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女神様! 御自分で御与えになられた恩寵なのですから、嘲笑するのをやめては頂けませんか?  作者: 日雇い魔法事務局
第9章 防衛戦勝利後の残念な事後処理
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第107節 国境鉄道はじめました

国境鉄道というと、イメージとしては、国境を超えて旅をする国際路線のように感じます。

この話では、国境に沿った形の鉄道という、現実世界にはほとんど見られない鉄道です。

こういう鉄道の敷設は、戦争が多く、国境線が動かない場所で発生することが稀にあるようです。

兵站の確保は、軍隊の罫線能力の基礎ですから。

最重要視しないといけませんよね。

それを軽視しすぎたことが原因で、負けた軍隊が確か身近にありましたから。

もっともそれも、鉄道で運ぶほどの資源や物資があって初めて役に立つのですけれども。

今回は、そういうお話です。

それでは、どうぞ。

<異世界召喚後46日目朝>

場所:ヨーコー嬢王国レーベン領ド・エッジ要塞

視点:野中のなか


 窓から、朝の眩しい光が差し込んできた。


 目が覚めたのは、また、見覚えのない天井。

 フカフカの布団。

 木製のベッド。


 周りの床には、腹を上にして、完全に油断した状態で寝転がっているマインウルフたち。

 布団の中で、しっかりと僕に抱きついてロックしてくるロッコとラスト。

 首を足で締めて、僕の胸元によだれをたらしていびきをかいているレイン。


「ここ、どこ?」


 寝ぼけたままの頭で、昨日のことを思い出そうとする。

 昨日は、ドエッジ砦の中で起床した。

 昨日午後は何をして、そして、最終的にはどこで寝たんだっけ?

 とりあえず、一つ一つ回想してみる。



 まずは、ドエッジ砦終了のお知らせから。


「マスター。あのドエッジ砦は、解体して、更地にするのです。」

「なぜ?」


 昼過ぎに、レインがそんなことを言い出してきた。

 せっかくの砦を破壊するなんて、もったいない。


「巨大な要塞ができたのです。ド・エッジ要塞なのです。山神やまのかみが、マスターのためにっていっぱい協力してくれたのです。だから、こっちは更地にするのです。そう言う約束なのですよ?」

「どういうことだ?」


 山神様やまのかみさまは、また僕の知らないところで、何かやらかしたらしい。

 詳しく聞いておこう。


「新しい国境の砦ができたのは知っているのです?」

「あ、ああ。あれだろ、僕が寝ている間に魔王軍を追い払った優秀な砦なんだろ?」

「そうなのですよ? 規模が大きくなってかなり強くなったので『ド・エッジ要塞』と名付けたのですよ? ぱっと見には、自然に紛れてわからないようになっているのです。あと、不自然なこっちの砦は、あの要塞とバーターで、取り壊す約束なのです。」


 むぅ。

 寝ている間に、危なく取り壊されるところだったのか。


「それは、もう、いらないから、ということか?」

「違うのです。 山神やまのかみが手を出してきたのは、できるだけ自然の形を利用した要塞の作成と不自然な建造物の排除が目的なのですよ? あの要塞も、ちゃんと見ないとただの小高い丘と、断崖絶壁の組み合わせに過ぎないのです。」

