第40話 敗走中の出会い
昨日は殺伐とした話でしたので、今日は、少し志向を変えて見ました。
逃走中のお話です。
でも、それがメインではありませんが。
それでは、どうそ。
<異世界召喚後33日目午前中>
場所:サッシー王国ナース伯爵領ヴァイスフロストの関所
視点:神佐味
また一体、魔物を切り捨てた。
ろくに死体の確認もせず、私たちは雪の積もる足場の悪い森の斜面を、走って逃げていた。
足が冷たい。
指先の感覚がない。
疲労も限界に近かった。
洞川だけは、スキルで疲れていない。
皇帝陛下は無駄にスタミナが多い。
でも、それ以外は皆、ヘトヘトだった。
そんなこちらの事情には関係なく、魔物の襲撃が散発的に発生する。
大きなイノシシだったり、ホワイトタイガーだったり。
ごくごく稀に、魔族だったり。
そいつらを、各個撃破しつつ、砦の東側の山の斜面にある森の中を、南へと敗走していた。
昨日の夕方から、砦での対魔王軍防衛戦を夜通し行って、城壁を破壊されて敗北した。
相手の隙をついて逃げ出し、東側の山の中へと姿を隠すことに成功した。
魔族は必死になって探していたようだが、なんとか見つからずに逃げ切っている。
見つかった相手は、確実に屠ってきた。
どちらかと言うと、魔物の方が多い。
魔物の鼻からは、逃れられないからだ。
特に、ホワイトタイガーとかは、高さを使って逃げても追いかけてこられる。
大きなイノシシの魔物は、4メーターくらいの段差があれば、逃げ切れるのにだ。
もうそろそろ昼になる。
眠さもピークに達していた。
どこに向かって走っているのかもわからない。
地元民である、サイモンを先頭に、なんとか魔王軍から逃げ切れていた。
すると、森の途切れたところにある、岩剥き出しの斜面に出た。
斜面には横穴がある。
洞窟だった。
徹夜での戦いに疲れ、もう、ダメだと思っていたので、ありがたかった。
「この、洞窟なら、しばらくは隠れていられるでしょう。見張りを立てて交代で睡眠を取りましょう。」
「でも、なんか、人がいますよ?」
サイモンが、休憩しようと言っている洞窟の入り口には男の人が立っていた。
「すまないが、今、魔王軍から徹夜で逃げてきたところなんだ。この洞窟で少し休ませてはもらえないだろうか?」
すぐさま交渉に入るサイモン。
できる男の鏡だった。
本人も、相当眠いはずなのに。
「あ、ええ。かまいません。ただ、私だけではなくて、家族もおりますが、よろしいですか?」
「休ませてもらえるのなら、それで十分です。ありがとうございます。」
「どうして、こんなところに?」
私は、不思議になって聞いてしまった。
地元民のサイモンが、この辺りでレベル上げという名の修行をしていたので、知っていた洞窟の1つだという。
つまり、そんな事情でもなければ、知らないはずの洞窟。
偶然発見して、休んでいるにしては、家族もいるというのが腑に落ちないのだ。
「ええ、わたくしどもも王国民でして。帝国へと行商に行こうとしていたのですが、あの魔王軍に遭遇しまして。命からがら、慌てて逃げてきたのです。私もむかし、妻と一緒にこの辺で修行をしていましたので。当時は戦士として。」
「あら、あなた? お客様?」
「ああ、少し休ませてほしいそうだ。」
洞窟の中から、傷だらけの妻らしい女性が出てきた。
茶色のローブを纏う、一見魔術師風だ。
ただし杖は持っていない。
「でしたら、奥の方へどうぞ。結構広い空間になっていますので。」
「ありがたい。」
不思議そうな顔をしたサイモンが、そう言って先頭となって入っていった。
私たちもそれに続く。
中に入ると、結構広い空間だった。
洞窟はまだまだ奥へと続いているようなのだが、岩で塞いであった。
ふさぎきれていないけれども。
商人の家族残り3人が、ちょうど洞窟の中に隠れていた。
この様子だと、出てきていたのは、父親だったらしい。
中には案内してくれた妻と10代の娘2人、そして、見たままメイドがいた。
メイドが出てこなかったことに疑問を持った。
通常なら、そういう職業のものが率先して来客の対応をするものだろう。
「光を!」
サイモンがつぶやくと、洞窟の中がいきなり昼間の外と同じくらいに明るくなった。
照明魔法らしい。
なんか、今まで聞いてきた魔法と、唱え方が違う。
気にしたら負けだと思って気を取り直した。
そして、洞窟内を見回すと、メイドたちが出てこなかった理由がわかった。
出てこなかったのではない。
出てこられなかったのだ。
4人とも、所々にかなり怪我をしている。
ほとんど動ける状況にはない。
その中で、かろうじて動ける奥さんが表に出てきたのだろう。
「その怪我は?」
「魔族です。魔物はともかく、魔族の相手は人間にはちょっと荷が重いですね。」
何でもないように、奥さんが言う。
「魔族相手に戦えたのですか? 結構お強いのでは?」
「ちょっと、ね。でも、ほら、家族もメイドも守れなかった訳ですし。」
辛そうな顔で目を逸らす。
特に、メイドの怪我の具合が酷かった。
横たわっているだけで目も開けていない。
あれは、瀕死なのではないだろうか?
