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女神様! 御自分で御与えになられた恩寵なのですから、嘲笑するのをやめては頂けませんか?  作者: 日雇い魔法事務局
第9章 防衛戦勝利後の残念な事後処理
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第109節 今できることの確認

ステータス確認回です。

というか、スキルの確認です。

鉄道の話なのだから、今の手持ちで何ができるのか。

しばらく確認していませんでしたので。

それでは、どうぞ。

<異世界召喚後48日目午前中>

場所:ヨーコー嬢王国ウーバン領ウーバン鉱山駅

視点:野中のなか


 昨晩は、マインウルフたちを自分たちの家に帰らせると、ウーバン鉱山駅に戻って寝た。

 マインウルフたちも、家族と一緒にいられて安心だろうと思ったのだが現実は違かった。

 家が爆破されていて、生活できなくなっていた家族。

 深夜だったが、岩石魔法で応急的に箱的な家を工夫して作るマインウルフたち。


 でも、家族のいないのは、一緒についてきて、一緒に寝た。

 多すぎるので、鉱山の反対側の駅でも寝ていた。

 そして出会う。

 彼らは、久しぶりに大岩井さんと。



 そして、夜が明けた。



 いつも通り、人のことを抱き枕にしているロッコとラスト。

 そして、涎掛けがわりにしている、レイン。

 この精霊三人衆と共に、起床した。

 もう、このことに突っ込むことすらしなくなってきた自分が悲しい。


 布団の周りには、マインエルフが雑魚寝していた。

 余った布団で寝ていたのもいたけど。


 駅務室まで出ると、床には大量のマインウルフが寝転がっていた。

 暖房の周りを囲むように。

 お前ら、なんで暖房に集まっているんだよもう。

 火とか怖がらないのか?


「マスター。ちょっと確認してくれ。」


 朝からテンションの高いラストが、とりあえず服を着て、再びのしかかってきた。

 重くはないけど、物理的にマウントをとられているのは精神衛生上よろしくない。


「なんだ?」


 ちょっと不機嫌な声で返答しておいた。


「その、なんだ。いっぱい戦闘しただろ?」

「そうだな。もう、しばらく戦いたくないな。」

「そうすると、経験値が貯まるよな?」

「そうだな。もう、しばらく確認していないな。」

「レベル、上がっているよな? 気になるよな?」

「気にせず、戦っていたけどな。」


 だんだん、言いたいことがわかってきた。

 あれだ。

 ラストは、自分の成長を見て欲しいのだろう。

 だが断る。


「そうすると、ステータスも、いい感じに上がるよな?」

「気分もアがっているようにみえるけどな?」

「マスターの役に立つスキルとか魔法とかも、覚えるんじゃないだろうか。」

「マスターをおちょくるのに役に立つ、の間違いかな?」


 ちょっとラストがムッとしていた。


「真面目な話なんだ。もしかすると、もしかするんだ。」

「どうもしないと思うのだが。」


 それはそれとして、人の話を聞かないラストさんは、ステータス画面を開いて見せてきた。


「やっぱり、いっぱい新しいスキルが手に入ったぞ。レベルも20になったしな。」

「そうかそうか。よかったな。」

「あ、このスキルを使えば、もう、マスターはラストとくっ付くしかないな。これで、マスターはラストだけのものだ。」


 なんだと?