「ほほう。この異世界で、自然環境を守れと言うのか。」

「もともと、そういう大精霊なのですよ? 仕方がないのです。それが存在意義なのですよ。その根本的な部分を否定したら、消滅してしまうのです。」


 ま、まあ、そうだろうな。

 存在意義を物理的に問われる事態になるわけだ。

 ゆずれない部分なんだろう。


「じゃあ、その、要塞とやらに案内してくれるか? レイン。」

「おまかせなのです。でも、その前に、砦から避難するのです。」

「なぜ?」

「芸術的に、爆破するのです。一瞬で、更地なのですよ?」

「いやいや、流石に地球の解体屋さんじゃないんだから。」

「もっとすごいのですよ?」


 とりあえず、すごいらしいので、砦を出ると、少し離れて見学することにした。

 というか、かなりのギャラリーがいた。

 全員揃っているんじゃないかと思うくらいには。

 オルローたちまで見にきていたのには驚いた。


 砦の一番高いところにレインが飛んでいって、導火線に火を放った。

 そして、1分、2分、と経過し、3分が経とうとした時。


 どどーん。


 砦の1階部分から爆発が起こった。

 そして、2階部分、3階部分と、時間差で上が爆破されていった。

 伝わりにくいと思うが、見ている方としては、突然地面が泥沼になった感じで、砦が大地に沈んで消えていったように見えた。

 上手に爆弾を配置したことで、一瞬で更地になってしまったドエッジ砦。


 こういう、どうでもいいことに無駄に労力を割くよね、レインは。

 見ていて面白かったけど。

 周囲から、拍手喝采が起こる。

 あ、ああ、そういうことか。


 娯楽に飢えた、この異世界で。

 こういうイベントは、なにより盛り上がるのだ。

 それを見越して、みんなのために解体ショーに仕立てたのか。

 異種族のみんなが、とても喜んでいた。


 ロッコとかラストも、飛び跳ねて喜んでいた。

 なるほどね。

 こういのでいいんだ。

 こういうので。


 ぶっちゃけた話をすれば、砦の解体は、マインウルフの岩石魔法でやった方が早くできるし綺麗に片付くし、なにより、物資を再利用しやすい。

 でも、今回は、それじゃだめなんだろうな。

 アトラクションとしての利用が、みんなには必要だったんだろう。

 ここのところ、ずっと気を張り詰めて、魔王軍の相手をしてきたわけだから。


 これくらいのご褒美があっても、バチは当たらないだろう。


「すごい。すごいの。ノナカ、レインがすごいの。」


 ああ。

 山神様やまのかみさままで、飛び跳ねて喜んでいる。

 まじか。

 こういうキャラクターだと思っていなかったよ。



 昨日、こういうことがあったので、今寝ているのは少なくともドエッジ砦じゃない。

 なにしろ、もう、更地になってしまって、存在しないのだから。



 そして、次は、国境鉄道延伸のお知らせ。


 昨日、ド・エッジ要塞を始発駅とした国境鉄道の試作部分をラストに見せてもらった。

 要塞は、南側から見ると小高い草原の丘にしか見えないのだが、近づいてみると、ところどころ、というか、一定間隔で、洞窟のような穴が空いている。

 ここから入るのか? とも思ったが、穴の大きさが、それほど大きくなく、50センチ四方の空気穴のようで、無理やり入れば入れるくらいの大きさしかなかった。


「ラスト。このたくさんある穴は何なんだ?」

「ま、マスターが言ったのだろう? これを作れって!」

「いや、心当たりがないんだが。」

「そうか? 確かに言ったぞ? 国内側は、外が見えるようにしろと。」


 ん?

 確かに言った覚えのあるフレーズ。

 何だったっけか?

 あ、ああ。

 あれだ。

 国境鉄道のことか。


「じゃあ、この中に、線路があると言うのか?」

「そうだ。」

「でも、そしたら、要塞にはどうやって入るんだ?」

「あそこだ。駅みたいに入り口が4箇所くらいある。中央口があそこ、丘の上、断崖のすぐそばのあの石の平家の建物。西口が、あっちの林になっているところの中に建物が。東口も、東側のちょっと林になっているところの中に。そして、南口は、そこだ。」


 そう言って、ラストは、草原に空いたちょっとだけ大きい穴を指さしていた。

 ちょっと、穴が小さくて、入りにくそうなんだが。

 どう見ても1メートル四方くらいしかない。

 ラストでも、屈まないと入れないだろう。


「小さくないか?」

「そうなだ。小さい。南口は、実際には囮の穴だからな。この要塞に入ろうとする奴は、入り口を探すだろ? まず、中央口を発見するんだ。でも、中央口は、入り口が建物になっていて、要塞の一部だから、攻撃が通りにくい。」


