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女神様! 御自分で御与えになられた恩寵なのですから、嘲笑するのをやめては頂けませんか?  作者: 日雇い魔法事務局
第10章 人類が滅んでも世界は終わらない
165/224

第120節 えげつない戦い

サブタイトルの通り、正攻法ではない戦いが描かれます。

グロいのはありませんが、汚い(物理的・衛生的・精神的)表現がいくらかありますので注意してください。

それほどえげつない表現ではない(つもり)ですが。

それでは、どうぞ。

<異世界召喚後52日目朝>

場所:ヨーコー嬢王国レーベン領ソーン砦

視点:野中のなか


 今日も懲りずに、王国軍が砦を開けるように騒いでいた。

 朝から元気なものである。


 もはや、何と言っていいかわからないが、相手も兵士。

 戦いとは何かということを、理解している。

 砦攻略の勝敗は、戦死者の数や、武勲ではない。

 砦を手に入れることができたかどうかただ一点のみ。


 そういう意味で、武力でかなり劣る王国軍側は、戦う方法を変えてきた。

 武力がダメなら、精神攻撃すればいいじゃない。

 と、言う訳で、夜討ち朝駆けでずっとこの調子だった。

 つまり、こちらの精神力を削って、うるさいからもういいよ! となるのを計画している。


 これは、砦を守っているのがほぼほぼ人間なら通用したのだが。


 守っているのはマインウルフ。

 言われたことには、ウルフ語で罵詈雑言を言い返している(らしい)。

 エルフに魔法で変身して、相手にわかる言葉で言ってしまったうっかりさんがいた。

 そして、王国軍は激昂する。


 とはいえ結局のところ、武力では大したことはできないので、嫌がらせ一択になる。

 王国軍は、そういったハラスメント攻撃の教本でもあるのかと言わんばかりだった。

 とにかく、やり方がひどい。


 昨日の午後は、城壁に落書きを書き込みまくっていた。

 もちろん、ヨーコー嬢王国の悪口だ。

 どんだけ程度が低いんだよ? とも思ったが、別段意味もないので放置していた。

 放置されたことに、王国軍はやはり、激昂した。


 なんてマッチポンプ。


 夜中に異臭がして起きた。

 城壁に向けて汚物を投擲してきていた。

 なんなら、壁に向かって立ち小便すらしていた。


 人間的には最悪だが、ウルフは犬なので、そのあたりどうでもいいというか、城壁の上からマーキング仕返していた。

 人様の縄張りに、マーキングしようっていうのだから、ウルフ的には許されない行為。

 とりあえず、マーキングし返したら、城壁から降りて、縄張りから追い払った。


 ちなみに猿渡が、城壁の落書きや汚物を水魔法で洗い流し、溜まった汚物たちは、その後、火魔法で焼き払った。

 衛生的な問題が発生してからでは遅いから、と言っていた。

 精神衛生に影響を与える落書きと、公衆衛生に影響を与える汚物と。


 これは、きっと、王国軍の教本には、こうしなさいと書かれているに違いない。



 そして今日の昼過ぎ。


 王国軍は、何か馬車的なものに乗る、兵士とは異なる人たちを連れていた。

 商隊キャラバンに見えるので、猿渡を呼んだ。

 猿渡は、保護した商隊キャラバンの人間を連れてくる。


「知り合い?」

「ん? あー、あの人たちか。王国内の北西を拠点とした商隊キャラバンで間違いない。何度か商売をしたことがある。偽装じゃなくて本物だ。」

「ん? おい、野中。商隊キャラバンの中に、見覚えのある顔がいるんだが。」

