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女神様! 御自分で御与えになられた恩寵なのですから、嘲笑するのをやめては頂けませんか?  作者: 日雇い魔法事務局
第7章 防衛戦? 眼前に突撃!
112/224

第82節 決死の偵察任務

4話連続で攻め込まれているところです。

さすがにどうなっているんだろうと筆者ですら思います。

そこで、そのどうなっているんだろうを確認するお話です。

それでは、どうぞ。

<異世界召喚後33日目午前中>

 場所:ヨーコー嬢王国コソナ領オールドコソナの町

 視点:野中のなか


「もう、鶏冠とさかにきたよ。」


 ブチ切れているのが一人いた。

 今は作戦会議中。

 場所は、オールドコソナにある伝統ある年季の入ったコソナ砦。

 もちろん議題は魔王軍対策だった。


 ブチ切れているのは、今回だいぶ活躍したガルダ族の族長、キングパンサーだった。

 気持ちはよくわかる。

 なんなら、ここに集合している者みんなの心の声を代弁していた。

 でも、怒りに流されては、適切な対応もできなくなってしまう。


「落ち着いてください。まずは、感情的にならずに、今の状況を確認します。」


 僕はそう言って、荒れそうになる会議を落ち着けようとする。

 そのまま、現状の確認に入った。


「連日、魔王軍の攻撃に遭っています。最初はミャオー町。これは、陥落しました。でも、これは元から私たちが陥落させる予定だったので、計算外です。次にここ、オールドコソナ。そして、最後は3日連続、深夜にサンコソナを狙われました。」

「間違いない。」


 内容に同意してくれたのは、エレメント族の族長、ライトエレメントのエナジナーだ。

 見た目は女性だが、ぶっきらぼうな話し方に、ちょっとどうなのか不安になる。

 エレメント族はそもそも生き物なのかどうかも怪しい。

 性別とかに意味はないのかもしれないけれども、ちょっと怖くて確認できていない。


「魔王軍は、分かっているだけでもその全てが北の帝国側から攻め込んできました。ここで、疑義があります。北の帝国、ウーオ帝国というのが正式名称なんだそうですが、すでに魔王軍に攻め滅ぼされてしまった疑惑があります。」


 皆、一様に納得した表情。

 ほとんどの人間にとっては、すでに疑惑ですらないらしい。

 戦っていて感じたこととはいえ、確信に近い。

 それに、帝国側からの避難民のこともある。


 避難民とはいえ、人口が増えることはありがたい。

 今が冬でなければの話だが。

 大岩井さんが、温泉を使って何か食料を増産できないか考え中だというので期待しておこう。

 冬を越えるためには、なにはなくとも食料だった。


「さて、その共通認識のもとに、今から魔王軍に対する対策会議を始めます。この波状攻撃に対して、取れる対策は2つ。一つは、今まで通り、攻撃されたら防御する、対処療法です。専守防衛的対応です。嬢王様はこれを望んでいます。」

「できればそうしてほしいの。」


 良くも悪くも日本人で日本の教育を受けて育った優等生の風紀委員、伊藤さんは、専守防衛がお好き。

 そういう教員に育てられたということ自体は、悪くはない。

 なにしろ、憲法でそう定められているのだから、そう教わっていないのだとしたらそっちの方が問題だ。

 嬢王様であるところのその伊藤さんは、防衛のみに止めるべきと言うのだ。


 ただ、この会議には、この意見に反発を覚える者も多くいた。


 その筆頭は、隣町である帝国のイツナの町の町長だった。

 当たり前といえばそうなのだけれども。


「みなさんは、我々の街を救っては下さらないのですか? まだ結構な人数が、脱出できずに残っているはずです。おそらく今頃は殺されてしまっているかもしれませんが。」


 悲痛な声だった。

 隣町とはいえ他国の領土。

 そうそう簡単に救助に行くことができる訳じゃない。


 ん?