 確かにそうだろう。

 入り口には、十分な罠と戦力を配備するのは世の常だ。


「そして次に、ここを見つけるんだ。」


 そして、ラストは、横にある微妙な大きさの穴を指さした。


「囮の入り口。ここから入ると、罠とかで死ぬ。外部から入るには、どこにあるのかわかりにくい、かなり離れた西口か東口から入るしかない。線路の脇の穴から入ることもできるが、入っても線路しかないからな。駅の入り口も狭いから、結局侵入するときに攻撃されて終わりだ。」


 ちょっと待って欲しい。

 防御側として、とても優秀な要塞になっていることは理解できた。

 だが、問題があった。


「ラスト、質問なんだが。」

「なんだ? マスター。」

「ここって、関所だったよな? どうやって帝国側に抜けるんだ?」

「抜けられないぞ? ここはもう関所じゃない。」

「どう言うことだ?」

「だから、しばらくは、ここが対魔王軍の最前線になるんだ。関所を作ってどうする?」


 ま、まあ、正論だった。

 通れるようにすると、その分防御力が低下するのは理解できる。

 なら、そもそも通行不可とすればいい。

 なにしろ、魔王軍が占領している場所に出て行きたいと言う国民はいないのだから。


 難点があるとすれば、帝国側から王国側に逃げようとしてきた人たちの心を折るのには、十分に機能してしまうだろうということだった。


「それに、将来は、鉄道で繋がるんだ。」

「いや、無理だろ。100メートルくらいあるぞ、高低差。」

「馬鹿なのか? ここで繋がるわけないだろう? 山の方から線路を分岐させるんだ。そうしたら、帝国側にも鉄道に乗って行き来できるようになる。魔王軍が撃退できたらな。」

「そうかそうか。そうだよな。……なんだと?」


 ちょっと待て。

 今、さらっと流されたので、うっかり聞き流してしまうところだったのだが。

 山の方から線路を分岐させるとか言わなかったか?


「ラスト。山の方から、と言うのはどう言うことだ?」

「言葉の通り、あそこだ。ネトラレ山から分岐させるんだ。あとはマスターが駅を作ればいい。」


 ちょ。

 それだと、もうすでに、ネトラレ山には線路が引かれているようにしか聞こえないのだが。


「ラストさんや。その、国境鉄道とやらは、どこまで伸びているのかね?」

「もちろん、コソナまでだ。そう言う計画だろ?」

「いや、そうじゃない。計画では海まで繋ぐと言ったが、昨日の今日で、できる話じゃないだろ?」

「当たり前だ。」

「改めて質問だ。今、線路は、どこまで伸びているんだ。」

「山の上までだ。」


 そして、ネトラレ山を指さす。


「山の上。そうかそうか。」

「明日には、ウーバン村遥か北くらいまで伸ばすし、明後日には、旧国境警備隊本部くらいまで伸ばす。そうしたら、既存の線路と繋がるだろ?」

「そんな早く伸ばせるわけないだろ?」

「路盤というか、ド・エッジ要塞は、城壁として、コソナまで線路を含めてつながっているんだ。一箇所を除いてな?」


 ふぁ?

 ド・エッジ要塞って、ここのことじゃないのかよ?

 どんだけでかい要塞を作るつもりなんだ?

 もしかして、あれか。

 万里の長城級のものを作るつもりなのか?


「ちなみに、その一箇所というのはどこのことだ?」

「山の上だ。」


 そう言って、再び、ネトラレ山を指さす。

 いい加減、何らかの秘密がありそうな感じがしてきた。

 なぜ、ネトラレ山にそれほどいろいろあるんだよう。


「ネトラレ村を、山神様やまのかみさまが作ってくださった。そこが例外だ。」

「ちょっと待て。流石にそのネーミングはない。」

山神様やまのかみさまが授けてくださった高貴な名前だぞ? 否定は許さん。」

「そうは言ってもな? 住んでいる人のことを考えろってんだ!」


 いくら何でも、ネトラレ村はない。

 今日日、エロ漫画でもそこまでまっすぐなネーミングの村は出てこないぞ?

 山神様やまのかみさま何やってるんだよもう。


「ちなみに、山の地形の関係で、ネトラレ村周辺は、ここみたいに断崖絶壁にできなかったんだ。だから、ちょうどそこに異種族の村を作ったんだ。ほぼほぼ洞窟だし、洞窟の中には温泉もあるから暖かいんだぞ? 住んでいるのはガー族とベア族だ。あとで、駅を作ってくれ。」


 なんてことだ!

