テレビの本当が、真実になる。


 でも、今はちがう。

 マスゴミと言うつもりはないけれど、売れるように嘘を書くのも仕事のうち。

 それを世間が共有し始めた。

 そして、今の世の中にはインターネットがある。


 ネットは万能ではないけれど、有用だ。

 上手に活用できれば、強力な武器になる。

 今までも、多くのマスコミなんかの嘘を、ネットがあばいてきた。

 でも、ネットを使っていない人にはそれが嘘だと届かない。


 じゃあ、やってやりますか。

 反撃しないと。

 やられっぱなしと言うのは性に合わない。

 親に怒られるかもしれないな。



 桜井院長が様子を見に来たので、聞きたいことと要求を伝えた。


「自分は、どれくらい寝ていたんだ?」

「2か月くらいかな。どうだい? 体の調子で違和感があるところは?」

「まだ、鈍く頭が痛い。何か薬でも?」

「点滴だけだ。薬は使っていない。意味のないことはしない。」

「そうか。なら、院長以外の医者は、この部屋には入れないで欲しい。」


 院長はギョッとした顔をした。


「なに、簡単なことだよ。もしかすると自分は一服もられているかもしれない。」

「それで意識が戻らなかったと?」

「可能性だ。あと、そうだな、意識が戻ったこと、秘密にできないか?」

「なんでだ?」

「この病院の協力者、うまくいけば炙り出せるかもしれないだろう?」

「疑っているのか? 他の医者を。」

「心当たりでも?」

「ありすぎる。」


 その返答は聞きたくなかった。

 まあ、おそらくこの病院も黒なのだろう。

 そうと決まれば出来る限り早くに退院すべきだ。

 でも、退院してしまうと意識が戻ったことがバレてしまう。


 自分の意識が戻ると、真実がさらされて困る人が大勢いるだろう。

 どういうことなのか、自分は自殺したことになっているからだ。

 その上、遺書までご丁寧に捏造してあると来た。

 これは、不謹慎だが、やりがいを感じてしまう。


 お見舞いに来ていた江藤に一つお願いをした。

 ちょっと学校に行って、回収して欲しいものがあると。

 そして、出来るだけ学校にいるのは短時間にして、すぐに戻るようにと。

 この日は、泊まって行かなくていいと。



 次の日。

 とろいと有名な江藤は、確実に任務を完了していた。

 正直、途中でいじめっこに見つかって、カメラを取り上げられる予想があった。

 そして、映像もばっちり。


 桜井のことを想定したものではなかったにせよ、盗撮は成功した。

 なんなら、桜井に関しては無実が通るだろう。

 ただ、これは盗撮なんだよな。

 警察に提供したら、逆に自分がつかまりかねない。


 なら、そうだな。

 ネットにアップしたらどうだろう。

 みんなで再生回数を稼げば白日の元にさらされる。

 100回嘘を言われ続けても、1本の真実の動画の方が説得力がある。


 そして、なにより。

 マスコミが嘘を報道してるとか、炎上の燃料以外の何物でもない。

 これは、祭りの予感しかしない。

 さっそく、桜井のよさげなパソコンを横取りして、海外からアップしてやった。


 そして、ネット界隈のそう言うのが好きな連中に、情報を流してやる。

 ほどなく、食いつかれて、動画の再生数が伸びる。

 動画が転載され、マスコミ叩きが始まる。

 半日と立たずに、炎上することだろう。



 学校関係者が見たら、あっさりと犯人の個人情報が特定できる。

 それは予想していた。

 でも、その予想の斜め上に自体は進行した。


「離せ! 私は議員だぞ! お前らなんぞいつでも首にできるんだぞ!」


 もうね、テンプレと言っていいほどの悪役のセリフを吐いている人がいるみたい。

 それを、病院の職員が止めている。

 桜井のお父さん、役に立ってるじゃない。

 そもそも桜井病院て私立なんだから、議員がどうこうできないはずなんだけどね。


「お前らが流したのか!」


 結局、ドアを蹴破る勢いで突入してきた議員さんとその取り巻き。

 私は寝たふり。

 建前では意識不明の重体なのだし。

 ターゲットは桜井にロックオンされた。


「何を? 何を流したと言うのです?」

「うちの娘が、お前を刺すように言っていた動画だ! 何て事してくれるんだ!」

「はて? 何のことです? そんないい動画があったなら、マスコミが、こんな大誤報できるわけがないじゃないですか。大丈夫ですか? 落ち着いて下さい。」


 桜井は大物だなと感じた。

 あの、モンスターのような議員に一歩もひかない。

 あ、ベッドから上半身を起き上がらせているだけだから文字通り無理なんだけどね。

 あと、娘って言ったな?



