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第137.5節 貪欲にレベルアップいたします

車掌の精霊、パンドラの当番回です。

車掌さんのお仕事は、少なそうに見えて、その実、多いもの。

今回は、そんなお話です。

それでは、どうぞ。

<異世界召喚後71日目朝>

場所:ヨーコー嬢王国ウーバン領ウーバン村

視点:車掌の精霊 パンドラ


 私は、精霊パンドラ。

 身長は120センチ。

 太ってはいないと自負していますが、痩せているというほどでもありません。

 この身長にしては、胸はある方ではないでしょうか。


 私は、「車掌」の精霊。

 トレインの恩寵を持つ、マスターのノナカのスキルで制作された精霊。

 魔法で、無理やり作られた、人工精霊?

 自分の存在が、なんであるのかはよくわかりませんが、わかることから始めます。


 車掌の精霊に求められるものは多岐にわたります。

 冒険者的には、万能型を求められると言ってもいいかもしれません。


 まず、乗客がいる場合には、トラブルや怪我の対応をします。

 応急措置としてなので大したことはできません。

 本来ならば治療師とか僧侶、賢者様に診ていただくことをおすすめします。

 ですが、車掌しかいないのならば、私がやるしかありません。


 そこで、車掌として、簡易的に治療師的なスキルが使える様です。

 移動中の運転手が怪我をしたら、何とかしないといけませんしね。


 移動中に運転手が怪我を負うのは、モンスターとの遭遇が多いものです。

 急ブレーキをかけるべきか、列車のスカートを信じるべきか。

 できれば轢きたくないので、大抵はブレーキにします。

 ですが、止まった後に対処できない様なモンスターの場合は、走り抜けるしかありません。


 もし、遭遇戦となった場合。

 一義的には、乗客と荷物の安全のために、車掌が戦わなければならなくなります。

 そこで、一通り、専門職には敵わないにしても、ある程度戦える様になっています。

 物理も魔法も。


 ステータスもそのために、平均的な職業よりもちょっと高めに整っています。

 列車の調子が悪ければ、応急修理が必要だったり。

 それ以外にもたくさんのスキルが必要なのです。


 ですが残念なことに、今の私のレベルは「1」。

 一応、最初は0でしたので、ちょっとだけレベル上げをしてアップしています。

 ですが、それ以来なかなかレベルアップの機会に恵まれず、今日まで来てしまいました。


 今日こそは、レベルアップをして、使える女になりたいところです。


 金山の中には、たくさんのマインウルフがいました。

 でも、このマインウルフ、実は元々帝国兵だった者なんです。

 魔法で、人間の男から、マインウルフのメスに変更されてしまったのです。

 ですから、経験値の足しにすることができません。


 次にエンカウントしたのが、そのマインウルフに偽装している魔族です。

 これは、討伐対象です。

 レイン様からいただいている、「BAN!」のお札で、消すことができます。

 ただし、レイン様も同じ魔法を使われますので、スピード勝負になりました。


 普通に戦ったのでは、お札よりも魔法の方が圧倒的に早いので、経験値を稼げません。

 マスターの様な生き方で恐縮ですが、反則スレスレの技を使いました。

 Lv1で唯一習得しているスキル「きっぷ扱い」。

 このスキルを使いました。


 いや、何言っているの?

 そう、思いますよね?

 私も、反則スレスレの使い方に気がつくまではそう思っていました。


 いまだ、異世界鉄道は、乗客からお金をとって運行するという形態をあまりとっていません。

 お金を取る場合にも、直接現金でのやりとりとなっていて、きっぷを使用していないのです。

 ということは、私のスキル「きっぷ扱い」は、無駄スキルです。

 きっぷを発行していないのに、どうやって使えばいいというのでしょうか。


 ここで、マスターの元の世界のお話が役に立ちました。

 駅員さんのお話です。

 本来、鉄道に乗るためのきっぷを発行する駅員さんの座っている窓口ですが。

 ちょっと違った使い方をされる方がいるそうです。


 きっぷだけではなくて、いろいろな、チケットも同時に購入することができるというのです。

 意味がわかりません。

 鉄道と関係ない施設の入場券とか、駅員さんが扱うこともできるそうです。

 それだ!!!


 私は、気がついてしまいました。

 鉄道員として、きっぷ以外にもいろいろチケット類をあつかうのですから。

 だったら、この「BAN!」のお札も、このスキルが有効になるんじゃ?

 いやいや、そんな馬鹿げた話はないよね?


 試しに使ってみたら、有効でした。

 訳がわかりません。

 なんなら、先行入力できました。

 あらかじめターゲットを決めておいて、使用するとスキルで選択しておきました。


 攻撃していいよという言葉と同時にスキルを発動させると、目の前で複数体の魔族を消滅させることに成功できたのです。


 あ、これがチートっていう技なんですね。


 納得できないくらいの素晴らしい威力。

 おかげでレベルも上がりました。

 でも、おかしいですね。

 レベル4まで上がったのに、戦闘系のスキル、治癒系の魔法、どれも習得しませんでした。


 どういうことでしょうか。


 救急箱と、マスコン(鈍器)で戦えというのでしょうか。

 できれば、そういう雑な扱いはしたくないのですが。


 え? マスター、何を言っているのですか?

 そんな、分身なんてできるはずないじゃないですか。

 まだ、レベル4ですよ?

 チビパンドラ?


 おそらく、出ませんよ?


 マスターは、私のことを増やしたいみたいです。

 それなら、もっと私と同じ車掌の精霊を召喚すればいいんです。

 でも、嫌がっていますね。

 なにか、召喚で嫌な思いでもされたのでしょうか。


 全力で心を癒して、なんとか召喚していただきましょう。


 私のスキルで、例えチビパンドラがたくさん召喚できたとしても、他に車掌がいるということの方か、絶対にアドバンテージがあります。

 数は、力なんですよ?


 さて、今夜はどうやって、癒してあげましょうか。


 ふふふふふふふふ 

パンドラは、高性能でいい子なんですが、後発なので、出遅れ感があります。

本人も気にしているので、何とかしたいと思っている様ですがさて。

クラスアップしたり、チビパンドラが活躍したりは、だいぶ先のお話ですね。

それでは、がんばれれば、また。

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