「我々には、多少なりとも魔法の心得のあるものがいます。失敗するかもしれませんが、ちょっと回復させてみてもよろしいですか?」
「回復魔法が使えますのね? こちらこそお願いします。失礼ですが、失敗するかもというのはどういうことでしょうか? 回復魔法は、普通なら、HP一定値の回復と決まっていて、そもそも失敗する要素がないのですけれども。」
「あ、えっと、その。あなたの知っている回復魔法とは、ちょっと違うというか。おそらく、結果として回復するだけで、回復魔法そのものではないのかと。とりあえずは、低い確率でHPがかなり回復する、そういう魔法です。もしくは、ほんの少しだけHPが回復する魔法です。」
怪訝そうな顔をしていた。
不安を感じるほどには、回復魔法のことを知っているようだ。
それでも回復魔法を使っていないところを見ると、回復魔法が使えるわけではないのだろう。
「一番状況の悪い、メイドさん? を回復させてみます。彼女は、どこにダメージを負っているのかを教えてください。」
「なぜです? HPを回復させるのに、そんな情報はいらないはずです。」
「私のは、神術ですから。怪我や病気を治す神術です。教えていただけないのなら、服を脱がせるまでですが。」
「あ。ええ。ごめんなさい。神術師さんなのね。お若いのにかなりレアな職業なので、びっくりしました。」
神術師というレアな職業があるらしい。
今の職業が祈祷師だから、もしかすると上位の職業に、そういうのがあるのだろう。
「足は、大丈夫ですね。腕も、顔も。小さな切り傷や打撲はありますが、気絶するほどのものはありません。それでは、服を、」
「待ってください。言います。言いますから。」
「どちらにしても、直接触れないと回復させられないんですけれどもね。」
「背中と胸をグレイトボアの牙に引き裂かれて。包帯で止血しているのだけれども、もう持たないかもしれません。」
「そういうことは、早く言ってください。」
僕は、手早く服を脱がせようとしたけれども、複雑すぎて訳がわからない。
「すみません。私には、ちょっと構造が複雑すぎて無理です。」
服を脱がせる作業は、奥さんがしてくれることになった。
上半身をはだけて、毛布の上に寝かせてくれた。
「では。『祈祷』」
そして、祝詞を小さくつぶやいていく。
全部言い終わるのに、おおよそ3分かかる。
それでも成功確率が低いのが、残念でならない。
最初はLv1で、成功確率20%だったのだが、スキルポイントを注ぎ込んでLv3にしたので、成功確率は37%、クールタイムは50分まで減少した。
祝詞自体は変化しないので、3分かかるのは変わらない。
この技能を、ガンガンレベルアップさせていけば、最強の回復術師になれそうなのだが。
でも、レベルアップすると、消費MPがびっくりするほど上昇する。
ちなみに、レベルアップ前の低確率のものも使うことができるが、意味はあまりない。
そんな博打はしたくない。
3分経過して、祝詞が終わる。
メイドさんが光に包まれて、回復しるかしないか、ちょっと待たされる時間が来た。
30秒ほどのタメがあって、光が収まると、彼女のお腹の傷は、もう消えていた。
成功したのだ。
37%とか、微妙な成功確率だったのだが、成功してよかった。
最初が失敗だと、ただのエロガキと勘違いされるという危惧があった。
そういう意味では、助かった。
胸から臍のあたりまでを斜めにばつ印でついていた切り傷は、綺麗になくなっていた。
おへそも、乳房も、綺麗に。
そして、視界が塞がれた。
「え? なに? 何が起こった?」
「神佐味さん、あなた。目つきが血走っていて、エロくなっていましたよ。いけません。」
そして、なぜかお腹にパンチが入り、
目を覚ますと、洞窟の中だった。
メイドさんが、膝枕で看病してくれている。
なぜ?