 慌てて、ラストのステータス画面を確認した。

 こちらからでは、文字が反対に見えるので、ラストの後ろ側に回り込んで確認した。

 ちょうど、スキルの画面だった。


Lv1 30kgレール

Lv2 木製枕木

Lv3 金具類

Lv4 工具類

Lv5 バラスト

Lv6 バラスト設置

Lv7 木製枕木設置

Lv8 ナローゲージ設置・締結

Lv9 分岐器

Lv10 第一種車止め


Lv11 40kgレール

Lv12 コンクリート製枕木

Lv13 魔導タブレット

Lv14 腕木式信号機

Lv15 鉄製橋梁

Lv16 橋梁設置

Lv17 コンクリート製枕木設置

Lv18 狭軌設置・締結

Lv19 法面保護工

Lv20 第2種車止め


 ちょっと不安になることを言われて、うっかり確認してしまった。

 まだまだ、心の修行が足りない。

 ラストのいいように、動かさせられてしまった。

 反省反省。


 それはそれとして、ステータスはともかく、スキルは微妙だった。

 レベルが、20まで上がっていたので、どんなかと思っていたが。

 見事に、保線関係のスキルしかなかった。

 ラスト轟沈である。


 ちょっとくらいは、自称の精霊騎士としてのスキルがあっても良さそうなものだが。

 現実は厳しいものである。

 逆に言えば、保線スキルとしては、良さそうなものと、訳のわからないものがあった。


 「鉄製橋梁」という製作スキルと、「橋梁設置」という設置スキル。

 これは、実際にとても使えそうだった。

 鉄道以外にも応用が効きそうで、良さげだ。


「ラストさんや。工事業者さんになれば、儲かりそうなスキル、たくさんだな。」

「どれだ?」

「例えば、鉄製橋梁とかどうだ?」

「それか。中途半端で使えない。」


 なぜ?

