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第131.5節 春が来たので本気を出す

こういうことです。

それでは、どうぞ。

<異世界召喚後50〜60日目くらいの間>

場所:ヨーコー嬢王国ウーバン領ウーバン村北側の平原

視点:大岩井おおいわい


 「春」が来ました。


 待望の「春」です。

 私、実は心配していました。

 異世界に、「春」はあるのでしょうかと。

 元の世界でも、「春」は必ず来るとは限りませんから。


 ええ、もちろんこれは、恋愛的な意味ではありません。

 学問的に自然科学的な、学生的には社会科の地理的なお話です。

 熱帯には、「春」と「秋」がありません。

 夏が「雨季」、冬が「乾季」となるようですね。


 つまり、場所によって、季節は「雨季」と「乾季」の2つになる場合もあるのです。

 雪が大量に積もっていましたので、「雨季」と「乾季」である心配はありませんでした。

 冬に、大量の降雪があるということは、「乾季」ではないという証拠です。

 ですが雪が積もるということは逆に、寒帯や亜寒帯である可能性も出てくるのです。


 「春」どころか、「夏」もほとんど来ない可能性ありですね。

 村人たちの食糧事情で、「芋」が主食であるという情報をゲットしていました。

 つまり、芋を育てられる季節があると言うことになります。

 これが、私の希望に繋がったのです。


 また、小麦はドラゴンが焼き払いに来たり、ペガススに食べ尽くされたり。

 育てるのが無理なくらい、難易度が高いという話を、以前村長さんから聞きました。

 逆説的に、小麦的な作物も、育てることのできる土地であることが分かります。


 しかし、これは異世界トラップかもしれません。

 小麦も芋も、実は、結構寒いところでも、育てることが可能なのです。

 また、栄養分の少ない土地でも、何とかなってしまう植物なのです。

 もちろん、養分を含んだ良い土地の方が、より、いい収穫につながるのですけれども。


 それと、ここは異世界です。

 元の世界の常識が通用するとは限りません。

 なんなら、この雪の中でも、芋や小麦的な植物が、すくすくと育っているのかもしれません。

 きちんと地元の方に、確認を取りました。


「『春』ってウーバン村にもあるのでしょうか? ここで寒いまま1年過ごすのでしょうか?」

「『春』はありま〜す!」

「ほんとうに?」

「うん。お花がたくさん咲いて、ちょうちょが飛ぶの。あたたかくなるよ!」


 小さい女の子が、胸を張って宣言してくれました。

 大人は嘘を平気な顔で言えますから、 これなら安心ですね。


 そこから、「春」はいつ頃来るのか、種蒔きは、いつ頃なのかと情報を収集していきます。


 そして、ついに「春」ですよ! 「春」! 「春」が来たのです!!!

 農家にとっては、1番忙しい季節。

 2番目は、収穫の季節ですね。


 この異世界にも、知っているだけでも、いろいろな種類の芋がありました。

 サツマイモの様に、葉のついた茎を植える種類で、代表がガーター芋。

 ジャガイモの様に、種芋を植える種類で、代表が西国芋。

 主食とされているだけあって、みなさん説明に力が入ります。


 そこで、村の北にある広大な空き地に、新たに農園を作ることにしました。

 マインウルフたちが、その農園の周りに高さ3メートルくらいの岩壁を作ってくれました。

 冷たい風が当たらない様に、イノシシ的な害獣が、掘って食べてしまわない様に。

 ここで、本格的にスキルを使った促成栽培を実施してみました。


 結果は大成功。


 あれよあれよと言う間に、葉を植えたガーター芋が、その囲われた農園いっぱいに、それこそ夏の雑草の如く繁殖しました。

 7日くらいで。

 試しに掘ってみたら、ちゃんと芋になっているじゃないですか。

 もうこれで、食料の心配をしなくて済むと、小躍りしてしまいました。


 村の女性たちを、お金で雇って、大量の芋を掘り起こしてもらいました。

 なぜか現物支給(芋)を希望される方もいましたので、そこは柔軟に対応しました。

 別に、税務署があるわけでもありませんから、そこに何の心配もありません。

 労基署とかもありませんから、現物支給に対して文句を言って来たりしませんしね。


 そして、有り余るその芋の茎と葉は、そのまま土をかけて埋めておきました。

 すると5日くらいで、また、良い感じに芋ができてしまいました。

 また、村の女性たちをお金で雇って、掘り起こしてもらいます。


 流石にここで、領主様でもある村長さんから「待った」がかかります。

 これ、長い目で見ると産業破壊につながると言われてしまいました。

 どう言うことなのでしょうか?


「いいかい? こんな短期で大量に芋が作れるんじゃ、スキルのない一般人には価格でも品質でも勝てっこないよ? 農業やろうって人手が、いなくなっちまう。ほどほどにしなっ!」

「は、はい。すみません。」


 確かに、こんなやり方を目の当たりにしてしまったら、堕落してしまいますね。

 普通に農業しようとか、思えませんよね。

 でも、この手法は、連続でもできて、2回まで。

 うまくいっても3回が限度です。


 この芋たち、別に大地のマナとか魔法力を吸い上げて育っているのではないですから。

 科学的に考えて、土の中の養分を使って育っているはずです。

 すんごい勢いで栄養を吸い取られたこの土地は、今、もう、栄養枯渇状態。

 いくら私のスキルが凄くても、土の養分までは増やせません。


 そのうち、そういうスキルを身につけるかもしれませんけれども。


 そして、実験は3回目。


 予想通り、栄養が足りなくなって、芋の葉は、生い茂ることなくほとんど枯れてしまいます。

 隣の土地に同じ様な岩の柵を作って、枯れかけたその茎と葉を、植え替えてやりました。

 スキルも使って、きちんと同じ様に芋ができつつありますね。

 やはり、養分が必要なのですね。


 それが分かれば、元の畑を何とかしないといけません。


 養分のメインである堆肥を撒いたりしないとですね。

 冬場に溜まりに溜まった、薪ストーブから出て来た灰も、良い仕事をしてくれるはずです。

 ゴートたちのフンも、きっと役に立つでしょう。

 私は、そんな、捨てられるものたちを冬場にかき集めておきました。


 むしろ、家々を回って、ゴミ捨てを手伝うと言う名目で、がんばりました。

 これなら、栄養の枯渇した、あの最初の農園も、復活できるはず。

 うまくいかなかった時ほど、自分の手腕を振るえる楽しみが膨らみます。

 やっぱり農業って、凄く、楽しいですね。


 そんなノリノリで農業を楽しんでいた時に、なんと私は、風邪をひいてしまいました。


 言われてみれば、村の人たちも、咳をしていて、結構風邪が流行っていると言っていました。

 畑仕事の後に、ちゃんと汗を拭かなかったのが原因でしょうか。

 体を洗ったり拭いたりする水も、まだまだ冷たいですし。

 やはり、お風呂とかサウナとかは最高ですね。

こう言う書き方の方が、書いている方は面白い話にできそうです。

文章の長さを短くした分、詰将棋的な苦労があるのですね。

それでは、がんばれれば、また。

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