第118節 計算上の敗北を避けるための計算
時間制限のあるゲームは多く存在しますが、時間制限がなくても、後半になると敵が強くなったりして、実質的に時間制限のあるゲームがあります。
今回は、そんなゲームで、時間制限が来てしまった時のような焦燥感のお話です。
それでは、どうぞ。
<異世界召喚後50日目午後>
場所:ヨーコー嬢王国レーベン領ソーン砦
視点:野中
高さ10メートル。
これがソーン砦の城壁の高さである。
すでに攻城兵器も持ち合わせていない王国軍の一部が、こちらに向かって進軍して来ている。
白旗をあげている、と言う状況ではない。
そもそも、そういう取り決めや文化がこちらの世界には伝わっていないだろう。
若い指揮官が先頭となり、着実にこちらに向かってくる。
こちらとしては、特に何もしない。
一応、マインウルフのみなさんが、申し訳程度に監視こそしているが。
「門を開けろ! 王国軍だぞ!」
その若い指揮官は、開門を要求して来た。
頭がおかしくなったとしか思えない。
なぜ、他国の軍隊を招き入れなければいけないのか。
理解に苦しむ。
「もう一度だけ言う! 王国軍が来てやったぞ! 門を開けろ!」
一斉に、マインウルフたちが変な吠え方で吠え返していた。
普通に聞けば、なんか変な吠え方されているな、くらいなんだが。
最近、マインエルフに変身しているマインウルフたちからの通訳で、知ってしまった。
あいつら、王国軍をウルフ語的なものでバカにしているんだよ。
ウーバン村で王国軍には、彼らも散々ひどい目に遭わされて来たのだろう。
だから、ここぞとばかりに酷いことを言っているのだろう。
僕たちにも、王国軍にも全く伝わらないけれども。
いや、伝わらないからこそ、思う存分吐き出せるのだろう。
「犬っころめが!!! 人間を出せ!!! 人間を!!!」
そしてまた、吠えられる。
指揮官、だんだん頭に血が上って来た。
若いな?
兵士たちも、ちょっとおかしいくらい若いのしか居ないけど。
「あいにく、人間は数えるほどしかいなくてね。異種族の多い国なんだ。それで何だい? 門を開けて欲しいのかい? 人間様は、門を開けないと出入りできないのかい?」
あ。
カタリナの仲間のシルバースライムが1体、門の下、と言うか、門扉のわずかな隙間から、液体状になって外に出て、30センチくらいの美少女フィギュアの造形になって、王国軍の指揮官の前に仁王立ちをして、そう、言い放った。
これ以上ヘイトを稼がないで!
「に、人間をバカにするな!!! お前みたいなモンスター、一瞬で殺せるんだぞ!!!。」
そう言うと、その指揮官は、剣を振り下ろして、そのシルバースライムに切りかかった。
当たり前と言うか何と言うか、シルバースライムは綺麗に真っ二つに切られる。
直後、すぐにくっついた。
ダメージはほぼ0。
「攻撃したってことは、こっちからも攻撃していいんだよね? こっちは、本当に一瞬で殺せるのに。」
「な、なんだと!!!」
「隊長!!! ダメです!!! こいつは魔王軍の悪魔を切り刻んだとんでもないやつです!!! 瞬殺されますよ!!!」
いい部下を持っていた。
ちゃんと戦況を見ていて、戦力を分析できているじゃないか。
なんで、こっちにくる前に止めないかね。
「だが、ここまでコケにされて、黙っていられるか!!!」
「隊長!!! 30秒あれば、ここにいる60名全員の命が奪われるんですよ!!! 少しは冷静になってください!!!」
「そんなはずないだろ!!! なんでこんなチンケなモンスターに!!!」
一瞬だった。
そのセリフを吐いた瞬間、その指揮官の剣を持つ右腕は、肩から離れていた。
綺麗な切り口。
そして、大量の出血。
悪いことに、そのシルバースライムは、その腕を持ち去っていた。
「焼いて食べたら、美味しいかな?」
「う、うぎゃーーーっ! ウデが!!! ウデがぁっ!!!」
「い、今、回復術師が止血します! 早くしろ!」
「はい、ただいま!!!」
回復術師の応急魔法で、とりあえず出血は無理矢理止められた。
でも、大量失血したことに変わりはない。
その指揮官は、尻餅をつくと、座り込んでしまった。
「う、うでを、かえせ〜。」
血を失って覇気がなくなっていた。
肉声で、砦全体に聴こえるほどの大声を出せたのは、素直にすごいと思った。
ある意味、指揮官としての才能がある。
でも、戦局を見る目や、敵の能力を見極める目といったものは、絶望的だった。
「社長、これで夕食は焼肉パーティーにしましょう。」
え?
