表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/224

第2節 こうして僕のクラスは異世界召喚された

続きも書いてみました。

よろしければどうぞ。

<前回の3行あらすじ> 

 僕は高校のクラスごと異世界召喚されて、全員、女神様から恩寵を授かったよ。

 大多数のみんなは、復活した大魔王との戦いに役立つ恩寵を授かったよ。

 でも、僕のは「トレイン」。役に立たない恩寵と嘲笑される。 え?「ヤオイ」って何?



 僕が、女神様に「恩寵:トレイン」を授かる少しだけ前に時間はさかのぼる。


 丁度、自宅で目が覚めてリビングにご飯を食べに来ていた。


 僕の家は、父親と僕の2人家族。

 父親は、かなり大きな、いや、おそらく日本で一番か二番目に大きな鉄道会社に勤めている。

 若い頃は、運転手もしていたらしい。

 家には、電車の運転席に座り腕と指を前に伸ばしている、その頃の写真が飾ってある。

 でも今は、本社で、デスクワークがメインらしい。


 そんな父親が、この狭い社宅から出勤するのは、びっくりするほど早い時間だ。

 と、いうよりも、僕が朝、出勤する前の父親を、家で見たことはほとんどない。

 家で見たその日は、父親が休日ということだ。

 休日と言っても土日と決まっているわけではないようなので、全く読めない。

 最もそれは父親も同じらしい。

 鉄道会社に勤めているのに、父親と旅行に出掛けたことはない。

 きっぷを渡されて、一人旅させられることは結構あったが。


 父親の作りおいた朝食を電子レンジにかけた後、朝のニュースを見ながら食べる。

 今日はどうやら雪になるらしい。

 雪が降るとなると、雪に弱い鉄道会社の父親的には、帰りが遅くなる。

 たった一人の家族なのだから、遅い帰りには心配もする。


 ちゃんと帰って来てくればいいのだが。

 ニュースによると今の日本では、突然、行方不明になる事件が続発している。

 拉致ではないかと言われているが、いまだに証拠も消息もつかめていない。

 物騒な世の中になったと思うが、実は僕自身、何回か拉致されたことがある。


 鉄道会社も大きくなると、テロリスト狙われやすい。

 そして、テロリストが会社に社員として潜入していることもあるらしい。

 社員を洗脳して、テロリストにすることもあるそうだ。

 そして、テロリストは、社員も狙うが、社員の家族も狙う。


 そのため父親から、危機回避の手段を小さい頃からいくつか手ほどきされていた。

 奇跡的に殺されることもなく、拉致されるたびに何とか脱出してきた。

 父親は、相当な無理難題をテロリストから突きつけられてきていたらしい。

 しかし、父は曲がったことが大嫌いなので、すべてつっぱねた。

 結果として、僕は、また拉致されるのだが、それでも負けない父を誇りに思う。

 誇りには思うが、拉致される方は、しんどい。

 この歳まで生き残ったのが不思議なくらいだ。


 まだ赤ちゃんだった社長の息子さんと一緒に拉致された時が、一番酷かった。

 途中で男にその赤ちゃんが連れて行かれたのでどうなったのか心配した。

 その赤ちゃんは、本社近くの大きな交差点で、車に轢かれて亡くなった。

 警察の話では、おそらくそこに放置されたのだろうとのことだ。

 自分たちでは直接殺さない、卑劣な手段でもある。


 拉致する犯人にも色々な人がいる。

 拉致すること自体を職業にするプロから、主義主張のある政治団体まで色々だ。

 おしゃべりな犯人たちだった時に、そのやり口を教わった。

 犯人たちがアジトで言うことには、拉致するには、登下校中が狙い目だという。

 確かに、今までの拉致はすべてが下校中であった。

 一番ひどい時は、校門の前から拉致された。

 そんな訳で、今では登下校に人一倍気を使っている。


 今通っている学校には、路面電車の駅、厳密には停留所、いわゆる「電停」がある。

 電停から降りて校門まで20メートルもない。

 ちなみに、社宅の前にも電停がある。

 拉致される要素は、極力廃したかったのだ。

 おかげで高校に入ってからは、拉致されることもなくなった。

 物理的に無理になったからだ。


 そして、その校門には毎朝風紀委員が立哨している。

 丁度、今日いたのは、クラスメイトの伊藤さんだ。

 背中の中ほどまである黒く輝く長い髪を一つに束ね、パッツンの前髪から気の強さが窺える。

 しっかりとアイロンのかかった冬用制服である濃紺色のセーラー服は、他の女子と異なりスカートから膝が見えることもなく、風紀委員の見本のような出立ちである。


 胸のことは記載しない。彼女と彼女の名誉のために。


「野中君。荷物を開けて。」


 校門を入ろうとすると、近づいて来て、カバンを開けろと要求してくる。

 いつものことだ。

 いつものことだが、権利関係的に、これは大丈夫なのだろうか?