 なんてことだ!


 住んでいるの、最強異種族軍団じゃないかよ!

 たしかに特徴から、寒さにめっちゃ強そうだけどな。

 でも、ベア族とか、冬眠しちゃうんじゃないか?

 寒すぎて。


「マグマエレメントたちもか?」

「いや、それが違うんだ。彼らは、西の防衛線についてもらっているんだ。」

「聞いていない。」

「言っていないからな。ド・エッジ要塞の西の端と、グレイトソーン南の城壁の西の端に、ちょっとした砦を作ったそうだ。そこに常駐してもらうことになったんだ。ファイアーエレメントと一緒にな。」


 なるほど。

 確かに、山を挟んで西側も、魔王軍の占領下だった。

 ならば、防衛線を張る必要があるだろう。

 その、西側の山までが、ウーバン山脈の範疇なのだし。


 そんなこんながあって、今、国境鉄道は、マグマエレメントの守っている、要塞西の端から、ネトラレ山まで伸びているのだ。

 一晩寝ていたので、もしかすると既に、もっと伸びている可能性も否定できない。



 そういう訳で、今寝ている場所の当たりがついてきた。

 ここは、そう、要塞の中。

 ド・エッジ要塞の中だった。


 西側の森の中にある、要塞入り口の建物の中。

 薄く開いた窓から、東側から登ってきた太陽の光が差し込んでくる。

 今日は、じゃあ、その、異種族の村とやらに行こうと思った。


「ロッコ、ラスト。あれだ、異種族の村に行くぞ?」

「ましゅたー、もういくんでしゅかー? もうちょっとなので、もうちょっとなので、まってくだしゃいー。もうしゅこし、我慢してくだしゃいー。」

「……。ロッコ。あれだ、異種族の村に挨拶に出かけるぞ。」

「ん。ロッコは目が覚めた。いつでも行ける。」


 だが、全裸だった。

 寒いので風邪をひくから、ちゃんと服を着て欲しいものなのだが。

 まあ、ロッコとラストは、寝る時服を着ない主義らしいので、何とも言えないのだが。


「レインも? レインもついていくのですよ? 仲間外れは嫌なのですよ?」

「別行動ほとんどしないだろ? 既に計算に入っているから心配するな。」

「そうなのです? ならいいのです。ネトラレ村に出発なのです。」


 精霊軍団は、魔法で服を着やがった。

 あれだ、魔法少女みたいに一瞬光ったら、服を着ているあれだ。

 全然エロくないけどな。

 そもそも、その前の時点で全裸だし。


 あ、レインはちゃんとパジャマ着ていたぞ?