「どこかでお世話になったのか?」

「違う! あれ、クラスメイトじゃないのか? 神佐味かむさびとか、洞川どろかわとかもいるぞ?」

「ん? うわ、まじだよ。どういうことだ?」

「知らん。しかし、まいったな。」

「王国軍とセットになっているな。どうしようか。」

「野中が、王国軍を惹きつけていてくれ。その間に、僕が何とかする。ユリ様をお借りしてもいいかな。」

「ユリ、行けるか?」


 僕は、親友のちびっ子が、ユリに乗りたがっていたことを知っていたが、ここでそれは問わないことにした。

 とにかく、ユリの意思の確認をした。

 そして、ユリは黙って頷く。

 犬にしては、賢すぎるだろ。


「行けるみたいだ。あと、ユリはある程度、人語を解するから、アホなことを話しかけるんじゃないぞ? 動物相手だからって、油断して、恋愛相談とかするなよ?」

「分かってる! しないぞ、そんなこと。じゃあ、行ってくる。」


 猿渡はそう言うと、ユリと一緒に砦から出て行った。


「開門! 開門! 王国軍がお通りだぞ!!!」

「レイン先生、お願いします。」

「お任せなのですよ!!!」


 レイン先生が、砦の窓から出て、王国軍の前まで飛んでいく。

 昨日は、シルバースライムの「アルマ」が王国軍を散々馬鹿にしてきた。

 今日は、レイン先生が復活されたので、レイン先生がどうしてもやりたい、ということをさせていた。


「王国軍は、お断りなのです。不潔なのです。お家に帰って、ちゃんと体を洗ってから出直してくるのです。昨日、城壁に放り投げていた汚物の匂いが、体から取れていないのですよ?」


 王国軍の兵士たちは動揺した。

 ここのところ、体をろくに洗ったり拭いたりしていないので、それなりに臭いことは自覚していた。

 軍隊で兵士なのだから、それは仕方のないこと。

 しかし、昨日の汚物投擲作戦の余波がまだ残っているとなると、それは別だ。


 本来なら、王国軍の兵士たちは、汚物まみれの砦を指さして、臭い汚い不潔だと罵る作戦だったのだ。

 ところが、レイン先生が逆に先手を打ってそれを封じてしまった。

 実際に封印したのは、城壁をお掃除した猿渡の魔法なのだが。

 それはそれとして、王国軍の兵士たちから、レインが大量のヘイトを稼げていた。


 後ろの方にいた、キャラバンの人間達がそうっとその場を離れ、東の森の方へと逃げている。

 無理矢理連れてこられたということだろうか。

 レインの挑発に完全に乗ってしまっている王国軍は、全くそれに気が付かない。


「王国軍など、レインの花火で十分なのです!」


 そして、ビー玉くらいの丸い球を、地面に投げつけた。


 パァン!!!


 あれは、異世界流の癇癪玉だった。

 地面に投げつけると、大きな音を立てて、ちょっと煙を出して小さく爆発する花火だ。

 元の世界のものより、ちょっと大きいのが不安を煽るが、効果はそれほど大きくなかった。

 地面に直径10センチくらいの穴が空いた程度だ。


 ダメじゃん。

 結構火力強いよ!!!


 最初は、レインみたいな小さな精霊相手だと侮っていた王国軍だったが、挑発されて斬りかかろうとしていたところで、これだ。

 危なく、殺されるところだった、と、ちょっと引いている。

 引かせちゃダメだろ。

 キャラバンが逃げてるのとかがばれちゃうから。


 西の城壁から、マインウルフたちが飛び降りて王国軍を吠えまくって挑発した。

 東を見られたらダメだと気が付いての行動だった。


 王国軍も、今まで攻撃できなかった相手が、少数で地上に降りてきたのだ。

 この数なら、勝てる!

