第136.5節 本当の価値
シルバースライムのカタリナお当番回です。
ちょっとやんちゃな頼れる姉御肌のカタリナが、金山攻略で考えていることは。
サイドビジネスというか、本当の価値というか。
立場や見方考え方によって、ものの価値というものは変化するのですね。
今回はそういうお話です。
それでは、どうぞ。
<異世界召喚後70日目夜>
場所:ヨーコー嬢王国ウーバン領ウーバン鉱山駅
視点:スライム族 シルバースライム カタリナ
俺は、カタリナ。
人間から見れば、まぁ、異種族ってやつだ。
山神様に誘われて、異種族の村ワーランドに住んでいた。
スライム族の希少種であるシルバースライムのメスだ。
と、いうことになっている。
本来シルバースライムには性別なんてねーんだよ。
だから、言ってみりゃあ、オスでもある。
でも、そっちの方は期待すんなよな?
体は銀でできている。
炎も熱もシャットアウト。
攻撃魔法も効かない。
打撃や斬撃もほとんど効果がない。
だが、それは、俺様本体の話だ。
熱には強いんだぜ。
だけどな? 熱を持たねーってわけじゃねーしな。
俺は普段、ノナカの鎖帷子として、装備されて活躍してんだよ。
呪いの装備だってな!
簡単には外せねーんだぜ?
なにしろ、意思を持つ鎧だからな。
本人が脱ごうとしたって、無駄だしな。
熱せられれば、俺の体は、熱せられた鉄棒と同等。
呪いの鎖帷子を外せなきゃ、ノナカは火傷を負うことになるぜ?
だから、サーフェイズ金山では、俺は、鎖帷子として活躍するのを諦めたんだ。
あそこは熱風吹き荒ぶ、暑すぎるダンジョンだからな。
でも、装備されてなきゃ、その防御力を今まで通りには発揮できないんだぜ?。
なら、どーすんだと。
決まっているだろ?
攻撃は最大の防御って言うしな?
やられる前にやる。
それだけだ。
体を張って守れねーんなら、体に近づけさせなければいいだけじゃんか。
それができるだけの能力ならあるからな。
素早さは、そんじょそこらの魔物程度では、相手にならないくらい高いしな。
攻撃力が高いわけじゃねーけど、急所攻撃とか、鋭い斬撃特攻があるんだぜ?
魔法は使えねーんだよ。
だけどな? 完全魔法耐性の盾にはなれるんだわ。
相手が数で圧倒してきたりしたら、ちょっときついかもな。
空間を跳躍してくるような敵が出たら、まあ、お手上げだ。
でも、そんな奴らが出てこない限り、それで十分なんだよ。
それよりも楽しみなのが、金山だってところだ。
金山だぜ?
金がごろごろおっこってんだぜ?
採りホーダイじゃねーかよ。
でもな、そんなことは、たいしたことじゃねーーんだよな。
金山には、出るんだよ。
やつらが。
ゴールドスライムが。
もしかすると、仲間を増やせるかもしれねーしな。
ゴールドスライムは、シルバースライムよりもすげーんだぜ?
やつらは、魔法も使えるしな?
まあ、激レアだから、なかなかお会いできないけどな。
金山では、レベルアップも目的らしーんだわ。
でもな? 残念なことに俺はレベルアップなんとほとんどしねーんだわ。
なにしろシルバースライム族は、レベルアップが遅くってな、その上昇値も少ねーの。
それを、特殊なスキルや技能、性質で補ってんだよ。
サーフェイズ金山はな、実は銀山でもあるんだわ。
本格的に期待しているのはそっちなんだわな。
おそらく、同族がいる可能性があるってことだよ。
仲間が増えるぜ?
もし、敵にシルバースライムの大群がいたら、もう、悪夢でしかねーんだよ。
ほとんどの攻撃が無効だからな。
自分でもわからねーんだが、弱点らしい弱点がねーんだわ。
性能的には、魔法が使えねーのが気に入らねーんだけどな。
どうやって、倒せばいいんだよ?
何か、特別な攻略法とかねーのか?
例えば、スライム特攻とか?
固定ダメージなんかも、やばそうだな?
でも、わかってるんなら、いくらでも対策できるんだぜ?
だって、こっちは、考えるスライムだしな?
そこら辺にいる、ただ蠢いているだけのモンスターとは、やることが違うんだわ。
まあ、あいつらスライムには、そもそも考える器官が存在しねーしな。
まあ、異種族つっても、スライム族は、なかなか認められていねーんだわ。
だって、モンスターとしてのスライムが圧倒的に有名すぎるからな。
なんなら、村人くらいでも、やっつけられるしな。
スライムだってだけで、弱いってイメージだしな。
でも、俺たちスライム族は、そんな期待を裏切るぜ?
弱い弱いって思っていたら、痛い目見るんだぜ?
ちょっと害虫駆除くらいの意識で、結構戦闘を吹っ掛けられるんだぜ?
かかってこいやっ!
ま、40センチの人形の形で言っても、だれもビビんねーんだけどな。
だけど、それがいいんだわ。
そう言う相手が、スライムに圧倒されてビビるの、結構面白いんだわ。
最後に土下座して、許してください! 命だけは助けてください! ってなるんだわ。
俺は狂犬かなんかかよ?
別に、お前らが命を狙って来ないんなら、噛みつきやしねーんだよ。
でも、まあ、謝られるのは、気分がいいよな。
優越感もあるしな。
ニタリ。
思い出したら、笑いが止まらなかった。
スライム族に栄光あれ!!!
こうして、それぞれ、色々な欲望をいだいて、金山攻略へと出かけていきました。
金の採取体験とか、したことがありますが、結構難しいものです。
でも、取れた時は嬉しいものですね。
今じゃ、結構な高値で取引されていますし。
それでは、がんばれれば、また。