おい!
こっちに振るなし。
「ば、ばか! いないことにしとけよ!」
「てへっ。」
王国軍がざわつく。
「出てこい! 人間! このスライムが人質だ!!!」
なぜ?
どう言う思考回路で、そういう発想ができるのか。
むしろ、人質はあなた方なんですけど。
「呼んだ?」
砦の窓から、顔だけ出して、問いかける。
「王国軍が来たんだ! とりあえず、門を開けてくれ。こっちには負傷者もいるんだ。」
先程、指揮官を補佐していた男が、そんなことを言って来た。
「開けたら、どうするの?」
「そんなの決まっているだろ? おまえらから……。」
「おまえらから?」
「そんなのはどうでもいい。すぐに開けるんだ。」
話にならなかった。
「なぜ、私が門を開けないといけないのか詳しく。」
「私たちが、サッシー王国軍だからだ。」
「ちなみに、この砦から内側は、ヨーコー嬢王国なんですけど。戦争をふっかけているということでいいですか?」
「違う。戦争じゃない。魔王軍に取られた領地を、取り返しにきただけだ。すぐに明け渡せ。」
「何で?」
「ここの領地は、先祖代々われらの土地だ。私たちが支配する権利がある。」
「でも、魔王軍に取られちゃったんでしょ? なんで、取り返さなかったの? 見ているだけだったよね?」
「それは、お前たちが取り返して、我らに献上するのがわかっていたからだ。」
謎理論、ここに極まれり。
つまり、僕らは、王国に奉仕するとでも思われているらしい。
「じゃあ、今から、大規模岩石魔法の実験を始めます。砦周辺にいると、高い確率で肉片も残りません。死なない確率は、ほぼ0です。撤退するべきかと進言しますが。」
「そんなこと、出鱈目だ!」
ズドン!
王国軍のすぐ横に、岩石でできた、無骨な角錐が突き立つ。
もちろん、当たればただでは済まない。
ズドン!
続けて、もう一つ。
ズドン!
さらにもひとつ。
「出鱈目? いいでしょう。その出鱈目であなた方は死にますよ?」
「わ、わかった。やめてくれ。部下を無駄死にさせたくない。」
「ばか、なに弱気になってるんだ! 砦を強奪しないと、殺されるんだぞ?」
「その前に殺されるわ! まだ、自軍の方が圧倒的に弱いわ!」
「それはそうなんだが。」
残念なくらい、わかりやすい仲間割れだった。
そして、事情が飲み込めて来た。
町にいるのは、古参の兵隊たちなんだろう。
弱い新人を集めて、砦を強奪してこいとか言ったのだ。
もちろん、そんなこと無理だとわかってはいるのだが。
口減らしなのか、言うことを聞かない足手まといを切り捨てたのか。
「自軍に手ぶらで帰ったら、殺されるのか? バカなのか、あいつらは?」
「そうだよ! バカなんだよあいつらは! こんな砦、歩兵だけで制圧できるはずないだろ!」
「あれか? 捨てられたと言うことか? いらない子軍団なのか?」
「ち、ちげーし!!!」
「どのみち、僕らが殺すか、帰って仲間に殺されるか。まあ、僕らに殺させて、手間を省いたという考えが妥当だろう。武器だって常識的に考えれば少しは消耗するし。まあ、使わんけど。」
「こ、殺すなら、殺せ!」
「そんなの、おっさんに言われても、ぜんぜん萌えないし。」
ああ、なんて不毛なたたかいなんだろう。
捨て駒というやつか。
人数を減らすことで、機動力がアップする。
普通に考えるなら、あの町とて、すぐに魔王軍にやられるだろう。
だったら、もう、ゲリラ戦法を取るしかない。
森や洞窟にひそんで、魔王軍をやり過ごすしかない。
それには、この大人数では、やりにくかったのだろう。
現に、町にいる残りの兵士たちは、東の森へと移動していた。
そっちは、ネトラレ山なんだけどな。
ネトラレ山を越えようとしたら、容赦無く撃ち落とされるぞ?