 真っ赤なパジャマな。

 頭にサンタさんみたいな帽子付きでな。

 あれだ。


 よく考えたら、あのパジャマ、そのまんま、サンタクロースだった。



 ラストとロッコがトロッコを漕いで、国境鉄道を東進する。

 流石に高低差が少ないとはいえ、山に登るのだから、多少の登りにはなる。

 当たり前のことだ。

 それでも、足漕ぎで登れないほどじゃないところに技術を感じた。


 もっとも、ロッコのトロッコに対する技術のおかげかもしれない。

 レベルも上がったので、色々なギミックを詰め込んでいるみたいだった。

 元の世界の話を聞かせろとかいうので、寝物語に電動自転車の話をしたら、早速魔導自転車の開発に乗り出したくらいだ。

 もう既に、その機能は搭載されている可能性がある。


 なぜなら、なんか、足漕ぎトロッコに、スイッチがついていたから。

 いきなり、前照灯が点いたから。


 2時間くらいかかって、国境鉄道のトンネル内に結構大きな横穴が空いている所に到着した。

 おそらくこれが、ネトラレ村の入り口なのだろう。

 この付近だけ、なぜだか外が見える穴がない。

 あったのかもしれないが、雪で埋まっているのだろう。


 そして、トロッコを降りると、その横穴に入って行こうとした。


 ちなみに、線路は、まだまだ先に続いていた。

 山神様やまのかみさま、ガチでやる気だ。

 あと、ラストはいつ寝たんだろうか。

 みんな心配だよ。


 ワーカーホリックだよ。

 ラストは、趣味だけどな。

 存在意義と言い換えてもいいんだけど。



「ようこそ。社長。」


 若い女子の声だった。


 なぜなのか。

 なぜ、社長と呼ばれるのか。

 そして、一番前で待っていたのは山神様やまのかみさまだった。

 解せない。


 なにしろ、ネトラレ村に出かけることは予告していないから。

 まあ、山神様やまのかみさまからは、逃れられないということなのだろう。


 山神様やまのかみさまの後ろに、ガー族女子とベア族女子が控えていた。

 先程、声をかけてきた女子だ。

 おそらく、異種族基準で綺麗どころを揃えたつもりなんだろう。

 毛並みがいいのだけはわかるが、それ以外の良さが全くわからん。


「ささ、応接へどうぞ。村長が待っております。」


 その女子二人が、僕たちを先導した。

 疑問が湧く。

 2種族いて、村長は一人。

 どうなる? どうする?


 喧嘩になったりしていないんだろうか?

 答えは簡単だった。


「やあ、キミが、社長のノナカだね。ボクが村長のササミーだ。」


 僕たちの目の前には、青くて大きな鳥っぽい人が立っていた。

 村長、かなり寸胴だけど、胴長で足がほとんどないけれど、ガルダ族だったよ。

 あと、羽、飛べそうにないよ? ペンギンか? ペンギンの鳥人なのか?

 聞いてないよ! 聞いてない。


 というか、食べられたりしないのかな?

 もう、状況についていけないというか、心配しかない。


「ちょっと待て。なぜ、ガルダ族が村長に?」

「社長さん、違います。ガルダ族、違います。」


 いきなり、いかがわしいカタコトの話し言葉になっていた。

 あやしい。


「私は、ペギ族。最強の鳥人、ペギ族です。」

「飛べないけどな。」

「最強だけど、飛べない鳥人だけどな。」


 両サイドにいた、年老いて毛並みの悪くなっている年寄りのガー族とベア族に突っ込まれている、ササミー。


「飛べなくても、うら若き美人の女鳥人、ペギ族のササミーです。美味しくないので、食べてはダメですよ?」

「いや、食べんから。後ろの二人はともかく、僕は食べないから。」

「そうなんですか?」

「そうだ。マスターはちょろくない。だから苦労しているんだ。」


 周りを見回すと、暖炉に火が灯っていた。

 温かった。

 応急で作ったにしては、生活感が溢れているのだが、なぜだろうか。

 もう、ここに住んでだいぶ経つのではないだろうか。


山神様やまのかみさま? この村は、いつできたのですか?」

「おととい。そうよね? ササミー。」

「その通りです、山神様やまのかみさま。私たちはおととい、ここに引っ越してきました。その前に、エレメント族のみなさんが、ここの住居を準備してくださっていたそうです。」


 それでか。

 ちょっと待て。

 なんか引っかかった。


「ここ。この村、基本、洞窟の中だよな?」

「そうですが何か?」

「もしかして、頂上の砦と、つながっていたりするのか?」

「まさか。そこまでつながってはいません。せいぜい、頂上の手前、100メートルくらいまでですよ?」


 もうそれ、繋がっているよね。

 実際、つながっているのと変わりないよね?


「そういうことか。」

「そういうことです。」


 もう、いろいろと諦めた。

 山神様やまのかみさまの範疇にいるのだから、なにがあっても不思議じゃない。

 もう、そう考えて思考を放棄することにした。


 ここも、嬢王国の一部になるの?

 どうしよう、もう。


 途方に暮れるというほどではないものの、ちょっとやりきれない気持ちでいっぱいの野中なのでした。

大きすぎるトンカツをよく食べたものです。

それ以上のネタばらしはしません。


国境鉄道という言葉の響きには、やっぱりそういう元ネタがあるんですよ?


これが原因で執筆できなくなっていなければ、明日も12時から13時くらいに。

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