 そう判断したのか、マインウルフ5匹に、王国軍200名が殺到した。

 どんだけ弱いものいじめがしたいんだよ、と突っ込みたくなる。


 あと、王国軍は、馬鹿だった。

 鎧を完全装備した軍人と、装備ゼロの狼。

 機動力の差を計算できていない。


 マインウルフ5匹は、いい感じに王国軍を惹きつけては離れ、惹きつけては離れを繰り返してどんどん西側へと誘導していた。

 そう、遠距離攻撃でもなければ、絶対に追いつかれないという圧倒的に優位な戦い。

 だが、王国軍も馬鹿だが軍人だ。

 人数差にものを言わせて、包囲する作戦に出たのだ。


「所詮は畜生の考えること。浅はかだったな!!!」


 勝ち誇る指揮官。


「やれ!!!」


 そして、飛びかかる兵士たち。

 その頭を馬鹿にするように踏みつけ、包囲から脱出するマインウルフたち。

 さらに西へと、どんどん誘導していく。


 東側では、キャラバンのメンバーに、猿渡とユリが接触していた。

 交渉はすぐに終わる。

 なにしろ、性格に難のないクラスメイトたちだった。

 話はすぐにまとまったようだ。


 そして、王国軍が、十分に西側に誘導されているところで、砦の門から、彼らを入門させた。


 流石に王国軍の一部が気付いて、門へと殺到する。

 キャラバンの入門が済んだところで、門を落とす。

 門は、上下に鎖を使って動かす方式のもの。

 落とした後に左右からロックを掛ければ、完全に動かなくなる。


 門自体を叩いたりしても、物理的に消去でもしない限りは、入門できない。


 王国軍は、また、門の前で項垂れていた。

 

 王国軍を挑発していたマインウルフたちは、西の山へと消えていき、西の砦付近から城壁へと登って、帰ってきた。

 ジャンプ力のある奴らじゃないと、昨日みたいな力技を使えないのね。

 10メートルって結構高いから。


 レイン先生は、いまだに戦われていらっしゃった。

 一方的な戦い。

 見ていてかわいそう。


 空間魔法を使える相手に、物理攻撃オンリーの兵士は無力だった。

 ここで、レイン先生の残念な戦い方を、ちょっとだけ見ていきたい。


「王国とか言ってるのに、兵士はよわよわなのです。ほんとに王国なのです? 実は、田舎の村人が、ちょっといい装備つけているだけなんじゃないのです?」

「な、なんだと!!! 公爵領軍を相手に、田舎者だと!!! 許さん!!! 絶対に許さん!!!」


 冷静さを欠いた巨漢の兵士が、大きな両手剣を振り下ろす。

 的の小さなレインと戦うのには、その剣は、いくら何でも相性が悪すぎる。

 案の定、力を入れすぎたため、剣が地面に突き刺さってしまった。

 その剣に、レイン先生が手を触れて、こう言った。


「大きな両手剣、ゲットなのです!!!」


 巨漢の兵士は、何が起こったのか理解できなかっただろう。

 いきなり、自分の持っていた大きな両手剣が、消えてしまったのだ。

 ガッチリ両手で握っていたのに。

 地面にしっかり食い込んで、抜けなくてちょっと困っていたくらいなのに。


 空間魔法だった。

 あの大きな両手剣は、レイン先生の空間魔法によって、亜空間に収納されてしまった。

 巨漢の兵士は、すぐに切り替えて、腰につけてある短い片手剣を右手に持った。


 まだ、戦うつもりらしい。


「オレの剣をどこにやった!!!」

「レインのコレクションにしたのですよ? まだまだ頂くのです!!!」


 片手剣を振り回す、巨漢の兵士。

 周囲の兵士たちは、こいつなら何とかしてくれると期待のまなざしで、取り囲んで注目している。

 いや、少しは、手伝ったらどうなんだよ。

 一対一で戦う必要性は、無いだろ?


