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第12節 ボス戦かよ! いや、ゲームじゃないんだし馬鹿正直に戦うこともない。

ゲームのボス戦と、ラノベのボス戦は表現方法が違っていて難しいです。

苦手だから戦闘シーンを回避したわけではありません。

さて、どう攻略したものでしょうか。

<前回の3行あらすじ>

 マインバットは、何故か近くまで飛んでくるとヒョコヒョコ歩いて近づいてくる。

 伊藤さんは3箇所足の血を吸われた。血を吸ったコウモリは吸いすぎで動けなくなってる。

 ユリが美味しくいただきました。 じゃあ、白骨死体を作った元凶は?



 マインバットは、マインウルフの幼生体である僕の頭上のユリに怯えて攻撃してこなかった。

 集団で襲われたら、即座にバッドエンドなのにも関わらず、だ。

 ユリさまさまである。


 そうして、魔物の襲撃もなく、しばらく歩くと、今度こそ登り斜坑と思われる場所に出た。

 なぜ、推定なのかというと、また、その入り口を塞ぐのがいたからだ。

 前回は石だったが、今度はなんか「骨」なのだが。

 白骨死体を見て少し慣れた後でよかった。


 もちろん、人間の骨じゃない。

 骨は、3メートル、つまり天井すれすれの大きさのものが3体。

 しかも、剣とか盾とか持ってるし。

 兜も装着している。


 でも、鎧をつけていないので、ボディーの骨が丸見え。

 っていうか、あんな大きな骨、どうやってやっつけるんだよ。


「レイン」

「はいです。あの大きな骨は、スケルトンオークです。3匹の大ぶたです。」

「骨、だけどな。」

「どうするのよ? あんなの流石に倒せないし、あっさり殺されて終わりじゃないの?」

「そうだな。」


 どうしようか。

 とにかく、あいつらを何とかしないと上に進めなさそうだ。

 ゴーレムの時と違って、おそらく他に通路はない。


 ボス戦、と言ったところだろう。


 ゲームなら、経験値をためて、レベルがいい感じに上がったところで、回復アイテムなんかを駆使してやっつけるところだ。

 中ボス的な立場であれば、盛り上がるところだ。山場だ。


 でも、現実問題として、体が2倍近くある大剣を持ったモンスターと素人が対戦するのは、どう考えても自殺行為以外の何者でもない。

 処刑の代わりにダンジョンに送り込む、という目的を思い返せば、ここまではお遊びで、ここで確実に命を取りに来ているのだろう。


 考えろ。


 何かあるはずだ。


「レイン」

「何ですか?」

「あれ、倒せる道具、あるか?」

「ありません。というよりも、スケルトンオークは、物理攻撃はいちおう効きますけど、すぐに復活しますよ。心臓とか急所があるわけではないので。」

「どうやって倒すんだよ。」

「えと、ですね。あ、神聖魔法が弱点って書いてあります。」


 レインは両手の親指と人差し指でファインダーを作って、スケルトンオークとやらのステータスを覗き見ていた。

 神聖魔法が弱点って、それ、知っていても意味ないよね。

 使える人、いないから。


「倒せるのか?」

「う〜、倒すこと自体はできます。できますですが、それよりもすぐに復活する方が問題です。神聖魔法で浄化しない限り、何回でも復活します。今のパーティーでは、詰んでます。」

「倒せないんだな?」

「けつろんからいえば、そうです。」

「伊藤さん。詰んだってよ。」

「聞いてました。でも、そこで諦めたら、でしょ?」

「そうだけどな。」


 何かないか?


 弱点属性は、その属性攻撃できる手段がないので却下だ。


 でも、4階層に行くなら、こいつらを3匹も倒さなければいけない。

 倒さなければいけないのだ。



 ……本当にそうか?


 逆転の発想だ。

 本当に、3匹とも倒さないとダメなのか?

 相手は所詮骨。

 スカスカなのだ。


 あの隙間をうまくついて、4階層の入り口に辿り着けないか?