 モンスターペアレントかよ!



 出たよ。

 厄介な隣人。

 略称:モンペ


「それに、ちょっと考えれば分かると思いますけど、もし、そんな動画を流したとするなら、刺されて動けない私より、その場でスマホをいじっていた、ご友人方の方が疑わしいのでは? 売られたのかもしれませんね?」


 そして、その言葉にハッとする。

 動画をよくみていれば、この言葉の嘘に気がつくはず。

 画角に無理があるからだ。


 でも気づけない。

 その嘘を見破れない。

 なぜなら、きちんと動画をみていなかったから。


 そして、それを煽るようにワイドショーでその動画が流される。

 もちろん、モザイク加工がなされてはいる。

 でも、出典が書かれてしまっているので、すぐに動画を再生できるだろう。


「くそっ、行くぞ!」


 そう吐き捨てるように言うと、取り巻きと共に病室を立ち去ろうとしていたのだが、


「動くな!」


 大きな声での一括。


「特捜部だ!」


 スーツの男の人たちが大量に押し寄せてきた。

 何をするのかとおもったら、その議員さんを取り押さえていた。


「町田議員だな! 裁判所から公職選挙法違反で逮捕状が出ている。検察で、詳しく話を聞かせてもらおう。」

「なんだと? お前らは、こいつらを逮捕しにきたんじゃないのか?」

「地検がなんで少年事件で動くと思うんだ? 政治案件にきまってるだろ?」

「わたしはやってない。けっぱくだ!」

「連れて行け!」



 いきなりのことにびっくりしていた。

 突入してきた町田議員にもびっくりしたけど、それを捕まえにきた特捜部の人にも。

 ちゃんと警察、動いていたみたい。

 まあ、あの動画見た後じゃ、さすがに桜井を捕まえには来ないでしょ。


 でも、なんで捕まったのかは謎だった。

 選挙がらみ?

 何をしでかしたのか?

 でも、結果として、いじめは止まるだろう。


 だって、そんな大事件があったら、この街にはもう住んでいられない。

 転校するなり退学するなりするしかない。

 よしんば無理やり居残ったとしても、立場がない。

 そして、早晩、警察が来るだろう。


 さすがに今度はすぐ帰って来ると言うことはないだろう。

 なら、もう、困った隣人に接することもない。

 安心して、学校に通える。

 私の江藤を守りたいと言う目標は、想定とは違う形でかなえられた。



 身体が治って、久しぶりに学校に登校すると、江藤と桜井に会えた。

 もう、すっかり友達になってしまった。

 この間、江藤は意味もなく私の剣道を観に来ていたり。

 3人で映画を見に行ったり。



 でもなぜが、いじめっこ軍団は一人として欠けることなく、学校にいた。

 そして、今日もまた、ちょっかいを出して来る。

 いじめようというのだろう。

 でも、もう心配ない。


 こちらは3人もいるのだから。

 なんなら、男子も味方をしてくれたり。

 ときおり、本当のぼっちのお嬢様、大岩井さんがド正論で加勢してくれたり。

 教室の中でいじめが大っぴらにできる状態じゃなくなった。



 ああこれなら、安心して高校生活が送れる。

 いじめに怯えなくていい生活が、ここにはある。

 そう思っていました。



 ここ、異世界の王宮に飛ばされるまでは。

上げて落とすのは、心理的に一番きついそうですね。

こう言う構成、結構好きではありますが。

だって、過去話だと言うことは、未来が見えてしまっている以上制限があるわけで。

このキャラクター、殺したらダメだよ? とか。

逆もまたしかり。


真の仲間じゃないって言われて凹みすぎて投稿をボイコットしていなければ明日の15時頃に。


訂正履歴

 阿部の事件 → 桜井の事件

 櫻井に関して → 桜井に関して(※ 誤字報告感謝いたします。)

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