「とった!!!」


 空中に浮いていたレインを切り裂いたように見えた。

 レインは空中で、ちょっとだけ避けて、剣には当たっていなかった。

 しかし、当たっていなかったのに、上着が切られていた。

 ブラウスが切られていなかったところを見るに、ギリギリすぎたんだろう。


 というよりも、わずかに衝撃波が発生していると考えるべきだった。


「ひ、酷いのです。お気に入りの制服なのですよ! 女の子の服、切り裂くなんて変態なのです!!!」

「え? い、いや、そんなんじゃねーよ!!! 戦場で戦っているんだ!!! 服どころか体ごと切り裂くだろーが!!! 当たり前だろーが!!!」

「へ、変態なのです!!! 変態なのです!!!」


 なんていう、ハラスメント攻撃。

 レイン先生は、完全に分かっていて相手を煽っている。

 なんて酷い子。


「へ、変態じゃねーよ!!! これでも喰らえ!!!」


 そして、動揺しているかにも思われたが、的確に振り下ろされる片手剣。

 レインは、流石に大きく避けると、相手の肩に乗った。


「大きな鎧、ゲットなのです!!!」


 それは考えていなかった。

 空間魔法で、今度は相手の鎧を取り上げてしまったのだ。

 動きからして、かなり腕のいい兵士だったのだろう。

 しかし、相手が悪かった。


 インナーのみになってしまった、巨漢の兵士。

 ああ、兜とか、膝から下のレガース的な部分とか、靴的な部分とかはそのままだ。


「きゃー!!! へ、変態なのです!!! 本当に変態なのです!!!」

「お前がな!!!」


 そりゃそうだ。

 鎧を取り上げておいて変態とか言えない。

 取り上げた方がこの場合変態だろう。


「な、なら、今度はそのインナーも、ゲットしてやるのです!!!」

「あ、え? いや、ちょ、それは、それはやめて、やめてください。」

「観念したのです?」

「は、はい。」

「じゃあ、片手剣ゲットなのです!!!」


 そして、最後の武器、片手剣も没収されてしまった。

 この戦いを見ていた兵士たちは、レインから距離を置いた。


 おそらくこの巨漢の兵士は、王国軍の中でも、普通の兵士としては強い方だったのだろう。

 しかし、兵士の相手が常に同じタイプの兵士とは限らない。

 レインのように、怪しい魔法使いの場合だってあるわけで。

 空間魔法使いなら、こういう戦い方もできるわけで。


 もっとも、この戦い方にも欠点があった。


 相手が、武器なしでも戦えるなら、意味がないということだ。

 徒手で格闘できる相手には、意味をなさない。

 武器を減らすことができたというだけにしかならない。

 でも、おそらくそんなことまで見抜ける状況じゃなかった。


「お前も、お前たちも、インナーにしてやろうか!!! なのです!!!」


 そう言って、両手をわきわきさせて兵士たちに飛んでいくと、200名からなる王国軍は、廃墟と化した町へと逃走していった。

 レイン先生は、その後、鎧を13個、手に入れて帰ってこられた。

 本当にするなよ!!!


 これに懲りて、しばらく攻め込んでこなくなるといいんだが。



 さて、戦いこそ終わったものの、問題はまだ残っていた。

 猿渡たちが、神佐味たちと再会を喜び合っていた。

 あと、なんだか一人、場違いに大きな筋骨隆々のロマンスグレーがいた。

 戦国武将みたいだった。


「神佐味たちは、無事だったのか?」

「いや、まあ、無事ではない。北の帝国を目指していたのだが、そこで魔王軍と遭遇してしまい、戦って敗走してきたところだ。」

「そうか、それは災難だったな。」

「それよりも、野中は、生き残ったのか。転移された3人とも本当に無事だったか? 終末時計では、勇者の生存人数が減っていないって、女神様がお冠だったけれども。」

「そうだよ。減っていない。全員生き残っている。それにしても、何しに帝国へ行こうとしているんだ? あそこならとっくに、魔王軍に占領されているぞ?」

「そうなのか? それは知らなかった。あの後、勇者にはいろいろあってな、各国へと平等に分けるべきという結論に達したらしくて、勇者たちは小分けにされて、各国へと派遣されることになったんだ。そして、僕らは、帝国へと。」


 いない間に、クラスメイトたちは散り散りになったということになる。

 もし、元の世界に帰る方法が見つかったとして、すぐには集合できないだろう。

 それも、女神は計算しているのか?

 どもまでも悪辣だな、この世界は。


「そうか、じゃあ、あれだ。一緒に来た人たちを紹介してもらってもいいか?」

「え、ああ。いいとも。あの、かなりでかい人が、ウーオ帝国の皇帝陛下だ。」


 へ?

 今なんと?