 そうだな。

 いくらなんでもかわいそうだよな。

 ここは、一つ悪者になるか。

 伊藤さんを言いくるめてみるか。


「嬢王陛下。せめて救助だけでもしてみてはいかがでしょうか?」

「でも、攻め込んできたって文句言われたりしないかな? 謝罪と賠償を要求されたりしないかな?」

「するでしょうね。」

「しませんよ! 当たり前じゃないですか? なんで助けに来てくれた人たちに謝罪とか賠償とか要求するんですか? 嬢王陛下、あたまおかしいんですか?」


 町長が逆ギレしていた。

 その気持ちはわかる。

 とてもよくわかる。

 でも、日本で育ってしまった僕たちには、それがスタンダードだった。


 近くの国が地震とかで災害があったときに、いち早く救助隊を送ったことで、そことは違う国から謝罪と賠償を要求されることがあるからだ。

 正直訳がわからないのだが、政治的駆け引きで、言う側の国としても言わざるを得ないのが可哀想なところでもある。


「元の世界では、他の国まで救助に出るには、その国からの救助要請が必要なんです。そうじゃないと、侵略戦争を吹っかけたこととされてしまうことがあります。」

「な、なんて世界だ。」

「いや、普通ですよ? なんでもいいから口実をつけて、他国の領土に軍隊を進軍させる。そしたら占領して、拠点を作ってさらに攻め込む。普通の侵略方法ですよ?」


 思い沈黙が場を支配した。

 こちらの世界では、国境の線引きが小競り合いが多いせいでよく動くらしい。

 なんなら、国境付近は、町長の独断で、国境線が動くこともままあるそうだ。

 町長とか領主とか、それくらいの強い権力を持っているからだ。


 そして、イツナの町長は踏み込んできた。


「占領上等ですよ! いいじゃないですか! もう、うちの町もヨーコー嬢王国に編入してくださいよ! 結局、帝国は支配できていないし、救助にもきてくれないんですから。」

「で、でも。」

「わかりました。それでは、こう言う案はどうでしょうか。」


 躊躇う伊藤さんに、大岩井さんが割って入った。


「ウチのマインウルフ軍団を、モンスターとか野犬とかに見せかけて、イツナの町へ偵察に送り込むんです。とにかく今は新鮮な情報が欲しいところ。現地を確認してからでも遅くはありませんよ?」


 流石に、こう言うことは大岩井さんが一枚上手だった。

 悪いことを考えさせたら、僕たち3人の中では一番だ。

 敵に回さないように気をつけよう。


「じゃ、そういうことでいいでしょうか。」


 僕も同意して、伊藤さんに振った。


「それじゃ、私が悪者みたいじゃない。助けたくない訳じゃないんだからね!」



 嬢王陛下の了解を得たところで、即座に救助隊が編成された。


 選定は、大岩井さんだった。

 王国兵士団のマインウルフは、現時点140匹。

 そのうちの15匹が現時点、マインエルフにクラスアップしている。

 その、マインエルフのクラスを持つマインエルフ10名で、潜入・調査の任務にあたることになった。


 仮に、斥候隊と名付けておいたそうだ。

 みんなかわいい女の子エルフの見た目なのだが、中身は元がウーバン村のおっさんたちだった。

 だからこそ、多少の地の利がある。

 数名だが、イツナの町に行った経験があった。


 だから、道は大丈夫。

 問題は、敵に見つかった時のことだ。

 隊長のワングマンが、確認してきた。


「行って、帰ってくる。簡単なことです。でももし、魔王軍に出会ってしまったら、どうしますか? 戦ってもいいですか?」

「斥候は、戦わないでくれ。いることに気付かれないことが第一だ。何しろ斥候の仕事は情報収集と、その情報を持ち帰ることだろう? リスクは背負わなくていい。状況を確認したら、すぐに帰ってきて欲しい。」