まあ、森に潜伏するのが目的なんだろうから、そこまではいかないだろうけれども。
っ!!!
「あれ、あんたがたのお仲間じゃないのか? 助けに行かなくていいのか?」
「なんだ……と?」
兵士たちも、僕の指さした、自軍の残存兵の動きを見る。
驚いていたのは、森に逃げ隠れしようとしていたからじゃない。
森から、魔物に追われてこちらに走り込んできているからだ。
モンスタートレインだ!!!
「あんな魔物とまともに戦ったら死んでしまう!!! 助けてくれ!!!」
「あんたら、王国軍だろ? 王国を守るのがお仕事だろ? 給金分は仕事しろよ。」
「死んだらそれまでだ!!!」
「軍隊は、命をかけて国を守るんだろ? 死んだらそれまでってのは、軍隊の人間が言っちゃダメだろ。」
魔物の軍団は、確実に王国軍をこちらに駆り立てている。
黒い毛並みの狼たち。
どう見ても、マインウルフ。
これって、うちのマインウルフじゃないの?
王国がどれくらい魔王軍に蹂躙されているのか確認に斥候に出したマインウルフだよ。
あー。
王国軍は、相当、村人たちに恨みを買っているんだろうな。
もう、モンスターだと思わせておこう。
「たのむ!!! 門を開けてくれ!!! 殺される!!!」
「いや、軍隊なんだし、普通に戦ったら狼くらい勝てるでしょ?」
「俺たちは貴族だから、戦ったことなんかないんだよ!!!」
何てこと言い出すんだこいつら。
貴族とか、高等国民だったのか。
いや、貴族なら貴族らしく、きちんと働いて欲しい。
「なら、なおさら、戦わなきゃダメだろ。国のために尽くすのが貴族の役割だし。」
そんなどうでもいいことを言い合っているうちに、残存兵力も砦の門の前に追い立てられて、マインウルフたちに包囲されていた。
合計で、200人弱だろうか。
マインウルフの方は、20匹いるかいないかくらいなんですけど。
普通の軍隊なら、一桁違う戦力なんだし、あっさり勝つんじゃないかな。
うちのマインウルフは、まあ、贔屓目に見ても、かなり強いけど。
「おまえら、いつまで時間をかけているんだ? なんで門を開けられなかった?」
「じゃ、じゃあ、あんたたちが開けて見せろよ!!! どうやって開けるんだよこんなの!!!」
「そりゃ簡単だろ? 聞いていなかったのか? 王国軍だって言えば、ビビって絶対に開けるって。」
「開けなかったよ!!! 逆に殺されそうになったよ!!! むしろ、あんなモンスターより、こっちの砦の方が危険地帯だよ!!!」
「マジかよ? なんて無礼な奴ら。われら王国軍の強さを見せつけてやる!!!」
マインウルフから逃げ回っていた方の指揮官が、強気だ。
だったらその前に、マインウルフを討伐したらいいと思うよ?
そんなに強いのなら。
「おい! 王国軍に楯突いたら、すぐに全滅だぞ!!! 早く門を開けろ!!!」
そう言うと、門に火を放った。
できる!!!