胸が大きすぎて、顔がちゃんと見えない。
これは、これはすごい。
でもこの人、だれ?
「大丈夫ですか? エロ神術師の方?」
「ち、違うし。エロ神術師と違うし!!!」
いきなりな言われようだった。
寝起きは、もう少し優しくしていただきたいものだ。
「ふふふ。大丈夫のようですね。すみませんでした。目を覚ましたら、いきなり若い男性が、私の胸をかぶりつくように凝視していたものですから、思わず手が。」
「あ、ああ。あなたが、メイドさんですか。ちょっと、記憶が飛んでいました。そう、そうです。傷は回復したんですね?」
「見ますか?」
「是非!!!!!」
後方からひとチョップくらわせられた。
突っ込んできたのは、重光さんだった。
「だから言いましたのに。そう言ったら見たいというに決まっていますの。思春期の男子は、みんな半分はエロでできているんですよ?」
「なんてことだ!!! なんてことだ!!!」
あともう少しで、この巨乳を拝めると思ったのに!!!
というか、話の流れから言うと、からかわれたのか。
ど畜生!!!
思春期童貞の心を弄びやがって!!!
許さん!!!
回復魔法を使った見返りがこれか?
腹パンと辱めが御礼なのか?
ならいい。
もういい。
疲れたので、寝る。
そう思って、再び横になった。
かなり疲れていたので、すぐに夢の中へと旅立っていった。
そして、直後、連れ戻された。
さらにチョップを食らった。
「まだ、仕事が残っていますの。あと3人。それに、メイドさんも、背中の傷は治っておりませんのよ?」
「成功確率37%だから。重ねが消しても回復しないから。あと、クールタイムもあるし。寝る。」
そう捲し立てると、寝た。
だって、もう、眠いから。
後の3人は、命に別条なさそうだから。
まあ、動けないと不便そうだけど。
「じゃあ、おっぱい見せたら、やる気になりますか?」
ぱっと目が覚めた。
耳元で、とんでもない情報を囁かれた。
おそらく、私がなぜ、飛び起きたのか理解できたのは、メイドの彼女だけだろう。
しかし、釣られた私は、恥ずかしかった。
悔しいので、寝た。
あぶなく、エロを餌に、労働させられるところだった。
タダ働きを強要されるところだった。
もう、ヤダ。
再び目を覚ました時には、周りの人たちは全員寝ていた。
とりあえず、起き上がると、洞窟の外に出た。
そこには、サイモンと高野が立っていた。
最初の見張りは、皇帝陛下と洞川の組み合わせだったはず。
「こんばんわ。」
もう、空も暗く、そういう挨拶の時間だった。
「起きたのじゃな。災難じゃったのう。回復魔法を使ったら、報復攻撃されたのじゃからのう。でも、皆、感謝しておったぞ? 行商人のおじさんも、喜んでおったぞ?」
「タダ働きだった。」
「そんなことはないぞ、少年。商人相手にタダ働きをするのは、『恩を売った』ことになる。本来ならば、契約書を作ってから、とかいういとももなく、死の淵から助け出したのだからな。」
たしかにそうだろう。
あのとき、私の神術が効かなかったら、今頃はもう、メイドさんは事切れていただろう。
そう考えれば、たしかに返しにくいくらい大きな恩を売ったことにはなる。
洞窟の中から、男が出てきた。
洞窟の前に立っていた、行商人の男だ。
「そろそろ、交代の時間ですかな? おお、カムサビ殿も起きて参ったか。では、交代ですな。」
「そうだな。不寝番、交代の時間だ。」
「神佐味殿。あとはよろしく頼む。」
そそくさと、洞窟に入っていくサイモンと高野。
どうやら、これからが僕と行商人との不寝番の時間らしい。
洞窟の中に入って、剣とかの道具を持ってきて、洞窟の入り口に座った。
「どうですかな、一杯。」
行商人は、僕に対して、液体を勧めてきた。
「これは?」
「ああ、これは、ラルトーの実から作ったお酒です。聞けば、異世界から召喚されてこられたとのこと。ラルトー酒は、初めてでしょう。ささ、1杯どうぞ。」
「すまないが、私たちの祖国では、20歳になるまで飲酒は禁じられていまして。」
「あ、あー。そういえば、他の方もそう言っていらっしゃいましたね。女性は禁じられていないですわよ、とか言って、3人さんはお飲みになられましたが。」
なんだと?