「でももし、町に生き残りがいた場合はどうします? 声くらいかけましょうか? 亡命したいとか言われたらどうしましょう?」

「野犬のふりをしておいてくれ。犬に対して亡命したいとは流石に言ってこないだろうから。」

「う、わ、わかりました。」


 ワングマンは納得していない。

 そりゃそうだろう。

 もしかすると知り合いか親戚でもいるのかもしれない。

 地の利がある、ということは、そのまま、その地に縁があるということ。


 最低でも顔見知りがいるのは間違いない。

 だとするならば、人情として、助けられる立場にある斥候隊としては、救助したくなる。

 気持ちはわかる。

 でも、それは、斥候の仕事じゃない。


 もし、救助するなら、きちんとした救助隊を組むべきだ。

 それなら、もっと多くの戦力を投入する必要がある。

 これは、その前段としての斥候なのだから。


 そして、即座に、偵察任務は開始された。



<異世界召喚後33日目昼>

 場所:ウーオ帝国ウーコースト領イツナの町付近

 視点:偵察隊長 ワングマン


 私は、村の仲間と共に、マインウルフの姿でイツナの町に直行しようとした。

 道は私が一番よく知っている。

 私の家業はよろず屋だったからだ。

 妻が店を取り仕切り、私が仕入れを担当していた。


 場合によっては、村の特産品を対外的に売りに行くこともあった。

 もちろん、一人でと言うわけにもいかない。

 村人でキャラバンを作って、ちょうど今いるように何人かで出かけていた。

 そう、今いるメンバーのほとんどは、私とイツナの町に一緒に行ったことのある者たちだ。


 私だけ歳を食っているので隊長になったけれども、都合はとても良かった。

 キャラバンの時も隊長だったので、ほとんど人間関係が変わらずに済んだからだ。


 あと、マインウルフになって思ったことは、体が思った以上に動くと言うこと。

 もう、50歳に届こうと言う高齢な私だが、マインウルフでいる限りは若い体だった。

 マインエルフなら、もっと若い体だった。

 ま、女の体だから、男の時のように何でも思い通りに動くと言う訳じゃないけれども。

 

 最初、私たちは街道沿いを駆け抜けようとしていた。

 私の次に年齢の高い、サイメンス、年齢30歳を副隊長にしていた。

 もちろん、私に何かあったときに、きちんと伝令を全うするためだ。

 でも、それだけじゃなく、有能だった。


「隊長! 街道はやめませんか? せっかくウルフなんですし、森の中を突っ切りましょうよ。その方が近道ですし、敵にも見つからないでしょうし、なにより、カモフラージュになるじゃないですか?」