前の若手は、口だけだったけど、今度の親父は、考えて攻撃して来た。
やるじゃないか。
門の上から、水が流れて、火は一瞬で消された。
火を放った魔道師ごと、ずぶ濡れになった。
「もう、どうしようか。」
お外のマインウルフの1匹が、助走をつけてジャンプし、城壁の上に着地した。
そして、僕の所に駆けてくる。
いや、味方だってばれるからやめてよそういうの。
「社長、お待たせした。」
エルフの姿に変身したマインウルフが、僕の脇へ報告に来た。
「いや、味方だってバレるから。」
「大丈夫ですぜ、社長! あいつら、石とか投げてくるから、魔法で投げ返してやったぜ。泣きながらここまで逃げて来やがった。」
「あー、そういうことね。投石で勝てると思ったんだろ? きっと。」
「バカなんですよ。あいつら。ここいらじゃ、無駄飯喰らいって、ちょっと有名でしてね。で、社長のオーダーですが、まずいことになっていますぜ?」
「どうだった? 無事な街はあったか?」
「それが、一つも。建物が比較的残っているところには、魔王軍が陣を張っていたりしまして。」
おいおい。
王国軍は、みんなこんな感じなんじゃないだろうな。
「確かにまずいな。それで、どこまで見に行った?」
「王都近くまで。魔王軍は、王都まで10キロくらいのところまで接近してましたぜ? もちろん、そこまでの町や村は全部ダメでしたぜ? あと、魔王軍の軍勢、少なく見積もっても5万から6万ってところですぜ? あっしらでも、ちょっと厳しいんじゃないかってほどでして。」
「おう、重要な情報感謝する。そうなってくると、こいつらを魔物の餌にするわけにはいかないか。」
「殺っちまいましょうよ? どの道、役には立ちませんぜ?」
「いや、王都が落ちたらどうなる?」
「あの軍勢がこっちに攻め込んで来る?」
「壁になってもらおう。死ぬ気で戦えば、1000くらいは削ってくれるかもしれない。」
「200で? 無理じゃないですかね?」
「命がかかれば、人間、結構頑張れるものだよ?」
「社長も人が悪い。」
「お前らだって、あいつらに酷い目に遭わさせられたんだろ? なら、ここで仕返ししないでどうする? 早くしないと、魔王軍に先を越されるぞ?」
なお、悪いことに、この会話は、真下にいる王国軍にダダ漏れだった。
いや、わざとだけどね。
「お前ら、あんなあからさまな罠に惑わされるんじゃない。」
「で、でも隊長! 俺たち肉の壁にはなりたくない!」
「か、帰って、紅茶を飲む時間だ!」
「き、貴族が命をはらなきゃいけないなんておかしい!!!」
わかりやすく内輪揉めし始めた。
でも、今はもう、こいつらにかまっている暇はない。
「もう、こいつらは放置で。マインウルフたちを休ませろ。お前もな。長旅ご苦労。」
「ありがとうございます。では。」
そう言うと、マインウルフに戻って、遠吠えをした。
すぐに、王国軍を囲んでいたマインウルフも遠吠えを返して、城壁に飛び乗って来た。
王国軍の安堵と怨嗟の声が聞こえてくるが、もう無視した。
5〜6万規模の魔王軍に相対するのは、正直無理がある。
その上、今は、レインも倒れていて戦力が低下している。
1万くらいまでの戦力なら、この砦を有効活用することで対応は十分可能だ。
2万くらいまでなら、ぼろぼろになりつつも、何とかできるだろう。
3万も来たらおしまいだが、エレメント族が手伝ってくれれば、何とかなるかもしれない。
だが、5〜6万は、正直なところ、無理だ。
帝国が陥落するわけだ。
戦力を一箇所に集中して来たのだろう。
戦力の逐次投入が愚策であるのと対極に、戦力の一斉投入の効果は、計り知れない。
王国軍への対応は、城壁を守るマインウルフたちに任せて、僕は砦の奥へと引っ込んだ。
みんなを呼んで、作戦会議を開くためだ。
「猿渡、状況は最悪だぞ? 王都が陥落するのも時間の問題だ。」
「どうする? そうしたら、王都を占拠する?」
「しない。」
