表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
女神様! 御自分で御与えになられた恩寵なのですから、嘲笑するのをやめては頂けませんか?  作者: 日雇い魔法事務局
第2章 僕の考えた最強の拠点作り
28/224

第23節 私たちレベルアップしました

「ラスト」回です。

小説や漫画を作られている方にはわかると思いますが、作中のキャラクターには、自分から動いてくれるキャラクターと、こちらが意図的に動かしてやるキャラクターとがいます。

ラストは、キャラクターが濃い上に自分から勝手に動いてくれるキャラクターなので、書いていて楽しいですし、気がつけば話が出来上がっている、と言うことが多いです。

執筆上は、とても良さそうに見えるのですが、メインの流れを喰ってしまうと言う短所もあります。

やはり、ちゃんとその辺りは面倒を見ないとですね。

1話丸々書き直したのは、秘密ですよ。


今回はそんなお話です。

それでは、どうぞ。

<前回の3行あらすじ>

  朝、MPをほぼ全て消費して、召喚魔法「プレートレイヤー」で保線の精霊を召喚した。

  ラストと名付けたこの精霊は、ロッコと同じくらいの大きさの女の子(騎士)だった。

  そして、暴言の嵐。レインにマジギレされる。僕にはどうしても仕えたくないらしい。



「くっ! 殺せっ!」


 保線の精霊ラストはまだ色々と諦め切れていないようだ。

 ラストはツンデレくっころ騎士だった。

 むっつりでもあった。

 そうそう、エネルギーの補充に関して、大きな勘違いをしている。

 それでも一応、効率よく補充できるらしいが。

 夜になったら、何をしでかすか心配だ。



 今、僕たちがいるところは、ウーバン鉱山の5階層。

 ラストがスケルトンオークと戦っている。

 というか、負けそう。

 そして、あのセリフである。


「お前のような軟弱者に、助けられる必要はにゃっ、いぃ〜!」


 結構、重い攻撃を連続して受けているように思うのだが。

 ラストも結構粘る。


 何度か助けようと思ったのだが、本人に拒否される。

 最大戦力のユリも、僕の頭の上であくびをしたり、船を漕いだりしている。

 尻尾が揺れているので、完全に寝ているわけではないようだ。


「あ、マスター? いいのです? ラスト、このままじゃ本当に殺される、ですよ?」

「いや、大丈夫。ダメになったら、ユリが助けることになっている。」


 スケルトンオークとラストは相性が悪い。

 精霊とはいえ、魔法を使わないようなので、そう言う意味ではただの騎士である。

 物理攻撃としては大きなダメージを与えているのだが、如何いかんせん回復が早すぎる。

 それを剣の速さによる力技で何とかしようとしているのだ。

 正直すごい。

 レベル0とか信じられない。


 そんな思いで、戦いを眺めていたのだが。


「わ、私をそんな獣のようなエロい目で見つめるなー! は、は、はらっ!」


 そして、激しい攻防が再開する。

 そんな目で見てないし。

 でも、放っておくと面白そうなので、生暖かい目で見守る。


 というか、おそらく、しばらくは一進一退、ラストの体力が尽きるまでは進展がないと判断したので、ハイドウルフのユリとマインバット退治に出かけた。

 そして、ユリがマインバットを8匹ほど美味しくいただいたころで帰ってきた。


「なぜ? なぜだ? 相手を倒してもいないのにレベルアップしている! 何をした!」


 常に喧嘩腰なのはいただけないが、レベルアップには敏感なようだ。

 ユリが頭の上で満足そうにゲップしているので、ラストの方に戻ってきたのだ。


「今、マインバット8匹ほど討伐したから、ラスト、少し、レベルが上がったはずだぞ! これで何とかなるか?」


 レベル0で、互角に渡り合っていたのだ。

 レベルが上がったのなら、何とかなるだろう。


「ん? にゃ、にゃ二を言っている! お前にそんなことできリュ、は、はず、ないだりょ、りょ〜!』


 器用に剣を振り回し、盾で攻撃を受け流しながら、そう答えてきた。

 正直、すごいと思う。

 初めて、スケルトンオークを正攻法で討伐できそうな感じだ。

 いや、ここにきてから正攻法での討伐自体、初めてかもしれない。


 ちょっと期待した。


「レイン。ラストのレベルは、一体どれだけ上がった?」

「レベル2です。ステータスも結構上がったのです。あと、レベル1で『レール(制作:30kg)』、レベル2で『枕木(制作:木製)』の技能スキルを手に入れたのですよ?」