あいつらときたら!
まあ、重光とか、普段からワインとか飲んでいそうだし。
飲もうとするのは不思議じゃないけれども。
「嘘です。男女関係なく、20歳からです。」
「そうですか。残念です。我が国には、そういう法律や風習はないもので。小さい頃から、いろいろなお酒と共に暮らしてきました。」
「なぜ、行商人に?」
「ああ、それですか? 妻と、ほぼ駆け落ちしているのでそれが原因です。駆け落ちした人間のできる職業など限られていますので。」
すごい。
すごいなそれ。
この、中世的な世界で、よく駆け落ちなんてできたなおい!
「物心がついた頃にはもう、商人の家に奉公人として、商人見習いの見習いとして、家から売られていました。ですから、生まれた家のことは、あまり知りません。」
「小さな頃から見習いで、15で商人と呼ばれたよ?」
「いやいや、いまだ、商人と呼ばれるには至っていません。行商人です。職業も、中級職の行商人ですから。」
行商人って中級職なのかよ!
初級職が商人なのか?
「じゃあ、小さい頃から職業をいただいて、英才教育をされていたんですね?」
「それがちがうのです。私は、妻に会うまで、その職業というシステムを知りませんで。そういう意味では、無職だったんですね。商人見習い的なことをしてはいましたが。」
「で、奥さんとの出逢いについて詳しく。」
「そ、そうですか?」
後ろ頭をかいて恥ずかしそうにする中年男性の図。
「妻は、没落貴族の家出身でして。最終的には、両親が借金で首が回らなくなって自殺してしまいまして。そこで、わたしの奉公先が、その借金の形にと、屋敷を差し押さえに行ったのです。そのとき、私もついていって、一人で茫然自失になっている妻を見つけました。納屋で。」
「いやいや、ぜんぜんロマンチックじゃないでしょ?」
「いいえ、奉公先の店では、彼女も売りに出そうとしていました。私、一目惚れしてしまいまして。秘密の地下通路を教えていただいて、そこに匿ったのです。」
徐々に、盛り上がってきました。
そう。
そういのが聞きたかった。
「わたしも、奉公人としての蓄えが多少はありましたし、どのみち近いうちには独立しなければいけませんでしたので。そこで、お金を店に支払って、独立させていただいて、店から出て、自由の身になったのです。」
「よく、そんなにお金を貯められたな?」
「いろいろ、悪いことをしてきましたから。普通に稼いでいたのでは、奉公先から、お金で自由になることなど不可能ですし。」
徐々に、テンションが下がる。
あまり、いい話ではなさそうだったからだ。
「でも、私がいなくなってから少しして、そのお店は潰されてしまいましたので、まあ、タイミングというか、運は良かったですね。」
「ちなみに、おじさんのせいじゃないよね?」
「それは何とも言えません。秘密です。」
ああ、こいつ、絶対何かやっている。
長年の恨みを、何か時限爆弾のような仕組みを使ってはらしたに違いない。
絶対ざまぁしている。
「そして、匿っていた妻と共に、街を出て、行商の旅へと。」
「ああ、それが今に繋がっているんだな?」
「そうです。そうです。」
そう言って、ラルトー酒を飲み込んだ。
「嘘ですから。行商に出ていませんから。」
「ふぇ?」
後ろから声をかけられた。
出てきたのは、奥さんだった。
「この人、自分に都合の悪いことは、絶対言いませんから。」
「そう、奉公先で教わってきたんだよ。小さい頃のくせは、なかなか治らないものだよ?」
「いきなり、街を出るとか言うので、モンスターと戦う技能はあるのかと聞いたり、職業について、スキルについて聞いたのですが、この人、何も知らなかったんですよ?」