 もっともな意見だった。

 走りやすい街道を選んだのは、ちょっと楽をしたかったという気持ちが出てしまっていた。

 でも、我々は、斥候。

 忍んでいかなければいけない。


「そうだな、そうしよう。だいたい10キロくらいだからな。山道なら、3〜4時間と言ったところだな。」

「隊長、それ、人間が歩いたら、の話です。今はウルフなのですから、半分もかかりませんよ?」

「そ、そうだったな。ウルフだもんな。」


 エルフに変身できるようになって、まず初めに妻のところに駆け込んでいった。

 妻にはすぐに、私が夫のワングマンであることを見抜いた。

 なんなら、マインウルフの時からわかっていたそうだ。

 まあ、何度もよろず屋に帰っていたし。


 でも、夜、一緒に寝ていたら、


「やっぱり獣くさいね。今まで通り、別のベッドにしようかい。」


 と、同じベッドを拒否された。


 同じベッドを拒否されるのは、まあ、以前からだし、それはいい。

 マインウルフのケダモノ臭が、どうしても抜けないことを指摘されたのが心に刺さった。

 とても痛く刺さった。

 そう、ウルフだもんな。



 行きは、大した妨害もなく、あっさり目的地に到着してしまった。

 拍子抜けするくらいだ。

 町を外から観察した。


 見た目は、人がいない。

 魔物もいない。


 マインウルフの目は、あまり良くない。

 しっかりと見たいのならば、目のいいマインエルフに変身すべきだろう。

 でも、誰一人として、そうはしなかった。

 マインウルフとして、偵察任務をこなしていた。


 理由は明白だった。

 町の住人、しかもほとんどが人間族である救助すべき町民がいるからだ。

 見えない。

 しかし、ウルフの鼻で町民がたくさん隠れていることが手にとるようにわかる。


 顎を地面につけて、地面の振動を拾う。

 わずかに、歩き回っている振動がある。

 これは、教会のあたり、しかも地下のようだ。


 ここで言う教会というのは、女神教の教会じゃない。

 山神様やまのかみさまを信仰する、北の帝国の国教の教会だ。

 いざという時のために、地下室でも作ってあったのだろう。

 鼻でカウントするに、20人〜30人はいそうだった。


 正直助けたい。

 でも、鼻でわかる。

 弱った人間族、しかも女性と子供ばかり。

 確かに、コソナ砦まで来て亡命を求めてきたのは、男ばかりだった。


 なるほど、そういう作戦かと。

 男が決死で助けを求めに行って、女子供は安全なところで待機させる。

 そして、コソナから救助隊を送ってもらって助けてもらう。

 そういう計算だったのだろう。


 さかしいな。

 しかし、命がかかっている段階では、そうも言っていられない。

 そういう、機転の効く町長がいることは、彼ら彼女らにとっては幸せなことだろう。

 こちらの偵察任務は、町に入ることなく終了した。


 そして、帰ろうとしたところで、サイメンスが言い出した。


「隊長、僕、行ってきますよ。助けが来たって、言ってきますよ。」

「やめとけ。我々は斥候だ。騒がれたら終わりだ。」

「でも、小さい子とか、たくさんいますし。」

「だからだ。」

「なぜ?」

「行けばわかる。」



 私たちは走っていた。

 見つかってはいけない。

 今の格好を見られたら、どう見てもおかしいからだ。


 コソナ砦まであと半分。

 来る時より、だいぶ苦しいが、それでも頑張った。

 人間の匂いに誘き出された魔物たちをそこそこ相手にしつつの帰路になった。

 私の岩石魔法で、活路を見出しつつ、なんとか走り抜けていた。


 教会の地下に入るのは簡単だった。

 教会に入ったところで、エルフになった私たちは、鼻で探った通りの場所から秘密の地下室に入り、偵察に来たことを告げた。

 救助の前段階だと。


 子供がたくさんいた。

 なんなら、生まれたての子供もいた。

 そして我々は託された。

 子供と、手紙とを。


 乳幼児5人ほどを、マインウルフになった部下に背負わせていた。

 抱っこ紐的なものでぐるぐる巻きにして。

 その懐には、残っているものからの手紙が入れられていた。

 まさに、伝令といった感じだった。


 だから言ったのだ。

 小さい子がいると言うことは、こうなると。


 来る時は1時間半で到着した。

 帰りは、1時間半で、まだ、帰路の半分くらい。

 このままなら、あと1時間半はかかるだろう。

 魔物の襲撃も、頻度が上がり、徐々に熾烈になってきた。


 もうすでに、木々の間から、コソナの灯台が見える。

 しばらくすれば砦も見え始めるだろう。

 そこまで逃げ切れるか。

 正直確証はなかった。


 マインウルフになって岩石系魔法を覚えて、使いこなして。

 でも、元からMPがたくさんある訳じゃない。

 種族が変わっても、大元が変わる訳じゃないからだ。

 所詮は商人。


 MPが潤沢にある訳じゃない。

 他の仲間も同様。

 つまり、MPが尽きかけている。

 魔物の追撃は激しさを増すばかり。


 相手は、大きなイノシシだったり、白い虎だったり。

 小さなキツネは、妙な魔法を使ってくるので、小さくても危険だった。