「ちょっと待て、それじゃ、まだ、線路を設置できないんじゃないか?」

「そうです。レベルアップして、それぞれの(設置)を習得しないと、です。」


 レベルアップは急務だと感じた。

 線路を設置しようとして、ラストのレベル上げと、鉱石の採掘にきたのだが。

 ラストのレベルが、一定値まで上昇しないと、線路は無理なようだ。


 そうなのだ。

 ラストは、見た目は騎士なのだが、本来的には保線の精霊。

 レベルアップして習得する技能スキルは、当たり前なのだが保線の技能スキルであった。

 いや、レールとか、枕木とか作るのって、保線に入るんかいって突っ込みたいところだが。



「こなくそーっ!」


 ラストの大剣による刺突が、スケルトンオークの肋骨をかすめて背骨に当たった。

 地味な音を立てて、骨を破砕した。

 どうせまた、すぐに元に戻るとたかをくくっていた。

 しかし、スケルトンオークは復活しなかった。


「核を、魔物の核になる部分を、攻撃、すれば、いい、んだ、ぞ!」


 ラストは、はぁはぁしながら、こちらを睨み付けてそう言ってきた。

 ピンポイントに攻撃するため、ここまで時間がかかったようだ。

 いや、そのピンポイントを一から探していたのだろう。

 やっと見つけた感じだ。


「ハァァっ!」


 そして、2匹目は、一撃だった。

 一撃で、やっつけた。

 もちろん復活しない。

 続いて、3匹目も瞬殺だった。


「はぁ、ハァっ、はぁ。」


 肩で息をしている。

 だいぶ辛そうだ。


「こんなタイミングで何だが、レベルはどうだ?」

「レベル4です。あと、パーティーを組んでいたので、ロッコのレベルも上がっています。」


 ラストの技能スキルはこんな感じだそうだ。

  レベル1 レ ー ル  (制作:30kg)

  レベル2 枕   木  (制作:木 製)

  レベル3 犬クギ等金具類(制作)    New !

  レベル4 工 具 類  (制作)    New !


 設置が来るのと違うのかい!

 と、突っ込みたくなるようなラインナップだった。

 いや、確かに工具も必要だし、犬釘も必要だよ?

 こういうのは設置スキルに入っているものだと思っていたけどね!

 というか、ロッコと比べると、だいぶ細かいな。

 なんか、ロッコでいうと、車輪、とか台車とかに分かれている感じだ。


「レイン、ちなみにロッコの技能スキルも教えてくれ。」

「へ、あ、いいです。でも、比べちゃだめ、ですよ?」

「ん? まぁ、気にするもんか? レインが言うならそうするが。」


 ロッコの技能スキル一覧は、こんな感じ。

  レベル1 簡素なトロッコ  (車輪4,ナローゲージ用,板張り荷台)済

  レベル2 カゴ付トロッコ  (荷台が籠に)

  レベル3 ブレーキ付トロッコ(手ブレーキ搭載)

  レベル4 立ち乗りトロッコ (人が立って乗れるステップ搭載)

  レベル5 鉄製枠付トロッコ (荷台のカゴの部分が一部鉄製に)

  レベル6 中型トロッコ   (長さ1.5倍で積載量増加)

  レベル7 人力トロッコ   (足こぎ式動力搭載で、積載量半減)

  レベル8 屋根付トロッコ  (屋根がついた)         New !


「あ、あれ? なんかだいぶ、方向性が違うと言うか?」

「ロッコはトロッコ専門なので、トロッコがだんだん機能的になってきます。」

「今あるの、レベル1のトロッコな?」

「そうです。そして、レベル1のトロッコを改造して、トロッコのレベルを上げます。」

「ちょ、ロッコの技能スキルレベルの話だよな?」

「そうです。ロッコの技能スキルレベルまでのトロッコにできます。」

「両方一緒なのか?」

「混同しても大丈夫なくらいです。」

「結構、いいの、作れるんじゃないのか?」

「素材、いっぱい必要ですよ?」


 そうだな。

 まずは、レール、引かないとだよな。

 レールもないのにトロッコだけ立派になってもな。



「きょ、今日のところはっ、こ、こ、これく、らいにしておいて、うあり、やるっ!」


 ラストが、お約束のセリフを吐いたところで、今日は一旦帰ろうか、と言うことになった。

 だって、ラスト、もう、ダメそうだし。

 かなり、フラフラしている。

 何なら、大の字になって寝っ転がりそうなくらいだ。


 そして、外に出ようとすると、今日もホワイトベアーが待ち構えていた。

 今日は、4匹。


 これは、いつも通り、レインが発破した。


 レインによると、実はこいつら、結構なレベルで、経験値多目らしい。


 うっかり、レベルアップする僕たち。


  こーへー レベル  9

  ユリ   レベル 10

  ロッコ  レベル 10

  ラスト  レベル  8


 断続的に、ホワイトベアーが襲撃してくるのな。

 でも、近くにあると言うウーバン村って、大丈夫なのだろうか。

 これ、正攻法で討伐するの、だいぶ難易度高いのではないだろうか。


 それから、ラストの技能スキルである。

  レベル5 バラスト (制作)

  レベル6 バラスト (設置)

  レベル7 枕  木 (設置)

  レベル8 レ ー ル (設置・締結:ナローゲージ)


 こうして、線路の設置が可能となった。

 資材が確保できたらね!


 ロッコの方はこうだ。

  レベル 9 板バネ付トロッコ (板バネ搭載)

  レベル10 動力専用トロッコ (人力動力専用の車両・注:自転車方式)


 もちろん、戦闘技能を習得する、と言うことはなかった。

 どう見てもラストは、習得しているように感じるのだが。



 そうして、駅務室に帰ってくると、ラストは目を回して大の字になって倒れた。

 まぁ、そうなるよな。

 ロッコが当直室に運び込んで寝かせた。


「レイン。これで、レールが設置できるのな?」

技能スキルの準備は整ったのです。あとは必要な資材だけです。」

「そうなるよな。あと、線路を作る前に、気になったのだが。」

「何です?」


 レインが不思議そうな顔でこちらを見た。


「外、雪、積もっているよな? 雪かき、必要なんじゃ?」

「あ!」


 このあと、僕とロッコは無茶苦茶雪かきした。

本日4話目。

次は、いつものおやつの時間に。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