 もう、万能なのではないだろうか。


「すごいスキルじゃないのか?」

「これ、10メートルまでしか作れない。短い。」

「いっぱい繋げればいいと思うよ?」

「そうなんだが、そうなんだがな? もっとかっこいい橋を作りたい。」

「それは、レベルを上げてだな。」

「なんだか、この流れだと、なさそうな感じだ。」

「いやいや。さすがにあるだろ。」

「まだ、『橋脚』系スキルがないんだ。短い橋しか設置できない。」

「そ、そうか。そうだな。」


 言われてみれば、確かにそうだ。

 このラインナップからいけば、不安を煽る部分もある。

 定期的に現れているものは、なんとなくこの先のレベルで獲得できるスキルが予想できる。

 例えば、車止めとか、レールとかだ。


「まあ、色々作れそうで何よりだ。これで、複雑な駅を作っても大丈夫なんだろう?」

「複雑なのはダメだ。信号システムがポンコツだ。」

「魔導なんだろう? 最強じゃないのか?」


 ちょっと凄そうなんだが。

 逆に言えば、訳がわからないんだが。


「そうでもない。人力の方が信頼性が高いんだ。」

「そう言うものなのか?」

「そうだ。」


 やはり、こだわりがあるのだろう。

 人の手で、直接がいいと。


 でも、これだけスキルが身についても、やることはあまり変わらない。

 線路を伸ばして、つなげる。

 それだけだ。


 なお、法面を作るようなスキルもあるが、マインウルフたちに任せた方が効率的だろう。

 おそらく、消費するMPや資材を考えた場合、そうなるはずだ。

 あいつらの方が、レベル高いの多いしな。


 ちょっと残念な気持ちのまま、トロッコに乗り込んで、ウーバン村まで出張っていった。


 村の入り口が、かなり南に行ってしまったので、何もないところにポツンとウーバン駅があるように見える。


「レイン? あの駅、廃止にできるのか? 使い道、ないだろ?」

「できるのですよ。資材が回収できるのです。」

「じゃあ、さっそく。」


 そして、設定スキルから、駅を廃止すると、大量の資材に変換された。

 レインがすぐに、空間魔法で収納した。

 また、別の場所でいい感じの駅を作ろう。


 そして、さらに南にトロッコで進んでいった。



 領主の屋敷が見えてきた頃、村の新しい北口が見えてきた。


 その北口は、マインウルフたちの活躍で、10メートルくらいの高さの門になっていた。

 門は、石でできた城壁に開けられていて、領主の館と建物でつながっている。

 その門番としてゴーレムのマヌエルさんが立っていた。

 ああ、守備位置変えたんですね。


 これは、まあ、伊藤さんの考えそうなことだった。


 家族は大切にしてほしいと言うのだろう。

 一緒に生活するためには、領主の館のすぐそばに、門があればいい。

 その門として、北門に白羽の矢が立ったのだった。


 マヌエルさんに挨拶して村の中に入ると、領主の館はともかく、よろず屋が復活していた。

 以前も、この村の中では大きい方だったのだが、さらにひとまわり大きくなっていた。

 木の家じゃなくて、石の家になっていた。

 おそらく、マインウルフが関わっているのだろう。


 よろず屋に入ってみる。

 すると以前のように、食堂、宿屋、売店と、全てが合体されていた。

 しかも、復興中にも関わらず、品揃えはかなりいい。

 道路に面して、横長の店として、リニューアルオープンしたようだった。


「サウナもあるよ!」


 と、のぼりが出ていることから、サウナもきちんと復活したようだった。


「おや、ノナカじゃないか。」

「サウナもあるよって、あれ、すぐに復活できたのか。」

「親分たちがうるさくてね。早く復活させてくれって。」

「あ、あー。それじゃあ、すぐに直さないといけなかったわけだ。」


 店長に聞くと、前より広くなったそうだ。

 あとで入りに行こうと思う。


 町の中央付近には、よく見ると村外側の城壁以外に、さらに内側にも城壁が存在していた。

 つまり、ここがこの村の中枢だということをわかりやすく示していた。

 いざと言うときには、村の人たちがここに立て篭もる。

 そういう意味のこもった作りになっていた。


 よろず屋の隣には、相変わらず冒険者ギルドがある。

 ありはするのだが、あんなに大きかったギルドの建物は、資金不足で、ほったて小屋だった。

 見かねた村人たちが、なんとかしようと、再建を手伝っていた。 


 一応、ここは以前駅のあったところなので、線路が生きていた。

 ラストが多少なりとも手直しをして、トロッコが動けるようにしていた。


「マスター。新しいウーバン駅は、ここがいい。ここなら、みんな生活に困らないぞ?」

「わかった。じゃあ、ギルドから、ちょっと間をあけて、ここに作ろう。」

「ん。ちょっと待つ。何かある。」


 駅をスキルでつくろうとして、ロッコに止められた。

 言われてみれば、確かに何かある。

 こちらも一見掘建小屋だ。

 石でできた、バス停とでも言うべきか。


 しかし、バス停と違って、入り口に扉があって、中が見えない。

 看板が立っていた。


「ウーバン村実験農園」


 もう、大岩井さんの仕業としか考えられない。

 なんなんだ? この怪しい施設は。


 とりあえず、気になったので扉を開けて、中に入ってみた。


「あら、おかえりなさい。遅かったのね。」


 扉を閉めた。


「ひどいじゃない。なぜ、閉めるのかしら。」


 扉を開けて、大岩井さんが抗議してきた。

 笑顔で。

 ちょっとこわい。


「なにここ。何かやらかしたの?」

「書いてある通り。実験農場。いまは、キノコとか、鉱山で作っていた植物をこっちに持ってきて、増産しているところ。」

「なぜ? 鉱山内がいい感じだったんじゃ。」

「そう。でも、ここなら、労働力が有り余っているので。村民の雇用も、ここなら可能ですし。流石に、鉱山まできてもらうのはちょっと。」


 なるほど。

 確かに、村の真ん中にあるのなら、村民に手伝ってもらえる。

 何かあった時に、食料供給元として、有効活用できる。

 なにより、よろず屋に出荷するのが楽だ。


「あと、サウナも近いですし。作業した後に汗を流せるのはいいものですよ。」

「大岩井さん。ごめん。隣にウーバン駅を移設してもいいかな? 前あった場所、だだっ広い原野の中の一軒家になってたから。」

「いいですけれど、そうすると、私は、そこでお風呂に入れてしまうのですね。」

「そういうこと。よかったね。」


 微妙な顔をしていた。

 サウナの方が良かったのだろうか。


 とりあえずスキルで、以前ここにあった駅を廃止して、少し南側にもう一度作成した。

 一度作っていた場所だったので、レベルの選択肢があった。

 だから、いきなりレベル2にした。

 もともと、伊藤さんが使っていた、北にあった駅と同レベルだ。


 物流が盛んになれば、もっといい駅にできるだろう。


「野中さん。ひとつ、いいはなしがあるのですけれども。」

「なんです? 大岩井さん。」

「魔族結界、なんて興味ありませんか?」


 大岩井さんは、聞き慣れない単語をぶっ込んできた。

 この一言が、この領地を大きく変化させるとは、思ってもいなかった。

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ありがとうございました。

ブックマークしてくださった方へも感謝いたします。

日程的にちょっと厳しいですが、まにあえば、明日も12時から13時くらいに。

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