なんて、自殺行為。
じゃあ、止めなかったら、街を出て、魔物に殺されるコース一直線だったわけだ。
「ですから、私が神官様のところに連れて行きまして、とりあえず、駄々をこねるこの人を言いくるめて、『戦士』にしてもらいました。べつに戦士でも、行商自体はできますし。」
おそろしい奥さんだった。
付き合ってその時から、もうすでにかかあ天下だったようだ。
「それから、冒険者ギルドに行って、二人とも冒険者登録をしました。私は没落貴族でしたが、学者の家系でしたので、すでに学者でしたし、いくつか魔法も使えましたし。でも、この人は、剣もまともに振ったこともないど素人で。私が、一から全部教え込んだんですよ?」
「それは、自分の口からは、言いにくいでしょう。」
「そうですね。今では私も中級職の『魔法学者』になりましたし、この人も、『見習い商人』に転職して、中級職の『行商人』になっていますし。」
なるほど、そもそも冒険者だったのか。
なら、彼らが魔王軍から逃げ切れたのは、何も運が良かったからではない訳だ。
行商人と奥さんの戦闘能力によるものだった。
行商人は、以前の戦士系スキルがいくつか使えるらしく、ホワイトタイガーは無理でも、あの大きいイノシシなら何とかなるそうだ。
行商人の妻は、いろいろな魔法が使えるそうだ。
だが、夫が言うには、なぜか最大MPが低く、1発も使えない魔法をいくつも習得していると言う、残念な魔法学者だと言う。
ちなみに行商人になると、レベル5で、必ず空間魔法の初級魔法である、「初級アイテムスペース」を習得することができる。
これを使うと、荷運びが断然楽になる。
今は、レベルも上がり、「中級アイテムスペース」となって、荷馬車一台分くらいの荷物を亜空間に保存できるそうだ。
言われて自分のステータスが気になって確認すると、いつの間にかレベルが20になっていた。
「転職、できますな。中級職に。」
「まじですか?」
「まあ、神官のところに行かなければできませんがね。」
「そうか。そうですか。」
次の日の朝、皆が起きてくると、娘さんの一人を回復させようとして失敗した。
クールタイムを経て、奥さんを回復させようとして、失敗した。
もう、頭にきたので、職業の方の祈祷で、HPを回復させていった。
とりあえず、それで全員動けるようになった。
サイモンの先導で、10日くらいかけて、街道東側の森の中を南下しつつ逃走するも、消耗激しく休憩が必要だと判断した。
再び、洞窟を見つけて、休もうとすると、やはりそこにも先客が。
商隊のキャラバンだった。
「サイモンの旦那じゃないですか? どうしたんですかい? こんな山の中で?」
どうやらこの商隊とは、サイモンが知り合いのようだった。
人と人の絆は、どこでできるのもかわかりません。
例えば、とおいとおい土地で仕事をしていたら、なぜか地元に人間に出会ったり。
職場の後輩として、高校の後輩が入ってきたり。
人間関係は、どこで繋がっているかわからないので注意が必要です。
自分は偉い人と繋がっているんだぜっていきがる人、いますけど、ほんとにそういう人は、他人に言いふらしませんし。
自分も、それで、何度か痛い目に遭いましたし、何度か救ってもらいましたし。
それでは、また、痛い目にあっていなければ、明日も12時から13時くらいに。
訂正履歴
そんな事情での → そんな事情でも
ダメージを負って → ダメージを追って
一眼見て → (削除)
独立しなければ行けません → 独立しなければいけません
九重さん → 重光さん
業商人 → 行商人