 心配しても始まらない。

 とにかく所持品確認である。

 学校に必要のないものを持ってくると、没収されてしまう。

 隣で、クラスメイトの悪友猿渡氏が、洋物の色本を没収されていた。風紀委員の女子に。

 彼は、ブレない。ある意味勇者である。

 いや、もはやこれを楽しみにしている……ある種のプレイなのかもしれない。

 変態だ。


「野中君。この分厚い時刻表は学校に必要ないと思うの。」


 そう言って、僕の鞄から、今月号の大きな時刻表を取り出した。

 猿渡氏が、こちらを見てサムズアップしている。

 いや、同類にするなし。


「いや、路面電車に乗るのに必要だからさ。」


 僕はもっともらしい嘘をいう。

 もし、時刻表を持っているのなら確認してほしい。

 あ、スマホの時刻表ではなく、本の方。

 ほとんどの場合、始発と終電しか掲載されていないのだ。

 昼の時間帯は、何分おきに来ますくらいしか書いていない。

 通学に使う電車を分単位で調べるのには、適していない。

 ちなみにスマホでは、すぐに調べがついてしまう。

 時代は、スマホなのである。


「没収。帰りに風紀委員に出頭して、持って帰って。」

「ファーい。」

「きちんと返事して。」

「はい、わかりました。」


 半分近く軽くなった鞄を手に下げて、猿渡氏とクラスへ向かう。

「没収されてやがんの、時刻表。お前もブレないな?」

 お前にだけは言われたくない。

 睨んでやると、心の中でそうツッコンだ。

 そして仕返しにと、こちらも嗜める。

「学校に、エロ本持ち込むのはやめなさい。この変態が。」

「お前にだけは言われたくない。」


 背中に視線を感じた。

 下駄箱の前で後ろを振り返って視線を辿ってみた。

 ふざけてジャレあっているところを、校門から伊藤さんがじっと見ている。

 こちらの視線に気がつくと、慌てて視線を外した。


「ポケット時刻表が、ポケットに入っている。」

そう言ってもう一冊の小さくて薄い時刻表を取り出す。

「おぅ、俺もな、ポケットサイズのエロ本が……」


「エロ本が、どこにあるのかな。ねぇ、今、どんな気持ち? ねぇ?」


 下駄箱で待ち構えていた人が、そう言ってきた。

 猿渡氏の右手から素早く「ポケットエロ本」を回収して。

 それは担任の小松崎先生だった。

 先生になりたての、去年まで女子大生だったチビッコである。

 身長140センチの彼女は、ポニーテールをなびかせて、エロ本を振り回していた。


「ほぅ、洋物か。巨乳、爆乳、魔乳だと……ギルティ。放課後、生徒指導室まで来なさい。」


 態度以外は色々と小さい担任の小松崎教諭は、お宝ゲットに鼻歌で職員室へと去って行った。

 何しに来ていたんだ?

 まさか、猿渡氏のエロ本回収のためだけじゃないだろうな?


 生気を失っている猿渡氏の手を引いて、クラスに入った。

 猿渡氏の顔色を見て、敗戦を察し、皆、声をかけるのを控えてくれた。

 僕は、窓側一番後ろの自分の椅子に座ると、鞄を机の脇にひっかけ、時刻表を開いた。

 時刻表は、どんな時でも勇気をくれる。

 精神を安定させるのに、必要な儀式である。


 開いて、10分も経たないうちに時刻表が取り上げられる。


 イジメられている訳ではないよ。

 僕の斜め前の席が指定席である伊藤さんが、また、僕の時刻表を取り上げたのだ。

 本日、2冊目。

 こちらは父親の会社が社員向けに発行している簡易版だ。

 普通の時刻表と比べると薄くて持ち運びに便利である。


「こんな『薄い本』の、何がいいんだか……」


 そう言って伊藤さんは、その「薄い」時刻表で僕の頭をぺちぺちと叩いてくる。

 周囲からは、また夫婦漫才やっているよとか事実誤認のささやきが聞こえる。

 訂正すると、信憑性が増してしまうので、放置だ。


 先ほど、猿渡氏から、エロ本を取り上げた小松崎先生が教室に入ってきた。


「起立!」


 委員長の桂さんが、号令をかける。


「れ……」


 続いて「礼」の号令がかかるのだが、今日はその号令を、轟音が遮った。


 グゥオォーン!


 窓から眩しい光が差し込み、お腹に響く轟音に続いてガラスの割れる音。

 咄嗟に頭を守って机の下に逃げ込む。


 音が止んで、机から這い出そうとするも、机そのものがなくなっていた。

 周囲を見回すと、クラスメイトが蹲っている。

 ガラスで怪我をしたのかと思ったが、よく見るとガラスの破片ひとつ落ちていない。

 

 しかも、よく見ると、教室ですらない。

 気を失って、夢の中かとも思ったが、斜め前の伊藤さんが、いまだに時刻表を手に持っているので、先ほどの続きではあるようだ。

 そして、僕の後ろには、全身銀色の甲冑を着て、金属の長い槍を持った、ゲームなんかでよく見る兵士のような姿の人が、たくさん立っている。


 何か言っているようだが、そもそも日本語じゃない。

 槍の動きから、ニュアンスとして、中央に集まるように指示しているようだ。

 クラスメイトたちも、さすがに逆らわす、集まっていった。

 小松崎先生が、何か喚いていたが、このクラス一番のチビッコなので、無視されていた。


 そして集まった僕たちの前に、何もない空間から、あの女神様が光を伴って現れたのだ。


「ようこそ、みなさん。私がこの世界の女神です。」


 この女神様の言葉を聞いてから、この世界の人たちと言葉が通じるようになった。


 僕たちはこうして、異世界へと召喚されてしまったのである。

書き手は鉄オタではないので、詳しいことを言われても分かりませんよ?

とりあえず、調べ物しなから書いている状態です。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