「聞き間違いかもしれないので、もう一度。」

「ウーオ帝国の皇帝陛下だ。」

「どうしてそうなった?」

「ちょうど、皇帝陛下がサッシー王国に寄っていらしたところでこんなことになって。だから、帰国なされると。すごくお強いから、護衛はいらないそうだけれど、派遣兼護衛ということで、僕らも一緒に着いてきた。なにしろ、地理が全くわからん。」

「そうか。じゃあ、あの一緒にいる鎧の騎士っぽい人も、帝国軍の騎士か何かなのか?」


 神佐味は、ちょっと微妙な顔をして答えた。


「あの人は、サイモン。王国軍の騎士だ。皇帝陛下の知り合いで、僕らと一緒に帝国へと派遣されてきた。なんでも、魔族を見破ることができる技を使えるそうだ。」

「すごいな、それ。」

「すごいぞ。だからこそ、王国軍の軍人だが、皇帝陛下の護衛も兼ねている。」

「そうか、すんごいパーティーだな。」

「いや、お前んとこと比べるな。なんか、空を飛んでいる妖精とか、狼とか、もう、なんだよって感じの仲間がいっぱいいるじゃないか。異世界万歳って感じの。」


 ま、まあ、そうだろうな。

 隣の芝生は青く見えるものだよな。

 あいつらから見れば、レインとかマインウルフ軍団も、すごく強く見えるもんな。

 まあ、実際に強いし。


「あと、商隊キャラバンなのか?」

「ああ。魔王軍から逃げているときに出会った。馬車の方が帝国のキャラバンだ。それとは別に、王国の商人の家族が1家族。こっちは、怪我をしているところをスキルで助けた。」

「猿渡と同じパターンか。って、回復術師がいるのか?」

「わたしだが。」

「そうか。やっぱり、神様に祈って的な?」

「そうだが。あれか? 他にもいるのか?」

「まぁな。それにしても、クラスメイトがだいぶ集まったな。僕らが3人。猿渡のところが4人、そして、神佐味かむさびのところが6人で、合計13人か。鍛えれば、大魔王を倒せるんじゃないのか?」

「そうか。そうだな、結構な戦力だな。回復術師もいるようだし。」


 結構な大所帯となってきていた。

 これなら、きちんと戦力を分析すれば勝てそうな気がする。


 クラスメイトの勇者以外にも、強いのが結構いるからな。


「魔王軍を各個撃破して、できるだけ、大魔王を弱らせてから叩くべき。とにかく今は、魔王軍をなんとかしたい。聞けば負けたとか。どこでだ。」

「帝国との国境の砦で、魔王軍が王国に入ってこられないように戦っていた。結構頑張ったんだが、砦自体を破壊されてしまって、侵入を許してしまった。すまない。お前たちは結構頑張って魔王軍を跳ね返していたと、商人の情報網には乗っていたらしい。それで、帝国のキャラバンも、ヨーコー嬢王国へと逃げ込むべきと助言してくれた。」


 なるほど。

 情報が流通することで、この国が安全だと考えられていると。

 そうすると、今後も、亡命というか、逃げ込んでくる商人は結構来そうだな。

 なんらかの対策を取らないとな。


 鉄道を活用しての流通の効率化は、国内では効果があるけれども。

 そろそろ、国外への輸出というか貿易にも、力を割り振っていきたい。

 なにしろ、石炭とか金とか、国内でしか採掘できていない状況なんだから。

 輸出すればたんまり稼げるはず。


 そこは、プロをたくさん抱え込むことで、何とかできるだろう。

 そうすれば、国家運営の潤沢な資金が手に入る。


 それを元手に、大魔王討伐をすればいい。

 ちょっといい未来が見えてきた。

 王国が、崩壊寸前だと言うのに。

 王国が魔王軍に占領されたら、加速度的に他の国への侵略は進むのだろう。


 女神(仮)の言っていた、終末時計は最初150日となっていた。

 あれから、50日以上が過ぎている。

 もう、世界が魔王軍に蹂躙され尽くすまで100日ない。


 どうすべきか、どうすればいいのか。

 集まった新たなメンバーと、さらに情報を交換して共有して。

 対策を立てれば、もっといい未来が見えてくるだろう。


 よりよい未来があるものだと、この時はまだ期待していた。

ブックマークありがとうございます。

なんとかこつこつ更新できているところです。

最初の方のお話を、多少手入した方がいいのかなと考える昨今。

でも、実際にやってみようとすると、思いのほか、難しいものですね。

それでは、がんばれれば、また。

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