 正直逃げ切れそうな感じがしない。


 私がしんがりになって、その魔物たちからの追撃を物理攻撃でなんとか受け流していた。

 子供を背負ったマインウルフを先に行かせている。

 後退しつつ、なんとか怪我をしないように。

 そういう戦法をとっていた。


 周りを見ると、私以外の仲間がいなくなっていた。

 無事逃げ切ったにしては、匂いがしない。

 残り香もない。


 食べられてしまったか。

 正直、そう思った。

 もっとも、それならそれで大量の血の匂いがしてもいいところだ。

 それもしなかった。


 正面の大きな猪が突進してきた。

 ちょこっとだけ体を動かして避けると、後ろに回っていた白い虎とぶつかって、相互に自滅していた。

 ちょっと危なかった。

 というよりも、後ろを取られている。

 逃げ道がない。


 視界の端にコソナ砦が見えている。

 と言うことは、思ったよりも国境の近くまで来ていたようだ。

 場所は、森からちょこっと抜け出してしまい、草原だった。

 周囲を見ると、ウルフの視力の悪い目でもわかるくらい、囲まれていた。

 絶望的なくらいに囲まれていた。


 仲間の姿は一切ない。

 砦に逃げ込むような姿もない。


 全滅か。


 作戦失敗だった。

 やはり、止めるべきだった。

 赤子を背負ったまま、10キロも敵から逃げつつ走り抜けるのは無理があった。

 出発してからすでに2時間半。


 私の疲労もピークだった。

 もう、諦めて、虎にでも食べられるかと。

 そう思っていた時。


 背中を、大きな口でかぶりつかれたような感覚があった。

 しまった!

 背後から噛まれたか!


 最期を覚悟した。

 今までたくさんの魔物を屠り、そして、食べてきた。

 その報いを受ける時が来たのかと。



 目を開けると、眼下には先程まで対峙していた魔物たちが、こちらを口惜しそうにながめていた。

 高いところを飛んでいる。

 すでに死んで、天国に行くのか?

 そう思っていたが、声をかけられた。


「頑張るじゃないか? あの状況で諦めないなんて、人間にしておくには惜しいよ。僕なら、諦めていたね。」


 鳥人だった。

 鳥人は、私の胴を、文字通り足で鷲掴みにしている。

 ガルダ族の族長、キングパンサー殿だった。


「いや、諦めていたよ。流石にあそこから逆転できるとは思っていなかった。」

「でもね、キミがあれだけの魔物をひきつけてくれていたおかげで、他のマインウルフたちは、ガルダ族で回収することができたんだよ? 隊長として誇ってもいいんじゃないかな?」

「結果論だ。指揮官としては最低だ。生きて帰ることのできる選択を放棄していたのだから。」

「そうかな?」

「そうだろう?」



 町に到着すると、イツナの町の男たちに揉みくちゃにされた。

 赤子と手紙が届いたからだ。

 こちらも、保存用の食料と手紙を、サイメンスが届けていたらしい。

 堅物の私では、届けてくれそうにないと言って。


 その判断は、正しかった。


 でも、イツナの町の男たちに感謝されるのに、悪い気持ちはしない。

 危うく死ぬところだった。


「隊長、すまない。本当にすまない。僕が、僕が戦わないでくれと言ったばっかりに、こんなことになって。」

「隊長のせいじゃありませんよ。こちらだって隊長の指示を結構破ってしまって、このピンチを招いたのですから。」


 ノナカ殿に泣いて謝罪された。

 確かにそう言う指示を出されていたような気がする。

 正直忘れかけていたのだが、それは黙っておくことにした。


 隊長は難しいなと。

 隊員の命を背負うのは、辛いものだなと。

 無事、帰り着いたのに、却って苦い思いをすることになってしまった。



 もう、私も引退し時かもしれない。

 そう、考えさせられていた。

ブックマークありがとうございました。


今日は、文章長めです。

2話分近くあります。

切りのいいところで終われなかったからです。

こうして、毎日、時間が押していくのですよね。

さて、本文の話です。

斥候の任務と人情と。

機械のように任務に忠実になるべきか。

血の通った人間として、人情を重んじるべきか。

いろいろな戦争映画で、テーマとしてあげられるものですね。

そして、人情を軽視するような行動を、「人間性を失っていった」と批難するのがお決まりです。

でも、私としては、そんな単純な話にはしたくありません。

人間性を失っていないからこそ、人情を断ち切らねばならない場面もあります。

その場で人情に流された選択をしたために、多くの人命がなくなってしまうということもあるのですから。

そう言うものは、結局ケースバイケースですし、あとから批難するのは結果ありきの話でもあります。

そうじゃない、現場で、判断する立場の人間が、どう、苦悩するのか。

それが人間性というものではないでしょうか。

その、一瞬の迷いが命取りになったり。


それでは、一瞬の迷いが命取りになっていなければ、明日も12時過ぎに。


訂正履歴

 ウーバン帝国 → ウーオ帝国

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