「あそこには、終末時計もあるし、もしかすると、召喚された魔法陣で帰れるかもしれない。王城だけでも、占拠する意味はあると思う。」
「戦力的に、無理だ。ここを守り切るのだって、ほぼ不可能に近い。」
「さっき、マインエルフに言われた。王都を攻める魔王軍は最低でも5万はいると。」
「そこなんだよ。なんとか半分にできないか?」
「簡単だよ。橋を落とせばいい。」
猿渡は、童顔に似合わず、悪いことを言い始めた。
「ここに来るまでの間、大きな川を何回か渡る必要があった。橋が落ちたら、ここまでたどり着けはしない。別の橋に行くのに大きく迂回する必要がある。だから、マインウルフ軍団にレイン先生の爆弾を預けて、一つの川だけ橋を落としまくれば。」
「渡れないと。」
「そういうことだ。」
「いや、上流の方まで気長に迂回するかもしれないし、イノシシは海を泳いできたし。」
「でも、全部じゃない。お望み通り、半分になるだろ?」
ああ、昔からそうだった。
学年一位は、伊達じゃない。
テストの点数なんてどうでもよくなるくらい、敵に回してはいけない男No.1だった。
悪いこと考えさせたら、こいつが学年一位だろう。
そんなランキング、ないけどな。
「やるか。」
「じゃあ、地図を用意しよう。川は、一番大きいのがいい。そいつが王都まで繋がっている。魔王軍が、反対側に渡り切ったところで、橋を落とせば完璧だ。」
「いつ聞いても、おそろしいな、お前の考えることは。」
「伊達に、いじめられて来ていないからね。全部仕返ししてやったけど。」
「だからもう、猿渡のこといじめるなんてアホは居なくなった訳だしな。」
「今、一番僕をいじめるのは、そうだな、野中かな?」
「なんでやねん!」
「じゃあ、ラストちゃん紹介してよ!!!」
そこで、女かよ。
ブレないな。
「ラストは、恩寵による召喚魔法で召喚したんだ。僕の体の一部みたいな感じだぞ?」
「ぜんぜんそう言うの気にしないから。僕のために、あんな僕好み全部入りの女の子召喚してくれたんだよね?」
「そんな、調整せんわ!!!」
「ら、ラストは、マスターの好みじゃないの…か、そうか、そうだよな……。」
僕の後ろで両手両膝をついて、うなだれるラスト。
居たんかい!!!
「ラストは、僕の大切な精霊だから。好みとかそう言うの関係ないから。」
「マスター。嘘はいい。どうなんだ? 好みというのは、嫁に欲しいのかとかそういう意味だぞ? そちらのご友人のように、ちゃんとラストに求愛するんだ!」
「いや、自分の手とか足に求愛しないだろ? 精霊召喚ってそういうもんだよ?」
「じゃ、じゃあ。ラストはマスターの右手でいい。毎日マスターの右手として、マスターのマスターをマスターしてやるぞ?」
「お、お前、ラストちゃんになんて事させるつもりだ!」
「いや、ラストが、僕に、なんて事するつもりなんだの間違いだろ?」
「もう決めたらかな。マスターはじっとしていればいい。なに、すぐに終わる。」
「う、羨ましすぎる。」
「ダメだこいつら。」
「冗談だ、マスター。まあ、そういうのは、ラストがもう少し、ナイスバディーに成長してから、毎日してやるからな。」
「あ、それは決定事項なんだ。」
「そうだぞ。うれしいだろ。」
「ロッコ、ラストを連行。」
「ん。了解。あと、その役目はロッコの。誰にも譲らない。」
「ロッコ。お前もか。」
グダグダだったが、作戦は決まった。
すでに王国の住民のかなりの数が、消されている。
だから、橋を落としてもほとんど影響はない。
そう計算して、マインウルフたちを地図上の橋へとそれぞれ派遣した。
最後のマインウルフが、橋を落とすのに成功して帰って来たのは、2日後だった。
本文中で、そのうち詳しく話が出ますが、終末時計が100日を切ったのですね。
ここで、魔王軍の強さが一段階アップししてしまっています。
原因は、王国国内で、王国民が大量に魔王軍に殺されてしまったからです。
ひよこと卵ですが、魔王軍以外にとっては、絶望的な感じです。
それでは、がんばれれば、そのうちに。