 できる。

 でも、リスクが大きすぎる。


 おそらく、レインは無事に抜けられるだろう。

 遠目に見ていて、スケルトンオークたちの動作は緩慢だ。

 素早く動けば逃げ切れる。


 でも僕たちはどうか。


 僕は体がでかいので、すり抜けるのは難しいだろう。

 伊藤さんは、行けるかもしれないが、以前のように体が硬直して、やられるってことも考えられる。


 却下だ。


 でも、考え方自体は、使えそうだ。

 なにもRPGのゲームをやっている訳じゃない。

 中ボスを倒さないと先に進めない、厳密なルールがある訳じゃない。


 ルールの穴をついて小狡く出し抜くことができるのが、現実の強みだ。

 ゲームではそうはいかない。

 製作者の意図に沿わない攻略は、ほとんどの場合できないようになっている。


 でも、最近はそうだな、オープンワールド系のゲームでは、そういうの無くなってきているよな。

 国内最大手のゲーム機メーカーが作っている、オープンワールド系のゲームをやり込んだ記憶がある。

 あれにも、大きな骨のモンスターが多数出ていたな。

 真正面から戦ってよし、崖から落とすのもよし。


 そうだな、そうだよ。


 でも、とりあえず、一回は真正面からぶつかってみよう。

 相手の動きをある程度把握しないと、できない作戦だ。



 実戦。


 とりあえず、近づいて、どのあたりまでいくと、攻撃してくるのか、見てみた。


 3匹いるが、1匹が登り斜坑に繋がる横穴を体全体を使って塞いでいる。

 そして2匹がその前で待ち構えていた。


 10メートルくらいまで接近した時、1匹が反応した。

 ゆっくりと歩いて、こちらに向かってくる。

 そして、2メートルはある大剣で攻撃してくる。


 攻撃してくる。

 2メートルはある大剣で。


 大事なことなので2回言いました。


 坑道の広さは、主要坑道なので若干広く幅も高さも3メートルくらい。

 スケルトンオークの身長も3メートルくらい。

 大剣は2メートルくらい。


 さて、みなさん。

 お分かりだろうか。


 こいつら、ボスとして、ちょっとダメなんじゃないかと。


 大剣を振り上げると、もちろんすぐ天井や梁に当たる。

 だからと言って、あまり振り上げないで攻撃しても、攻撃力が上がらない。

 そもそもスピードが出ないのだから、脅威にはならない。


 じゃあ、全然安全なのかというと、そうでもない。


 時折混ぜてくる突きが凶悪だ。


 何しろ突きは、振り上げる必要がない。

 普通に攻撃できる。

 スケルトンオークがもっと賢ければ、突きだけで圧勝できるのだが、マインバット同様、知能が低いようで、その優位を活かしきれていない。


 あと、地味に強いのがシールドバッシュ、すなわち盾による攻撃だ。

 こちらも、坑道の狭さに影響を受けない。


 30センチの短剣で攻撃しようとしたら、大きな盾で防がれた上、その盾を突き出されて、地味に鈍器として攻撃された。

 実際に2回ほど、シールドバッシュで後方に吹っ飛ばされた。

 死ぬかと思った。


 でも、スケルトンオークは動きが緩慢なので、その一撃でやられない限りは大丈夫。


 何度か攻撃していると、動き自体はゆっくりなので徐々にパターンが見えてきた。

 そして、盾の動きをかわして、剣を持っている腕にナイフが当たった。

 腕の骨は思ったよりも脆く、あっさり崩れ去った。

 そして、音を立てて2メートルはある大剣が地面に落ちる。


 これなら勝てると思った刹那。

 砕けた骨がゆっくりと空中に舞い上がり、元の形の戻った。

 そして、大剣を拾い上げる。

 骨の復活に、およそ10秒。


 時間をかければ、何とかなるかもしれない。

 とりあえず、ここまででわかった事を分析してみよう。

 ボス戦なら、傾向と対策が必要だ。

 そこで、傾向を分析した結果がこうだ。


 スケルトンオーク

 <攻撃>

  大剣による斬撃:天井が低くて威力が出ないか失敗する。

         → 脅威とはならない。

  大剣による刺突:環境の影響を受けず、十分に威力がある。

         → 一撃で即死する。絶対に受けてはいけない。

  大楯による打撃:シールドバッシュ。ノックバックがある。ダメージは地味。

         → ダメージはそれなり。ノックバックに注意が必要。

 <防御>

  大楯による防御:受け、受け流し共に使える。

         → 短剣によるほとんどの攻撃は無効。

  骨本体の防御力:骨自体はそれほど強くない。攻撃で破壊可能。

         → すぐに復活することが脅威。神聖魔法がないと意味がない。

 <魔法> 今のところ確認できず。


 分析の結果、今の戦力では、やはり勝てないことが分かった。

 解っても、どうしようもないのだが。


 今度こそ詰んだか。

本日2投目。

先の話を書いていると、前の話と辻妻が合わなくなったり、もっといいアイディアが出て、訂正したくなることがあります。

余裕を持って、書いていて、随時訂正をかけているところですが、自分で書いているのに、後から読み直すと結構訂正もれや設定ミスがあるものですね。

今後も謙虚に精進していきたいと思います。

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